ハライチ岩井 声優TARAKOを追悼する

ハライチ岩井 声優TARAKOを追悼する ハライチのターン

ハライチ岩井さんが2024年3月14日放送のTBSラジオ『ハライチのターン!』の中で亡くなった声優のTARAKOさんを追悼。まだ若かった頃、TARAKOさんと出会って声をかけられた際のエピソードを紹介していました。

(岩井勇気)鳥山明先生が亡くなっちゃいましたけど。あと、声優のTARAKOさんも亡くなっちゃったじゃないですか。『ちびまる子ちゃん』のまるちゃんの声を当ててましたけれどもね。いや、これもびっくりしちゃってさ。すごい元気なイメージしかなかったからね。それが俺、結構悲しくてさ。俺、『ちびまる子ちゃん』がかなり好きだよね。さくらももこ先生の作品も本当に好きだから。それで言ったら、『コジコジ』も好きなわけですよね。

(澤部佑)ずっと言ってたよね。

(岩井勇気)で、『コジコジ』ではTARAKOさん、スージーっていうキャラの声をやっていたの。それはね、まるちゃんと『コジコジ』のキャラって真逆のキャラで。すごい意地悪な女の子っていう役で。本当にね、一見TARAKOさんだとはわからない声なんだけど。よく聞くと、なんかまるちゃんっぽいな声だなっていうのがちょっと入っているんですよね。で、小学校の頃に『コジコジ』って始まってるんですけども。俺、その時にアニメを見ていて。「あれ? このスージーの声って、まるちゃんの声かも?」みたいな感じになって。

(澤部佑)ああ、岩井少年は気づいたの?

(岩井勇気)そう。で、一応クレジットをそこで見てみたんだよね。その時に「ああ、まるちゃんと同じ人だ」みたいな感じになって。俺は初めて、その時に声優っていうものを何か認識したというか、意識したような気がして。

(澤部佑)仕事として、いろんな役をやっているんだって。

『コジコジ』スージー役で声優という仕事を意識した

(岩井勇気)全然違う声なんだけど、同じ人なんだな、みたいな。そんな感じの意識をした気がしたね。それで俺はね、漫画がもう3000冊ぐらいあるんだけど。実家にほとんど、置いてきてるんだよね。

(澤部佑)ああ、そんなにあるんだ。

(岩井勇気)それで今、家の本棚はもうBLの漫画しかほぼ置いてないんだけど。唯一、普通の漫画で『ちびまる子ちゃん』だけは本棚にあるのよ。

(澤部佑)ああ、そう? BL以外だと『ちびまる子ちゃん』だけ?

(岩井勇気)『ちびまる子ちゃん』しかないの。全巻、いつでも読めるようになっているんですけど。それぐらい好きでね。で、俺たちが幼稚園の頃に『ちびまる子ちゃん』って始まっているのね。たぶん。で、最初の頃からめちゃくちゃ見てたんだけど。で、その『ちびまる子ちゃん』って、覚えてるかどうか、わかんないけど。3年ぐらいやって、1回終わってるんですよ。

(澤部佑)ああ、それはなんか、知ってる。

(岩井勇気)で、また3年後ぐらいに再開しているの。そんな間、同じ枠で『ツヨシしっかりしなさい』とかやっていて。

(澤部佑)ああ、『ツヨシしっかりしなさい』。そうか。そこでやっていたのか!

(岩井勇気)でさ、92年に『ちびまる子ちゃん』って1回、終わっているわけですよ。で、そのすぐ後……たぶんね、9月とかで終わって。12月頃に1個ね、『ちびまる子ちゃん』の映画が公開されてるんだよね。テレビシリーズが終わった後に。それが『わたしの好きな歌』っていう映画が公開されいて。これがまた、すごいいい映画なんですよね。この映画を俺は3週前に見たばっかりだったの。Netflixであって。「うわっ、懐かしい!」と思って3週前に見返したばっかりだったのよ。

(澤部佑)ああ、そうか。

3週間前に見返していた『わたしの好きな歌』

(岩井勇気)懐かしくて。3週前も見た時も、またすごい泣けてさ。いいシーンがあって、エンディングに入るわけですよ。そのエンディングの曲がよすぎて。それで俺、3週前の『ハライチのターン!』でその曲、かけてるんだよね。

(澤部佑)へー! ああ、そう。

(岩井勇気)高橋由美子さんの『だいすき』っていう曲かけていたんだけど。それぐらい、タイムリーだったから。「うわっ!」ってなって。

(澤部佑)ちょっとすごいタイミングだったよね。

(岩井勇気)なんかね、昔のまるちゃんを見返したけど。昔のまるちゃんって……まだ、今ほど国民的アニメって感じじゃなかった時ね。その時はなんかね、毒のある話とか、切ない話とかがすごい多くて。

(澤部佑)そもそも、そうなんだよね。ちょっとブラックなね。

(岩井勇気)で、切ない話の時はまるちゃん……その映画も結構、切ないシーンが多かったんだけど。もうまるちゃんは、なんか寂しそうな声をすごい出すんですよね。TARAKOさんが。で、その時の、なんか寂しそうな声のTARAKOさんの演技がさ、もう寂しい時ほど子供の感じなんだよね。まるちゃんって。なんかまるちゃんって俺たちのイメージだと、日常の時はすごい大人びた感じの子供じゃん?

