渡辺志保 カニエ・ウェスト『The Life of Pablo』徹底解説

渡辺志保 カニエ・ウェスト『The Life of Pablo』徹底解説 INSIDE OUT

渡辺志保さんがblock.fm『INSIDE OUT』の中でカニエ・ウェストの最新アルバム『The Life of Pablo』を徹底解説。このアルバムに至るまでの背景やテーマについて、ゴシップ情報なども交えつつ紹介していました。

(渡辺志保)『We want prenup!We want prenup!』というわけでですね、『婚前契約書、ちゃんと書かせろや!コラッ!』というカニエの(『Gold Digger』の)シャウトで始まりました。『INSIDE OUT』!

毎週月曜日22時から1時間お届けしているんですけども。毎回、第五週の月曜日はちょっとイレギュラー放送。いつもとは違う放送でお届けしておりまして。今日は誰もゲストがいない。で、私がいまから60分、カニエ・ウェスト(Kanye West)の新しいアルバム『The Life of Pablo』についてひたすらしゃべりまくる!というだけの放送回担っております。みなさま、いつも通り変わらず『#blockfm』『#INSIDE_OUT』をつけてどんどんTwitterでも変わらず参加してほしいんですけど。

(中略)

というわけでこれからカニエ・ウェストの最新アルバム『The Life of Pablo』をですね、私と一緒に紐解いていきたいと思うんですが。まず最初に申し上げておきたいことは、このアルバム、本当に音楽的にも素晴らしいし、詞世界も私は大好きなんだけど・・・カニエ・ウェスト史上最大の駄作だなと思っていて。というのも、聞けないっていうね(笑)。まず、聞けない。いま現状、まだTIDALでしか発表されていないということでね。

カニエ・ウェスト史上最大の駄作?

で、まあTIDALと言えばジェイ・Z(Jay-Z)が保有する音楽ストリーミングサービスのサイトなんですけども。どうやら、ジェイ・ZがTIDALをね、売却するっていうニュースなんかも最近ありましたけども。結局、何がしたいの!?おめー、どうやってんのよ!?みたいな感じがするんだけどさ。Apple MusicとかSpotifyならまだ、音楽ストリーミングシーンで一位、二位を争うようなプラットフォームだったらいいですよ。でもさ・・・みたいな。

世界の名だたるストリーミングサイトでもまだまだ浸透してないっていうか、サービスを受け入れていない国もあるっていうのさ、なんでTIDALだけで発表しちゃうのか。本当にそれだけは、私もカニエに関しては全てAgree!Agree!(同意)っていう感じだけど。これに関してはDisagree(反対)したいところでございますね。なんでTIDALだけなのか?っていうと、この先、マッドリブ(Madlib)がTwitterで『The Life of Pablo』のアナログ盤をテストプレスしたやつみたいなのを写真に上げてたりしてたので。今後、アナログが出るのかな?とか。

あと、今回の放送をするに当たりまして、私も過去の作品をワーッと聞き返してたんだけど、カニエのアルバムってCDのパッケージもどれもすっごい凝っているんですよ。前作の『Yeezus』なんかもさ、逆にCDはプラスチックのケースです!みたいな作りだったりするし。なにかしら、フィジカルには意味を持たせるタイプのアーティストだと思うので。今後、『The Life of Pablo』、以後『TLOP』と略しますけども、『TLOP』がどんな形で我々のもとに届けられるのか非常に楽しみなところでもあるし。

いま、kanyewest.com。カニエ・ウェストのサイトに行くと、TIDALで各曲30秒だけ試聴できるっていう。逆にもう蛇の生殺し状態みたいな感じなんですけども。それで、ちょっとね、さわりを聞くことはもちろんできますし。あとはちょっと、インターネットを駆使してあれやこれやとね、聞いていただくこともできるかと思いますし。なにより、いまからこの『INSIDE OUT』の中でチョロチョロッといろんな曲をかけていきたいと思いますので、ぜひぜひ聞いてみてください。

もう本当、リアーナ(Rihanna)にしろカニエにしろ、TIDAL!TIDAL!っていう感じで。すごい新手の新興宗教みたいな。やっぱジェイ・Zの力ってすげーな!って思っちゃうんですけど。今作『TLOP』ですけど、本当にすでに海外でも国内でもいろんな方が感想だったりレビューだったりを書いてらっしゃると思うんだけど。私は・・・これから本題にズブズブッと入っていくんですけども。今回のテーマはなにしろ、カニエの信仰心。あとは家族愛の二本柱から構成されている作品だと思っているんですね。

『Pablo』の意味

で、まずタイトルになっている『The Life of Pablo』の『Pablo(パブロ)』。で、パブロって誰だ?って。最初、『The Life of Pabloっていうのが俺のあたらしいアルバムのタイトル。決定でーす!』ってTwitter上で発表をした時にね、結構ザワザワっと。『パブロって誰だ?』大喜利みたいなのが始まって。で、結構スタンドアウトなところだと、麻薬王パブロ・エスコバル。ナズ(Nas)なんかもね、よく引き合いに出してますけども。あとは、芸術家のパブロ・ピカソのパブロなんじゃないか?とか、いろんな説があったんですけど。

なんとですね、このパブロは実際、新約聖書の著者の1人ともされている使徒パウロ。パブロ(Pablo)というのはスペイン語名の読み方で、英語読みだとポール(Paul)とかパウルとかいう名前になるんですけど。聖書の書き手の1人という。本当にタイトルからして宗教チックな匂いが醸し出されている。で、それに先駆けてカニエは『今度のアルバムはヒップホップアルバムじゃなくてゴスペルアルバムになる』って言っていて。

