渡辺志保さんとDJ YANATAKEさんがblock.fm『INSIDE OUT』の中で、2017年のヒップホップを振り返り。10部門に渡ってベストな作品やアーティストを選び発表していました。
(DJ YANATAKE)去年の最後の放送はクリスマスに、年間ベストを我々が好き勝手に……(笑)。勝手に部門を作って選んだんですが、それでも全然話し足りないと。
(渡辺志保)話し足りないし、かけたりなかったね(笑)。
2017年ヒップホップ年間ベスト大賞
(DJ YANATAKE)みたいなことで、今日は珍しく結構フリースタイルで。こぼれ話的にやっていきたいなと思うんですけども。志保さん、カウントダウンはどちらで迎える予定だったんですか?
(渡辺志保)クーッ! カウントダウンが本当にスケジュール通り、全て物事が上手く進んでいたらWWWでBAD HOPを見ているという感じになるかと思いますね。
(DJ YANATAKE)BAD HOP、カウントダウンやるんだ。
(渡辺志保)そうです。WWWで。すっごいメンツですよ。
(DJ YANATAKE)僕は多分WREPバーでZEEBRAカウントダウンを見ていると思うんですけどね。みなさんもお正月をどんな感じでお過ごしだったんでしょうか。じゃあ、去年選んだやつから話していきたいなと思うんですけども。
(渡辺志保)そうですね。去年はケンドリック・ラマーの年でしたということで。
(DJ YANATAKE)最初にベスト・アルバム・オブ・ジ・イヤーということで。これはしょうがない。これ(ケンドリック・ラマー『DAMN.』)だよ。
(渡辺志保)でもぶっちゃけ、ジェイ・Zの『4:44』とも悩みませんでしたか?
ジェイ・Z『4:44』の偉業
(DJ YANATAKE)そうなんだよ。わかります。これ、『ローリングストーン・ジャパン』で我々の連載がいま始まりましたけど、そこでも同じようなことを言っているんですけども。こういう感じの新しいジェイ・Zが出てくるとは思っていなかったからびっくりしたんだけど。DJ的には「かけれる/かけれない」みたいなジャッジがある中、本当に歌詞・リリックとかの内容でアメリカでは評価されていて。日本では、俺らがいるような世界だとDJがかけないと、盛り上がっていないんじゃないかな? みたいなのがちょっと、何ヶ月かあったんだよね。でも、(年の)後ろになればなるほど、「えっ、ジェイ・Zがモロに評価されてんじゃん?」みたいなのもわかっていたり。
(渡辺志保)そうね。アメリカでね。
(DJ YANATAKE)志保の解説を聞かせてもらって、「こうなんだ、こうなんだ」ってわかったりとかして。で、結果、グラミーのノミネーションがね。
(渡辺志保)そうそう。最多ノミネートだし。で、やっぱりいま、個人的に思っているのはドラッグがどうとか、若い子がすごい刹那的なラップをするのは本当にすごく、2017年がいちばんのピークだったんじゃないか?っていう風に思っていて。(フューチャー『Mask Off』の)「モリパコセッ!」じゃないですけども。
(渡辺志保)で、そんな中、ある意味オヤジからのカウンターとしてジェイ・Zがああいう大人にしかできないラップで真っ向から勝負をかけてきて。それがすごく高く評価されているっていうのは、そのラップゲームの行方、針の進め方としてすごく真っ当なんじゃないかと私は思いました。
(DJ YANATAKE)いや、本当。本当。
(渡辺志保)で、あんまり『INSIDE OUT』では深く触れることはなかったけど、エミネムが12月に発売した『Revival』に関しても結構同じことが言えるんじゃないかと思っていて。大人がいま、なにをラップするのか?っていうね。そういったところ。そこは、エミネムとジェイ・Zのこのニ大巨頭が2017年にある程度形を示してくれたんじゃないかなと思っていて。
(DJ YANATAKE)間違いない。やっぱりさ、もういい歳して子供もいてさ、いつまでたってもマリファナだコカインだとかさ、バカかよ?ってなっちゃうもんね。
(渡辺志保)そうそう。なっちゃう。
(DJ YANATAKE)おっさん、いつまでそんなのやってんだよ?っていうね。
(渡辺志保)で、しかもそれをちゃんと、もともとドラッグディーラーでありながら、その後にラッパーとしても成功し、実業家としても成功し、そして世界一の奥さんをもらい、いまや3人の子供にも恵まれたジェイ・Zが言うと、やっぱり重みが全然違うじゃないですか。そのへんのオヤジに「お前、ちゃんとしろよ」って言われるのと重みが全然違うし。で、あともうひとつ、「ラップ・ゴッド」と言われたエミネムがああいう風にいまの自分の怒りや悩みや焦燥感みたいなものプラス、アメリカのいまの現状に対する怒りというものをああいう風にアルバムという形でぶつけるというのはすごくスリリングかなと思ったな。
(DJ YANATAKE)そうですね。なんでジェイ・Zのアルバムのあり方みたいなのもね、もっと日本のね……。
(渡辺志保)そうね。論じられていいと思うし。あと、私がちょっと向こうのライターの方のツイートとかを見て面白いと思ったのは、『4:44』が出される1年前にはビヨンセの『Lemonade』があったわけで。それを対にして考えると、フェミニズムの論点から『4:44』を論じるというか、斬る。「お前がそこまで成功したのは、お前1人の力じゃねえじゃん? そばで支えてきたアタイたちがいるじゃんか!」っていうような感じで論じている人たちもいて。そういうのもすごく面白いと思ったの。
(DJ YANATAKE)フフフ(笑)。
(渡辺志保)やっぱり日本でもいま、どんどんヒップホップとかラップがいろんな論点から論じられるようになったと思うんだけど。そういうあり方もいいなと思ったし、アメリカっぽいなとも思ったことでしたね。
(DJ YANATAKE)なんで、ケンドリック・ラマーを選んで、もちろんケンドリックのアルバムも素晴らしかったですけど、やっぱりいま一度ね、ジェイ・Zの『4:44』。国内版のCDの解説や対訳なんかもチェックして聞いてみると……っていうか、確実に聞いておかなきゃいけないアルバムですね。
(渡辺志保)うんうん。そうですね。
(DJ YANATAKE)なんで、去年のベスト・アルバムには選ばなかったですが、限りなくベストという意味でジェイ・Zの『4:44』を紹介しておきたかったということですかね。
(渡辺志保)そうですね。あと、アルバム単位でいうと、「アルバム」って言っていいかわからないけど、ドレイクの『More Life』(笑)。
(DJ YANATAKE)そうだね!
