宇多丸 岡村靖幸さらにライムスター『マクガフィン』初披露を語る

宇多丸 岡村靖幸さらにライムスター『マクガフィン』初披露を語る アフター6ジャンクション

宇多丸さんがTBSラジオ『アフター6ジャンクション』の中で岡村靖幸さんとライムスターのユニット「岡村靖幸さらにライムスター」によるコラボ曲『マクガフィン』をライブで初披露した件について話していました。

(宇多丸)ちょっと私事のお話、先にいいでしょうか? まあ、先週土曜日、10月19日にこれ、ずっとシークレットだったんですね。私どもRHYMESTER、ちょうどツアーが無いタイミングで。だから公式のスケジュール上はなにも出ていないその日、10月19日に私どもRHYMESTERはZeppダイバーシティという、東京でもなかなかに大きいライブハウスに行っておりました。これはなにかと言いますと、岡村靖幸さん。もうね、説明不要でございましょう。80年代後半から活躍をずっと続け、いまだに進化を続ける。

僕らも大ファンで、ウィークエンド・シャッフル時代にも岡村靖幸さんがいかにすごいアーティストかという特集をして、もう10年以上たちますかね? それぐらになりますね。その時、10年前は僕はただファンなだけで、オフィシャルでもなんでもなくただ勝手に特集しただけだったんですけども。いろいろとありまして。Base Ball Bearの小出祐介さんを挟んで親しくなって、一緒に何度か飲んだりとかして。いとうせいこうさんとかと。あと、この番組にも来ていただきましたね。

(熊崎風斗)そうですね。

(宇多丸)お話もうかがいました。あと、岡村靖幸さんのラジオの方に私がうかがって、岡村さんに……この番組に出ていただいた際に最後の方で「宇多丸さん、ラップを教わりたいんです」なんて言っていて。それをすぐに実現する形でラップを教えたりするなんてこともありましたけども。そういう諸々の布石があって。「ああ、これはひょっとしたら?」って思ってらした方、いたかもしれませんが。実はね、もうとっくの昔に我々、コラボ曲を作っておりまして。結構とっくの昔に作っておりまして。

(熊崎風斗)実は。

(宇多丸)そうなんです。一昨日、10月19日にZeppダイバーシティで行われました岡村靖幸さんのツアー『やばいよ!この気持ち。』。でも満場のものすごいベイベちゃんと呼ばれる岡村さんのファンが。もう「DATE」ですから。DATEと呼ばれているものすごい会場の中、ずっと我々はシークレットなのでスタンバイしているじゃないですか。で、そのシークレットで出る前の段階でそのライブでまずそのコラボ曲を宇宙初披露するという。これ、まずすごくハードルの高いことなんですよ。要するに、どこにもまだ出したことのない=まだどこでも人前ではやったことがない曲をいきなり出てきてやる。だからまだ慣れていない歌をやる。

(熊崎風斗)それだけ大盛況の中で。

(宇多丸)で、失敗もしやすい場面なわけですよ。にもかかわらず、そこでライブの様子もビデオと音を撮って。音も含めてミュージックビデオ用に撮るという。これは失敗できないというプレッシャーがある。で、しかも岡村さんのファンの方たち。ベイベちゃんたちは当然我々が出てくることなど知らない。

なんなら僕らのことをあんまり知らない方も含むみたいな客の前で、しかも岡村さんはライブ中にMCを入れないんですよ。ご自分では。ずーっと曲を歌って踊って……しかも3時間ぐらいノンストップでやるライブなんですけども。代わりにベーシストのヨコクラさんという方がね、MCを入れたりする場面はあるんですが、基本的に岡村さんはしゃべらない。だから別に紹介もない。そういう中で、アンコールの途中で我々が登場をして宇宙初披露をするという。で、スーツでビシッと決めまして。

その前に、アー写用というか、今回のユニット用の写真。これは三浦憲治さんという超大御所です。昔からYMOからなにから撮られているような超大御所カメラマンにアー写も撮ってもらって。もう岡村さんなんかあと5分でステージに出なきゃいけないのにまだアー写を撮っていたり。みたいな状況でボーンとやりました。