ゴスペルアルバムって・・・お前、この間まで『自分が神!』とか言ってたのに、いきなりなに言ってんの?っていう感じがするんですけども。実際にフタを開けてみると本当にゴスペルの要素もたくさんあって。あとは、神様にまつわるラインなんかもたくさんあるんだけど。カニエと神と言えば、前作『Yeezus』もそうなんだけど、実際にカニエはキャリア初期の頃から常に自分の信仰心っていうところをアピールしていたんですね。

で、ちょっと懐かしい方もおられると思いますが、彼が2004年に発表しましたデビューアルバム『The College Dropout』の中にも、まさに『Jesus Walks』という曲が入っておりまして。『神様は俺とともに歩いている』という曲が大ヒットしましたけども。ちょっとここでさわりだけ、聞いていただきましょう。カニエ・ウェストで『Jesus Walks』。

『Jesus Walks』

はい。というわけでいま聞いていただいておりますのはカニエ・ウェストのデビュー作。2004年の『The College Dropout』から『Jesus Walks』。懐かしい!この『ボン、ボン、ボン、ボンボン・・・♪』っていまだに聞けるのすごいねって。カニエの昔のアルバムを聞き返していたんですけど、やっぱりいつ聞いてもタイムレスだな!っていうのが。いきなりここでカニエベタ褒め!みたいになりますけども(笑)。いつ聞いてもタイムレスだなと思うし。ずっとカニエが神様と一緒に歩いていると思うと、すごく心がほっかほかみたいな気持ちになりますけども。

でもって、ゴスペルアルバムとか言いつつ、『The Life of Pablo』とか言いつつ、じゃあ実際にアルバムを聞いてみたらどうなのよ?っていう感じがするんですけど。もうこれがびっくり!ちゃんと、さっきも言ったけど聖書にまつわる言い回しとか、ちゃんとゴスペルチックな作りに一部、なっているんですね。で、アルバム1曲目の曲がですね、『Ultralight Beam』っていう。『超明るいビーム・光線』っていうタイトルの曲なんですけど。

ここ、カニエと同じシカゴ出身のチャンス・ザ・ラッパー(Chance The Rapper)。そしてザ・ドリーム(The-Dream)。そして、ケリー・プライス(Kelly Price)とカーク・フランクリン(Kirk Franklin)をフィーチャーしていると。で、ケリー・プライスはね、かつてR.ケリー(R.Kelly)と一緒に『Friend of Mine』っていうお互いの浮気のあれこれをやり取りしあって、すごい壮絶な泥沼曲とかもあるんだけど。ケリー・プライスは本当、ある意味ゴスペルシンガーとも認知されておりますし。カーク・フランクリンなんかは本当にアメリカでいちばん人気があると言っていいぐらいのゴスペルシンガー何ですよね。

だから、そういう本物畑の人を連れて来て、カニエが自分流のゴスペルアルバムを作っているというところでございます。ちなみにこの1曲目にフィーチャーされているチャンス・ザ・ラッパーなんですけど。彼、『INSIDE OUT』をずっと聞いてくださっている方であればかなり馴染みのあるMCだと思うんだけど。この『TLOP』を仕上げるにあたって、カニエが『予定通りにこのアルバムをリリースできないのはチャンス・ザ・ラッパーのせいだ』って言っていて。

で、チャンスね、この曲以外にも複数曲、このアルバムにソングライターとしてもね、参加してるんですね。で、1曲、クリス・ブラウン(Chris Brown)が参加している『Waves』っていう曲があるんだけど。それを最後の最後までチャンスがこの曲の手直しを・・・これでもない、ああでもないという風に言って。そのせいで、アルバムの発売が遅れたというようなエピソードもございまして。あと、この曲いまから流させていただくんですけども、冒頭4才の女の子が聖書の一節を朗読しているシーンで始まるんですね。

で、その女の子はナタリーちゃんっていう女の子なんだけど、もうナタリーちゃん本人のInstagramのページがあって。で、元ネタ。ナタリーちゃんがカニエにサンプリングされている、聖書の一節をしゃべっているところも動画がちゃんと残っていて・・・っていう。まあ、どうでもいいあるあるみたいな感じなんですけども。まあ、そういうね、そこまでディグっていただくのも楽しいかな?と思っております。

では、聞いてみてください。カニエが作ったゴスペルソングでございます。『Ultralight Beam feat.チャンス・ザ・ラッパー、ザ・ドリーム、ケリー・プライス&カーク・フランクリン』。

『Ultralight Beam』

このあたりからだんだんね、ゴスペルっぽくなってくるんですけど。この後、ケリー・プライスがグワーッとね、入ってくる。ここで、ザ・ドリームですね。このままちょっとぼんやり聞き入ってしまいそうなので、このまましゃべりますけども。こういった調子で、『The Life of Pablo』がね、スタートするんですね。で、私、ちょっと失礼しました。最初、4才の女の子が聖書の一節を読み上げているっていう風に言ったんですけども。あれ、ただ彼女がお説法を真似しているような感じですね。聖書の一節ではなくて、牧師さんが信者の方を盛りたてるようなお説法を4才の女の子がしゃべっているっていうシーンをサンプリングしたというようなことでございますけども。

そんなわけで、本当にカニエが以下に自分のキリスト教というか、神様に対する信心深さがすごいんだぜ!っていうのをアルバムの一部を通して歌っているわけなんですけども。次ね、もう1曲かけさせていただきたいんですが。『Wolves』という曲がありまして。これ、もともとカニエのシーズン1のコレクションの際にもお披露目されていた曲でございますけども。なんとここでカニエは妻キム・カーダシアン(Kim Kardashian)と自分の関係をマリアとヨセフにたとえているっていう。

キリストを生んだマリアとヨセフに自分たちをたとえているっていう、本当にお前ら、刺されるぞ!?みたいなね。ある社会団体から刺されるぞ!?みたいな感じがするんですけども。マリア様といえば、処女懐胎。処女のまま、イエス・キリストを身ごもったというお話がございますけども。カニエ・ウェストもリリックの中でばっちり、そういう・・・まあ、カニエが言うと本当にボンクラリリックになっちゃうんだけど。『I impregnate your mind, let’s have a baby without fuckin’』というわけで。『僕は君のマインドに種付けしたから、ファックせずに子供を作ろうよ』っていうね、そういうスウィートなラインもございまして。

