DJ YANATAKEと渡辺志保 2016年上半期HIP HOPベスト大賞

DJ YANATAKEと渡辺志保 2016年上半期HIP HOPベスト大賞 INSIDE OUT

DJ YANATAKEさんと渡辺志保さんがblock.fm『INSIDE OUT』の中で2016年上半期のヒップホップシーンを振り返り。9つの部門を作り、ベストな作品やアーティストを選出し紹介してました。

(渡辺志保)今週はDJ YANATAKEと渡辺志保が選ぶ2016年So Farベスト!

(DJ YANATAKE)イエーイ!(拍手)。

(渡辺志保)というわけで、慎ましやかにお届けしたいと思うんですけども。「So Far」というのは「いまんとこ」っていうことですね。なので2016年上半期。半年終わりましたけども、いまんとこのベストはこれだろ!っていうのをお互いがカードを見せ合いながら……こう、にじり寄りながらですね。

(DJ YANATAKE)好き勝手に。

(渡辺志保)好き勝手に、超独断と偏見で選ぶ2016年上半期ベストというわけでお届けしたいと思います。

(中略)

(渡辺志保)じゃあさっそく、ちょいちょい我々の出しあったベスト楽曲を出していきましょうか。まず最初に発表したいのは、2016年のザ・ベストアルバムSo Far! というわけで、私が選んだ2016年上半期ベストアルバムは、カニエ・ウェスト(Kanye West)の『The Life of Pablo』!

(DJ YANATAKE)これはもう、しょうがないでしょう(笑)。

(渡辺志保)しょうがない(笑)。もう、言わせて。選ばせて! みたいな。あのね、これはもうアルバムが出るまでもすごくドキドキして楽しませてくれたし、もちろんアルバムが出た瞬間は、まあすぐには日本では聞けなかったからすごくやきもきしましたし。で、もちろんアルバム本編も全て楽しませていただきましたよと。で、またその後にカニエがバカだから(笑)。カニエ、バカだから「1曲、増やしました」とか、「別バージョンに差し替えました」みたいなのがあって。なんだろう? 生きるアルバムみたいな。

(DJ YANATAKE)本当だよね!

(渡辺志保)まあ、アプリみたいなもんですよね。随時アップデートを図りながら、そのたびにみんながより聞きやすい……聞きやすくなっているのかわかんないですけど。その進化を楽しむアルバムということで。これ自体を、たとえばカニエ・ウェストが提唱する新しいアートフォームとして享受すべきなのか、それとも、いやいやちゃんともっとわかりやすく1枚でボン! と出してくださいよ。なんなら世界中で一斉に買えるようにリリースしてくださいよ、カニエさん!ってね、いうのか。本当に賛否両論わかれるアルバムだとおもうんですけども。やっぱりね、そのカニエのクレイジーさ。私も彼のキャリアは1ファンとしてずっと追いかけてはいますけど、2016年のカニエがいちばん狂っているから。マジで。『Famous』のビデオとかも、一連のTwitterでのやらかし具合なんかも。

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(DJ YANATAKE)(笑)

(渡辺志保)だからそれをね、象徴する本当に素晴らしい作品がこの『The Life of Pablo』ということでね。まあ2015年の暮れには息子のセイント(Saint)くんが生まれまして。ことあるごとにセイントと。新しいツアーの名前もツアー名の冠にセイントがついてます(SAINT PABLO TOUR)けども。ねえ。そういうカニエのプライベートなところも楽しんでいきたいみたいな。ゴシップは追いかけ続けますよ、みたいな感じですけどもね。まあ、このアルバムに関しては相当私、これまでにしゃべらせていただきましたので。

(DJ YANATAKE)この番組のいつも文字起こしをしていただいているみやーんさんのサイトに行くと、志保ががっつり60分しゃべった『The Life of Pablo』については詳しくわかりますので。そちらの方を参照していただきたいと。

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(渡辺志保)ぜひぜひ、そちらもね。アルバムが日本でも出ていれば、解説原稿とかそちらを参考にしてくださいって私も言いたいよ。言いたいけど……でも、いまないからね。ちょっとそのへんで情報収集していただくのもまた良しかなと思いますので。では、カニエ・ウェストが「ゴスペルに挑戦したアルバムだ」という風にも自分で評していましたけども。この『The Life of Pablo』から1曲、聞いていただきましょう。『Ultralight Beam』。

Kanye West『Ultralight Beam』

(渡辺志保)はい。最初にお届けしましたのは2016年上半期ベストアルバムに選出しましたカニエ・ウェスト『The Life of Pablo』から『Ultralight Beam』。というわけでね、いまだに聞くと感極まってしまうんですけど、なんでだろう?っていうね。でもアルバムはもう本当にすごいいい……いい、変なアルバム(笑)。

(DJ YANATAKE)(笑)

(渡辺志保)なのでもしね、まだ聞いてないという方がいらっしゃったら、もういまはアップルミュージックなんかでストリーミングで聞ける体制になっているのかな?

(DJ YANATAKE)うん。他のLINEミュージックとか、いろんなストリーミング系でも聞けますし。発売にもなっているのかな?

(渡辺志保)なので、ノーバリアという感じがしますので。ぜひとも、いまからでも遅くはないという感じですので。あなたも『The Life of Pablo』体験をしてみてください。はい。というわけでまず1曲目にお届けしましたのは上半期ベストアルバム、カニエ・ウェストでした。じゃあこのままズンドコズンドコ、私の方から上半期ベストを紹介していきたいんですけども、続いてはですね、さっそくなんですけどもMVPオブ・ザ・イヤーSo Far! はい。というわけで2016年のMVP、この人しかいないでしょ! というMVPオブ・ザ・イヤーSo Far(いまんとこ)に選んだのは、ビヨンセ(Beyonce)!

