宇多丸が選ぶ 2019年映画ベスト10

宇多丸が選ぶ 2019年映画ベスト10 アフター6ジャンクション

宇多丸さんがTBSラジオ『アフター6ジャンクション』の映画評コーナーで2019年に扱った44本の映画の中からベスト10本を選び、そのランキングを発表していました。

(宇多丸)今夜は特別企画、ライムスター宇多丸のシネマランキング2019をお送りいたします。

(篠原梨菜)さあ、ここからはいよいよ宇多丸さんのシネマランキングを発表していただきます。

(宇多丸)うわあ……か、確定していいのか……?

(篠原梨菜)フフフ、お願いします。まずは10位から4位まで一気にお願いします!

(宇多丸)行きますよ!

第10位、『岬の兄妹』!
第9位、『蜜蜂と遠雷』!
第8位、『よこがお』!
第7位、『ジョーカー』!
第6位、『CLIMAX クライマックス』!
第5位、『ROMA/ローマ』!
第4位、『ブラック・クランズマン』!

あくまで暫定的なものであるという。往生際が悪いというね。ということでございます(笑)。

(篠原梨菜)はい(笑)。

(宇多丸)やだなー。もちろんね、この下のね、以下20位ぐらいまでずっと選んであって。もうはっきり言って15位とかから上はもう全部1位みたいなもんなんでね。で、場合によって変わってくるというね。だから10位に入らなかったらこうだとか、そういうことじゃないんですか。まあ、今の気分的にちょっとこんな感じであるということで選ばせていただきました。では1個ずつ行きましょうか。

(篠原梨菜)はい、お願いします。

第10位『岬の兄妹』

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(宇多丸)第10位、『岬の兄妹』。これは日本の完全に自主制作インディペンデント映画でございまして。片山慎三さんという、ポン・ジュノさんとかいろんなとこで助監督をずっとされていた方が撮られた作品で。まあ本当に自主制作でコツコツ撮られて。でも、まあ要するに非常に低予算なんですけど、まずそれだけにすごくご自分のペースでずっと撮られいるというか。ある港町というか岬が舞台になっていて。その季節の移り変わりみたいなのがすごいじっくり、ちゃんと撮られてて。

ある意味すごく低予算だし、描かれてるのは何て言うか、日本の本当に貧しい兄妹。しかも2人とも障害を背負っていて……という感じで。非常に、もちろん「悲惨」という言い方もできるような。しかもそれで、さらにちょっとこの兄妹がどんどんどんどん良からぬ方向に。まあ、それぞれに思いは抱えてるんだけど、全く正しいとは言えない方向にどんどん進んでいってしまうんだけど、なんかね、映画全体はすごく豊かなんですよね。

あとそのワンシーン、ワンシーンとかにやっぱりその片山さんの演出のちょっとした工夫とか画づくりであるとか、もちろんこの主役の2人の演技が本当に素晴らしくてという。映画としては本来の意味での豊かさを感じるっていう。たとえばね、その四季の移り変わりをじっくり撮るとかっていう。それってすごく贅沢なことだったりするじゃないですか。

(篠原梨菜)はい。

(宇多丸)そしてやっぱりですね、非常にある種露悪的と取られかねないような題材の扱い方なんです。特に、性描写みたいなのは相当えげつなかったりするんですけど。あとはまあ貧困描写とか。なんだけど、なんかこうスコンと抜けがいいところもあったり。もうめちゃめちゃ笑っちゃうところは笑っちゃうし。あとその画面構成とかで、たとえば主人公たちに着せている服の色合いのバランスとかを相当、片山さんは考えられてると思うんだけど。

それでなんか画面に一定の明るさを担保していたり。あとは忘れられない名ゼリフの数々ですね。後ほどね、今年のシネマ流行語に入ってくるかどうか。シネマ流行語じゃなくても僕、あれとか好きですね。おじいさんのところで妹さんが、要するに売春をしているわけですけども。そのおじいさんのところに行って、服を脱がす時に仏壇を見つけて。「ダメダメ、そこは変な匂いがするから……」とか。おじいさんの服を脱がしていて「着すぎ!」っていうね。それとかもすごい面白かったですね。

