渡辺志保と宇多丸 2018年ヒップホップを振り返る

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渡辺志保さんがTBSラジオ『アフター6ジャンクション』で2018年のヒップホップを振り返り。大活躍したカーディ・B、ポスト・マローン、BAD HOPについて、宇多丸さんと話していました。

(宇多丸)みなさんに専門分野のベストをうかがっていて、音楽ベストはこの間、高橋芳朗さんにやっていただいたんだけど。ヒップホップは志保さんにということで、こちらでご紹介いただければと。

(渡辺志保)なんかすいません、ヨシさん(笑)。私、先週の高橋芳朗さんの放送も聞かせていただいて。いろいろなアメリカの音楽の聞かれ方の構造も変わっているし、ジャンルも変わっていますし。ヒットの飛ばし方も変わっているというところで、興味深く聞かせていただきました。

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(宇多丸)でも逆にヒップホップを脇に避けておかないと、フラットに選んでもヒップホップばっかりになりかねない状況だから。これはこれでいいんじゃないでしょうか。

(渡辺志保)ありがとうございます。

(宇多丸)ということで、さっそくお願いします。

(渡辺志保)まさに先週も高橋芳朗さんが「2018年は女性アーティストの活躍が目立った年だ」っていう風におっしゃっていたと思うんですけども。まず、本日2018年のベストヒップホップの一発目はカーディ・Bを紹介したいと思います。

(宇多丸)出ました!

(渡辺志保)以前、アトロクにお邪魔した際にも……かなり初期だとは思うんですがカーディ・Bの話もさせていただいたと思うんですね。

(宇多丸)はい。

渡辺志保と宇多丸 Cardi BとXXX Tentacionを語る
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(渡辺志保)彼女はカリブ海のドミニカ共和国にルーツを持つ女性ラッパーでニューヨーク生まれの女の子なんですけども。2017年、去年の夏にメジャーデビューをしまして。2018年は本当にもう快進撃につぐ快進撃っていう感じでした。で、2月にメジャーデビューアルバム『Invasion of Privacy』というのを発売したんですけども。よく、期待だけが先行してしまって実際にフタを開けたらどうなの?っていうこともありがちなんですけども。まあ、そんなことはなくて。カーディ・Bは2018年、デビュー・アルバムをひっさげてナンバーワンヒットを3曲、ビルボードチャートに送り込んだ史上はじめての女性ラッパーなんですよ。

Invasion of Privacy [Explicit]
Posted at 2018.12.21
カーディ・B
Atlantic/KSR

(宇多丸)すごーい!

(渡辺志保)なので、「女性史上初」とか「ヒップホップ史上初」みたいな冠をいくつもカーディ・B、今年は勝ち取ることができまして。お子さんも生まれ、結婚もして、ついこの間は離婚を発表したんですけども。

(宇多丸)あっ、そうなの? もう離婚? 早っ!(笑)。

(渡辺志保)もう離婚っていう(笑)。スーパースターラップグループ、ミーゴスのオフセットと結婚をしていたんですけど、オフセットの浮気が発覚というよくあるパターンで。それで「もう離婚よ!」っていうことで。まあ、それすらも自分のInstagramなんかで発信していて。常にカーディ・Bはガール・ネクストドア感っていうか、「みんなのカーディ」みたいな感じが非常に成功した要因のひとつかと思います。

(宇多丸)下町姉ちゃんがね。

(渡辺志保)そうなんです。もうなまり丸出しでしゃべるし、ラップするし……っていう感じですね。

(宇多丸)ということでじゃあカーディ・B、曲紹介をお願いします。

(渡辺志保)はい。カーディ・Bの最新シングル『Money』を聞いてください。

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Cardi B『Money』

(宇多丸)ねえ。なんとミニマムなトラックでしょうっていうね。

(渡辺志保)ミニマム。本当にそうなんですよ。もう5つぐらいの音で構成されているみたいな感じなんですけども。

(宇多丸)その分、ラップが立つという。

(渡辺志保)そういう感じです。

(宇多丸)でもまさに、『ライムスター宇多丸の「ラップ史」入門』っていう本の放送をした時、やっぱり志保さんの推薦で最後はカーディ・Bで締めたじゃないですか。

(渡辺志保)そうなんですよ!