岡村靖幸さらにライムスター

(熊崎風斗)はい。

(宇多丸)で、我々はずっと楽屋でスタンバイですよ。とにかく岡村さんのライブはもう最高のエンターテイメントなんですけども。俺らも「やっぱりすげえな、岡村さん! 普通に岡村ちゃんのファンだわ!」って思いながら見ているわけですよ。そこで、さあ、満を持して出ていきましたよ。でもね、やっぱり岡村さんのベイベちゃんのみなさん、やっぱり行き届いてますね。DATEで。やっぱりマナーが行き届いてますね。

まずZeppダイバーシティ、俺がいままでに見たことがないぐらいぎゅうぎゅう詰めなんですよ。しかもぎゅうぎゅう詰めな上に、ものすごい暑いんですね。すごい人数もいて。そういう状況の中、我々が出ていったらその満場のお客のみなさんが「ドカーン! ワーッ!」って。もう地鳴りのように盛り上がって。だからいろいろと布石を置いていっていたので、ディープなファンの方はわかっていたんでしょう。なんかやるんじゃないか?って思ってくれていたんでしょう。で、宇宙初披露をしたというね。

これは我々RHYMESTERと岡村さんのコラボ名っていうんですか? ほら、あるじゃないですか。「m-flo loves ○○」とかさ。まあ、普通だったら「○○ feat. 」みたいなことですけども。これも名前が決まっておりまして。「岡村靖幸さらにライムスター」っていうね。「さらに」っていう。これは、だから岡村靖幸さんで十分に味が濃いのにさらに……っていうね。

(熊崎風斗)さらに加えますよっていう。

(宇多丸)クドい!っていうね(笑)。「味 on 味」みたいな(笑)。そんなあたりを表現してみたというね、岡村靖幸さらにライムスターというユニットによる宇宙初発表曲。タイトル、これは映画ファンの方だったら「ああ、なるほど」と思われるんじゃないですかね。『マクガフィン』というね。マクガフィンってこれ、熊崎くんは聞いたことないですよね? もともとは映画のサスペンスの神様、ヒッチコックという人。ヒッチコックというのは聞いたことがありますか?

(熊崎風斗)なんとなく。

(宇多丸)ヒッチコックが言っていた理論が元になっていて。要は、スパイ映画とかアクション映画でよくさ、秘密の設計図だとか宝石だとか核ミサイルの発射ボタンとか。なんでもいいですけど、とにかくそれをみんなが奪い合うっていうものってあるじゃないですか。でも、それって別になんでもいいわけですよ。奪い合うものは。奪い合うもの、そのものに意味があるわけじゃない。ダイヤでもいいし、核ミサイルでもいいし、秘密の設計図でもいいし。それを「マクガフィン」っていう風に総称するわけですね。なので、その『マクガフィン』という誰もが追い求める、でもそれ自体に意味はあるのか、ないのか? みたいなものをスパイ映画のメタファーでそういう男女の駆け引きみたいなものを歌っているという曲なんですが。

(熊崎風斗)はー!

(宇多丸)それを宇宙初披露したと。これ、ちなみに今日はまだかけません。宇宙初オンエアーはいずれ、このアフター6ジャンクションでかけさせていただきたいと思いますが。そうだ。メールも来ているんで、その現場にいた方のメール、これをご紹介しましょう。「初めてメールを送らせていただきます。土曜日、Zeppダイバーシティの岡村靖幸DATEへ行っておりましたが、スペシャルゲストでRHYMESTERの方々が登場して超びっくりしました。

私はスペシャルゲストに無縁な人間なもので、誰かが登場するとは全く思わず、無防備だったので本当に超驚愕でやられました。いつもラジオで聞いている宇多丸さんを拝見できて嬉しかったです。きっと同じ気持ちの方が多数いらっしゃると思います。またRHYMESTERのライブを垣間見ることができてラッキーでした。グルーヴってこういうものなのかな?って思いました。かっこよかった。『マクガフィン』のリリースを楽しみにしております」という。