非常に……僕はね、基本的に毎年ベストを選ぶ時、迷った時に最後の基準になるもの。上位に来るものはやっぱ忘れがたいっていうか。「その後も結構思い出しちゃってるな、俺」みたいな。そういうものを選んでいます。『岬の兄妹』、忘れがたい1本でございました。

(篠原梨菜)はい。

第9位『蜜蜂と遠雷』

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(宇多丸)はい、9位。『蜜蜂と遠雷』。こちら、ありがとうございます。これはリスナーランキングだと4位になっている。こちらも原作が小説で。しかもそのすごく、映画化するのが難しいお話じゃないですか。

(篠原梨菜)そうですね。題材が。

(宇多丸)小説だと、要するに「天才的な演奏」みたいなのを非常に文学的な表現でやって。それを我々の頭の中で想像ができるからいいけど、それをその具象として見せなきゃいけないというのはなかなかなハードルじゃないですか。それを、やっぱりまずはその音楽ファーストという作りで本当に一流のピアニストを。しかも、それぞれのキャラクターのキャラクター性に合わせたピアニストの皆さんを呼んできて。で、一流どころを揃えて。

たとえばオリジナル曲だったら1から作曲して。で、その原作に書かれている描写通りのその演奏のスタイルみたいな。カデンツァって呼ばれる即興の部分はそういう風にやってっていう。そういう、まずこの題材に対して日本のメジャー映画として異例なほど、ちゃんと誠実に手を掛けてるっていうか、手を抜いていない感じっていうのに僕はものすごくやっぱり感銘を受けましたし。で、やっぱりその演奏の見せ方とか、監督は『愚行録』で非常に注目を浴びました石川慶さん。

ポーランドのウッチ映画大学という名門で学ばれた方なんですけども。やっぱりちょっと日本人離れした画面構成だったり演出の見せ方だったりとかも含めて、すごく垢抜けてるし。で、やっぱりね、音楽映画多しといえども、本当にこの音楽の価値だけの話をしている映画って珍しいと思うんですよ。それ以外の話ってしてないじゃないですか。

(篠原梨菜)してないですよね。

(宇多丸)それ以外の、音楽の関わり以外の人間関係は一切描かれない。それって珍しいと思うんですよね。だから純音楽映画っていう意味でも非常に特異な位置にあって。それこそ素晴らしい挑戦をされてるし、達成されているということで。あと脇の皆さんも本当に素晴らしかった。斉藤由貴さんが素晴らしい! とかね、本当そのへん諸々も含めてね、今年ちょっとそのメジャーな日本映画の底力っていうところで……インディー映画はね、割と好意的に取り上げがちですけど。いやいや、なかなかどうして。こんな作品もありますよということで、『蜜蜂と遠雷』を9位に挙げさせていただきました。

第8位『よこがお』

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(宇多丸)そして第8位。こちらまたインディー作品です。『よこがお』。深田晃司さんというですね、これはもう本当に日本以上に世界的に……特にフランスなどでね、高く評価されている映画作家さんでございまして。その方が筒井真理子さんという格好の、いろんな作品でバイプレーヤー的にね活躍されている女優さんですけども。その筒井さんという女優を素材にして広げた、女性が主人公の社会派ノワールというか。といったあたりで、まあもう、映画評の中でも詳しく言いましたけど、とにかくオープニングからもう全てのワンカット、ワンカットで息が抜けない、張り詰めた演出力と言いましょうか。もう全てにもう行き届いてるというかね。本当に世界レベルとはこのことというような。深田晃司さん、さすがだなと思い知らされた一作でございました。