(渡辺志保)ドレイクは全然触れなかったけど。ドレイク、ごめ~ん! みたいな感じがするけど。ドレイクの『More Life』もあれはあえて、自分で「プレイリストです」って言っちゃっているんですよね。なので本当にドレイクがいま好きなものをゴチャ混ぜにして発表したプレイリストになっていますし。
(DJ YANATAKE)うんうん。
(渡辺志保)そこも、南アフリカのDJとかUKのジョルジャ・スミスとかギグスとかね、UKの若手のアーティストなんかをバーッと集めて。方や、クエヴォもいてトラビス・スコットもいて、いつもの仲間もいるみたいな仕上がりになっているから。『More Life』はすっごい聞いていて楽しかったですね。うん。
(DJ YANATAKE)やっぱりトレンドセッターであることは間違いないし、いろんなところに首を突っ込んで、いろいろと落とし込んでくれるし。「プレイリスト」っていう言い方がまだ馴染まなかったけども。そのアルバムとしての出し方が。ただ、ひょっとしたらもう今年とか来年とかはそういう出し方が当たり前になってくるかもしれないし。それをいち早くやったのはドレイクなのかなっていう感じがしますね。
(渡辺志保)ちょっとここで私、『More Life』からのお気に入りの曲を紹介させていただいてもいいですか? 『INSIDE OUT』の本放送でもなかなかかける機会がなかった曲で、ましてや前回放送したベストの時にもかけれなかった曲なんですけど。このドレイクの『More Life』の中で1曲、カニエが参加している曲がありまして。『Glow』という曲なんですけども。この『Glow』のカニエのラップ、すごいいいの。なんか、結構彼の初期の作品を思わせるようなポジティブなラップだし。で、サンプリングソースで使われているのもアース・ウィンド&ファイアーの曲だったりするし。結構ね、2017年にこういうケミストリーが生まれるんだっていう。いい意味で裏切られたっていう感じがしますので、ドレイク『More Life』の中からこの曲を聞いてください。『Glow feat. カニエ・ウェスト』。
Drake『Glow feat. Kanye West』
(渡辺志保)はい。というわけでいま聞いていただいておりましたのはドレイクが2017年に発表したプレイリストアルバムから『Glow feat. カニエ・ウェスト』。いや、いいですねー。いいのよ、カニエのポジティブなラップが。いまではあまり聞かれなくなったカニエのポジティブなラップ。「we gon’ touch the sky-y-y」とか。いいですね。正月っぽいバイブスですけども。
(DJ YANATAKE)あと、アルバムはまだまだいっぱいあるんだけど。結構聞いたしかけたなっていうのは、やっぱり『Luv Is Rage 2』かな。リル・ウージー・ヴァートかな。
(渡辺志保)ああ、そうなんですね。
(DJ YANATAKE)最初、やっぱり『2』って、ミックステープみたいな感じなんだけど。でも、DJもね、みんなかけまくっていたのはリル・ウージー・ヴァートかなっていうね。
(渡辺志保)いや、そうだし。やっぱり私たちも前回の放送で誰を新人に選ぶか問題があって。リル・ウージー・ヴァートも間違いなく2017年のメインとなる流れを作ったまさにそのラッパーだと思いますし。
(DJ YANATAKE)そうだね。
(渡辺志保)まあ「エモい」って一言で言ったら簡単だけど、そのエモさの表現にもいろいろあるっていうかね。リル・ピープみたいなラッパーもいるし、XXXテンタシオンみたいなラッパーもいるし、そしてこのリル・ウージー・ヴァートみたいなラッパーもいるということでね。
(DJ YANATAKE)あと、ようやく日本のクラブでもみんなが合唱するみたいになってきたのも、やっぱり『XO Tour Llif3』の功績はデカいんじゃないかなと。みんな、「歌いたい!」みたいなね。
(渡辺志保)うんうん。そうかも。それはたしかにありますね。やっぱりヒップホップのメロディー感みたいなものはこの2、3年でガラッと変わったと思うし、リル・ウージー・ヴァートがまた新しいスタンダードを作ってきているんじゃないか?っていうのは今年、すっごい感じましたね。
(DJ YANATAKE)じゃあ、続いて行ってみましょうかね。次は新人の話をしてみましょうかね。
2017年の新人たち
(渡辺志保)ああ、そうね。いまちょっと話しましたけども。でも、どうですか? 私は結構新人……なんだろう? いろいろさ、私も日々いろんな新譜を聞くわけじゃないですか。で、それを「彼はマップのどういう位置にいるのか?」っていうのを体系付けながら聞くタイプなんですよ。「リル・ウージー・ヴァートはこのコダック・ブラックグループね」とか、そういう感じで体系付けて。「カーディ・Bはニッキー・ミナージュグループね」みたいな感じで聞いていくけど、やっぱりさ、後半のリル・パンプとかスモーク・パープとか。もうどこに振り分けていいのかがわからないまま年が終わってしまったみたいなところはありますね。
(DJ YANATAKE)そうだね。俺も勝手に志保がいない時に注目新人みたいなのをやったんだけど。
(渡辺志保)うんうん。
(DJ YANATAKE)去年の最後にも話したけど、テイ・ケイみたいなのとかYBN・ナーミヤーとか。あのへんの感じのバズの起こり方ってさ、なんかまあ、本当に1年後いるのかな? とも思ったけど……その1曲の爆発力と注目度が。もうYouTubeとかで何千万回転みたいなのが普通になってきちゃって。もうすっごいことになっているな!っていう。YouTubeのケタ数が変わってきたのは、やっぱりそれだけいまのヒップホップに注目をしている人数、パイが増えたっていう証明でもあると思うし。そういう子たちが一発当てて、なんならめちゃくちゃ犯罪のことを赤裸々に歌っているんだけど、犯罪を犯してもさ、そいつが人気があるからメジャーのレコード会社が保釈金を出して。しかも何百万ドルとかで契約するわけでしょう?
