モーリー・ロバートソン 東京医大・女性受験者一律減点問題を語る

荻上チキ 東京医科大学・入試で女子受験者を一律減点疑惑を語る 水曜日のニュース・ロバートソン

モーリー・ロバートソンさんがBSスカパー!『水曜日のニュース・ロバートソン』の中で、東京医科大学が何年間も女性の受験者の得点を一律減点し、女性入学者を抑制していた問題についてトーク。海外メディアの報道などを紹介していました。

東京医科大学(医学部〈医学科〉) (2018年版大学入試シリーズ)

(モーリー)前回は杉田水脈議員の「LGBTは生産性がない」という発言が世界的に報道されて、まあ「Shame of Japan」と呼ばれているような事態を醸し出しているということを言ったんですけど、その後イギリスのガーディアンにも杉田議員に関する記事は出ております。まだ続いております。

モーリー・ロバートソン 杉田水脈議員発言への海外メディアの反応を語る
モーリー・ロバートソンさんがBSスカパー!『水曜日のニュース・ロバートソン』の中で「LGBTの人々には生産性がない」という杉田水脈議員の発言に対する、海外メディアの反応を紹介していました。

(モーリー)で、今回はまたもや「Shame(恥)」の上塗りということで、こちらをご覧ください。ニューズウィークです。私、ニューズウィークの日本版の表紙になりましたが、これはニューズウィークの本体です!

モーリー・ロバートソン ニューズウィーク『国際情勢入門』を語る
モーリー・ロバートソンさんがBSスカパー!『水曜日のニュース・ロバートソン』の中でニューズウィークの『奇才モーリー・ロバートソンの国際情勢入門』特集について話していました。

(プチ鹿島)表紙の男が語る!

(モーリー)そうですね。表紙の男として語ります。「A Japanese medical university faked entry test results “for years” to admit fewer women」。もうね、この中立な英語のトーンが一般の欧米の人が読んだ時に「何やってんだ!」って怒りをそそるのにちょうどいい塩梅になっていて。さすが炎上職人!

(プチ鹿島)うん。

(モーリー)もうとにかくね、PVを稼ぐには絶好の見出しなんですよ。で、なにも「こんなことがあっていいのか?」とか「不正」とかそういうんじゃなくて「faked」。「fake」は「ニセモノ」。フェイクニュースの「fake」なんですけど、「faked」っていうのは過去形の動詞。で、それは「みんながフェイクニュースとかロシア疑惑とかいろいろと騒いでいる最中に、こんな素朴なフェイクをやらかした」っていう意味合いがあって。大学がフェイクをやったっていうのは面白いですね。そして「”for years”」。「何年にも渡って、長期に渡って」っていう。もうこれだけで「ああ、信じられん! ちょっと読ませて……bit.ly(短縮リンク)をクリック」みたいな。ちなみにこれ、たしかリビアのドメインなんだよね。とか、まあいろいろと面白いんですけども。

そういう非常にキャッチーな英語の見出しになっています。さすがニューズウィーク。ちょっと日本語訳の見てみましょうか。「日本の医科大学が長年に渡って女性の入学者を減らすために入学試験結果を偽っていた」。まあ、すごすぎると。で、一応概要をおさらいしましょう。東京医科大学っていうのが女性の受験者の入学試験の得点を一律減点していました。「女性は結婚や出産で離職しやすい」という理由から、入学者数をコントロールしていたということなんですね。そして、さらに「子供を生まないLGBTは生産性がない」と杉田議員なんかがおっしゃって、「結婚、出産する女性は離職しやすい」という理由で女性が減点をされる。日本、大丈夫か?っていう、こういうことなんですね。

それで、にもかかわらず最新の報道が出ているんですけど、東京医大。女性医師や研究者の出産、育児と仕事の両立を支援するために国から3年間で8000万円を超える補助金を受けていたという。それはここらへん(懐)に入れておいて、女性は足切りをしていた。ちょっともう、どうなんすかね?

(安藤咲良)ひどい……。

(モーリー)ひどいよね。このニュースはもちろん、多くの海外メディアがもう「いただきます!」「ごちそうさまです!」とばかりに報道している。そんな中、日本語でフランス大使館がこんなツイートをして話題になりました。「【今日のプチ知識】」っていう。「フランスの大学医学部に占める女子学生の割合は、2000年の57,7%から2016年には64,1%に上昇しました。そして、2021年には医師のパリテ(男女同数)が実現されそうです」っていう。つまり、いままで年取った医師に女性の医師人口が追いついて、本当に医師の数の男女同数が2021年には実現されそうという。「……皆さん、是非フランスに留学に来てください」っていう。そしてハッシュタグ。「#一律減点 #東京医大 #医学部」っていう。もうね、PRが巧みすぎる!