(DJ YANATAKE)(笑)

(渡辺志保)もうね、まあアルバム『Lemonade』が発売されましたけども、それに先だって彼女がNFLのスーパーボウルのハーフタイムでブルーノ・マーズ(Bruno Mars)とコールドプレイ(Coldplay)と披露したショーであるとか。さらには、その前日に発表したビデオシングル(ビジュアルシングル)という風に言うんですかね? YouTube上でビデオを先がけて発表した『Formation』とかね。

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(渡辺志保)やっぱりそういうのを見るにつけ、聞くにつけ、ビヨンセのただならぬクリエイティビティーの深さ。すごくディープだし。で、彼女が伝えようとしているメッセージの大きさだとか、それが本当に強固なものなんですよね。誰だってアーティストって伝えたいメッセージがあるからこそ、曲を作って……それを自分が聞くだけじゃなくて世間に発表するっていうのは、伝えたい何かがあるからこそだと思うんですけども。それを現時点で、こういうひとつのアートの形に昇華して。かつ、商業的にもエンターテイナーとして成功してるのはやっぱりビヨンセ、頭ひとつふたつ、お尻4つ分ぐらい抜け出ているなという風に思いまして。

(DJ YANATAKE)(笑)

(渡辺志保)これも私、『INSIDE OUT』で『Lemonade』に関しては語りまくったので。これもみやーんさんの書き起こしを参照していただきたいのと、先日、7月上旬にやっとソニーさんから国内盤の方も出ましたので。それはニューヨーク在住の音楽ライターであります渡辺深雪先生が解説を、結構ボリュームのある、読み応えのある解説文になっておりますし。楽曲の歌詞解説、あとビジュアルアルバムなのでDVDがついていて、DVDの中の曲についている字幕は私が担当しておりますので。

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(DJ YANATAKE)素晴らしい!

(渡辺志保)より見識を高めるビヨンセの『Lemonade』ワールドにズルズルと引き込まれるためにも、ぜひとも国内盤を買っていただければと思います。

(DJ YANATAKE)私も発売日に買いに行きましたよ。

(渡辺志保)ありがとうございます! いや、あのね、渡辺深雪先生は私、すごいファンで。学生の頃から。Mixiを使って渡辺深雪先生にファンレターを送ったことがあるんですけども。その渡辺深雪さん、会ったことはないんですけどね、ライナーノーツの中でも私の名前に触れてくださって。「歌詞の対訳ついてまっせ」っていうのを書き添えてくださっていて、すごい熱い気持ちになりました。

(DJ YANATAKE)ダブル渡辺。渡辺シスターズ!

(渡辺志保)いやいや(笑)。かぶっちゃうからね。他の番組とかぶっちゃう。いや、でも『Lemonade』は何回聞いてもね、いいですよ。いやー、いいですよ、はい(笑)。でも、ちょっとここで制作秘話じゃないですけど。やっぱりビヨンセほどの存在になると、日本のソニーの担当者さんもちょっとピリピリせざるを得ないというか。「あのね、ちょっと渡辺さん。これ、もうちょっと柔らかい表現に変えられませんか?」っていう箇所が何箇所も実はあって。

(DJ YANATAKE)(笑)

(渡辺志保)「D-i-c-k」とかさ。まあ、チンコのことですけど。実際ね、ビヨンセが「あんたがそんなつもりなら、私は次の男を用意してるからね!(You can watch my fat ass twist boy As I bounce to the next dick boy 『Don’t Hurt Yourself』より)」とかって言ってるんだけど。あと、「私のキンタマしゃぶりなさいよ(Suck on my balls 『Sorry』より)」っていうリリックとかもあって。最初それ、そのまま訳していたんですけども。ちょっとね、イメージにそぐわないからかわかんないですけど、「柔らかい表現、ないですか?」って言われて。なのでちょっと後悔が残るとすれば、そこですかね。

(DJ YANATAKE)なるほどね。そこはじゃあ置き換えて。R-Ratedバージョンでね。

(渡辺志保)R-Ratedバージョン、どこかで披露したいと思いますけども。なのでちょっとね、「なんだよ、渡辺。ちゃんとチンコ訳せよ!」みたいに思われていたら嫌だなと思って、ちょっとここで一言いっておきました。そんなわけで、では私が2016年のMVPオブ・ザ・イヤーSo Farに選びましたビヨンセの最新アルバム『Lemonade』から、もう最高のガールズアンセムでございます。聞いてください。『Sorry』。

Beyonce『Sorry』

(渡辺志保)はい。いまお届けしましたのは2016年のMVPオブ・ザ・イヤーSo Farに選びましたビヨンセの最新アルバム『Lemonade』から『Sorry』でございます。というわけで今日はDJ YANATAKEと私、渡辺志保が選ぶ2016年上半期ベスト諸々をお届けしておりまして。いまのところ、ベストアルバムとあとMVPオブ・ザ・イヤーという2部門を発表されていただきました。

(DJ YANATAKE)もう大物を先に行っちゃえ!っていうね。

(渡辺志保)はい。これから先はさらに『INSIDE OUT』ヴァイブス強めでお送りしたいと思うんですけども。

(DJ YANATAKE)自由な賞をね、勝手に作って。

(渡辺志保)そう。クリエイティビティーを発揮しております。

(DJ YANATAKE)じゃあちょっとヤナタケの方からも、今年の上半期にこんなトピックもありましたよといったところで、2016年、題して「ベストムーブSo Far」! はい。賢明な『INSIDE OUT』リスナーならもうきっとラジオの前で仮面ライダーの変身ポーズをしているかと思いますけども。曲名とアーティスト名を先に言いますけども、ミーゴス(Migos)の『Look At My Dab』!