(篠原梨菜)はい。

第7位『ジョーカー』

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(宇多丸)第7位、『ジョーカー』。まあ、これはもう今さら言うまでもなくですね。もう皆さん、ご多分に漏れず私もやられてしまいましたというね、ところで。まあ多様な読みを可能にするという部分。僕は結構ね、その虚構と現実の境目。要するにどこまでが彼の妄想とか、どこまでが彼の言ってることなのか?っていうところで結構その範囲を広めにとって解釈してたりするんですけど。とか、解釈がいろいろあって、それも面白いし。あとやっぱりあの舞台となっているね、80年代初頭ニューヨーク……「僕はだいたい70年代後半から80年代初頭の治安が悪いニューヨークが映っている映画が大好物です。それだけでプラス1億点です!」って言ってましたけど、まさかこの2019年にそれの最新版を見れるとはというところもありますし。

(篠原梨菜)はい。

(宇多丸)あと、やっぱりラストの一言の切れ味ですね。あそこでいろんなその全ての読みとか、いろんなこっちの勝手な思い入れをバサーッと切るところが「おおっ! That’s Joker!」っていう感じでよかったなと思いますね。はい。大好きな映画です。

第6位『CLIMAX クライマックス』

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(宇多丸)そして第6位。このあたりがたぶんね、皆さん読めなかったあたりかなと思いますけどね。『CLIMAX クライマックス』。まあ『アレックス』とかのギャスパー・ノエさんですね。ギャスパー・ノエがその前作の『LOVE 3D』は……まあだいたい毎回似たようなモチーフとかいろんな、要はすごく露悪的な、それこそ本当に露悪的と見られがちな監督なんですけど。あの今回は前回のその『LOVE 3D』が割と若干、意外としんみりした話だったんですけど。非常に過激な描写とかで知られる人なんだけど、今回はもうアッパーに振り切っていて。

何かね、クライマックスのことを思い出すと、何か楽しくなってくるんですよね。で、「あの地獄のパーティーにまた行きてえな! あの打ち上げ、最悪だったけどまた行きてえな!」みたいなね(笑)。あと、今ね、後で流れているこのセローンの『Supernature』が流れて。あのダンスを思い出すともう、やっぱり乗ってきちゃうんだよな!

あと、やっぱりそれこそ他の誰もが撮らない、撮れないタイプの作品だし。あと普通にやっぱりおもろいし、笑えるし、ひでえし(笑)。僕のその映画を見る時の「やっぱり映画っていいな!」っていうのは、「俺はこんな目に絶対にあいたくない」っていうね(笑)。そういう目が見れるっていうね。俺は嫌だっていうね(笑)。はい、『CLIMAX クライマックス』でございました。

(篠原梨菜)フフフ(笑)。

第5位『ROMA/ローマ』

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第5位、『ROMA/ローマ』。アルフォンソ・キュアロンがね、『ゼロ・グラビティ(原題:Gravity)』から久々に撮った作品がね、半分自伝的な作品というか。そしてNetflix作品で、白黒で。何て言うのかな? 昔ながらのそのヨーロッパ映画の系譜みたいな風格もありながらも、と同時にでもたとえばALEXAで撮ったその映像のデジタル映像ならではの隅々までのクリアさであるとか。そのNetflixが最終的な配給になったのというのは、今これがそのNetflixでしかやれないってことはひとつの問題なのかもしれないけど。

これこそ本当は映画館でじっくり見るべき映画でもあるかもしれないと同時に、でもやっぱりそれが誰でも見やすい環境に置かれるってことの……まあ、マイナス面もあるんだろうけど、今の映画のあり方のひとつの提案というところも含めて、僕はやっぱりもうその作品の質は言わずもがなと言うか。もう文句なしですね。これもやっぱり、じっくりじっとり見る映画のように見えて、もう一場面一場面にやっぱり工夫が凝らされてて。やっぱり笑っちゃうし。そしてもう忘れ難い場面の数々っていうのもいっぱいあるし。