私、前にね、24時間タマフルをやった時にもこの話を話したんだけど。キム・カーダシアンが自分のリアリティー番組『Keeping Up with the Kardashians』で『私とカニエ、1日500回セックスしてるんだけど、子供ができないんだよね』って言っていて。不妊治療をしていますっていうようなエピソードもあって。まあ結果、無事に第二子であるセイントくんを身ごもったっていうことがあるんですけど。

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いや、実際お前ら、1日に500回セックスしといて、なにが『君のマインドに種付けした』っちゅうんじゃ!?っていうような感じがするんですけども。まあでもこんな、精神だけで受精しちゃったら不妊治療とかいらないよなって思って。と、なるとカニエも奥さんが不妊治療に励んでいるのを見てちょっと辛い思いとかあったのかな?と思ったり思わなかったり。

ちなみに不妊治療とカニエと言えばですね、またちょっと関係ないニュースがありまして。つい最近もジョン・レジェンド(John Legend)。カニエとずっと仲いいですけど、ジョン・レジェンドも奥さんのクリッシー・テイガン(Chrissy Teigen)がずっと不妊治療を夫婦でがんばっていて、めでたくご懐妊したんだけど。それ、体外受精でご懐妊したんですね。しかも、『女の子がほしい』って、卵子のごくごく初期の時から、女の子が生まれる卵をピックアップして自分のお腹に戻したというようなストーリーがあって。それがちょっとある一部の人からはすっごい非難されたり・・・っていうことがたった数日前に起こったんですけど。

まあセレブの方はね、不妊治療もお金をかけられるから、いろんな可能性があっていいんだろうなって、関係ないことを思ったんですけども。で、この『Wolves』なんですが、そうやって自分とパートナーの関係を聖書の中のエピソードにもたとえていたりとか。あとはですね、自分の娘のノリーと息子のセイントの名前を出して、彼らを羊の皮(ウール)で包んで守らなきゃ。なぜなら周りにオオカミがたくさんいるからっていう。まあ、オオカミと羊のエピソードって、これも聖書の中で有名なエピソードがございますけども。そういった、ちょっと聖書チックなエピソードを挟みながら展開する曲がこちらの『Wolves』でございます。

『Wolves』

このへんでもね、『もしもクラブにマリア様がいたらどうする?』ってね。SIMI LABのマリアちゃんだったらね、クラブでたまにお見かけしますけども。んなことあるかい!っていうね。まあ、ある宗教団体から刺されなきゃいいけど・・・とか思っちゃうんですけど。

(中略)

カニエンゲル係数

(タイムラインのツイートを読む)『カニエンゲル係数とは?』。あ、これ、説明させていただきましょう。『カニエンゲル係数』とは、エンゲル係数と同じでですね、一世帯におけるカニエ指数の高さ。これを『カニエンゲル係数』といいます。なのでたとえば、家で『あっ、今日も朝から晩までカニエの曲がかかってたな』っていう時は本当に『カニエンゲル係数が高い』という風に表現できることができるんですね。

『私、また今日も朝から晩までカニエのことばっかり考えちゃった』っていう時もやっぱりカニエンゲル係数が高い。あと、『主人がいつもいつもカニエの曲でターナップしてて、家ですらターナップしてるわ』っていう時も、『ああ、今日はカニエンゲル係数が高い1日だったな』っていう風に使うのでね。ぜひぜひ使ってください。

(中略)

というわけで、いままでに何曲かお送りしてきましたけども。いままではカニエが『TLOP』でかなり宗教心の濃いことをラップしてますということを話したんですけども。あと、もうひとつは、冒頭にお伝えしましたが、宗教心・信仰心と家族愛でございますね。このアルバムの大きなパートを占めているのが、家族愛。これしかないという風に思っているですけども。本当にね、カニエ・ウェストって小さい頃に両親が離婚してるんですね。で、カニエのお父さんはアトランタにいて。カニエはお母様もドンダ・ウェスト(Donda West)さんと一緒にシカゴに移ったと。

で、カニエのお母様って知っている方も多いかもしれないですけど。シカゴ大学で教鞭をとるほどの才媛だったんですよ。なのでカニエも、最初は芸術系の専門学校に行くんだけど。その後、シカゴ・ユニバーシティ。自分のお母さんが教えている大学に入り直して。なんだけど、『このまま大学にずっと通っていたら、音楽活動に専念できないな』っていうことで中退して、『The College Dropout』っていうアルバムを作ったんですけども。ドンダ・ウェストさん。職を退いた後は、カニエ・ウェストと一緒にシカゴからハリウッドの方に引越して。ずーっとカニエのキャリアをサポートしてたんですよ。

それでもう、カニエもアウォードのステージなんかにもお母さんを呼んで。『本当に母ちゃんがいなかったら俺の成功はなかったんだよ』っていう。結構ヒップホップって2パック(2Pac)もね、ママに捧げる歌なんかありますけども。こういう母子家庭のね、お家が多いということもありまして。結構ママへの愛情を示すのが逆にクールだ、みたいなところもございますので。まあ、カニエ・ウェストとドンダ・ウェストっていうのは本当にニコイチ。自分の片割れみたいな感じでキャリアをメイクしていったんですが・・・

なんと、2007年にドンダ・ウェストが整形手術の、脂肪吸引と言われてますけども。脂肪吸引に際しての合併症を引き起こして、なんと病院で亡くなってしまうんですね。で、しかもカニエ・ウェストはその時、ツアー中で。お母様の死に目に会えなかったんですよ。で、もう辛いじゃん?ただでさえ、お母様を亡くすって辛いじゃん?で、カニエ・ウェストももう天涯孤独!みたいな気持ちになって。かつ、その時に付き合っていたアレクシス・ファイファー(Alexis Phifer)っていうビクトリア・シークレットなんかのモデルをしていた超かわいい子と付き合っていたんですけど。