超ヤバいバックトラック

これね、まず最初に俺らが岡村さんと曲を作ろうっていうことになった時、岡村さん側からバックトラックの候補が送られてきて。その2つあったうちのひとつ……両方ともめっちゃかっこよかったんだけども。もうね、聞いた途端に「なんだ、これ? なんなんすか、岡村さん。天才っすか?」って。もう本当にトラックを聞いた時点で「もうこれ、ヤバいっすね! 岡村さん、やっぱり天才なんすね! これ、マニピュレーターの方、大変だったでしょう?」って。実際に白石さんっていうマニピュレーターの方がずっとそこで完全に気が狂っていたんですけども(笑)。そんぐらいの感じで。

でも、めっちゃかっこよくて。そこから一緒にいろいろと曲を作って。とにかくなんていうか、いろいろと僕らもコラボ物をいっぱいやっていて。傑作、名作、正直作っておりますが、今回は「これって結構すごくね?」みたいな。作った本人たちが。「これはヤバいっしょ?」みたいな。それぞれがそういう感じの雰囲気になっていて。それをまさに宇宙初披露して、本当にドカーンといただいて。あたたかく迎えていただいて。曲も本当によかったなと思いますよ。で、ミュージックビデオを撮影して、ずーっとカメラが……こっちは特に、俺はまだしも、導入の1番のラップなんだけども。Mummy-Dが2番なんですけども、Dは非常にもともとテクニカルなラップをする人ですが、彼のラップ史上でも1、2を争う難易度で。

(熊崎風斗)これまでの長きにわたるキャリアで?

(宇多丸)うん。難しいのを書いていて。本人も「しまった……」とかって言っていて(笑)。で、それを宇宙初披露。しかも、もともとのオリジナルトラックの上に乗せて生バンドでホーンとかいろいろなのが乗っていて。そのホーンとかいろいろなのが乗っていて。で、またそのホーンでちょっとだけボンドのテーマを乗せたりとか、粋なアレンジがされていたりして。まあとにかくそういういろいろな不確定要素が……しかもステージ上にものすごい数のカメラクルーがいるわけですよ。ビデオを撮るから。もういろんな様子がある中で、でもまあがっつりとそれもやりきりまして。

(熊崎風斗)無事成功に?

(宇多丸)大成功ですよ。で、我々も大成功ですから勝利の美酒! 岡村さんはその後にいろいろとライブに来る方のご挨拶があって。「終わった後に一緒に打ち上げに行こうぜ!」っつって。で、岡村さんがね、お忙しいでしょうから。俺らは1時間ぐらいずっと楽屋で勝利の美酒に酔いまくって。もうハイボールですよ。ウエーイ!って(笑)。そんな風になっていて「岡村さん、お忙しいでしょうから……」なんて楽屋をちょっと見にいったらね、ただ普通に1人でスマホをやっていて。

「おかしいな、どうなっているんだ?」みたいな(笑)。で、その後に打ち上げ……でも、岡村さん、3時間以上のノンストップのライブを終えられた後なんですけども、やっぱりすごいですね。タフなんですね。その後、打ち上げをやって。その後に……ちょっとファンの方、すいません。「宇多丸さん、ちょっともう一軒ぐらい行きましょうか」って。その後に岡村ちゃん独り占めで。僕が「DATE」ですよ。事実上、実際のDATEですよ。本当のDATEですよ。岡村さんとその後にバーに行って。それでそうなったら俺はあれですから。

岡村ちゃんとマジDATE

「岡村さん、もう一杯いいじゃないですか」「もう一杯ぐらい……お疲れだとは思いますけども。もう一杯、いいじゃないですか、これ?」なんつって。いやー、最高に楽しい夜を過ごさせていただきました。そのね、土曜日の話をするだけでもめちゃめちゃおもしろい話があってね。ちょっとね、また改めて岡村さんをお招きして。おそらく宇宙初オンエアーなどもあると思いますから。

(中略)

(宇多丸)あ、ちなみに先ほど言いました岡村靖幸さらにライムスターによる共同制作曲『マクガフィン』、こちら11月中にリリース。追って情報は解禁いたします。音源初オンエアーはおそらくこの番組で……ということになるんじゃないでしょうか。

<書き起こしおわり>

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