(渡辺志保)すごい世の中ですよね。
(DJ YANATAKE)コダック・ブラックもそうだし、テイ・ケイもそうなったわけじゃん? なんか……すごい。
(渡辺志保)すごい。かつ、この間も年末にみたあれだとスムーキー・マルジェイラっていうこの『INSIDE OUT』でも紹介したまだ15才とかのニューヨークのラッパーだけど。エイサップ・ロッキーが注目したという。スムーキー・マルジェイラがもうパフ・ダディの息子さんと一緒に曲を出していたんですよね。だから本当にラップを始めて1、2年なんだけどすでにパフ・ダディにまでリーチしているっていう、そのスピード感と規模。すげえ!って思って。
(DJ YANATAKE)今年もその感じは続くんじゃないかな。しばらく。と、思っているし、どんだけの一発屋というか、ワンヒットワンダーは出てくるんだけど……とは言え、でもその当たりっぷりは絶対にデカいものになるはずだから、注目していきたいですね。
(渡辺志保)そうですね。だから去年『17』を発表したXXXテンタシオンなんかが今年、どんな風に成長して、音楽的にも成長して、ラッパーとしていい作品を作ってくれるのか?っていうのはすごい興味がありますよね。
(DJ YANATAKE)だからさ、毎年言っちゃうけどさ、XXLマガジンのフレッシュメン。あれが1年に1回紹介するぐらいじゃあ、ペーストしては遅いっていうことだよね。
(渡辺志保)全然すくえないんですよね。本当にそうなの。
(DJ YANATAKE)で、注目している人はいろいろいるんだけどさ。いま、裏でテカシ69がかかっているけど、この感じで行くとブーンク(Boonk)とかが次に来そうだなっていう感じですよね。ブーンクっていうのも話題になりたくて、とにかく勝手にめちゃくちゃ、ギリギリ犯罪の……なんなら犯罪ぐらいのことをしてインスタとかにバンバンアップして、本当に逮捕されたりしているんだけど。
(渡辺志保)なるほど、なるほど。
(DJ YANATAKE)まあ、こういうめちゃくちゃなことをでもやるから、それが話題になって。で、SNSのフォロワーを増やして、曲も流行っていくのかなっていう感じもするけども……まあ、いい方程式じゃないんだけど。犯罪は……。
(渡辺志保)まあ、いまならまだこれが有効なのかな?っていうね。前回の放送でベスト・ルーキー・オブ・ジ・イヤーにリル・パンプを選出したんですけど。私は最近、ピエール・ボーンのトラックがすごい好きで。まあ、プレイボーイ・カーティの『Magnolia』を作って。で、あれも『Magnolia』がすごいバッとヒットして、そこから派生してそのトラックを作ったピエール・ボーンにも注目が集まるっていう。本当に最初のフューチャーの曲がバッとヒットして、メトロ・ブーミンに注目が集まるみたいな感じと似たようなバイブスを感じるので。2018年はまたちょっとニューヨークが盛り上がりそうかなとも思っていますので。
(DJ YANATAKE)そうだね。この69もそうだしね。あと、ピエール・ボーンとか『Magnolia』とかそうだけど、ミリーロック。振り付けの。あの感じで踊れる感じでさ。で、BPM的には70後半から85ぐらいまで。それが(G・イージー)『No Limit』とか(エイサップ・ファーグ)『Plain Jane』とか。あのへんに派生してきていて。
(渡辺志保)うんうん。
(DJ YANATAKE)あの感じのビート感がいまホット。今年の最初はホットかなって。
(渡辺志保)BPM50、60ぐらいまで1回落ちたけれども、最近徐々に徐々に?
(DJ YANATAKE)上がってきている感じはするんだよね。で、その裏でいまかかっている6IX9INEの『Gummo』じゃなくて、その後に出た『Kooda』。あれがBPMが100に近いぐらい。だから早いトラップっていうのもちょっと来るような気もしているよね。
(渡辺志保)うんうん。たしかに。たしかに。それはあるかもしれないですね。
(DJ YANATAKE)はい。そんな感じでいろいろ新人がいますけどね。1曲ぐらい聞いてみましょうか。じゃあ、ずっといま話題に出ていたんで、新人で注目っていう意味では、アルバムとかどうなるのかな?って感じですけども。6IX9INEの『Gummo』を聞いてみましょう。
6IX9INE『GUMMO』
(DJ YANATAKE)はい。聞いていただいておりますのは6IX9INE a.k.a テカシ69の『Gummo』でした。やっぱりこういうスクリーム系っていうかパンクトラップっていうかね。このへんもまだまだ行くかな? やっぱり刺激が強えからかっこいいもんな(笑)。
(渡辺志保)そうね。刺激が強い(笑)。でも、そうね。日本でもほら、ヤナタケさんが『INSIDE OUT』で紹介していたジン・ドッグさんとかね。そういう才能も出てきてるわけじゃないですか。
(DJ YANATAKE)そうですね。こういうめちゃくちゃなやつが出てくるのは楽しいなと思いますね。さっきのジェイ・Zと真逆だけど。でも、それがあるから面白いよね。
(渡辺志保)そうそう。そうですよ。
(DJ YANATAKE)じゃあ、次は志保さん的なトピックで。
(渡辺志保)まあそのトラップの変化形が流行るみたいなこともさっきちょろっとヤナタケさんがおっしゃっていましたけど、私が2017年に「おおっ、いいな!」って思ったひとつの潮流というかトピックがラテントラップの流れなんですよ。『INSIDE OUT』でも1回、流させてもらったバッド・バニーっていうラテントラップ界のそれこそ、リル・ウージー・ヴァートみたいに言われているアース・ウィンドもいて。いまね、プエルトリコを中心とした進化系レゲトン。そして進化系トラップみたいな感じの、ラテントラップっていう風に言われることが多いんですけども。それがめちゃクールね。
ラテントラップのブーム
(渡辺志保)で、結構これはプライベートな話なんだけど、うちの旦那さんが今年の夏以降、すっごいレゲトンに……その2017年のレゲトンにハマっていて。その流れもあって、私もそういうのをよく聞くようになったんですけども。で、もちろん21サヴェージとかリル・ウージー・ヴァートみたいなテンションの曲もあるんだけど、ザ・レゲトンみたいな感じのすっごいアップリフティングな曲も多いですし。それ以外で言うと今年はアメリカで言うとね、ルイス・フォンシとダディー・ヤンキーの『Despacito』があれだけ特大ヒットしたっていうところもありますし。
(渡辺志保)DJキャレドもリアーナのあの『Wild Thoughts』を大ヒットさせた。
(渡辺志保)で、『Mi Gente』のヒットもあったりしました。
(渡辺志保)そのJ・バルビンの『Mi Gente』にはチャリティーを目的にしてビヨンセも参加したっていうようなこともありますし。やっぱりアメリカの音楽シーンにおけるラテンの存在感がますます増したなっていう風にも思っていまして。なのでこういうヒップホップとかアンダーグラウンドとかクラブシーンというところにもその波が2018年には本格的にやってくるんじゃないかなと思っていまして。私も結構、それこそSpotifyなんかでそういうプレイリストをめっちゃディグったりとか。あと、アップルミュージックもね、すごいラテントラップに力を入れているんですよ。
私も最初、バッド・バニーを知ったのもDJ EbroがやっているアップルミュージックのBeats1 Radioの番組だったので。結構そういうサブスクリプション系のサービスでもすごく目にする、耳にすることが増えたので。みなさんも意識的に興味ある方はディグってほしいなという風に思ったりもしています。というわけで、実際に聞いてみないとどんなものかわからないというのもありますので。以前にもこの曲、『INSIDE OUT』でかけさせてもらったこともあるし。結構最近、どこのクラブに行ってもDJの方がかけている曲があって。『Krippy Kush』っていう曲なんですけども。これね、もともとファルーコっていうアーティストの曲なんですけど、リミックスがすごい豪華で。ニッキー・ミナージュが参加していたり、21サヴェージが参加していたり。で、ビデオバージョンにはトラビス・スコットも参加していたりっていう感じなんで、ぜひぜひこれいまのうちに。まだ聞いたことなかったっていう方はチェックして、2018年ちょっと知ったかぶりをして、「こういうラテントラップとかレゲトン進化系のやつ、来てるらしいよ」みたいな感じでぜひぜひお友達にすすめていただきたいと思います。というわkで、聞いてください。Farruko『Krippy Kush Remix feat. 21 Savage, Rvssian, Bad Bunny & Nicki Minaj』。
Farruko『Krippy Kush Remix』
(渡辺志保)はい。いま聞いていただいておりますのはFarruko『Krippy Kush Remix feat. 21 Savage, Rvssian, Bad Bunny & Nicki Minaj』。
(DJ YANATAKE)いやー、ホットホット。マジでホット!