(澤部佑)大人の目線を持ったね。

(岩井勇気)口調とかも、大人の感じの。なんか、おばさんみたいな口調で。なんだけど、寂しい時とか泣きそうな時はすごい、「ああ、子供なんだな」っていう風なことを思い出させる声なんですよね。昔のは、特にね。で、そのTARAKOさんがね、その声がすごい良くてね。その『わたしの好きな歌』っていう映画では、まるちゃんのナレーションみたいな語りが入るんだけど。それがね、どこか見ている側のこっちに語りかけてくるようなまるちゃんの語りなんだよ。だからなんか、3週前ぐらいに語りかけてくれた、話しかけてくれた人が亡くなっちゃったみたいな喪失感があったんだよね。俺はね。

(澤部佑)ああ、そうか。すごいタイミングだから、よりね。

(岩井勇気)でね、俺はTARAKOさんとは1回だけ会ったことあるのよ。前にね、サラッとなんかラジオクラウド、アフタートークかなんかで話したことがあるんだけど。昔……だからこれ、10何年前だよね。俺は「アニメの仕事がしたいな」っていう風に思っていて。それで、同期の作家のゆうやんってやつに相談してたことがあったんだけど。そしたら「いろいろ、いっぱいアニメを見ようよ」って言われて、とにかくアニメを見漁っていた時期で。で、そのゆうやんっていう作家がさ、スカパーのアニメ番組に作家で入るってなって。その仕事を俺に振ってくれたんだよね。それはまだ、俺が「アニメ好き」って世に知られる前で。全くアニメの仕事なんかしてなかった頃で。

(澤部佑)もうそれが最初なんだ。

(岩井勇気)本当にたぶんね、一番最初ぐらいかな? アニメの仕事。だから、もう本当に実績がまるでない中で振ってもらった仕事だったの。それが、はんにゃさんのアニメ紹介番組だったんだよね。スカパーの。で、それの天の声の仕事だったの。俺。

(澤部佑)ああ、岩井が?

(岩井勇気)でさ、俺はたしか5年目ぐらいだったんだよね。で、天の声ってさ、すごい難しいじゃん?

(澤部佑)難しいね。入るタイミングとかね。

(岩井勇気)それで俺、天の声をやったことがなかったから。いざやってみたら、やっぱりもう全然ダメで。その、入り方がわかんないよね。演者たちがさ、会話をしてるところに天の声で入っていかなきゃいけないって……しかも先輩たちが会話しているところに。これ、全然できなくて。で、入れもしなくて。原稿を読まなきゃいけないところもスラスラ読めない。結構、説明ゼリフみたいなのがいろいろあったんだけど、全然読めない。それで何回もそこを読み直しするっていう事態が起こっちゃったわけ。もうグダグダで。

(澤部佑)ああ、天の声が何回も同じところを? それはやばいね。

(岩井勇気)天の声って、あんまりいじられちゃいけないところ、あるじゃん?

(澤部佑)そうそう。天の声って無敵じゃないとダメなんだよね(笑)。

(岩井勇気)天の声ってもう、いじる立場にいるような人間じゃないといけないじゃん。それがすごいいじられちゃうような、グッダグダになっちゃって。で、本当にそれさ、作家のゆうやんに申し訳なくて。たぶん無理やり入れてくれたのに、俺がもうひどかったから。もしかしたらゆうやんが怒られる可能性もあるんじゃん? 「なんで変なやつを連れてくるんだよ?」みたいな。そんな感じになっちゃって。「うわっ、申し訳ないな!」と思って、すごい落ち込んじゃった時があったんですよね。でさ、その天の声を入れていたのって、俺はアナウンサーブースみたいなところで俺、しゃべっていたんだけど。なんか俺がちょっと落ち込みながらそこから出ようとした時に……たぶんね、その番組のナレーションがTARAKOさんだったんだよね。

(澤部佑)全体のナレーションが?

