宇多丸が爆笑問題に語る 映画ではなく音楽の道を選んだ理由

ライムスター宇多丸 爆笑問題田中に日本語ラップの面白さを伝える 爆笑問題の日曜サンデー

ライムスター宇多丸さんがTBSラジオ『爆笑問題日曜サンデー』にゲスト出演。プロフィール紹介後、太田さんから『映画に進もうと思わなかったのか?』という質問に対し、こう答えてました。

(田中裕二)ということで、宇多丸さんのプロフィールを最初にご紹介されていただきたいと思います。

(江藤愛)本日のお客様、ライムスター宇多丸さんは1969年。昭和44年5月22日、東京都でお生まれになりました。

(田中裕二)前回の大雪を経験してないんだな。

(宇多丸)あ、そうなんですか。

(江藤愛)巣鴨高校を卒業後、早稲田大学法学部に入学。1989年に大学の音楽サークルの後輩、MUMMY-DとともにHIPHOPグループ、ライムスターを結成し、93年にアルバム『俺に言わせりゃ』でデビューします。その後、DJ JINがメンバーに加わり、3人での活動を開始。ライブなどを中心に注目を浴びると、99年、アルバム『RESPECT』がヒットし、日本のHIPHOPシーンを代表する存在へと駆け上がります。2007年にはベストアルバム『メイド イン ジャパン』がオリコンランキングトップ10入りを記録。さらにその年、初の日本武道館ライブを開催。大成功をおさめました。

(宇多丸)そこそこ売れてるんです。

(太田・田中)(笑)

(江藤愛)音楽活動の他、アイドルや映画の評論家としてもテレビ、ラジオ、雑誌など幅広いメディアでご活躍されており、現在MXテレビ『5時に夢中!サタデー』にコメンテーターとして出演。TBSラジオでも『ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル』のパーソナリティーを務められ、2009年には第46回ギャラクシー賞DJ・パーソナリティー賞を受賞されました。ライムスター宇多丸さん。本日のお客様です。

(宇多丸)はい。すいません。

(田中裕二)ゲストの一番好きな曲をうかがいました。その曲をBGMにプロフィールを紹介していきますが。PUBLIC ENEMYの『FIGHT THE POWER』。

(宇多丸)はい。まあラップのね。

(太田光)これは意外でしたね。FIGHT THE POWERでくるとは思わなかった・・・

(田中裕二)知らねーだろ!

(宇多丸)(笑)

(太田光)俺、『DA・YO・NE』とかだと思った。

(宇多丸)DA・YO・NEはでも、ぜんぜん縁の曲なんですよ。相方のMUMMY-Dってのが、YURIちゃんのところの。女の子のパート、歌詞書いてるの。

(田中裕二)えっ、そうなんだ。

(太田光)ほら!

(田中裕二)ほら!じゃねーよ!偶然じゃねーかよ!

(太田光)へー。やっぱり、こういうHIPHOP。

(宇多丸)これね、ちょうど89年のきょくなんです。これ。で、要するにグループを結成した頃に、聞いててみたいな。これ、映画の『DO THE RIGHT THING』っていうスパイク・リーの映画の主題歌でもあって。

(田中裕二)あー、スパイク・リーってこの頃流行ったねー。

(宇多丸)特に『DO THE RIGHT THING』は本当に話題になって。で、まあこの曲を聞いて、映画見て。なんていうか、日本のHIPHOPを志すにあたり、いろいろ議論なんかして。

宇多丸が影響を受けた映画

(田中裕二)映画好きと音楽好きって、どっちが先とかあるの?

(宇多丸)どっちかって言うと、僕映画の方が先でしたね。

(田中裕二)映画が先なんだ。

(宇多丸)やっぱり小学校の時にスターウォーズ見て。

(太田光)やっぱり早稲田だからさ。相当頭がいい。

(宇多丸)これ、違うんです!