(篠原梨菜)うんうん。

(宇多丸)あと普通に勉強にもなりました。メキシコの歴史の勉強になりましたしね。といったあたりで、詳しく私も評なんかも見ていただければと思います。ああ、「これぞ映画だ!」というひとつのあれとして、これは『アイリッシュマン』とかもそうなんですけど。たとえばセリフとか物語的な展開じゃなくてオープニングショットと終わりがちゃんと対になってるという。これってテレビドラマシリーズでたとえ同じ話を描いていても、第一話のちょっとしたそんなセリフじゃないところと……たとえば「ドアが半開き」とかさ、「水に映った何かが」とか、そんなところまで覚えてないわけですよ。

でも映画3時間とかだったら「ああ、最初のあれだ!」って思うわけでしょう? だからやっぱりこれは映画的な作劇であり、演出であり、作品なんだっていう風につくづく思うような作りでもありましたっていうことですね。『ROMA/ローマ』。

第4位『ブラック・クランズマン』

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(宇多丸)そして第4位、『ブラック・クランズマン』。最高の映画である! 最高の映画である。これ、ご覧なられました?

(篠原梨菜)見たいと思ってて、まだ見れてないんですよ。

(宇多丸)スパイク・リーさんという人はもちろん80年代からずっと、アフリカ系アメリカ人はならではのというかな? 非常には政治的なステートメントを込めた作品をずっと作ってきましたけど、しばらくまとまったちゃんとした長編映画を撮れてなかったんですね。なのでまあ、カムバック作と言っていいと思うんだけど。配信物っていうか、アマゾンプライムオリジナルとかはあったんだけど、いわゆる劇場用の本格的長編映画は久しぶりで。

で、なおかつこの久々の特大ホームランというか。僕、スパイク・リーのキャリアの中でも『ドゥ・ザ・ライト・シング』『マルコムX』と並ぶ傑作が生まれてしまったと。しかも、そしてやっぱりここにもアダム・ドライバーがしっかり絡んできますしね。これにノア・バームバックの『マリッジ・ストーリー』なんかとかもいろいろ入れたら、もう「あいつ、すげえな!」っていうことになりますけどね。『ブラック・クランズマン』はやっぱり、映画史的にその……たとえば『國民の創生』という、映画史的に非常に大問題な歴史的名作があって。

それに対してやっぱり映画という文法も込みで答えて見せるあたりがすげえかっけー!って思いましたし。あとやっぱりその『國民の創生』が現実っていうのを悪い方向に変えてしまったとしたら、現実という方向にちゃんと働きかけて終わるだという、そこも僕はスパイク・リーらしい矜持であるとか。作品のバランスを崩してでもこれはやらなきゃいけないことがあるっていう。

(篠原梨菜)うんうん。

(宇多丸)あと、今ここではこんな渋い音楽が流れているけど、途中でやっぱり忘れがたいのはですね。あのKKKの連中が射撃の練習をしている。で、その射撃の練習していた的を主人公が見て愕然とする。そして観客がそれを見る。それでもう、本当に怒りと悲しみが湧いてくるという。セリフじゃないんですよ。しかもバックストーリーとして、その的は小道具ではなくて今、通販で買ったものだという、恐ろしいオチがついた作品でもありますね。

といったあたりで第4位まで私の順位を発表してまいりました。でもね、他にもいろいろね、いい映画があったみたいなね。あともちろんこれ、44作品。私がたまたまガチャで当たったやつをやってるだけなんで。たとえば『スパイダーバース』とかは当たってないですしね。とか、そういう「あれが入ってない」「これが入っていない」っていうのはあるんでね。そんなことは承知の上で、暫定的な……あなた、なんですか? 絶対的な1位みたいなものがあるとでお思いなんですか?