(岩井勇気)そう。番組ナレーションが。で、俺がそのブースを出た後で、おそらくそのブースでナレーション録りみたいなのがあったようで。TARAKOさん、俺が終わるのを待ってたんだよ。で、ブースを出たところでTARAKOさんに俺、鉢合わせたんですよね。で、TARAKOさんが「ああ、こんにちは。声優のTARAKOです」みたいな挨拶をしてくれてね。で、俺は「うわっ、TARAKOさんだ! まるちゃんだ!」ってなったわけ。そう思ったんだけど……普段だったら絶対、めちゃくちゃテンションが上がってんだけど。その時はもう、とにかく落ち込んでるから。

(澤部佑)ああ、そうか。うまくできなかったから。

(岩井勇気)天の声ができなくて。だからすごい暗い感じで挨拶したと思うんだよね。「ああ、どうも。ハライチの岩井です……」みたいな、ロートーンで挨拶したと思うんだけど。そしたらさ、たぶんなんかきっと、TARAKOさんはね、俺の天の声がグダグダだったのも、ちょっと前にそこに入ってるから、後ろ見てたと思うんだよね。で、俺が暗い挨拶をした後、それを察したのか、「わー! テレビで見ていた岩井さんに会えるなんて、嬉しいわ!」って言ってくれて。「よかったら一緒に写真、撮ってくださる?」なんて。TARAKOさんの方から言ってくださって。で、自撮りで一緒にね、写真を俺と撮ってくれて。俺なんて全然、その頃は……まあ、テレビには出ていたけど、別に活躍もしてないし。

(澤部佑)だから「見たことある」なんて絶対嘘だよな?

(岩井勇気)いや、そんなことはないと思うけど(笑)。ハライチっていう名前は世には出てたけど。

(澤部佑)いやいや、みんな俺を見てただろう? あの頃は(笑)。

(岩井勇気)お前、よく言えるな?(笑)。でも、ハライチっていうのは認識してくれていて。個人名まで認識してくれないけど、どこかで見て、言ってくれたんだろうなっていう感じが出てたんだけど。だから俺と写真を撮ってくれて。「いらないだろうな」とは思いながら。それで「お仕事、頑張ってくださいね」みたいなことを言うわけですよね。それがもう本当に……TARAKOさんって普段から、めちゃくちゃまるちゃんの声なの。

(澤部佑)ああ、そうなんだね。

(岩井勇気)だからさ、まるちゃんに励まされてるみたいな気持ちになってねえ。すごいその時、元気が出たんだよな。で、その時に俺、帰りに頭の中でちょっと『アララの呪文』っていう曲、あるだろう? 爆笑問題さんとまるちゃん、TARAKOさんが歌っていた曲。それが流れていたような気がしたのよ。「なにかでつまづいたり 立ち直れなかったり いろんなことがある 人生だから♪」みたいな。そんな歌詞があるんだけども。「それはそれなりでもいいのさ ケセラセラセラセラリンコ♪」っていうね。あの歌詞が流れた気がしてね。

(澤部佑)「あんまり気にするなよ」みたいなね。

まるちゃんに励まされたような気持ちになった

(岩井勇気)なんかすごい、悔しいのと、励まされて優しい気持ちになったのが入り混じった、すごい気持ちであの時、帰ったんだよね。

(澤部佑)ああ、当時の岩井はぐちゃぐちゃの気持ちで。

(岩井勇気)それをさ、次に会った時にお礼を言いたかったなって思っていたんだけどもね。会えなかったんだよね。なんか、それは残念だけども。本当、TARAKOさん、優しかったなって。本当、ありがとうございました。

(澤部佑)よかったね。その時にね。

(岩井勇気)そう。1回でも会えて、よかったよ。

(澤部佑)もっと落ちていたろうな。TARAKOさんの言葉がなかったらな。

(岩井勇気)あれはやばかったな。いろんな迷惑もかけちゃっていたしな。

(中略)

(澤部佑)岩井、それが5年目ぐらい? それ、いくつだ?

(岩井勇気)24とか、そんなもんじゃない?

(澤部佑)結構前か。

(岩井勇気)鳥山先生も、ねえ。もう、みんなでドラゴンボール、集めるか!って感じだよね。

(澤部佑)ドラゴンボールね。集めるか!って感じだよね。本当にね。俺の実家の階段を上ったところの電気のスイッチのところには今も悟空がいますんで。

(岩井勇気)お前、それ、悟空じゃねえだろ? バーダックだろ!

(澤部佑)そう(笑)。この間、バーダックだって判明しましたね。バーダックも頑張っているんでね。

(岩井勇気)そう。人形がいるんだから。

(澤部佑)至るところにいるよ。だからな。いろんな、鳥山先生の思いがな。

<書き起こしおわり>

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