(渡辺志保)いや、本当にね、こういうラテントラッププレイリスト、Spotifyにもアップルミュージックにもいっぱいあるから、みなさんどんどんディグって。で、もうマジでケツ振りまくってほしいですね(笑)。
(DJ YANATAKE)ラテントラップっていうのもまた、やっている出身地とかそういうのの話をすると、なんかサウンドとかそういうのの定義付けはなかなか難しいよね。
(渡辺志保)でも、レゲトンの派生型というか。決してレゲエではないんですよね。たぶんジャマイカではなくてプエルトリコとかドミニカとかを中心に。あとはキューバとかですかね。だから、結構特徴的なポイントのひとつに、みんなスペイン語で歌っているの。当たり前だけど。プエルトリコの母国語はスペイン語なんでスペイン語で歌っているんですよ。で、私はやっぱりスペイン語だと本当に1割もわかんない感じだから、ちょっと今度AKLOさんにスペイン語を習おうかと思っておりますので(笑)。
(DJ YANATAKE)たしかに(笑)。
(渡辺志保)みなさん、私のスペイン語の習得成果が見られましたらここで披露させていただきたいと思います。
(DJ YANATAKE)で、ここらでちょっとR&Bの話もしてみたいなと。アメリカはやっぱりR&Bもいい曲がいっぱいあったんじゃないかなと。
2017年のR&B
(渡辺志保)そうね。今年はやっぱりPnB・ロックの流れとかさ。ああいうブライソン・ティラーの流れとかもありつつも……。
(DJ YANATAKE)どっちにもカテゴライズされる人というかね。
(渡辺志保)そうそう。で、いまっぽい感じの歌い方っていうのがありましたけど。でも私はやっぱり前回紹介したSZAとかもそうですけども、女の子の気持ちを代弁する、結構力強い、打たれ強いディーバみたいなのが好きなので個人的にはキーシャ・コールはやっぱり今年のアルバム、すっごい力強かったし。あとは結構賛否両論あるみたいだけど、K・ミッシェルもね、結構赤裸々な……それこそヤナタケさんも教えてくれたけどね、キム・カーダシアンのことをディスっている曲なんかもあったりして、なかなか赤裸々だったんですけど。そのへんがやっぱりグッとくるポイントだったし。前回もお話したドラマ『Insecure』がやっぱり素晴らしすぎて。イッサ・レイっていう黒人のプロデューサーが作っているドラマなんですけども。
(渡辺志保)その『Insecure』で流れる曲がSZAとかジャズミン・サリヴァンとかが多くて。そのプレイリストがSpotifyであるんだけど、それをめちゃめちゃ聞いてましたね。で、やっぱり主人公と同じ気持ちになって一喜一憂するみたいな。歌に癒やされるみたいな感じのところがあったかな。今年のR&Bの聞き方としては。
(DJ YANATAKE)なるほどね。いやー、まあでも語れないぐらい、一部門しかなかったし。SZAで全然異論はないんですけども……まあ、カリードとかさ。カリードは結構ね、グラミー賞でね。とか、あと俺はミゲルの『Sky Walker』とかね。
(渡辺志保)ああ、そうね。ミゲルもよかったですね! ブレないっていう感じだったね。
(DJ YANATAKE)ポップスもR&Bに入れていいと思いますけど、カミラ・カベロのね、『Havana』もすごいヒットしていたりするのとか。
(渡辺志保)うんうん。そうね。
(DJ YANATAKE)ブラック・ベアーのね、『do re mi』は結構早い段階からWREPとかではいろいろかけたりしていて。クラブでもかけますけど。結構好きだしね。
(渡辺志保)うんうん。
(DJ YANATAKE)なんか新しい人もいっぱい出てきてすごい楽しかったですね。これもどっちにもカテゴライズされる、たとえばネックス・サーズデーとかね。
(渡辺志保)そうね。あと、カイルとかも今年よりブレイクしましたしね。
(DJ YANATAKE)まあ、世間的にはブルーノ・マーズとか、そういうことになっているのかな?