彼女と婚約中だったんですね。で、もうお母さんも2人の結婚を楽しみにしてますねっていうような時だったんですけども。お母様を亡くして、そのほんの数ヶ月後にですね、カニエはその婚約者とも別れてしまうんですよ。で、もうズドーン!ですよ。本当。愛する女性を一度に2人も失ってしまったカニエは何をしたか?といいますと、ハワイのエイベックススタジオに籠もって傑作『808s & Heartbreak』。このアルバム、丸々1枚を悲しみのどん底で作ったっていう。で、めちゃめちゃ暗いわけ。ヤナタケさん、このアルバムを最初に聞いた時のこととか、なんか覚えてます?

(DJ YANATAKE)あ、でもみんな『暗い』って言ってたよね。

(渡辺志保)うん。そうなんですよ。もう『Coldest Winter』っていう曲とか入っていて。もう、さ・・・寒い!みたいな。で、私は当時カニエのこと大好きだったけど、結構当時、50セント(50Cent)とかももうイケイケだったから。私はヒップホップ=マッチョイズムみたいなものがかっこいいと思っていたんですね。まあ、サウスのT.I.とかも大好きだし。そういうのも大好きだったから、失恋とお母様を亡くした痛みは察しますけど、それで1枚ずっとジメジメジメジメ、『俺には何もないんだ』みたいなアルバムを作るなんて、超女々しい!とかって思っていて。アルバムを1枚聞くのも辛いみたいな感じで思っていたんですけど。

この作品を聞いて、私も『808s』をね、聞き返すことが増えてしまって。この後、このアルバムから1曲、みなさんにも聞いていただきたい曲があるんですけど。最初の方に収録されている『Welcome To Heartbreak』。フィーチャリングがキッド・カディ(Kid Cudi)っていう曲なんですが。これね、最初のリリックがね、『My friend showed me pictures of his kids. And all I could show him was pictures of my cribs. He said his daughter got a brand new report card. And all I got was a brand new sports car』っていう。

『友達が子供の写真を見せてくれたんだけど、俺が持っているのは自分の家の写真だけ。友達が娘の通知票を見せてくれるんだけど、俺が持っているのは新しいスポーツカーだけ。寂しい・・・』みたいな。こうよく、Facebookとか見てても、みんな同級生の友達が自分の子供の写真とかばっか上げていて、ちょっと寂しい・・・みたいなね、そういう気持ち、あるかと思うんですけど。他にも、『俺の大事なお姉ちゃんが結婚式を挙げたんだけど、誰を連れて行けばいいかわからない』とかね。もうとにかくとにかく、本当アルバム1枚丸ごと、暗い。俺には家族もいないし、恋人もいないし、暗い・・・っていうアルバムから、この『Welcome To Heartbreak feat. Kid Cudi』。ちょっと聞いてみてください。

『Welcome To Heartbreak feat. Kid Cudi』

はい。いま聞いていただいておりますのが『Welcome To Heartbreak feat. Kid Cudi』という曲でございます。いま、カニエとカニエのお母さんのドンダ・ウェストについてお話していたんですけども。うちの母からいまメールがピローン!と来て。『今日は特別早口だね』って(笑)。母ちゃんからいまメールが来たというね(笑)。

まあ、ドンダ・ウェスト。自分の母ちゃんの名前が『Donda』という風にね、言うんですけども。このドンダ・ウェストが逝去された後、カニエは自分のデザインチームを作るんですね。で、そのデザインチームでジャケットのアートワークとか、あとはカニエ以外のアーティストのジャケット。2チェインズ(2 Chainz)なんかもそうですけど。あと、ポスターとか手がけたりとかしてて。そのデザインチームの名前がさ、『DONDA』っていうんですよね。

もう、自分の母ちゃんの名前を自分のチームに冠するって本当、どんだけぇー?みたいなね、感じが(笑)。あ、もうヤナタケさんが・・・(笑)。

(DJ YANATAKE)だ、ダジャレ!?

(渡辺志保)ヤナタケさんがすっごい憐れみに満ちた目で見てくださいましたけどね。だからそういうエピソードもございまして。でもって、いちばん私の大好きなキム・カーダシアン(Kim Kardashian)とのエピソードにつながるんですけども。私、カニエ・ウェストがアレクシス・ファイファーと別れた後に、なんとあのザ・女豹みたいな感じのアンバー・ローズ(Amber Rose)と付き合いだして。『うわー、またゲス同士がくっついたなー』みたいな感じがしていたんですけど。

まあ、アンバーとも別かれて、その後、キム・カーダシアンとね、付き合いだすという。で、キム・カーダシアンもご存知の通り、もうゴシップガールの生活を地で行くみたいな感じですし。彼女のリアリティー・ショー。日本でもありますよね?大家族番組みたいなの。そういったテンションで、キム・カーダシアンの家族の一挙手一投足が全部、全米。ひいては世界中にテレビの電波に乗って放映されてしまうし・・・

あ、このね、ボングライントロ、ありがとうございます。これが『Keeping Up With The Kardashians』のテーマソングでございますけども。全世界にさ、自分は今日、なにをしましたとか。今日はお母さんとどこどこで何を食べましたみたいなのが、本当恥ずかしいところまで全部詳らかにされてしまうような。そんなキム・カーダシアンと本当にアートとは何か?みたいな、アーティスティックな部分をめちゃめちゃ追求しているカニエ・ウェストって本当に対極の存在のように私は感じていたので。なんでこの2人、付き合ったんだろう?って思っていたんだけど。