ライムスター宇多丸の「ラップ史」入門
Posted at 2018.12.21
宇多丸, 高橋 芳朗, DJ YANATAKE, 渡辺志保
NHK出版

(宇多丸)まさに今年のはじめにやった放送ですから。予言どおりに爆裂したということで。

(渡辺志保)予言どおりに、ありがとうございます。カーディ・イヤーでございました。

(宇多丸)どんどん行きましょう。

(渡辺志保)続いて発表したいのはポスト・マローンというアーティストですね。これも先週、高橋芳朗さんがとかくいまのアメリカの音楽シーンはストリーミングが成功を左右するという風にもおっしゃっていたと思うんですね。で、それで爆裂成功を収めているのがドレイクっていうことになると思うんですけども。ポスト・マローンはその次にストリーミングでよく聞かれているラッパー、ヒップホップアーティストということになります。

(宇多丸)はい。

(渡辺志保)で、ポスト・マローンはダラス出身。お父さんがもともとラジオDJをやっていたらしいんですね。それで小さい頃からいろんなジャンルの音楽を聞いていたと。で、ぶっちゃけ白人ロック少年なんですよ。で、ギターも演奏するし、もともとメタルとかハードコアが好きで、そういうバンド活動もやっていた。なんだけど、お父さんが家でラジオDJだから、ちょうど50セントとかが超流行ったぐらいの時期にティーンエージャーだったらしいんですね。

(宇多丸)うんうん。

(渡辺志保)そういった影響も受けて、本当にアメリカでヒップホップがポップ的に流行りはじめた時に思春期、多感な時期を迎えていた。なのでいま、アメリカの音楽シーンってそのぐらいの年齢の子が普通に自然にラップをやっているんですよね。おそらく彼も、もしかしたら時代が違えばいまもずっとギターをかき鳴らしたままロックバンドをやっていたかもしれないんですけども。まあ、そんな感性を持った子がいまはラッパーとして成功をしている。

(宇多丸)はい。

(渡辺志保)で、いまだにもちろんギターを弾くパフォーマンスもしていて。私は見れなかったんですけど、今年はフジロックでも来日して。そのパフォーマンスも非常に話題になっていました。なので、ヒップホップがポップス的な成功を収めているというところで、カーディ・Bみたいなラッパーもいれば、こういうポスト・マローンみたいにいろんなジャンルの素晴らしいところ、いい要素をごちゃ混ぜにして。で、自分なりの方法で消化して、すごくエクストリームな方法でヒップホップそのものの音楽ジャンルを広げている若いアーティストということで、こうしたポスト・マローンだったりとか、今年亡くなってしまいましたけどもXXXテンタシオンとか。彼らはそういう系譜にいるアーティストかなと思います。

(宇多丸)はい。じゃあポスト・マローンの曲を聞きましょうか。

(渡辺志保)はい。お願いします。ポスト・マローンで『Better Now』。

Post Malone『Better Now』

(宇多丸)本当にもう、いまの時代のポップスだよね、これね。

(渡辺志保)そう。本当にそうなんですよ。で、これ、ポスト・マローンが今年デビュー・アルバムとして発売した『Beerbongs & Bentleys』っていうアルバムの中の曲なんですけども。(モトリー・クルーの)トミー・リーがドラムで参加している曲とかもアルバムの中にはあるんですよ。なんで普通にもうロックミュージシャンも参加して楽器を弾いて作り上げたアルバムっていう感じで。

Beerbongs & Bentleys
Posted at 2018.12.21
Post Malone
Universal

(宇多丸)うんうん。

(渡辺志保)ますますこのシーンは拡大していくんじゃないかなってなんとなく思っています。

(宇多丸)はい。ポスト・マローン『Better Now』をお聞きいただきました。そして、
最後。日本のヒップホップからも一発。

(渡辺志保)そうなんですよ。やっぱりちょっと最後に、私は今日年内最後、アトロクにお邪魔する日かなと思うんですけども。最後にこれをかけて帰りたい!って思ったんですけども。BAD HOPでございます。もうすでにね、リスナーの方でもご存知の方はたくさんいらっしゃると思うんですけども。川崎出身の8人組。ちょっとヤンチャな男の子たち8人組なんですけども。

(宇多丸)はい。

(渡辺志保)で、彼らは全部セルフマネージメントみたいな感じでこれまでのキャリアを培ってきた――「キャリア」って言っても本当に1、2年ぐらいなんですけども――そのキャリアを培ってきたラップグループなんです。で、ちょうど今年のお正月も宇多丸さんとラジオで話す機会があって。その時もBAD HOPのみんなと話して。2018年4月にまずZepp TOKYOでの単独ライブというのを成功させた。

(宇多丸)僕、その1月の放送の時点で「Zepp TOKYOやるんだ、すごいね!」なんて言っていたんですけど……。

(渡辺志保)そうなんです。4月にZepp TOKYOの公演を完売させて成功させた。で、その後。2018年11月にはなんと! あの日本武道館を満員にした。もちろん単独公演で。で、インターネット上で前売りチケットの先行販売分がリリースされた時、2時間半ぐらいで売り切れて。しかも、チケット会社のサーバーがパンクしちゃったんですよ。それでその後に他のチケット販売のサイトにサーバーを移して、そこで継続して発売したんですけども。それぐらい勢いがあるという。

(宇多丸)すごいなー!