(渡辺志保)たしかに、そうかも。
(DJ YANATAKE)あとは、1年……これは2年ヒットぐらいだけど、チャイルディッシュ・ガンビーノのさ、『Redbone』。あれ、ドラマかなんかで使われて、またね。
(渡辺志保)ああ、そうですね。あと、チャイルディッシュ・ガンビーノというかドナルド・グローバー自身もかなり去年は大活躍でしたね。
(DJ YANATAKE)そう。なんか1年超えてヒットしてくる人たちみたいなのも。ザ・ウィーケンドとかさ。もう、水原希子ですよ。だって。
(渡辺志保)ビデオに出ているのがね。すごい話ですよね。
(DJ YANATAKE)まあ、そんなのもあったんで結構R&Bも本当にたくさんあったなーっていう感じで。アメリカのやっぱり……なかなかね、やっぱり正直さ、日本のR&BシーンとアメリカのR&Bシーンってなんでこんなに違うなっちゃったんだろう? みたいな。
(渡辺志保)そうかもね(笑)。
(DJ YANATAKE)サウンド面とかでも特にね。なんか日本のR&B……まあ、いい曲ももちろんいっぱいあるんだけど。
(渡辺志保)なんかポップとR&Bの境目みたいなのがないですよね。なんだろう?
(DJ YANATAKE)そうなんだよね。で、ああいうもっとオルタナ系みたいな感じの、ジェネイ・アイコみたいな人がもっともっと出てきてもいいと思うし。でも、ああいうのが日本でヒットしない土壌っていうのも、またなんかね……。
(渡辺志保)でも、そこでたとえば向井太一さんとかね、結構いろんなところで曲を聞いたような気もしますけどね。どうでしょうか。
(DJ YANATAKE)なるほどね。で、1曲R&Bで……でもね、なんか希望の星みたいなのがやっぱりあって。まあまあ、志保も注目していると思うけど、RIRIちゃん。
(渡辺志保)ああ、RIRIちゃん。ソニーのね。
(DJ YANATAKE)ソニーからバレンタインぐらいにデビューしますよね。っていう女の子がいて。シンガーのAIちゃんの事務所からデビューした女の子。メジャーデビューが今年のバレンタインあたりということなんですが、彼女の『Rush』という曲がとにかくすごい好きで。これ、朝方にクラブとかでかけるとほぼ100%、誰かが「これ、なんですか?」って聞きに来る曲で。
(渡辺志保)おおっ、すごい! なるほどね。
(DJ YANATAKE)俺もドヤ顔でかけるんですけど。
(渡辺志保)「RIRIちゃんだよ」っつって(笑)。
(DJ YANATAKE)この間、はじめてお会いしたんですけど、もうスーパーフレッシュで。高校生?
(渡辺志保)そうそう。現役女子高校生シンガーっていうことでね。
(DJ YANATAKE)すっごいかわいいし、特にこの曲がね、本当に素晴らしくて。これ、ひょっとしたらまだ知らない人もいるかな?っていうところで、ここらで1曲かけたいなと思います。今年注目のシンガーナンバーワンと言ってもいいんじゃないですかね? 2017年のヤナタケ的ベストR&Bソングであります。RIRIの『Rush』。
RIRI『Rush』
(DJ YANATAKE)聞いていただきましたのはRIRIで『Rush』。超いい曲! 最高! 最高!
(渡辺志保)これ、アルバムに入っていて先行公開されているSeihoさんのRemixもすごい胸キュン度が増すような感じで、ぜひぜひ聞いてほしいなと思いました。
(DJ YANATAKE)でさ、RIRIちゃんみたいな子が出てきたっていうのもありますけど、去年特筆すべきところでは日本もアメリカもですけど、女性アーティストの活躍がめざましかったのは志保さん的にもうれしいんじゃない?
(渡辺志保)いや、うれしいっすね。RIRIちゃんとすっごい名前が似ているiriちゃんとかもすごい活躍していて。私は彼女もすごいいいなと思っているのと。あと、去年ゆるふわギャングもアルバムを出して、そこからSophieeという名前で活動していたNENEちゃんが今度NENE名義でソロアルバムを出して。私はあのアルバム、すっごい好きですね。で、『Shinagawa Freestyle』っていう結構本当にその名の通りフリースタイルっぽくラップしている曲があるんですけど。それってなかなかゆるふわギャング名義でもNENE名義でも聞けないような感じの、結構なスピット具合でボースティングしているような感じのラップが聞けるから、私はすっごい彼女のアルバムもツボでした。
(渡辺志保)っていうのと、あとはあんまり『INSIDE OUT』でちょこちょこご紹介できなかったんですけど、私が結構注目していたアーティストでプリンセス・ノキアちゃんっていう子がいるんですよね。ニューヨークの子なんですけど、彼女もルーツがドミニカとかあっちの中南米系のルーツを持っている子で。すっごい意識が高いんですよ。今年、ソロアルバム『1992』っていうのを出したんですけど、そこでも結構いろんな問題を抱えている女の子がいるけど、みんながんばっていこうよ! みたいな。前向きな気持ちで悲しいネガティブなことばかりじゃなくて、がんばっていこうっていうっていうのを結構凝ったビデオなんかも作って発表していたりとか。
あと、2017年は南米を襲ったハリケーンの被害なんかも甚大でしたけども。その時もいち早くチャリティー基金みたいなのを彼女自身が自分で設立して。で、自分でYouTubeで「みんな、募金をお願いします」みたいなことを呼びかけていたりとか。でも、すっごいハードなラップだったりとか、グライムっぽいところも取り込んだり、トラップっぽいところも取り込んだりっていうところで。プリンセス・ノキアちゃんはクリエイターとしても去年、めちゃめちゃいい動きをしていたなと思うのと……。
(DJ YANATAKE)うんうん。
(渡辺志保)あとは、UK出身のステフロン・ドンっていう子がいるんですよ。
(DJ YANATAKE)はいはい。モンタナかなんかと一緒にやっていた?
(渡辺志保)そう。フレンチ・モンタナと『Hurtin’ Me』っていう曲を去年出して。それ、めっちゃ私、聞いてた。
(DJ YANATAKE)ああ、そう?
