(山本匠晃)ついにこの時がやってきました。宇多丸さんのシネマランキング、ベスト3の発表。お願いします!
(宇多丸)まあ、もったいぶるものじゃないんですけどね。あくまで私のベスト3ということで、行きたいと思います。しかもムービーウォッチメンで扱った50本の中からですからね。
第3位、『逆転のトライアングル』。
第2位、『aftersun/アフターサン』。
そして第1位、『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』。
(山本匠晃)おおおーっ!
(宇多丸)まあ私、スコセッシ好きすぎるんでね。こうなってしまいますけどね。
(山本匠晃)なるほど!
(宇多丸)ということで時間が許す限り……というか、あんまり時間ないんでね、サクサクと行きますね。
第3位、『逆転のトライアングル』
(宇多丸)第3位、『逆転のトライアングル』。先ほどね、リューベン・オストルンド監督最新作……彼の作品の中では一番エンタメ度が高くて。ダークコメディとしてめちゃくちゃ笑えるし。そのパワーバランスの変化も見どころ満点で。なんだけど、僕はなんていうかな? 各登場人物……もちろん、意地悪なんですよ。すごく意地悪な映画なんだけど、でもちゃんと人間的っていうか。どんな変な人とか、醜いような行動をする人でも、ちゃんとそこには人間的動機とか、人間的葛藤もちゃんとあって。
人生が、要するにここまで何とか生きてきた人だっていうことがちゃんと伝わってくる。それを本当に集約しているのがラスト数十秒だと思っていて。あそこの葛藤。逃げるところじゃなくて、あの彼が、彼女が後ろに迫って。自分はどうするのか?って選択する。あそこの、これが……でも、欲望を取ってしまうのか? どうするのかわからないけど、とにかくこれが人間だっていうか。そして今、後ろ流れているこの音楽使いとか。これも選曲ですね。最高でございましたね。単純に今年見た映画の中で「面白さ」っていう意味ではぶっちぎりに面白かった。見てる間中、もうめちゃくちゃ面白かった! 本当に面白かった!

第2位、『aftersun/アフターサン』
(宇多丸)第2位、『aftersun/アフターサン』です。これも映画評の中で全て言ってるんで、ちょっとぜひ時評の書き起こしなんかを見たり。あるいは音声を聞いてくださいって感じがしますけども。記憶の再構築という……「それって、映画じゃん」っていう風に私、思います。映画というのは見終わった後、思い返して、頭の中で再構築されたものが「映画を見た」という体験ですよね。それと、その個人的な子供の時に旅したあの旅の時のお父さんの気持ちって本当にはどうだったのかというのを多層的な視点で浮かび上がらせるということで。
また、あのお父さんの背中とかね。その時、子供の時は意識していない。自分は寝てるから。でも、その時にきっとお父さんがそうだったであろう背中とか。あとはたとえば、そうですね。誕生日、お父さんにみんないい人って、みんなで一緒に歌ってもらったとこrpでお父さんが「俺、そんな人間じゃないよ」っていう風に思っているのか、浴室で1人で泣いてるところがオーバーラップしたりとか。大人になってわかる、その彼の葛藤。それと現在の大人になった自分っていうのが、あのダンス動画で交錯する。さっき言った、その『Under Pressure』使いのところ。からの、現在の自分。現在の自分は今、こういうある意味、家族を作っている。からの、カメラがパンしていくと、あの時のお父さんの気持ちっていうか。
で、彼がね、奥に去っていくんですよね。ドアを開くと……そういうことかっていう。その、ドアの向こうから一瞬見える、その光の様子で全てを悟らせるっていう。すごいと思いますねこれね。これね。あのね、最近見返したんだけど。見返せば見返すほどこれ、すげえ作品だと思いました。『aftersun/アフターサン』。これ、何気なく見えるかもしれないけど……映画評、聞いてくださいね? テレビと、鏡と、本が置いてあるこのショットの計算され尽くした巧さであるとか。

第1位、『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』
(宇多丸)ああ、時間がない。第1位、『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』。この番組でこすり倒した一作です。めっちゃ面白くて、めっちゃ深くて、そして巨匠のキャリアを更新。文句なしの1位です!
(山本匠晃)ありがとうございます!


今年もアフター6ジャンクション2、
お聞きいただきありがとうございました!来年は、1月1日から生放送します!!
みなさん良いお年を!!#utamaru #tbsradio #TBSラジオ pic.twitter.com/ZWVk8rPANJ
— アフター6ジャンクション2(聴くカルチャー番組) (@after6junction) December 28, 2023
<書き起こしおわり>