(渡辺志保)いいですね。このおポンチなインスト(笑)。

(DJ YANATAKE)おポンチ?(笑)。

(渡辺志保)間抜けな……(笑)。

(DJ YANATAKE)あの、「Dab(ダブ)」という名前のダンスというか振り付けと言いますか。

(渡辺志保)ねえ。なんすかね? ムーブですよね。動作(笑)。

(DJ YANATAKE)動作。ムーブですね。が、大流行しまして。アメリカではね、プロモーションビデオの一瞬の動きなんかをとらえたりとか、わざわざ振り付けするやつとかもありますけども、振り付けヒットみたいなのがSNSとかで広まって流行るみたいな構図はずっとあるんですけども。まあ、それの2016年バージョンとしてはこのDabというムーブが。

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(渡辺志保)ムーブが。そうですね。2015年の下半期ぐらいから徐々に流行っていて。去年の年末は2チェインズ(2Chainz)が「Dab Santa」というアプリのゲームなんかも出してまして。「Dabってなんなんだ?」っていう感じがしたんですけども。まあ「Dab」ってもともと「Swag」みたいな意味があって。で、「Look At My Dab」で「俺のスワッグを見ろ」みたいな感じでミーゴスちゃんたちもね、やいややいや言うていたわけですけども(笑)。

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(DJ YANATAKE)まあね、これに合わせて乗っかりの人もいっぱいいたし。このDabという曲名をつけて曲を出して。Dabという振り付けをみんながいろんな曲でやりましたけども。中でも、このムーブメントを象徴するのはやっぱりこの曲かな? と。

(渡辺志保)Dabといえば。

(DJ YANATAKE)で、いまでもクラブでこの曲バンバンかかりますし。知ってる人なんかは割とその振り付けなんかで盛り上がっていただいたりしているそうなんですが、今日、この曲をかけようかなと思ったらですね、なんとみんなの気になるDab最新情報というのを志保がゲットしたということで。

(渡辺志保)1ヶ月ぐらい前の話なんですけど、なんとあのミーゴスのメンバーのクアボ(Quavo)ちゃんがですね、「Dabが公式に終了しました」というDab終了のお知らせというのを(笑)。

(DJ YANATAKE)Dab is Dead 宣言ですね(笑)。

(渡辺志保)Dab is Dead 宣言しまして。ああ、もう終わっちったっていうね。ちょうどね、2016年の半分が終わったところで、クアボもDab終了のお知らせというのをアナウンスしていたので。下半期はまたミーゴスが、おポンチなムーブを(笑)。

(DJ YANATAKE)でも、別にミーゴスがDabを作ったわけじゃないんでしょ? でもまあ、流行らせた人たちっていうことだから、俺らが終わらせるみたいなことなのかな?

(渡辺志保)そうそう。そういう感じですね。

(DJ YANATAKE)まあ、いいですね。じゃあもう今年、終わってしまったようですけども、一応今年の上半期を象徴する1曲。ベストムーブというわけで、この曲を紹介させてください。ミーゴスで『Look At My Dab』。

Migos『Look At My Dab』

(渡辺志保)はい。いまお届けしましたのはDJ YANATAKEが選ぶ2016年のベストムーブSo Far! というわけでね、Dabを選んでいただいたわけですが、お届けした曲はミーゴスで『Look At My Dab』でございました。2016年の下半期も、ねえ。どんなムーブがフロアで流行るのか。

(DJ YANATAKE)「○○チャレンジ」みたいなね。

(渡辺志保)ねえ。いま、「Running Man Challenge」とか流行ってますけどね。

(DJ YANATAKE)そのへんのハッシュタグは常に気をつけたいですね。

(渡辺志保)そうですね(笑)。ウォッチしていきたいと思います。ではですね、ここで私のターンにまた戻りまして、この部門を紹介したいと思います。2016年ベストルーキーSo Far! イエーイ! 「Go, YaYa!」って言いたくなるんですけど。カマイヤー(Kamaiyah)でございますね。もうね!

(DJ YANATAKE)推してるねー!

(渡辺志保)推してる! 推させて(笑)。カマイヤーのことね、みんな「YaYa(ヤーヤー)」って呼んでるんだよね。それが超かわいくて。で、「カマイヤーって誰やねん?」っていう感じなんですけど西海岸のオークランドですね。オークランドっていうとE-40とかがね、いますけども。オークランド出身の女性ラッパーなんですよ。で、カマイヤーっていう名前だからヤーヤーっていう愛称だったりするんですけど。彼女は他のフィメールラッパーと何が違うか?っつーと、まずは体型が結構どすこい系の体型。

(DJ YANATAKE)(笑)

(渡辺志保)ちょっとふくよかっていうか、健康優良児っていうか。そういうドスン!っていう体型なんですよ。で、かつ彼女が好きなのはきらびやかなギラギラしたハイファッションの世界とかじゃなくて、90年代なんだよね。だからTLCとかミッシー・エリオット(Missy Elliott)とかアリーヤ(Aaliyah)……まあ、カマイヤーのつづりも最後が「Yah」で終わっているから、アリーヤも「Yah」で終わっているわけですけど。たぶんそういうのにインスパイアされているからこそだと思うんだけど。それで90年代が大好きで、使っているPVに出てくる携帯電話もさ、昔のコードレス電話の子機みたいなやつを……

