渡辺志保『隔たる世界の2人』を語る

渡辺志保『隔たる世界の2人』を語る MUSIC GARAGE:ROOM 101

渡辺志保さんが2021年4月23日放送のbayfm『MUSIC GARAGE:ROOM 101』の中でNetflixの短編映画『隔たる世界の2人』を紹介していました。

(渡辺志保)では、ここで私からもう1曲、お届けしたいと思います。もうすぐ、アカデミー賞が開催されるということで。Netflixで見ることができるノミネート作品をできるだけ、ちまちまちまちまと見ているわけなんですけども。ひとつ、この作品はどこで見れるんだろう?って思ってネット上を探していたノミネート作品があって。それが4月上旬にめでたく、Netflix上で公開になったんですね。なんという映画かというと、『Two Distant Strangers』という原題で日本語タイトルは『隔たる世界の2人』という作品です。

で、これは約30分のショートフィルムなんですが、アカデミー賞の最優秀短編映画賞にノミネートされている作品です。で、なぜ私がこの作品を非常に見たかったかというと、主演がラッパーのジョーイ・バッドアスなんですよね。で、ジョーイ・バッドアスはこれまでにも『MR. ROBOT/ミスター・ロボット』とか、いろいろなドラマに出演していたり。ラッパーのみならず、俳優としての活動もしていたわけなんですが。

まず、この『隔たる世界の2人』がジョーイ・バッドアスにとってはじめてのオスカーノミネート作品になったということです。で、かつ、テーマが本当にこの番組でも再三、取り上げてきておりますBlack Lives Matterというスローガンのもとに高まりを見せている人種問題を取り扱った映画ということです。一応、Netflixの説明文には「タイムループに閉じ込められた男が、愛犬が待つ自宅に戻る途中で、警官ともめて殺される恐怖を何度も繰り返す」という、すごくこれだけだと「なんのこっちゃ?」っていうような感じもしなくはないんですが。

でも本当にこの通りで、タイムループ物なんですけども。何度も何度も、いろんなありとあらゆる方法で警官に殺されるという夢をジョーイ・バッドアスが見るんですよね。それで2人……白人の男性警官とジョーイ・バッドアスが対話をするシーンなんかもあるんですけども、最後は本当に全然ハッピーエンドじゃないっていうことだけをとりあえずお伝えしておきます。で、本当に昨年起きたジョージ・フロイドさんの事件であるとか、ブリオナ・テイラーさんの事件であるとか、そういったことをそのまま、作品の中にも反映しているという感じで。何度も何度も殺されてしまうんですけども。

作品の中でジョーイ・バッドアスもすごく怪訝そうに、死への恐怖。殺されてしまうかもしれない恐怖というものを抱えながら、ストリートを歩いていくんですけども。でも、これって本当にまさしくアメリカで暮らす黒人……特に黒人男性が抱えている恐怖そのものなのかなっていう風にも思いましたし。短い作品ですけど、その分インパクトがすごく強い作品でした。ぜひ、Netflixで見ることができますので、皆さんにも見てほしいなと思います。

『隔たる世界の2人』

(渡辺志保)そして、引き続きという言い方も変ですが。本当に2021年になっても警官が市民……特にマイノリティである黒人男性を撃ち殺してしまうというニュースが絶えないですよね。先日もドンテ・ライトさんという20歳の方ですよ。4月17日の午後に彼がナンバープレートの期限切れを理由に停車させられて。その後、白人警官がその彼に対して、銃とテーザー銃を間違えて発砲し、ドンテ・ライトさんは20歳という若さでその場で命を奪われてしまったということもありました。

3月の下旬にはイリノイ州シカゴにおいて、13歳のアダム・トレドさんが警察官に撃たれて死亡するという事件もありました。この際も「警察側は彼が銃を持っていたから発砲した」という風に言っていたんですが、その後公開された動画では、当たり前だけどもこのアダム・トレドさんは銃を持っていなくて。しかも両手を上げて「抵抗しません」という意思を表明していたんですよね。それにもかかわらず、発砲されてしまったという。まだ13歳の若さだったということで、もう本当に一体どうなっているんだろう?って思ってしまいますよね。

というわけで、この『Two Distant Strangers(隔たる世界の2人)』にちなんだ1曲を聞いていただきたいと思います。ジョーイ・バッドアスで『Land of the Free』。

Joey Bada$$『Land of the Free』

<書き起こしおわり>

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