(篠原梨菜)フフフ(笑)。

(宇多丸)まあ、いいんですよ。これは私の若干のうしろめたさに対して……自分に対するうしろめたさの表現ってことになっております(笑)。

(中略)

(篠原梨菜)さあここから、いよいよトップ3ですけども。準備は大丈夫ですか?(笑)。

(宇多丸)フフフ、シネマランキングの恒例なんですけども。この「コメカミ」さんからいただいたパネルがあるじゃないですか。で、これが一応入れ替えができるんですよ。結構、ギリになるまで……しかも重要順位を結構変えたりとか(笑)。

(篠原梨菜)フフフ、ちょっと今ね、ありましたね(笑)。

(宇多丸)そうなですよ! ということで、行っちゃおう! 私が週刊映画時評ムービーウォッチメンで評論した映画全44本のうち、栄えある1位は一体何なのか? 私の現在の暫定的なベストございます。発表いたします!

第3位、『バーニング 劇場版』!
第2位、『アベンジャーズ/エンドゲーム』!
第1位、『アイリッシュマン』!

やったー!

(篠原梨菜)おおおーっ! おめでとうございます!

(宇多丸)ねえ、すいませんね。シノリナさんね。おじさんが全く「知るか! 知らんがな!」っていう理由で前で悶え苦しんでいてね(笑)。

(篠原梨菜)ものすごく心の揺れ、動きを感じました(笑)。

上位10位に漏れた次点の作品たち

(宇多丸)はい。ということで上位3位を発表させていただきました。まず、上位3位に行く前に、その10位に漏れてしまった下のもう10個ぐらい、次点として挙げていて。僕、これはね、ある意味順不同で。どれが10位に入ってもおかしくないぐらい。ちょっとそれも順不同ですけども、挙げさせていただきます。まず、『アリー/スター誕生』。今年、最初に扱ったんですけども。

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(篠原梨菜)はい。よかったですね。

(宇多丸)素晴らしい作品でした。あとは『メランコリック』。本当に素晴らしかった。

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(宇多丸)『凪待ち』、素晴らしかった!

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(宇多丸)『ファースト・マン』、これデイミアン・チャゼルの中でも僕、すごい好きです。

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(宇多丸)そしてアニメーション作品『海獣の子供』。これはね、もっと全然上でもいいんです。本当は! 『海獣の子供』、最高ですよ!

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(宇多丸)そしてね、これは賛否が分かれるところかもしれませんが私、『トイ・ストーリー4』は大好きです。

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(宇多丸)そして、ジョーダン・ピールの『アス』。僕、これすごい好きなんですよね。忘れがたい。やっぱり。

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(宇多丸)そして、これをやったのは最近ですけども。『殺さない彼と死なない彼女』。これも全然、もうベスト級に好きです。素晴らしい作品でした。なめてました!

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(宇多丸)そして黒沢清さんの『旅のおわり世界のはじまり』。ベスト残酷シーンに挙げさせていただきましたけどね。本当にあの遊具のシーンはひどいことになってると思います。

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(宇多丸)そして、インド映画『ガリーボーイ』。まあちょっと言いたいことがある場面もなくはないだけど、やっぱりあの彼が特にあの観光客が来て。ナズのTシャツのくだりとか。あと駐車場で待ちながら「俺らの時代が来るんだ!」って歌詞を書き始めるところとか、思い出すだけで涙ぐんできちゃうぐらい大好きな作品でございます。

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(宇多丸)さあ、ということで上の上位3位の話をさせていただきたいと思います。でもね、この3者は……というか、上位の5位ぐらい、要するに『ROMA/ローマ』から上はこれだ!っていう感じだったんですね。特に今、何で悩んでたかと言うと、要するに『バーニング』と『アベンジャーズ』の順番なんですね。『アイリッシュマン』はとにかく、まあすいません。1位です! というのは、すいません。こういう映画が好きで映画を見てるんで。

(篠原梨菜)うん。

第1位:『アイリッシュマン』

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(宇多丸)この人たちが作るこういう映画が好きで映画を見てるし、その人たちがドンズバのやつを作ってきたんで、それは1位しかないですわ!っていう。僕にとって本当にドンズバなところだったので『アイリッシュマン』を1位にさせていただきました。まあ評をしたばかりなのでぜひ評の書き起こしなんかも残ってますから見てください。で、その『アイリッシュマン』がNetflixの配給という形にはなりましたが、でもある意味昔ながらのすごく映画人たちが作った映画らしい映画。

でも同時にNetflixでとか、そのデジタル技術とか、今じゃなきゃ作れない映画であるという部分と、あとはそのスコセッシの発言とかでいろいろ物議を醸しましたけど。MCU、特にやっぱり『エンドゲーム』に……これね、ちなみに『エンドゲーム』がこの位置ですけど、『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』もここに入ってます!