(田中裕二)しかも巣鴨高校もね、結構。

(江藤愛)御三家ってね。

(宇多丸)御三家じゃないんです。巣鴨は開成というね、中高のすべり止め校なんですよ。

(太田光)開成のすべり止めっつったら、相当頭いいよ。

(宇多丸)でも、すべり止め校のあり方。ちょうどいま、時期だからこれ直接言うのもなんだけど。開成の試験があって、翌日が巣鴨の試験なんですよ。で、巣鴨の場合はですね、試験の当日に合否を発表しちゃうんです。

(太田・田中)えっ!?

(宇多丸)要するに、開成の合否が発表される前に試験をやって、発表しちゃうんです。これ、どういうことかわかりますか?

(江藤愛)わかんないです。

(宇多丸)すべり止め校だから、すべり止めで受ける人がいっぱいいるじゃないですか。で、その後開成に入っちゃう人もいるじゃないですか。その人の入学金もいただきます!っていう。

(田中裕二)そういうことか。

(宇多丸)そういう!

(田中裕二)昔、そうだったもんね。

(宇多丸)そうなんです。だから学校の入り口から、もう卑怯な手口みたいな。

(太田光)(笑)

(宇多丸)こっから始まってるんでね。もう卑劣なね。

(田中裕二)俺ら芸人の後輩で、まじかるずっている。あいつら、確か巣鴨高校。

(宇多丸)マジですか!?巣鴨プリズン。僕は巣鴨プリズンって呼んでます。

(江藤愛)巣鴨プリズン。

(宇多丸)もう戦犯ですよ。本当に。地獄のような男子校ね。

(江藤愛)男子校なんだ。

(田中裕二)そっか。スターウォーズ、小学校か。

(宇多丸)小学3年生かな?

(太田光)最初に見た?

(宇多丸)まあ、映画はそれまでにちょいちょい見てたんですけど。やっぱりガツーン!と来た。あと、さっきの84年の映画の話しなんかも、さっき控室で聞いていて。

(田中裕二)イライラした?

(宇多丸)イライラじゃなくて。『俺もその話、したい!』って。

(田中裕二)でも、難しかった。84年。

(宇多丸)そうですか?

(田中裕二)うん。インディー・ジョーンズは本当、ああいう。ちょうどね、スピルバーグとかあのへんがバーッと来てたからね。

(宇多丸)もう、『メイン・テーマ』『愛情物語』の2本立てとか、まざまざと覚えてますよ。あのね、劇場では愛情物語の方がウケてたんですよ。

(太田光)あ、そう?

(宇多丸)メインテーマ。森田芳光ね。なんだけど、ちょっとね、オフビートな笑いみたいなのが若い観客、いまいちわかってなくて。僕、森田芳光ファンだったんで、もう殊更にアピール笑い。

(田中裕二)アピール笑い。

(宇多丸)俺はわかってるぞ!笑いみたいな。そういう感じですよ。

(田中裕二)『家族ゲーム』はこの前年ぐらい?

(宇多丸)83じゃないですかね?84年は森田芳光は『ときめきに死す』とね、『メイン・テーマ』。

(太田光)沢田研二!

(宇多丸)そうなんです!ジュリーとね、杉浦直樹さんがね、この映画きっかけで仲良くなったっていうんですよ。

(太田・田中・江藤)へー!

(太田光)さすが、詳しいね!

(田中裕二)俺もよくね、ラジオ聞かせてもらってるけども。映画のデータの。頭の中、どうなってるんだ?と思う。

(太田光)映画好きの人って、みんな本当。そう思わない?

(田中裕二)でもさ、1個の映画で『これは昔でいう◯◯の映画の冒頭もそうだったし、これもオマージュだし・・・』って。そういうのが全部出てくるのは、どういう脳みそなの?

(太田光)映画に進もうと思わなかったの?

(宇多丸)いや、これがね、実は高校の時に8ミリフィルムですよ。まだ。機材をそれまでのお年玉貯金したのを全部下ろして、買って自分で作ってみたことがあるんですよ。で、作ってみて、『あ、俺これ向いてねーな』って。

(太田光)ええ?それ、早すぎるわ!