(DJ YANATAKE)でっかいやつね(笑)。

(渡辺志保)実際に使っているみたいなんですけど。なんかそういうのがすごいいいなと私は思っていてね。ちょっと前にもさ、ニューヨークの方で90年代にインスパイアを受けてますっていう、ジョーイ・バッドアス(Joey Bada$$)とかさ、フラットブッシュ・ゾンビーズ(Flatbush ZOMBiES)とかあったじゃないですか。アンダー・アチーヴァーズ(The Underachievers)とか。なんだけど、「西にはどすこいフィメールMCのカマイヤーがいっから、任せて!」みたいな感じで。で、今年はじめてのミックステープ『A Good Night In The Ghetto』っていうのを出したんですけども。

これもね、オークランドってハイフィー(Hyphy)っていわれるビートが脈々と受け継がれていまして。いまもバックでかかっているような、めちゃめちゃベースが重くて、かつ上ネタは「シャリンシャリン♪ シャンシャン♪」っていうハイハットが打つようなビートなんだけど。そのハイフィーのマナーも守りつつ、DJマスタード(DJ Mastad)なんかが作る最新のビートにも乗りつつと。で、今年ブレイクしたんだけど。彼女の名前を一段と押し上げたのがYGの新しいアルバム『Still Brazy』がありますけども。その中でもリードシングルになぜかカマイヤーとドレイク(Drake)クがフィーチャーされるっていう。

(DJ YANATAKE)うんうん。

(渡辺志保)ドレイクと並ぶ存在だからね。YGの中では。

(DJ YANATAKE)たしかにそう言えばそうだね(笑)。

(渡辺志保)ヤバくね? みたいな。ミックステープ1枚出しただけのどすこい姉ちゃんなんだけど、そのへんからもプロップスもあるんだなっていうのはかなりヤバいよねっていう感じがしまして。結構ね、彼女もテーマにしているのは「ヘイトと貧乏」なんですよ。なんで、初期のANARCHYさんみたいな感じをちょっと感じるっていうか。「私たちが次から次にヒットシングルを出しているから、周りのビッチたちはみんなヘイトしてるでしょ?」とか。あとは「ああ、1回でいいからリッチになってみたいな。リッチになったらどんな気持ちなんだろう? お金はどんな味がするんだろう?」みたいなことを歌っていて。ケンドリック・ラマー(Kendrick Lamar)なんかがね、結構コンプトンの悲惨な状況なんかをラップしてますけども、カマイヤーもカマイヤーでそのもがいてももがいても貧困から出られないみたいな、そういう状況をラップしているわけでして。今後、本当にさらに活躍が期待されるカマイヤーでございますので。みなさんにもここで、私のベストルーキー・オブ・ザ・イヤーSo Farとして彼女を紹介したいと思います。では、聞いてください。カマイヤーで『Out The Bottle feat. Zay』。

Kamaiyah ft HottBoy Zay『Out The Bottle』

(渡辺志保)はい。いまお届けしましたのは2016年の期待の新人枠でございます。ベストルーキー・オブ・ザ・イヤーSo Farといわけで、カマイヤーの『Out The Bottle』をお届けしました。声だけ聞いているとね、ちょっと最初は女だってわかんないぐらいのドスのききっぷりなんですけどね。いいですねえ(笑)。しかも、トラックもフックも超いなたいっていうね。はい。

(DJ YANATAKE)恐らくね、世界でいちばん推しているのは志保なんじゃないかなと思いますけどね(笑)。

(渡辺志保)いや、もうすごいよ。だってリル・キム(Lil Kim)とかニッキー・ミナージュ(Nicki Minaj)とか結構キャリア初期からみんなすごいブリンブリンな格好をしていたけど、カマイヤーはずっとスウェット上下ですから。本当に、もう(笑)。

(DJ YANATAKE)みんなもちょっとね、画像をググッてみてください。

(渡辺志保)そう。もうライブ動画とかマジで殺されるぐらいね、かっこいいんで。キルされてますっていう感じで。

(DJ YANATAKE)なるほど。はい。というわけで続きましてはヤナタケ的ルーキー・オブ・ザ・イヤー2016を紹介したいと思いますが、こちらでございます! 「ブルルル、ラァッ!」みたいな感じですけども(笑)。デザイナー(Desiigner)で『Panda』!

(渡辺志保)はいー、パンダパンダ!

(DJ YANATAKE)これはもうしょうがないでしょう。一応紹介しとかないとさ。本当にすごいかっこいいし、すげー好きなんだけど。ちゃんと紹介したくて紹介するんですけども。まあ、これも出た時に『INSIDE OUT』で紹介しましたけども。

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(渡辺志保)はい。

(DJ YANATAKE)まあ、ざっくり言うと去年の12月20日にSoundCloudにこの曲をアップした当時18才の男の子が、あれよあれよと言う間に、このたった1曲でですね……すっごいざっくり端折りますけども、いまはカニエ・ウェストのレーベルとたった1曲でサインして、もうスターダムにのし上がっていると。この間、半年ですよ。

(渡辺志保)ヤバいですよ。私もそのデザイナーの名前を知ったのは、世界の9割の人がそうだと思うけど、カニエのアルバムで知ったんですよね。で、この『Panda』をラップしているデザイナーのバースがカニエのアルバムにフィーチャーされていて。「このデザイナーっていう新人、誰だろう?」って思ってさ、ディグったわけよ。だからそれが2月半ばぐらいのことですよね。だから、たかだかこの5ヶ月ぐらい。半年たたないわけじゃないですか。その世界にお披露目されてから。ヤバいっすよね。意味がわかんないよね(笑)。

(DJ YANATAKE)いちばん最初にね、僕、アメリカのiTunesを見ていたら、ニューリリースのところになんかパンダのジャケットのアップがあって。「なんだ、これ? パンダって曲だし……」って。全然、出た瞬間はあんまりチェックしてなかったの。「でも、ずーっと推されてるからこれ、話題っぽいな」みたいな感じでチェックしていたりもしてたんですけど。まあ、このパンダっていうのはね、BMWのX6っていうシリーズのホワイトカラーを正面から見ると、ランプのところが黒になっているからね、車がパンダに見えるっていう。ただ、それだけのアイデアなんですけども、そのアイデアを曲にしただけで、カニエの……(笑)。