フランス大使館のツイート

(プチ鹿島)やっぱりフランスっていうのはTwitterもイメージ通りですよね。なんかね。

(モーリー)イメージ通りですよ。非常にエスプリが効いている感じです。

(プチ鹿島)皮肉をかましてくるんだけど、ぐうの音も出ないっていうね。

(モーリー)そうですね。これに誰が逆ギレできようか? いや、できないっていう感じですよね。それで、こういう感じで「医学、歯学、薬学」っていうので男女比で64.1%まで入学者がなっているという。それで、結局先進国で、こういうのが世界……欧米。西洋世界ではこれが基準になりつつある。そういう中でいまの日本のこの東京医大、ああいうことをやるとたぶん集団訴訟になると思いますね。で、いま集団訴訟になった場合、いくらぐらい大学が失うのか?っていう試算の記事も出ていましたけど、相当な金額になると思います。

それから「生産性」っていう棒を振りかざすと、要は属性で切っているわけだからそこに根拠なんかないわけですよ。「女性が妊娠をしたら……」とか「夜勤がきついんだ」とか。それはそういう風な枠ができていることが問題なのであって、枠を変えればいくらでもできる。まさに既得権の世界なわけですよね。だからあらゆる方法で不正な、不当な足切りというのはできてしまうんで、生産性という概念を薄く捉えてしまうと、要は既得権を守ってでも結局本当の生産性はLGBTであれ、男女のパリテ(男女同数)であれ、それによってパイが広がってみんなが儲かるんですよ。社会も便益を受けるし、幸せが広がる。それが本当の意味での生産性じゃないのか? と私は言いたいわけだ。といったところで池田さん、どうですか? こういう流れを聞いていて。

(池田純)なんかちっちゃいっすよね。

(モーリー)ちっちゃいっすね(笑)。

(池田純)だって医学のレベルを上げて日本の国力を上げていかなくちゃいけないわけですよね。だからそういうでっかい理念とかビジョンがないから、ちっちゃいこういうことを……。

(モーリー)ああ、でっかい理念を骨太に示していた、まあ田中角栄さんなんかを思い出すんですけど。でも、彼は汚れてはいたよね。そういう清濁をいまの日本社会は併せ呑むことができるのかな?

(池田純)汚れてはいたけど、国力は上がりましたよね。そこが重要ですよね。

(モーリー)だから「白い猫でも黒い猫でもネズミを捕る猫が良い猫だ」みたいな、ああいう感じなんですかね。鄧小平が言ったような。

(池田純)多少はいろんなことがあってもいいじゃないですか。

(モーリー)「多少は」ね。しかるに、森友で何を過敏になっているんだ!って言うと……この前、妻に怒られたんですけども。「そこまで安倍総理が好きなのか?」みたいな。「いや、昭恵さんが好きなんです」っていう(笑)。それでちなみに参考資料。ニュージーランドの女性の首相が産休中も仕事をしていました。「産休だから現場にはいられない」って画一的に決めたのはそもそも男性です。いまは普通に職務に戻っておられます。

ニュージーランド現役首相が出産・すぐに職務復帰

モーリー・ロバートソン ニュージーランド女性首相の妊娠・出産を語る
モーリー・ロバートソンさんが2018年1月30日の文化放送『The News Masters TOKYO』の中でニュージーランドの女性首相が妊娠を発表。そのまま公務を続けて、出産後6週間のみ公務を休職すると発表したニュースについて話していま...

(モーリー)それからもうひとつ、耳寄りな情報をさっき、BBCでキャッチ。今回のアメリカの中間選挙。11月にありますけど、過去最大数の女性が立候補しております。下院は173人で2016年の中間選挙の167人を上回っている。そして知事候補は女性が11人。いままでの最高は94年の10人でそれを上回っています。さらにワシントン州では上院、下院ともに共和党、民主党の両候補とも全員女性。4人出ている。だから誰が勝っても女性議員となるんですね。そして、今回アメリカの州ではじめてパレスチナ系移民の娘さん、ラシダ・トライブ(Rashida Tlaib)さんが民主党から出馬予定で、もし当選するとムスリム、パレスチナですよ。その移民の娘さんがアメリカの議員になるという。すごいことなんですね。

(プチ鹿島)うんうん。

(モーリー)それで今回の中間選挙、もしかするとアメリカの下院で女性議員が過半数になるかもしれない。

(プチ鹿島)ほう!

(モーリー)その人たち、その議員たちを日本に呼んでぜひ、生産性の議論をこの番組でしたいと思います!

(プチ鹿島)だから東京医大の話と合わせると、日本だって女性議員の割合はもっと多くなくちゃいけないわけですよね?

(モーリー)パリテ(男女同数)、行きましょうよ。

(プチ鹿島)だって女の人の方がテストで点を取って頭がいいっていうことなんだからね。

(モーリー)そうなんですよ。だから本当にそれこそ、変な……僕、優生学は怖いからそこには触れないようにしているんだけども、じゃあ「生物学的に」みたいなことを言うんだったら、実際にデータを取ると女性の方が生物学的に上じゃん? だったら、それに任せようっていう事になって、男性はそれに応じてアパルトヘイトの下の方へどうぞお越しくださいっていうことになって。いままでのオヤジたちは幻想の上で上に立っていただけっていうことが立証されたらどうするんだ? だから本当にこれからはちゃんと現実に目を向けなくちゃいけない時代。で、現実に目を向けると、やっぱり男女をイコールにするのがいちばん経済的にも幸せの面でも「生産性」があるんじゃないかと私は思いました。

<書き起こしおわり>

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