(渡辺志保)そう。あれ、めっちゃ聞いていた。あのね、いいのよ。こう、UKのカーディ・Bみたいな感じで。
(DJ YANATAKE)本当だよね。
(渡辺志保)彼女もすっごいイケイケ。それこそさっきも話していたラテントラップの流れをくむ曲があるんだけど、それがね、『Bum Bum Tam Tam』っていう曲がありまして、そのリミックスにそのステフロン・ドンも参加しているし。なんとそこにフューチャーも参加しているの。
(渡辺志保)だから、さっきのファルーコの曲にニッキー・ミナージュが出ていたりとか、あとオズナっていう彼も人気のトラップ系のラテンのアーティストがいますけど。彼の新曲にいまカーディ・Bがフィーチャーされたりもしているんだけど。
(渡辺志保)やっぱりどんどんそういうラテン系、プエルトリコ系の曲にUKのラッパーとかあとはUSの人気ラッパーがわざわざ客演するっていうことが起きているから、目が離せない! で、2年前ぐらいですかね? カニエ・ウェストが『All Day』を発表した時に結構さ、イギリスの若手とかフランスの若手と一緒にやっているねっていう話をしたと思うんですけど。去年のドレイクの動きなんかもありまして、今年またそういうUKからステフロン・ドンちゃんが出てきたりとか。
(渡辺志保)あとは、リトル・シムズとかもすっごい去年、ゴリラズのアルバムがアメリカでもウケたっていうこともあってすごく評価高いですし。そういうところでのミクスチャーな部分がもっともっと2018年は面白い形で出てくるのかなと思うし。国境を超えるという意味では2017年に顕著だったのは台湾のシーンとか韓国のシーンとか、あとリッチ・チガ(インドネシア)がバーッと出てきたり。
(渡辺志保)88risingが盛り上がったりっていうアジアの動きも一味、二味、またまた深みを増して発展していくんじゃないかと思いますんで。
(DJ YANATAKE)うんうん。
(渡辺志保)本当に我々日本のリスナー、そして日本のプレイヤーたちも負けてらんねえ! とかって思ったりしますね。話が脱線しまくって恐縮ですけども。
(DJ YANATAKE)いやいや、女性の活躍はめざましいしね、日本もElle Teresaとか。
(渡辺志保)Elle Teresaも最高ですね。
(DJ YANATAKE)Elleちゃんね、この番組でもずっと推しているんで。きっかけひとつだと思うんですけども。Elleちゃんに俺も教えてもらったバリ・ベイビーちゃん。
(渡辺志保)ああ、アトランタの。
(DJ YANATAKE)女の子。この間、来日していて。で、イベントが一緒になってElleちゃんのライブに客演で彼女も出ていてすっごいかわいかったし。その後、いろいろと調べたりしたら、すごい人気あるし、かっこいいし。やっぱりああいう子も、ほら。新人紹介みたいなのをいろいろとやったけど、フィメールのアンダーグラウンド。これから来るぞみたいなのもすげーディグると超いっぱいいるな! みたいな(笑)。
(渡辺志保)ねえ。本当ね。ちょっとディグっていきたいところですよ。
(DJ YANATAKE)コーディー・シェインとかね。
(渡辺志保)ああ、そうね。シカゴのね。
(DJ YANATAKE)とか、もうすごいかっこいい女の子。10代の若い子がもうたっくさんいるんで。今年またそれがボンボン出てきそうな感じ、するなっていうね。
(渡辺志保)うん。するする。あと、2018年はいよいよあのニッキー・ミナージュがデカいムーブを起こすんじゃないかな?って私は思っているので。いまのニッキーが何をラップするか?って、1周2周回ってすっげー興味あるし。で、(ビーフをしていた)レミー・マーティンもあんだけメジャーとの契約をディスってたのに、自分がメジャーディールをゲットしたっていう話もありますので、ちょっとそのへんの辻褄合わせを。レミー姐さん、お願いします! みたいなね。
(DJ YANATAKE)どうなっていく?っていうね。そこは引き続き、ウォッチしていくんですね。1曲さ、やっぱりでも、とはいえ年間ベストに本当、これも絶対に触れなくちゃいけなかったアーティストだし。日本の。素晴らしい活躍をしていた人がいたじゃないですか。
大活躍のAwich
(渡辺志保)そうですね。やっぱりAwichさんにはね、非常に私、元気づけられましたね。Awichさんのスピットするライムを聞いて。前回のベストの時も言いましたけども、マジで『WHORU?』の「マジお前誰?」とか。あとKojoeさんとAKANEさんとやっている『BoSS RuN DeM』の「ひとつやふたつのコンマなら結構!」ってPVでAwichが超怒ってスピットして。「働かされているお前はフーリガン」とか。
(DJ YANATAKE)アハハハハッ!
(渡辺志保)なんだろう? 私もやっぱりビヨンセとかリアーナとかが好きなのはそういう理由で。聞いていて元気になれるというか、自分と一緒に怒ってくれる。自分と一緒にタンカ切ってくれるみたいな女性のアーティストってなかなか日本のラップシーンにいなかった……まあ、いるよ。もちろんRUMIさんとかCOMA-CHIちゃんとかね、ポイントポイントでいるんだけど。久しぶりに「うわーっ、来た!」っていうのがあって。もう本当に、ライブを見ても一緒に超合唱しちゃうし。クラブでかかっても中指を立てながら「ってか、お前誰?」って言っちゃうし。本当にね、Awichさんには踊らされました。
(DJ YANATAKE)いや、僕ももうDJというDJでかけ倒させていただいて。本当にクラブでかかった日本語ラップでもトップなんじゃないですかね。Awichさんはね。
(渡辺志保)本当ね。で、ご本人もすごい芯があって美しい女性ですから。本当に……彼女も結構キャリアが長いけど、2018年はまたどんな風に活躍してくれるのか、めちゃめちゃ楽しみですね。
(DJ YANATAKE)そうですね。とりあえず去年はね、JP THE WAVYかAwichかっていう話はあったと思うんですけど。WAVYくんももちろん素晴らしかったし。日本初のバイラルヒットっていう感じで。
(渡辺志保)本当に、本当に。
(DJ YANATAKE)だけどAwichさんが続けてバンバンバンッとヒットを出せたのは本当にすごかったなという感じがしますね。
(渡辺志保)じゃあここで聞いていただきますかね。みなさんもクラブでもお家でも何度も聞いたことでしょうが。こちらもベストコラボレーションにも選びたかった曲なんですよね。聞いていただきたいと思います。Awich feat. YOUNG JUJUで『Remember』。
Awich feat. YOUNG JUJU『Remember』
(渡辺志保)いまお聞きいただいておりますのはAwich feat. YOUNG JUJU『Remember』でした。
(DJ YANATAKE)全然飽きないね。
(渡辺志保)全然飽きない。みんなもう2017年のまぶしかった夏の思い出を思い出しながらいま聞いていて。
(DJ YANATAKE)スティルホット。
(渡辺志保)いや、本当にホット。YOUNG JUJUくんもさ、この間ソニーからメジャーデビューしますというニュースもありましたし。本当にね、どういう風におJUJUさんも活躍してくれるのか、楽しみだなと思いますけどね。
2017年に活躍したプロデューサー
(DJ YANATAKE)で、実は上半期の方で。年間の方では作らなかったですけど、ベストプロデューサー。そこではいまのAwichをプロデュースしたChaki Zuluさんを『INSIDE OUT』的には選ばせてもらったんだけど。やっぱり年間を通してもChakiくんかな? 日本羽。
(渡辺志保)本当、そうですね。うんうん。
(DJ YANATAKE)あとね、Lil’諭吉かな?