(渡辺志保)ヤバいよね。意味わかんないよ(笑)。

(DJ YANATAKE)当時、これは『グランド・セフト・オート』っていうゲームの中でそのBMWに乗って遊んでいるっていう話なんですけど、いま本当にね、BMW、本物を買えちゃってるんじゃないの?っていう感じですよね。

(渡辺志保)本当ですよね。いやー、この先どうなっちゃうのか。でも、この間ね、デビューミックステープがいまiTunesでも買える状態になっているんですけども。

(DJ YANATAKE)『New English』。

(渡辺志保)はい。『New English』。結構ね、思ったよりタイトないい出来でございましたので。

(DJ YANATAKE)先日、Inter FMの『Tokyo Scene』でTaku☆TakahashiとTJOのところにAKLOさんがゲストで出ていて。AKLOもいまいちばん注目しているのはデザイナーと言ってましたね。

(渡辺志保)なるほどね。

(DJ YANATAKE)というわけで、『INSIDE OUT』的にもこのへんはばっちり紹介しておきたいなと思いまして。ルーキー・オブ・ザ・イヤーSo Far 2016のパート2ということになりますかね? デザイナーで『Panda』。

Desiigner『Panda』

(渡辺志保)はい。いまお届けしましたのはヤナタケさんが選ぶ2016年の期待の新人枠というわけで、ベストルーキー・オブ・ザ・イヤーSo Farというわけでデザイナーの『Panda』をお届けしました。みなさん、何回も何回も聞いている曲だと思うんですけどね。

(DJ YANATAKE)この人さ、動きがヤバいよね。

(渡辺志保)動き、ヤバいっすよね。もう(笑)。手足長いし、マジでこうライブしている様子を動画で見ると本当に。生で見るとどんだけの迫力なんだろう?っていう。

(DJ YANATAKE)若さ爆発! みたいな(笑)。

(渡辺志保)そうそう(笑)。去年とかはたぶんトラビス・スコット(Travi$ Scott)とかがね、すごい元気ハツラツなパフォーマンスで度肝を抜かれていた私たちですが。今年はちょっとデザイナーにやられるっていう。

(DJ YANATAKE)いいっすね。元気ハツラツ、いいですね。

(渡辺志保)元気ハツラツですね。で、今年ね、日本でも『Hot97 Summer Jam Tokyo』がありますけども。まあプシャ・T(Pusha T)が来るということで、このデザイナーはプシャ・TのレーベルG.O.O.D. ミュージックに所屬している若手ということで。ちょっとデザイナーを連れて来てくんないかな? とか。

(DJ YANATAKE)本当だよね。

(渡辺志保)思ってるんですけどね。プシャ・Tさん、お願いします。

(DJ YANATAKE)はい。じゃあルーキー・オブ・ザ・イヤーっていうか元気ハツラツ・オブ・ザ・イヤーSo Farにしておきましょうか。

(渡辺志保)はい(笑)。ありがとうございます。では、私のターンに移りまして、次に発表したい部門はこちらでございます。ザ・ベストハスラー・オブ・ザ・イヤーSo Far! というわけで、今年いちばん儲けているんじゃねーか疑惑のあるラッパー、ハスラーをですね。いまんところいちばん儲けてるんじゃないか?っていう彼を紹介したいんですが、ヤング・サグ(Young Thug) in the house!

(DJ YANATAKE)イエーイ!

(渡辺志保)「タガタガ~、タガタガ~♪」。ねえ、ヤング・サグ。まさかのシングル『Storner』を出した頃はこんなにカルト的人気を誇るラッパーになると誰が予想していたでしょうか?っていう感じですけども。まあ、去年に引続き、今年もヤング・サグって本当、アトランタ出身のまだまだ若手のラッパーなんですけども。本当にさ、多作なんですよね。それは本当、一時のリル・ウェイン(Lil Wayne)みたいな感じで。なんか話題の曲のリミックスとかが作られると、絶対に入っているみたいな(笑)。「あ、ヤング・サグまたいる!」みたいな感じで、そういうリミックスへの参加も多かったですし。あとは、本人も今年は2016年に入ってから『I’m Up』。そして待望の『Slime Season 3』という2つのミックステープを立て続けに発表もしましたし。

ちなみにその『Slime Season 3』の中に入っている『With Them』っていう曲があるんですけど。それなんかも発表されるとすぐにカニエ・ウェストが「ヤング・サグはマジで俺のインスピレーションの源です」みたいな。「ヤング・サグ、最高!」みたいなことをわざわざSoundCloudのリンクをつけて引っ張ってツイートしてたりとかもしていて。で、今年ヤング・サグにとってもさらに躍進の年になるんじゃないかと思っている理由が、その客演が多いというところにも引っかかるんですが、今年に入ってさ、あのアッシャー(Usher)のシングルに招かれたりとか、カニエ・ウェストのアルバムにも参加してましたし。あとは、チャンス・ザ・ラッパー(Chance The Rapper)もね、今年素晴らしい作品『Coloring Book』というのをアップルミュージック限定で出しましたけども。

(DJ YANATAKE)ねえ。

(渡辺志保)その中に『Mixtape』っていう曲があって。「まだいまの時代にミックステープにこだわっているのは俺だけ」っていうフックなんですけど。そのフックをチャンス・ザ・ラッパーとこのヤング・サグと、そしてヤング・サグと同じアトランタの、彼も今年ルーキーとしていますごく頭角を表していますけども。リル・ヨッティ(Lil Yachty)ですね。この3人で、「ミックステープにこだわっているのは俺たちだけだよな!(Am I the only nigga still care about mixtapes)」みたいなのをラップしていて。それもすごくね、いいんですよ。