ちょっと今回、この『TLOP』を何回も何回も聞いて、やっぱりさ、カーダシアン家って見ての通りなんですけど、本当家族の絆、めちゃめちゃ強いんですよね。で、クリス・ジェンナーっていうキムのお母さんがいるんだけど。クリスが自分の娘の婿さんを、すごい自分の子供のようにかわいがったりして。一緒に旅行に行ったりとか、ちょっとしたディナーに一緒に行ったりとか。たとえば、お仕事で出張にニューヨークに行く時も、一緒にニューヨークに行って、一緒に現地で2人で散歩をしているとかね。

すごいやっぱり仲が良さげなんですよね。だからね、お母様を亡くしてしまったカニエが、キム・カーダシアンとそのバックにいるカーダシアンファミリーに自分の家族としての居場所を見つけたっていうのはかなり大きいポイントだったのかな?という風に思いました。キム・カーダシアンなんて、あの家族でいることが彼女の人生であり、かつビジネスでありますから。それはまあ、カニエさんにとっても合点がいくということだったんでしょうかね。

というようなことも感じておりまして。で、本当に周りにもいらっしゃるかもしれないけど、結婚して子供が生まれると、この人、こんなに変わるんだ?みたいなことが、まあちょいちょいあるじゃないですか。『○○さん、前はすっげートガッてたのに、子供できたら毎日さ、ブログに子供の写真とか超ガン上げしてんだ』みたいな。まあ、そういう・・・まあ、誰だよ?みたいな感じだけど(笑)。身近にもあるじゃないですか。ちょいちょい。で、本当その極端な例がカニエ・ウェストですよね。

だから『Yeezus』っつって前作は『自分が神様でーす』って言って。サウンド的にもすっごいアグレッシブで。世界中の若いクリエーターをごっそり集めて。で、あんなにすごいゲリラ的なプロモーションしたりとか。そういったことでね、自分のアーティスト性を高めていたカニエ・ウェストが、今回もすっごいめちゃくちゃなんだけど。直前にアルバムのトラックリスト変更になったりとか、TIDALだけで発表したりとかもめちゃくちゃなんだけど。本当に聞いてみると、『あ、カニエさん、本当に家族できてよかったね!』みたいな。

『808s』を聞いた後だと、特に『いやー、カニエに家族ができて。娘と息子が生まれて本当に本当によかったね!』という風に感じるアルバムでございます。で、さっきも言いましたけど、アンバー・ローズと付き合っている時はやっぱりテイラー・スウィフト(Taylor Swift)の受賞スピーチを邪魔したりとか。パパラッチにもすっごい暴力的に振る舞ってたりしたんですけど。最近のカニエはパパラッチに撮られる時ですら、結構にこやかだったりとか。

あとはもう去年ね、ドロップした『Only One』っていう曲がありますけど。あれでもうさ、丸々1曲、自分のお母さんと娘のことを丸々1曲。あの、ポール・マッカトニー(Paul McCartney)まで引っ張りだして歌っているような曲ですから。

もう彼の親バカっぷりはもちろんそこでよく分かるんだけれども。で、ちょいちょい小出しにされる曲とかもね、逐一ノースとセイント。彼の娘と息子の名前が入っていたりとか。キムに捧げるラブソングっぽいラインが度々入っていたので。『あ、次のアルバムはすごい家族愛に満ちたアルバムになるんだろうな』という風に思っていたら、本当に予想に2割増しぐらいで家族愛が強い作品になっておりましたので。あらあら・・・というような感じなんですけども。

そうそうそう。今回、クレジットが・・・我々も音源は全部聞けないけど、クレジットだけは全部カニエの公式サイトで見れますから。で、ちょっと前にさ、ウィズ・カリファ(Wiz Khalifa)が発表したアルバムで1曲、自分の息子であるセバスチャンをフィーチャリングアーティストにクレジットしている曲があって。実際にセバスチャンと自分との会話の音源が入っている曲があるんですけども。

カニエはじゃあ今回、どういう形で娘、息子をフィーチャーするのかな?と思って。『Featuring North West』とか、『Featuring Saint West』とか絶対にあるべ?と。で、私の予想では、セイント・ウェストが生まれる、デリバーされる瞬間にですね、カニエが絶対にテレコを持っていって、彼の産声を録音してると勝手に信じこんでいたの。で、その産声で新作が始まるんじゃないかな?みたいな。だってさ、息子が生まれたのが12月5日とかなんですね。

で、アルバム、年内に『TLOP』出るだろう?っていうか、その頃はまだ『SWISH』っていうタイトルだったけど、年内に出るんじゃないの?って思っていた時に、アルバムが先か?息子が先か?みたいな状況になっていたから。で、もっと言うと、これも『Keeping Up With The Kardashians』情報ですけど。長女のノースちゃんが生まれる時はキムが早産っていうか、ちょっと血圧の関係で予定よりも早くノースちゃんをお腹から出さなきゃいけないっていうシチュエーションになって。予定日より早く、ノースを生むことになったんですよ。

で、カニエはたしかね、ラスベガスかどこかにいて。ちょうど自分が自宅のあるLAに飛行機で戻っている時だったのね。だから、ノースちゃんの出産には立ち会えなかったんですよ。カニエは。たぶんそれ、すっごいね、悔やんでいたと思うんだよね。で、セイントの出産の時にはどうやら立ち会ったみたいなので、絶対に産声フィーチャーされてるべ?と思ったらですね、ぜんぜん産声入ってなくて。

なんだけど、さすがカニエ!と思ったんですが。話戻りますけども、クレジットでアルバムのクリエイティブコンサルタントっていうところがあるんだけど。そこに『North West, Saint West』っつって。自分の子供の名前を何よりも先にクレジットしていて。だからまあ、自分の子供が今回の作品のインスピレーションになりましたっていうのをこのクレジットでね、明らかにしているっていう。本当にほっこり♪みたいな感じがするんですけども。