(宇多丸)いや、もちろんそうなんですよ。がんばれば、なんとかなったのかもしれないけど。ただラップと違うのは、ラップはちょっとやってみたら、『あ、俺これ向いてるわ』って。

(太田光)向いてない!向いてない!

(宇多丸)(笑)

(田中裕二)失礼!『向いてない』は失礼!

(宇多丸)その通り。いざ進んでみたら、『やっぱり俺、これもちょっと・・・』って(笑)。

(太田・田中)(爆笑)

(宇多丸)ってことはあるんです。それはたしかにそうなんです。おっしゃる通りなんだけどね。だから、自分でやってみたら、なんか映画は・・・映像って、面倒くさいんですよ。要は音楽とかに比べると。映るものがさ、ちゃんとやらないといけないし。人もいっぱい関わるし。

(太田光)それは学生の立場だとね。

(宇多丸)そうかもしれないですね。なんかそこで、もうちょっと自分の考えがダイレクトに反映される方がと思って。

(太田光)なるほど。でも逆に言うと、これから行く可能性、ある?

(宇多丸)だってもう、俺、キツいでしょ?こんだけいろいろ言っておいて。

(田中裕二)まあまあ、よく言うじゃないですか。映画評論家は映画を作らない、みたいな。

(太田光)『シベリア超特急』とか、あるじゃん。

(田中裕二)だから・・・

(宇多丸)でもね、そんなことない。映画評論家出身の映画監督なんか、世界中いっぱいいますからね。ゴダールだってなんだっていいですけど。トリュフォーだなんだ。

(田中裕二)でも、そういう感覚でしょ?やっぱり。これだけいろいろ映画について語っちゃったら、自分で作る時。

(太田光)いや、俺それの方が堂々としてると思うよ。

(田中裕二)堂々としてる。だからいいと思うけど、二の足を踏むのはわかりますよ。

(宇多丸)まあね。あとやっぱりその、高校の時にやって、とは言え、いきなりできるタイプじゃなかったっていうね。でね、その僕の友人で、同じ頃に自主映画作っていた人で、そういう賞とかとってないような人ですよ。の、昔のやつとか見してもらうと、『お前、超映画わかってんじゃん!』みたいな。だから俺、やっぱり進まなくてよかったわっていうね。思うの、ありますね。

(太田光)映画的な、なんか運動神経というか。

(宇多丸)まさにそういうことです。こうすれば映画になる、みたいなことを、なんか自然にわかっているっていう。

(太田光)理屈じゃなくてね。

(宇多丸)そうです。で、僕はむしろ大人になってから、いろいろ頭で考えて考えて、『あ、この場面はこういうことか』みたいな。後で理屈で理解する方なんでね、それは作る反射神経とは別なんですよ。

(太田光)あー、それはたしかにわかる気がする。

(宇多丸)映画監督の人でもさ、これ誰とは言いませんけど、ものすごい立派なね、映画理論と。映画のこともよく知っているし。文章を読むとむちゃくちゃ、『この人、よく知ってるな!』って。で、映画見ると、あれ?っていう人はやっぱりね。

(太田光)山田洋次?

(宇多丸)山田洋次さんはいいですよ!いや、『小さいおうち』、いいですよ。すごいいいです。

(太田光)山田洋次は終わってるんじゃないか?って気がする。

(宇多丸)いや、終わってない。終わってない。むしろ最近、若返ってる。

(太田光)あ、そう?

(宇多丸)いまどきね、年取った映画監督の方がね、ちょっと攻めている映画を撮る傾向、ちょっとありますね。スコセッシの今度の『ウルフ・オブ・ウォールストリート』なんか、もう最高ですよ!

(江藤愛)ディカプリオの。

(宇多丸)もう、当たってないのに。番組で扱ってないのに言っちゃいますけどね、見てて、まだ2月ですよ?今年ベスト!って。

(太田・田中・江藤)えーっ!?

(宇多丸)もう、最っ高ですよ。最高です。

<書き起こしおわり>

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