(DJ YANATAKE)うん。

(渡辺志保)まさかアッシャーの最新シングルにヤング・サグがフィーチャーされるとは思いませんでしたが。しかもタイトルは『No Limit』ということで。まあ、AKLOくんも好きなノーリミット・ソルジャーズのことを話題にしている曲ですけども。まあ、そんなこんなでヤング・サグね、今年下半期はさらにデカい動きを見せてくれるんじゃないかと思っておりますので、ここでヤング・サグの最新ミックステープ『Slime Season 3』からですね、カニエ・ウェストもべた褒めのこの曲をお送りしたいと思います。『With Them』。

Young Thug『With Them』

(渡辺志保)はい。いまお届けしましたのは私がザ・ハスラー・オブ・ザ・イヤーSo Farに選びましたヤング・サグで『With Them』でございました。いまんところね、ちょこちょこちょこちょこ、私とヤナタケさんで今年の上半期ベストというのをお届けしていますけども。みなさん、どうでしょうか? 「俺も同じことを思っていた!」っていうのもあれば、「いやいや、お前らセンスねえな!」と思いながら聞いている方もいらっしゃるんじゃないかと思うんですけども。僕の/私の上半期ベスト楽曲とかアルバムとかお気に入りのラッパーなんかがいれば、引き続き「#INSIDE_OUT」をつけてつぶやいてお知らせしていただければと思います。

(DJ YANATAKE)あと、去年ぐらいまで俺が割りかし超クイックに上半期ベストMIXとか、年間ベストMIXとかやっていたじゃないですか。今回もやろうかな? と思ったんですけど、ちょうどこの間、この番組をサポートしていただいているDJ CITYさんの方で作ったMIXを紹介していただくという機会がありましたので。そっちの方で、上半期ベストっていうわけじゃないんだけど、割りかしそんな内容になっているんで。MIXで聞きたい人はそっちの方をチェックしていただきたいなと。もちろん、ヤンサグのこの『With Them』なんかも入っております。

(渡辺志保)楽しみにしてます!

(DJ YANATAKE)というわけで、続きまして行っておきますかね。そろそろ。DJ YANATAKEが選ぶ日本語ラップ2016年ベストSo Farは、こちら! OZROSAURUSで、『OG』!

(渡辺志保)おおーっ!

(DJ YANATAKE)というわけで今年、日本語ラップ。フリースタイルバトルブームなんかもありますけども、まあめちゃくちゃ盛り上がっている2016年ではないかなと思います。リリースも本当にすごいし、大きいイベントも軒並みソールドアウト。そしてそれぞれ話題になっている感じだと思うんですが。本当にですね、まあこの日本語ラップを何にしようかな、1曲やっぱり選びたいな、紹介したいなっていう中で、これは結構ね、自分的にはスルメヒットなんですけど。

(渡辺志保)はい。

(DJ YANATAKE)でも、いろいろこれを作ったプロデューサーのGUNHEADくんなんかにも話を聞いていろいろわかることもあって。まあ、どんどんどんどん好きになっていった曲ではあるんですけど。まず、OZROSAURUS自体がね、バンドになって。

(渡辺志保)ねえ! 本当にすごい。

(DJ YANATAKE)すごいよね。で、やっぱりライブ。特にね、『人間交差点』の時、もう本当にガツーン!っと。

(渡辺志保)あっ、私も食らいました!

(DJ YANATAKE)ねえ。やられちゃって。この間も『さんぴんCAMP』なんかも、あのバンドでもちろん出てましたけども。ここに来て、オジロがこの進化を遂げることを誰が予想しただろうか? 2016にこうなっていることを誰が考えていただろうか?っていうことプラス、ただバンドでやるからとかではなく、確実にパワーアップしている。かつ、ただバンドでやっているだけじゃなくて、やっぱりGUNHEADくんがかなりキーマンだと思うんだよね。彼はすごい世界中の音楽の面白いところを聞いてるし。まあ、すごい一歩も二歩も三歩も先なのかもしれないけど、ちゃんとそういうトレンドがいろいろ散りばめているところで新しさも感じるし。

(渡辺志保)はいはい。

(DJ YANATAKE)それでいて、やっぱりこのMACCHOくんの圧倒的なラップ力。

(渡辺志保)スキルがね。

(DJ YANATAKE)これは僕はもう、完全にいまこの曲が好きで。もう、自分でDJでかけやすいように、自分でエディットして、毎回DJの時にかけているぐらいすごい好きな曲でございます。

(渡辺志保)なるほど。今年ね、サマソニなんかも出られるそうで。いろいろ夏フェスなんかもたくさん予定が入っていると思うので。本当にいろんな方にOZROSAURUSのライブだけは見てほしいし。やっぱりあのバンドセットで聞く『OG』もそうだし、あとまあ定番ですけどクラシック『AREA AREA』とかもね、また本当に違う感動があるっていう感じがしますよね。

(DJ YANATAKE)あとね、僕らの年代だとこのバンドとヒップホップの融合っていうのはすごいあったんですよ。しかも、本当にそれがムーブメント的に流行ったし。たとえばビースティ・ボーイズ(Beastie Boys)とか、ああいうのを聞いて育った僕らとしては全然こういうのって普通にアリなんだけど。意外と日本のヒップホップ文脈でそういうのってなぜかあまり語られないんですよね。うちの兄貴もそういう日本語ラップとバンドのグループをやっていたりしたんで、すごい身近にそういうのが本当はあったんだけど、あまりなぜか語られない。そのへんって……

(渡辺志保)そうですね。たしかにここ10年ぐらいはね。まあ、ちょっと前はね……まあ、Dragon Ashさんとかはね、そういうスタイルでやってらっしゃいますけども。たしかに、日本語ラップのセンターのドンズバなところではなかなかなかったと。

(DJ YANATAKE)そう。そこでやっぱりね、GUNHEADくんみたいなスパイスが入りながらバンドが動いていくと、これが日本語ラップの真ん中でどこまで行けるのかな?っていうところは、これからも注目してみたいなということで、この曲を選ばせていただきました。ヤナタケが選ぶ2016年ジャパニーズヒップホップ・ベストSo FarはOZROSAURUSで『OG』!