で、ちょっとここでまたアルバムから1曲、聞いていただきたいんですけども。私がこの収録曲の中でいちばんカニエのウェスト家ですね。一家4人になりましたけども、ウェスト家の愛情を感じる曲がありまして。『FML』という曲なんですけども。これ、『Fuck My Life』の『FML』っていう説もあれば、でもカニエ・ウェストがはっきりとリリックの中で言っているのが『For My Lady』なんですね。『俺のレイディーのために捧げる曲です』って。

で、リリックの中にも、『I been feeling all I’ve given. For my children. I will die for those I love』『自分の子供たちのためなら命を捧げても惜しくない』とか、『いつだって僕は自分のレイディーになってくれる女の子を探していて、これ以上アホな女に時間を割くような、そんな危険な真似はしたくない。キムに全てを捧げます!』みたいなね、素晴らしいラブソングになっておりますので、ここで聞いてください。『TLOP』から『FML』。

『FML』

はい。いま聞いていただいておりますのはカニエ・ウェストの最新アルバム『The Life of Pablo』から『FML』。最初に言えばよかった。これ、フィーチャリング ザ・ウィークエンド(The Weeknd)ですね。今日ね、アカデミー賞でもライブをしていたザ・ウィークエンドでございますが、本当このアルバム、ゲスト陣もすごくて。ザ・ウィークエンドも入っているかと思えば、クリス・ブラウンもいるし、チャンス・ザ・ラッパーもいるし。で、チャンスが一緒に仕事しているドニー・トランペット(Donnie Trumpet)もトランペットで参加しているし。

カーク・フランクリンもいれば・・・みたいな。もうどんだけゲスト多いんや!?って。エル・デバージ(El DeBarge)とかもいるしさ。極めつけはやっぱり、マックス・B(Max B)ですよね。マックス・B、いま70何年の刑期をお務め中のマックス・Bがなんと刑務所から電話で、『いやー、ありがとう。カニエ。フックアップしてくれて!』みたいな感じのサグトークを録音して。それをアルバムに収録しているんだけど。

で、これももともとこのアルバムさ、『So Help Me God』っていうのがそもそものタイトルで。その後、『SWISH』に変えますっていう発言がありまして。その後に、『WAVES』っていうタイトルに変えますっていう、二転三転四転してたんですね。それで、『WAVE』と言えばマックス・Bの曲のタイトルであるとか、彼の好きなスラングであるとか、そういった意味もありまして。で、そこにまたウィズ・カリファが『マックス・Bのことよく知らねえのにおめー、彼のこと利用してんじゃねーよ!』みたいな、そういう楯突くようなツイートもあったりして。そこも一悶着あったんですけども。

すっごいいい話だな!と思ったのが、マックス・Bのムショからの電話を録音して。しかもこれはイリシットツボイさんのツイートで知ったんですけど、そこのサウンドエンジニアかな?を、担当しているのがあのフレンチ・モンタナ(French Montana)なんですよね。で、フレンチ・モンタナもずーっとマックス・Bのことをストリートにいる頃からずっと付き合いのあった、師弟関係みたいな感じなんですけども。そんなフレンチ・モンタナがカニエとマックス・Bの架け橋になったんだけど。

フレンチ・モンタナと言えば、なんとキム・カーダシアンの実の妹、クロエ・カーダシアン(Khloe Kardashian)と交際したこともありまして。すごいね、いろんな縁を感じてしまいます。いまはもう、クロエとフレンチ・モンタナは破局して。その後、クロエはジェームス・ハーデン(James Harden)。バスケ選手。しかもアディダスと契約しているイケてるバスケ選手のジェームスと付き合っていたんだけど、元の夫。彼もレイカーズの花型選手でしたけども、ラマー・オドム(Lamar Odom)というバスケ選手ともともと結婚してて。

で、ラマー・オドムが最近、日本でもスポーツ選手のそういう事件、ありましたけど。クラックやりすぎて昏睡状態に陥って、本当に生死をさまようっていうことがありまして。その時に甲斐甲斐しくクロエが、自分の元旦那さんですから、看病して。で、またいまその2人が復縁したというようなニュースもございますけども。その、家族愛、家族の絆を求めていたカニエ・ウェストが、自分の奥さんの妹の彼氏っていうか元カレっていうところとも、ずっと同じシーンでサバイブしているラッパー同士ですから、そういったところでリレーションが続いているんはいいなとも思うし。

あと、いまいちばん末っ子の妹のカイリー(Kylie)ちゃんはずっとね、タイガ(Tyga)とね、くっついたり離れたりしてますけども。MCのタイガと付き合っていますから。カニエとタイガ、プライベートで一緒に・・・それこそタイガも自分の子供がいるからさ。子供同士と一緒に、みんなでディズニーランドとか行ってるんだよね。子供の誕生日に。で、彼もドン・C(Don C)っていうマネージャーさんもいますけど。ドン・Cもつい最近、子供が生まれて。で、ドン・Cのところにもお姉ちゃん、いるからさ。みんなで家族ぐるみでディズニーランドに一緒に行ったりとかしてて。そういうのもね、カニエ、『ああ、こういうことをやりたかったんだろうな』みたいな気持ちになるわけです。ほんわかします。

で、こういうほんわか家族愛ソングもたくさんあるんだけど。前もこの番組で『Highlights』っていうのを流しましたけども。ヤング・サグ(Young Thug)がね、『チンコの先っぽにGoProカメラをつけたい』っていうね、すっごいほんわかしたお花畑ソング、お送りしましたけども。やっぱりそういうのもたくさんあって。で、やっぱりすごくゴシップシーンを賑わせているラインと言えば、リアーナとスウィズ・ビーツ(Swizz Beatz)を迎えた・・・このメンツだけでやかましそうな感じがしますが、『Famous』という曲がありまして。