(渡辺志保)ああ、そうね! 去年も本当に大活躍でしたね。ご自身のアルバムも含めて。
(DJ YANATAKE)もう本当にアルバムというアルバムに参加しているし。まあ、Cherryくん自身のアルバムも出ましたけどね。もうちょっと『INSIDE OUT』でもフォローアップできていればよかったんですが。プロデューサーとしてのLil’諭吉も素晴らしかったですね。
(渡辺志保)いやー、素晴らしかった。この間久しぶりにに代官山サルーンでCherry Brownさんのライブを拝見したんですけど、やっぱりCherryさんもさ、ずっとブレないじゃないですか。ほぼ10年ぐらい。本当にそれがすごいなと思って。で、続けてちゃんと自分のキャリアも更新していきながら、プロデューサーとしてもハスリンしていって。もう唯一無二だなっていう風に思った次第です。
(DJ YANATAKE)で、日本はその感じかなと思いますし。海外はどうですか?
(渡辺志保)海外はやっぱり今年ね、実際に数字にもなっていますけど、2017年にもっともアルバム単位でもシングル単位でも稼いだプロデューサーがメトロ・ブーミンなんですよね。「Metro Boomin want some more!」っていうあのね、サウンドタグを何回聞いたかわからないし。今日、ヤナタケさんは正月一発目の収録ですけどね、着てらっしゃるお召し物もメトロ・ブーミンへのオマージュを捧げたものになってますけども。
(DJ YANATAKE)『Without Warning』のロングTを着てますけどね。
(渡辺志保)やっぱりメトロ・ブーミンはなんて言うの? もちろん彼の根っこにあるのはアトランタのトラップサウンドだけど、メトロ・ブーミンとあともう1人、マイク・ウィル・メイド・イットもね、2017年は本当に活躍したヒップホッププロデューサーだと思うんだ。で、2人ともアトランタのトラップサウンドをバックボーンにしていまもずっとシーンでたくましくやっているけども。
マイク・ウィル・メイド・イットはそれでもやっぱりリアーナに曲を作ったり、ビヨンセに曲を作ったり。去年はケンドリック・ラマーの『Humble.』とかもあったし。ちょっとトラップにポップな味付けをするのがすごい上手いんですよ。マイク・ウィル・メイド・イットは。マイリー・サイラスともやるぐらいだから。
なんだけど、メトロ・ブーミンはそれに対して21サヴェージとかフューチャーとか、頑なにアトランタの半径30メートルぐらいのところで曲を作っているみたいなところが私はすっごいクールだなと思っていて。
(DJ YANATAKE)うんうん。
(渡辺志保)でも別に彼もさ、ドレイクとやったりもしているからそれだけじゃないんですけども。その真髄をずーっと大事にしながら。マイク・ウィルもそうだよ。でも、そういう真髄を大事にしながらアトランタのトラップサウンドを磨きに磨きに磨き上げてここまでやってきましたっていうのをすっごいメトロ・ブーミンのサウンドからは感じる。
(DJ YANATAKE)ビッグ・ショーンとのコラボアルバムも出たしね。その前にさ、いま話をした21サヴェージとオフセットとさ、コラボアルバム『Without Warning』も出して。どんだけ働いているんだよ?っていう。
(渡辺志保)本当にそうなの。私はアトランタが好きだからアトランタ贔屓になっちゃうんですけども。去年はゼイトーベンもすっごい復活イヤーだったと思います。これまでずっとグッチ・メインとやってきたゼイトーベンだけど、ミーゴスの新しいアルバムなんかにもフィーチャーされて。彼もミックステープをめちゃくちゃリリースしてましたし。そのゼイトーベンに乗っかってちょっと復活の兆しを見せているのが、OJ・ダ・ジュースマンっていうアトランタの……なんかおとぼけ役ではないんですけど、笑っちゃうような感じのOJ・ダ・ジュースマンなんかも彼の特徴的な「アイッ!」っていう声がシグネチャーなんですけども。それが随所でサンプリングされたりもしていますので。2000年ぐらいのアトランタのブームがまた来るのかなと思っているし。まあ引き続き私はアトランタに関してはすごく寛容な気持ちでおりますので。
(DJ YANATAKE)アハハハハッ!
(渡辺志保)はい。アトランタをどこまでも掘って掘って掘りまくっていきたいと思っていますね。
(DJ YANATAKE)志保さんがアトランタに行かれたの、いつでしたっけ?
(渡辺志保)最近行ったのは2017年の5月。ゴールデンウィーク。その前もゴールデンウィークに行って。2017年の時はフューチャーのツアーを見に行って。アトランタ公演。前座がヤング・ダラーズっていうフューチャーのレーベルに所属している若手と、あとはヤング・サグでした。
(DJ YANATAKE)間違いない!
(渡辺志保)いや、本当に最高だったー。アトランタ、本当にみんな、もっと行って! ニューヨークとかLAのようになかなか気軽に行ける感じじゃないのかもしれないですけど。でも直行便も飛んでますし。もちろん大きい都市ですから、公共交通機関も発達しているし。もういまはUber Everywhereだからね。Uberさえあればどこでも行けちゃうから。アトランタ、ぜひぜひいろんな方に行ってほしいななんて思いますし。行った際にはぜひぜひストリップクラブの1軒や2軒、行っていただきたいななんて思っていますけども。
(DJ YANATAKE)じゃあ、ベストソングにも選ぼうとしてた曲を聞いてみますかね。
(渡辺志保)そう。それで2017年の最後の放送で「2017年のベストソングはこれだ!」っつって、同じくアトランタのミーゴスとリル・ウージー・ヴァートの『Bad and Boujee』を選ばせていただいたんだけど、これも本当にblock.fmスタジオに向かうタクシーの中でヤナタケさんに「まだ悩んでるんですよね」って相談したぐらいギリギリまで悩んでいて。っていうのは、何と悩んだか?っていうと、やっぱりフューチャーの『Mask Off』と悩んだんですよ。
(DJ YANATAKE)アハハハハッ!