OZROSAURUS『OG』

(DJ YANATAKE)はい。聞いていただきましたのはOZROSAURUSで『OG』。このね、いっちばん最後のところが超かっこよくて。なんと、フル尺かけてしまいました。すいません。

(渡辺志保)はい。というわけで、日本語ラップベストソングSo Farみたいな感じですけども、ヤナタケさんが『OG』を選ぶというね。

(DJ YANATAKE)他にも、本当にリリースラッシュだったし。

(渡辺志保)本当、今年すっごいですよね。

(DJ YANATAKE)もちろんね、AKLOの『McLaren』も大好きなんですよ。

(渡辺志保)(笑)

(DJ YANATAKE)あの、かける時はかならず「マクラーレン♪」って三段階のね。

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(渡辺志保)振りもつけながらね。

(DJ YANATAKE)あれも仮面ライダーみたいなポーズですけども。毎回、ちゃんとやってますけども。やっぱり、出た時期も含めてね、まあ自分もDJでも本当によくかけたなと思うのがこのオジロの『OG』だったんで。あと、まあゴールデンウィークにイベントでスケプタ(Skepta)が……

(渡辺志保)ああ、そうですね。ブロック・パーティー(PUBLIC LABO BLOCK PARTY)に。

(DJ YANATAKE)スケプタが来たじゃないですか。そのへんで、そのグライムみたいなのを生ではじめて感じたり。そういうのが自分の中で結構一緒になって。で、オジロがこのクオリティーでやってくれているっていうのがね、なんかすごい頼もしかったんで、この曲を選びました。

(渡辺志保)はい。ありがとうございます。みなさんもね、いろんな今年の日本語ラップベスト。上半期ベストみたいなのがあると思うので、そのへんもTwitterを使って教えていただければなと思います。では、私にまたターンを戻しまして、こちらを発表したいと思います。ザ・ベストカムバック・オブ・ザ・イヤーSo Far!

(DJ YANATAKE)(笑)

(渡辺志保)うふふふふ(笑)。というわけで私が選んだ、今年いちばんカムバックできてよかったな!っていう。「おおっ、先輩よかったっすねー!」っていうのはファット・ジョー(Fat Joe)&レミー・マーティン(Remy Martin)の『All The Way Up』でございますね。まあ、いまインストがかかっていますけども。これもこの間、DJ HAZIMEさんがゲストに来た時もリミックスを三連発ぐらいでかけてらっしゃって。この曲の愛され具合っていうのを実感したわけですけども。さっき、ちょっと軽くWikipediaで調べてみたら、なんとファット・ジョーさんは1970年のお生まれということで、今年で46才! ヤバくないですか? 「ヤバくないですか?」っていうのは失礼だけど(笑)。

(DJ YANATAKE)うん(笑)。

(渡辺志保)もうさ、だからMC生活も20何年っていうわけですよ。若いうちからマイクを握ってらっしゃるから。で、そんなキャリアの中、46才でこういう風にビルボードヒットを作って、日本のクラブでもヒットしちゃって。世界のあっちゃこっちゃでライブしちゃって、みたいな。すごいよねー!っていう。で、レミー・マーティンもですね、まあニューヨーク出身の女性ラッパーですけども。レミー・マーティンはね、語ると長いんだけど(笑)。ずっと刑務所でお務めしてたのよ。それで8年間の刑期を終えてシャバに出てきて。最初はファット・ジョーとの確執なんかも噂されていたんだけど、アウォードの場とかでね、リユニオンしたりなんかもしてて。「ああ、ファット・ジョーとレミー・マーティン、ここに来てリユニオン。美しい!」とかって思っていたんですけど、こうやって一緒にヒット曲を出すっていうのは結構おばさんリスナーにとってはかなり胸アツっていう感じがしますけども。

で、かつ、レミー・マーティンって言えばやっぱり旦那さんがパプース(Papoose)っていう黒人ラッパーなんですけれども。もうね、パプースがずっと待っていたわけよ。8年間、自分の奥さんがムショから出てくるのを! でね、出てきた年もBETのサイファーなんかで2人でブラック・ラブズってね、ラブラブっぷりをアピールしてるんですけども。で、ちなみにファット・ジョーとレミー・マーティン、ビヨンセがいま世界中でワールドツアーをやってますけども。その西海岸の公演の時にですね、ビヨンセの前座として。まあ、ビヨンセの今回のツアーはいろんな豪華なラッパーが前座として参加してるんですけども。その前座としてファット・ジョーとレミー・マーティンもこの曲をパフォーマンスしましてですね。その時に、楽屋でレミー・マーティンの旦那さんのパプースなんかも一緒に写っている写真なんかもありまして。すっごいなんか、ああ婦唱夫随っていう感じでいいなと思った次第でございます。

この曲、いろいろリミックスなんかも出ていて。リミックスね、さっきもDJ HAZIMEさんがかけたって話したばっかりですけども。フレンチ・モンタナ(French Montana)が参加していたりとか。まあ、日本からはAK-69さんがいち早くリミックスを作っていて。で、AKさんはこのビデオにもカメオ出演しているんですよね。もちろん、ファット・ジョーと一緒にコラボの曲なんかも作ってらっしゃいましたし。そういう意味でも、すごい私にとっても「おっ!」というリマーカブルな1曲担っております。『Hot 97 Summer Jam Tokyo』でね、日本にもフレンチ・モンタナが来ますけども。この曲もね、自分のリミックスのバースとか、やるのかな?