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(宇多丸)だから全然……『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』は2位です。

(篠原梨菜)ああ、「含まれている」っていうことか。

(宇多丸)そうなんです。だってさ、じゃあさ、『エンドゲーム』って単体で成り立っている作品なんですか? だから『エンドゲーム』はこれは、違うんですよ。要はこれは『ファー・フロム・ホーム』も2位なんですよ。要は『エンドゲーム』と『アイリッシュマン』の間っていうか。わかります? 二大今の映画のあり方というか。で、どっちもすごい好きなんだけど……っていう。その間なんです。なのでやっぱこの順位が象徴的かなということでワンツーフィニッシュにさせていただいたんですね。

第3位:『バーニング 劇場版』

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でもさ、このイ・チャンドンさんのこの『バーニング』にこれ、『劇場版』で付いてるのも元々はNHKの出資で作ったテレビ放映用に作られた作品という意味では、これもやっぱりそうだったりするわけです。村上春樹さん原作で。で、まあとにかくイ・チャンドンさんは毎回素晴らしいですけど今回もね……特にやっぱり『劇場版』は特に途中でヘミさんっていう女性が姿を消す前のあのマイルス・デイヴィス『死刑台のエレベーター』の旋律に乗せて夕日の中、踊るところ。

ダンスのシーンのこの世のものとも思えない美しさと、その後のあのベンがやおら「僕は、ビニールハウスを焼く趣味があるんですよ」っていうあそこからの……あと、あいつのあくびしてからの愛想笑いとか、忘れがたいなというのもあって。これも本当に素晴らしい第一級の映画でございましたが。

第2位:『アベンジャーズ/エンドゲーム』

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とにかく今年は僕にとっては『アイリッシュマン』と『エンドゲーム』の間というか。しかもその『エンドゲーム』の後にその『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』が来るという、このMCUの周到さ。僕はだからその『エンドゲーム』だけだったらひょっとしたらここまでなってないかもしれないぐらいなんだけど、この後に『ファー・フロム・ホーム』でフェイズが1個終わるっていう。スマート!っていう。憎すぎますよね。

という感じで、だから2位は『エンドゲーム』と『ファー・フロム・ホーム』がセットだというかね。まあMCUのすごみだというあたりだと思っていて。あと今年はね、ガチャは当たりませんでしたけど、『キャプテン・マーベル』とかもありましたしね。とにかくMCUの底力というか。でも同時に、ガチャも当たらなかったけどもDCの『シャザム!』も最高でした。とかね、いろいろとあるんですよ。いろいろとあるんすわ、それは。いろいろとないんですか、皆さんは?

(篠原梨菜)フフフ(笑)。

(宇多丸)いろいろとないんですか?(笑)。いろいろと思うところは……(笑)。篠原さん、さぞかし面倒くさいジジイだなとお思いかもしれませんが(笑)。

(篠原梨菜)いえいえ(笑)。

(宇多丸)でも、好きなものにキャッキャと言っているということで。ということで、今年の1位は『アイリッシュマン』とさせていただきました。皆さん、ありがとうございます。まあ、ここに挙がっていない他の44作品も全て書き起こしとか、あとはラジオクラウドの音声とかでも今でも聞けますし。書き起こしの方にはね、言い足りてないことの補足とか、訂正とかもちろんしていますし、ということで。ぜひちょっともう1回見直す時とかの参考にしていただきたいです。

宇多丸 2019年映画評論リスト

はい。そんな感じです。『大脱出2・3』だって十分楽しかったし、最高です!最高でーす! 最高でーす!(笑)。

<書き起こしおわり>

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