なんと、そこでテイラー・スウィフトにすっごい淫らな表現をしてテイラー・スウィフトを攻撃してるんだけど。その曲の本当、最初の方で『I feel like me and Taylor might still have sex. Why? I made that bitch famous』。で、この後、スウィズ・ビーツの呑気な声で『 ガッデーム!(God damn)』っていう声が入るんだけど。なんてことを歌っているか?といいますと、『俺とテイラーはセックスしてるかもしれない。なんでか?って言うと、俺があのビッチを有名にしてやったからさ!』『ガッデーム!』っていうようなね、もう本当にテイラーじゃなくても絶対、女の子だったらイラッとするラインだと思うんですけども。

まず、この曲を聞いたテイラーのお兄さんが自分の持っているYeezy。カニエがデザインしたスニーカーですけども、Yeezyを『春の大掃除シーズン到来!』みたいな感じでInstagram上でYeezyをゴミ箱に投げ捨てる映像をUPして。で、その後にカニエがちゃんと『いや、この歌詞を書くにあたってテイラー・スウィフト側にもちゃんと確認を取りました。で、OKもらって許諾もおりてます』っていうことを発表したんですけども、テイラー側は『いや、そんなこと聞いてませんし、これに関しては猛烈に抗議します』というようなこともございまして。

で、カニエとテイラーというと、本当に因縁の仲といいますか。ご存知ない方のためにここでもう1回説明しますと、2009年のMTVビデオミュージックアウォードでテイラー・スウィフトが最優秀女性ミュージックビデオ賞を受賞しまして。ステージ上ですごいいいスピーチを始めたところ、なんとアンバー・ローズと付き合って、ヘネシーの瓶を持って会場にいたカニエ・ウェストがいきなりステージ上に乱入して。『I’m let you finish. (お前のスピーチをちゃんと終わらせてやるから、俺にこれだけは言わせてくれ)』って。

で、『ビヨンセの方がすごいビデオ撮ったから、ビヨンセの方がこの賞を受賞すべきだったんだ!』っていうのを言い捨てて、もうテイラー、ポカーンみたいなことがございまして。

ただ、その後カニエ・ウェストも正式に謝罪をしたりとか。あとはテイラー・スウィフトの誕生日に立派なお花を贈ったりとかして。去年ですね。で、テイラーちゃんが『カニエ、ありがとう』みたいな。で、また他のアウォードでテイラー・スウィフトがカニエ・ウェストの受賞のプレゼンターを務めるみたいなこともありまして。2人の仲は、まあまあ、あんなことがあったけど、なんだかんだ良好なんだなと思ったところにですね、この『Famous』騒動がございまして。

もうテイラー・スウィフトね、この間のグラミー賞でも最優秀作品賞、アルバム賞を受賞した時に、『自分のキャリアを阻むような人が現れるかもしれないけど、みんな気にせずに。女の子たち、強く頑張っていこうね!』みたいなスピーチをして。またこれがカニエのことを言ってるんじゃないか?とか、そういうことがありましたけど。で、私今日、『Kanye Taylor』とかで調べていたら、ちょっと前にフォーブス誌が発表した統計があって。これはちゃんと日本語でニュースになっていたんですけども。『影響力はカニエよりテイラーの方が上、ニールセン調査結果』っていう、そういう見出しで日本のフォーブスのサイトに載っていて。

ちょっと引用させていただきますと、『18才以上のアメリカ人のうち、カニエ・ウェストに影響力があると考える人はわずか24%。一方でテイラー・スウィフトに影響力があると答えた人は55%』と。24対55でもうテイラー・スウィフトの圧勝!みたいな感じでございました。

[リンク]影響力はカニエよりテイラーの方が上、ニールセン調査結果
http://forbesjapan.com/articles/detail/11366

もうカニエさん、こういったところでも型なし、ヘナヘナ・・・みたいな感じなんですけども。じゃあその話題の1曲『Famous』、ここで聞いていただきたいと思います。カニエ・ウェストで『Famous feat. Rhianna & Swizz Beatz』。

『Famous feat. Rhianna & Swizz Beatz』

はい。いま聞いていただいておりますのはカニエ・ウェストの最新アルバム『The Life of Pablo』から『Famous feat. Rhianna & Swizz Beatz』。スウィズの声で『Wake up, Mr West!』っていうところが何回か出てくるんだけど。『目を覚ましてくれ、ウェストさん!』って。本当に、『カニエ、目を覚ましてくれ!』って言いたくなるようなリスナーも世界中に何十億人といるんじゃないか?っていう感じがしますけども。もう本当ね、このアルバム、何回も私、繰り返し聞いているんですけども。本当、カニエはこのアルバムで信仰心とか家族愛もそうなんだけど、一体なにを表現したかったんだろうな?って。

何回も何回も考えちゃって。で、直前までタイトルも決まらないし、トラックリストも決まらないし。で、あんなTIDALだけで発表しちゃって。たとえば、彼はデフ・ジャムっていうかユニバーサルに所属してますけども。ユニバーサル的にもカニエ・ウェストのアルバムってたぶん1年間の予算の大きな割合を占めるぐらいの超大作だと思うんですよね。それをあんな風にしちゃって。なんかそれこそ・・・どういうビジネスモデルで成り立ってこうなってしまったんだろう?って考えたりとか。

あと、『30 Hours』っていう曲が収録されていて。これはまだSoundCloudでも聞けるのかな?これは、『シカゴから30時間ドライブして君のところに会いに行くよ。まだ遠距離恋愛の頃の気持ちを忘れてないよ。そん時の俺のままだぜ』みたいなことを歌っているんだけど。これとかも、後ろの方のカニエが、どんどんどんどんラップがグダグダになっていくんですけど。『俺、今日MSG(マジソン・スクエア・ガーデン)でやったんだよね!』みたいなことをもうラップしてて。