(DJ YANATAKE)たしかに!

(渡辺志保)やるのかな? どうだろうな? ねえ、超盛り上がりそうっすよね。ちなみにファット・ジョーさん、ずっと飛行機に乗れなくて。去年やっとはじめて日本に『Blue Magic』で来日したわけですけども。その時に「なんで飛行機に乗れるようになったの?」って私、質問したんですよ。インタビューの時に。そしたら、「いや、もう世界中でファンが待っていてくれているのに、乗らない手はないだろ?」みたいなことを言われたんだけど……いや、そんなきれいな理由なのかなと思いつつ。

(DJ YANATAKE)(笑)。いまさら。

(渡辺志保)いまさら。で、「いまのニューヨークのシーンはすごいビーフとかみんな競争ばっかりでちょっとつまらなくて。ピースじゃない」とか言っていたけど、「自分だってバリバリ、50セントとかにビーフ仕掛けとったやんけ!」と思いながらね、貴重な話をいくつか聞いたという逸話もございますが。ここでザ・ベストカムバック・オブ・ザ・イヤーSo Farといわけで、このファット・ジョーとレミー・マーティンの曲を聞いてくだ最。『All The Way Up』。

Fat Joe, Remy Ma『All The Way Up ft. French Montana, Infared』

(渡辺志保)はい。いまお届けしましたのは2016年上半期ザ・ベストカムバック賞というわけで、ファット・ジョーとレミー・マーティンの『All The Way Up』をお届けしております。というわけで、ひとしきり2016年上半期ベスト。いろんな部門を勝手に私とヤナタケさんで作ってお届けしてきたわけですけども、いかがでしたでしょうか? もう、なんですかね。毎年毎年、流行りに色があったりとか。「今年はこういう傾向ですね」っていうのがあると思うんですけども、本当に2016年のヒップホップシーンってザ・何でもありみたいな。何でもありの極地みたいな感じがしておりまして。で、昨年から私も『INSIDE OUT』でも言ってますけども、UKとかフランスのシーンなんかともますます近くなっていますし。

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で、去年は韓国のキース・エイプ(Keith Ape)くんの『It G Ma』とかも流行って。

菊地成孔 日韓合作ラップ Keith Ape『It G Ma』の意義を語る
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で、今年はKOHHくんがいまワールドワイドに爆走中っていう感じも。

(DJ YANATAKE)なんかロンドンのライブがとにかくすごかったらしいですよ。

(渡辺志保)ねえ! 見たいですね。まあ、映像で見れる……彼のマネージャーなんかも「すっごいヤバかった!」って。

(DJ YANATAKE)どっかで見れることになりそうな。

(渡辺志保)ああ、「なりそう」なんですね。失礼しました。だしね、ますますこの、いままではアメリカのヒップホップを日本に持ってくるとか、UKのヒップホップを日本に持ってくるっていうのがひとつのスタンダードだったと思うんですけども。今後、日本のアーティストがどんどんどんどん世界に行くような。なんかそういうチャンスもたくさん増えればいいな、なんて1ファンとしては思っておりますね。

(DJ YANATAKE)間違いない!

(渡辺志保)まあ今年、いろんな来日案件とかフェス案件もたくさんございますので。このままね、夏以降も突っ走ってみなさんにホットなシットをお届けしたいと思っております。

(中略)

(渡辺志保)というわけで、今週はDJ YANATAKEと私、渡辺志保が選ぶ2016年上半期のベスト特集と題してお届けしたんですが、あと1個だけ紹介させてください。この男! この男を紹介させてください! 今年の2016年ザ・ベストソング・オブ・ザ・イヤーSo Far! もうね、ドレイク。ドレイクですよ。彼はね、最新アルバム『Views』も発売したばかりですけども、やっとこのアルバム、そしてこの曲でもってビルボードのシングルチャート1位をやっと取れたんですよね。『Best I Ever Had』とか『Crew Love』とか。あと、『Hotline Bling』があれだけヒットしても、なかなか奪取できなかったビルボード1位っていうのを、この『One Dance』でゲットしたと。

でもって、まあジャスティン・ビーバー(Justin Bieber)の『Sorry』からも続いていますけども、こういうトロピカル風味な、ちょっとレゲエ・カリプソなヴァイブスあふれるサウンドっていうのを本当に決定的に、これがいまのトレンドです!っていうのを示した1曲でもあると思うし。あとは、ドレイクがこの曲を『サタデー・ナイト・ライブ』というテレビ番組でパフォーマンスもしてるんだけど。すっごい気持ちよさそうに歌っているんですよね。だから改めて、そのパフォーマンスを見ても「あっ、これって本当にいまのドレイクが歌いたかった歌なんだな」って。まあ、リリックは結構甘酸っぱい感じのリリックにはなっておりますけども。もうね、間違いない世界でいちばんヒットしている曲といえばこの曲なんじゃないでしょうか。というわけで、選ばせていただきました。今日、お別れするのは私とDJ YANATAKEが選びましたザ・ベストソング・オブ・ザ・イヤーSo Far。ドレイクの『One Dance』でお別れです。ありがとうございました。

Drake『One Dance』

<書き起こしおわり>

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