(渡辺志保)で、私も実際に武道館のライブにうかがったんですけども、もう胸アツでしたね、本当に。で、リーダー格のT-PABLOWくんとYZERRくんという双子のラッパーがいますけども。2人も本当に「僕たちは日本の音楽業界を変えたくて活動しているんだ」って高らかに宣言するような形で成功を収めた武道館公演っていうのが先日行われたということで。これだけのスピード感でこれだけの人たちを動かす、リスナーの心を動かす……実際に動員的にも動かす日本のヒップホップアーティストって果たしていままでいただろうか?っていう風に思いまして。

渡辺志保 BAD HOP武道館公演を語る
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(宇多丸)うんうん。

(渡辺志保)私の中で、2018年の日本のヒップホップシーンにおけるMVPは間違いなくBAD HOPだったかなと思います。

(宇多丸)はい。異論なしでございます。じゃあ、BAD HOP。やっぱりあの強烈な1曲を。パンチラインが……あの強烈なところをみんな大合唱だったらしいじゃないですか。

(渡辺志保)そうだったんですよ。まあ、強烈なところまで尺、ありますかね? かかりますかね? ちょっとギリギリかもしれないですけど、聞いていただきたいなと思います。BAD HOPで『Kawasaki Drift』。

BAD HOP『Kawasaki Drift』


(宇多丸)はい。ということでちょっと曲の途中なんですけども。BAD HOPの『Kawasaki Drift』。これ、だから結構ハードな環境で育ってきて。本当にラップがあってよかったねっていう人たちなんだけど。そういう強面なところもさることながら、本人たち、インターネットラジオをやっていて。そこでキャラが各メンバーで立って。だから女性ファンがすごい多いよね。

(渡辺志保)あと、これはちょっとみなさん「うーん」って思うかもしれないけど。ヤンキーコンテンツって昔からそれなりに人気があって。それも関係があるのかな?って思いました。

(宇多丸)もちろん、そうですね。

(渡辺志保)彼らのライブを武道館で見て、やっぱりそう思いました。

(宇多丸)だからそういう日本のもともと風土にある部分ともフィットしてということはあるかもしれないですね。

(宇内梨沙)女性からも支持されている?

(宇多丸)各メンバーそれぞれ、キャラクターがね。「私は○○推し」みたいなのがあるんですよ。

(宇内梨沙)なるほど!

(渡辺志保)すごい。だからこういうブレイクの仕方……まあ、もちろんもともと人気のあったグループだし、T-PABLOWくんとYZERRくんも人気がありましたけど、ここまでマスな層にも食い込んで彼らが大きくなるって本当に私はいい意味で予想していなかったので。彼らがどこまで登りつめてくれるのか、非常に楽しみですし。武道館でヒップホップのライブを見るのも私もまあまあ久しぶりだったんですけど。年が明けたら般若さんとかAK-69さんとか中堅どころ、ベテラン勢のヒップホップアーティストの武道館公演も控えているので。このまま勢いが2019年も続けばいいなと思っています。

(宇多丸)ということで志保さん、最後のお知らせごとを。

(渡辺志保)はい。僭越ながら『ライムスター宇多丸の「ラップ史」入門』というのを……。

(宇多丸)でも、これは今日紹介したカーディ・BとBAD HOPを最後に推しているわけですから。

(渡辺志保)なので、無事予言どおりに彼らの人気が2018年に結実したということで。この『ライムスター宇多丸の「ラップ史」入門』、NHK出版さんから書籍になって発売中です。

(宇多丸)めちゃめちゃ読みやすいと評判でございます。

(渡辺志保)ぜひ、年末年始になにもやることがないという方、これを読んでください。

ライムスター宇多丸の「ラップ史」入門
Posted at 2018.12.21
宇多丸, 高橋 芳朗, DJ YANATAKE, 渡辺志保
NHK出版

(宇多丸)はい。

(渡辺志保)あと、毎週月曜日にblock.fmというインターネットラジオで『INSIDE OUT』というヒップホップ専門番組をやっていますので、そちらもよろしくお願いします。

(宇多丸)より突っ込んだ最新情報はそちらで。

(渡辺志保)はい。恐れ入ります。

(宇多丸)ということで来年も志保さん、この番組、いろいろとお世話になると思いますが。よろしくお願いします。よいお年を。お疲れ様でした!

(渡辺志保)ありがとうございました! よいお年を。失礼します。

(宇多丸)渡辺志保さんでした。

<書き起こしおわり>

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