(渡辺志保)『Mask Off』もさ、やっぱりあのシグネチャーなフルートの音色ね。あれ以降、ヒップホップのシーンでもフルートブームがワッと来たと思うし。上手いなと思ったのは偶然なのかもしれないけど。冒頭に話をしたドレイクの『More Life』でもさ、フルートのネタ使いをして。もちろん『Mask Off』とは違うネタですよ。でも、フルートのネタを使った『Portland』っていう曲。クエヴォとトラビス・スコットをフィーチャリングした曲なんかも入っていたし。やっぱりね、『Mask Off』の威力は2017年の私の中では非常にデカかったし。しかもあの『Mask Off』の無駄に金のかかりすぎているビデオも最高だったし。あそこでフューチャーの相手役をしていたアンバー・ローズに関しても、2017年は21サヴェージとのアッチッッチ報道があったりして、イメチェンしたりもして。そういった意味でも注目だった。
(DJ YANATAKE)そうだよなー! いやいや、ばっちりなんですけども、いまちょっとずつ名前が出てくるとさ、ベストソングっていう意味では21サヴェージの『Bank Account』とかさ、フレンチ・モンタナの『Unforgettable』とかね。
(渡辺志保)ああ、そうね。『Unforgettable』、ありました。
(DJ YANATAKE)あとは1個だけ。ここまで名前が1個も出てない人がいるんですけど、それはじゃあ曲の後に。
(渡辺志保)ああ、わかりました(笑)。誰だろう? 怖い! 忘れていてごめんなさい。じゃあミーゴス『Bad and Boujee』と悩みに悩んで切り捨てたこの1曲、聞いてください。フューチャーで『Mask Off』。
Future『Mask Off』
(渡辺志保)「パコセッ、モリパコセッ!」というわけで、2017年のベストソングに漏れたこの1曲、フューチャーの『Mask Off』を聞いていただきました。
(DJ YANATAKE)いやいや、でもね、これを生で見れたっていうのはいい経験でしたね。
(渡辺志保)よかったし、この間、2017年の年末に来日したデザイナーを見に行ったわけよ。デザイナー、全然ラップしないんだけど、フューチャーはめっちゃ歌っていたの。本当に。彼こそ結構さ、当て振りっていうかさ、声ありのトラックでウロウロしているだけかなって思いがちなんですけど、やっぱりダンジョンファミリーの血を引くものですから、めっちゃしっかり歌っていたし、本当にもっともっとフューチャーのことが好きになった。
(DJ YANATAKE)なるほど(笑)。
(中略)
(DJ YANATAKE)で、ベストソングの話をずっといろいろしていましたけども。日本語ラップもね、さっきAwichとJP THE WAVYとっていうところで、上半期にSALUくんの『Life Style』をベストプロデューサーのところでかけさせてもらったけど。やっぱりSALUくんの『Life Style』も素晴らしい曲でしたね。
(渡辺志保)うんうん。
(DJ YANATAKE)そのへんも触れつつなんですが、1個、最後にごめんねオブ・ジ・イヤー。忘れててごめんねオブ・ジ・イヤー、名前が1回も出なかった。こんなに流行っていたのに……っていうことで、この人のこのインストから行ってみよう。……ポスト・マローン!(笑)。
(渡辺志保)フフフ(笑)。笑っちゃった! ヤバッ! 『Congratulations』なのにね! コングラッチュレーション、できなかった!
(DJ YANATAKE)俺、めちゃくちゃかけたけどね。『Congratulations』。これとね、『Life Style』を続けてかけていたんで思い出したんだよ(笑)。
(渡辺志保)なるほどね! たしかにポスト・マローンも……だって私、『White Iverson』で終わると思っていましたもん。ちょっと一発屋的なね。2年前ですかね。でも、2017年は結構活躍してましたね。
(DJ YANATAKE)もう逆に2017年のナンバーワンアーティストっていう人もいるんじゃないですか? 売れ方的には。
(渡辺志保)はい(笑)。うんうん。
(DJ YANATAKE)だって『rockstar』が出た時にはストリーミング記録、ドレイクのを塗り替えたりとかね。で、発売から51週間たったアルバムがR&B・ヒップホップチャートで1位になったんだっけ?
(渡辺志保)そうそうそう。急上昇してね。
(DJ YANATAKE)話題になったりとか。そしてニューアルバムが間もなく出るんじゃないかと噂されているので。ポスト・マローンのニューアルバムに期待をしながら、今年最初の回を終わっていこうかな。
(渡辺志保)いいですね。
(DJ YANATAKE)これでだいぶ網羅したんじゃないかな?っていう気がしますけどね。
(渡辺志保)アハハハハッ! 本当ですね。あれ、かけとらんやんけ!っていうのがあったらぜひ、苦情などなど受け付けておりますので。
(DJ YANATAKE)ひょっとしたら、いまはじめて『INSIDE OUT』を聞いた人、いるかもしれないけど。いまからかける『rockstar』はビルボードでも何週間も1位になっていたし、クラブでこんな地味な曲だけど、いまかけたらめちゃくちゃ盛り上がるから。
(渡辺志保)大合唱ですからね。
(DJ YANATAKE)クラブに来てない人とかびっくりすると思うんですけど。これ、本当に盛り上がるんで。今年も『rockstar』で盛り上がっていきましょうっていう感じですかね。
(渡辺志保)2018年、なにか期待することはありますか? ヤナタケさん的には。
(DJ YANATAKE)もっとね、日本語ラップでバチコーン!っていうヒットが。本当にもうびっくりするようなヒット曲が。ヒップホップのスタンスのままの人がちゃんと売れてほしいね。
(渡辺志保)うんうん。たしかに。それはそうね。私が望むのはただひとつだけ。カニエ・ウェストの新しいアルバムという感じで2018年も……。
(DJ YANATAKE)今年、誰が出るんだろうな?
(渡辺志保)でも本当にもう新しさ、楽しさをどんどん更新しているじゃないですか。ヒップホップって。
(DJ YANATAKE)もうダントツで面白いよ。ヒップホップが。
(渡辺志保)そうそう。だから本当にその勢いが止まらぬまま、我々も負けずにディグっていくしかないという感じでしょうか。
(DJ YANATAKE)AKLOさんも出るかな?
(渡辺志保)そうですね。AKLOさんも楽しみにしています!
(DJ YANATAKE)じゃあ、今年もみなさん、よろしくお願いします。忘れていたわけじゃないけど、ごめんねオブ・ジ・イヤーということで、ポスト・マローン feat. 21サヴェージの『rockstar』を聞きながらお別れです。
(渡辺志保)ありがとうございました。See You!
Post Malone『rockstar ft. 21 Savage』
<書き起こしおわり>