だから本当に、マジソン・スクエア・ガーデンでYeezy Season 3のお披露目プラスこのアルバムのお披露目会っていうのをやっていましたけど。そこでアルバム全部、もうフィニッシュしたものが再生されるのかな?と思いきや、そうではなくて。その後もまだアルバムを作り続けていて。なんなら、チャンス・ザ・ラッパーが『いや、ここはこうした方がいいっす』みたいなこともありつつで。結局、いつまで作っていたんだろう?って思うし。

ちなみに、あのマジソン・スクエア・ガーデンのYeezy Seasonのお披露目、日本人でもね、行かれた方がいるとのことで。なんと、m-floのVERVALさんが会場にいらっしゃったみたいで。

(DJ YANATAKE)あと、R-RATEDの・・・

(渡辺志保)アキラさんも。ねえ。そうなんですよ。ちょっとこの放送前に何とかお話をうかがいたかったなとか思ったりもね。☆Taku Takahashi局長からこのお話を聞いたりもして。本当すごいイキフンだったみたいですよ。で、これはいろんなところで報じられているけど、アルバムの音をかける時も、どんな厳かな雰囲気で音が鳴り始めるのか?と思ったら、カニエが自分のラップトップに端子を刺して。ブブブッ!とかっていいながら。『えっ?そんな感じで音出しちゃうの!?』みたいな。そういうね、すごくイージーな感じで始まったみたいで。

あれもTIDALでね、ストリーミングされてましたし。あのストリーミングはTIDAL会員ではなくても後から見ることができたんで。私もそれで拝見したんですけど。本当ね、異様な空気感だったし。それでまあ、このアルバム、本当一貫性もないようで、ある。あるようで、ない。みたいな。さっきも言ったけど、参加アーティストの挟み込み方もなんかすごいぶった切っている感があるし。褒め言葉だよ。で、たとえば普通の曲って最初のヴァース、フック、ヴァース、フック。で、ブリッジがあってヴァース・・・みたいな感じで終わるけど、そんなじゃないじゃないですか。

で、アカペラで披露した『I Love Kanye』とかは本当、それこそ自己倒錯っていうか、自分のアイデンティティーが崩壊しちゃっているのかな?みたいな。そういうインタールードも挟んであるし。なんだけど、さっきから繰り返し言っていますが、私がやっぱりこのアルバムを通してすごい感じるのはですね、昨日自分で対訳も起こしてブログにUPしたんですけど、やっぱり『Real Friends』。『本当の友達、お前たち、何人いるんだよ?俺がほしいのは本当に心から腹を割って話し合える友達しかいらないんだ』ってことであったりとか。

[リンク]カニエ・ウエスト「Real Friends」対訳(HIPHOPうんちくん)
http://shihowatanabe.hateblo.jp/entry/2016/02/29/010639

さっきもかけた『FML』ですね。そこでも、『子供たちのためにだったら命を捧げても構わない』っていう。本当に、いい意味で血が通ったカニエ・ウェスト。ディズニー映画にもなっている『美女と野獣』の野獣が美女との愛に触れて、野獣から人間に戻ったみたいな。妖怪人間ベムが人間になったみたいな。そういう、愛を知って、『かっ、カニエが立った!』みたいな。人間になった!みたいな。そういう、すごい血と肉を感じるというか、血が通ったカニエ・ウェストが作ったアルバムなんだなっていうのをすごく感じまして。

そういう意味では、さっきも紹介した『808s & Heartbreak』ともすごく近いところがありつつ、対極にあったりもするアルバムでもありますけど。ただ、なにを表したかったんだろう?って、カニエ自身がヒントをくれていて。私はこれ、アルバムの中ですっごい好きなラインなんですけど。『Feedback』っていう曲の中で、『Name one genius that ain’t crazy(イカれていない天才が1人でもいたら、そいつの名前を言ってみろ)』。イコール、『天才はみんなイカれてるんだから、お前ら、この作品を聞け!』って言っているラインがありまして。

カニエ・ウェストは何がしたかったのかしら?って思うと、このラインを私は思い出して。『ああ、これこそが天才的で変態的なカニエ・ウェストが作った素晴らしい最新アルバムなんだ』と無理やり納得するようにしております。ということで、みなさんにもこの気持ちを味わっていただきたいので、ここで聞いてください。『Feedback』。

『Feedback』

いまのところですね。『Name one genius that ain’t crazy(イカれてない天才がいるんだったら、そいつの名前を言ってみろ)』ということで。スティーブ・ジョブズとかもね、結構ハチャメチャなパーソナリティーだったみたいなことも聞きますし。というわけで、散々しゃべり尽くしてしまいましたが、カニエ・ウェストの最新アルバム『The Life of Pablo』について、私のこのベシャリもしっちゃかめっちゃかでございましたが。いかがでしたでしょうか?

多少ね、収録曲をここでお送りすることによって、みなさんとも、まだ聞いてらっしゃらない方がいらっしゃれば、『TLOP』の世界観をちょっとだけでもシェアできたかな?という風に思っておりますので。本当にいろんなご意見をお待ちしております!という感じなんだけど・・・出した後もさ、史上最高の病みツイート。本当、カニエ・ウェストの闇を見たみたいな感じの。『借金があります』とかさ、いろんな有名人に楯突いたりとかさ。

っていうか、カネないなら、売れよ!みたいな感じがすっごいしますけども。本当にこのアルバム、前も言ったけど、『出ます!』って言ってから出るまでが一連のお祭り騒ぎだったし。ここから、また出た後もね、まあいまTIDALでしか発表されてないって何回も言ってますけど。TIDALでしか発表されておりませんので、今後どういう形でこの『The Life of Pablo』がいろんなトランスフォームを経るのか?経ないのか?っていうところもとても興味深いなという風に思っておりますので。またなにか、カニエの下らないゴシップがあれば、みなさんとここでシェアしたいと思っております。

<書き起こしおわり>

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