吉田豪 小倉優子の完璧な自己プロデュース力と継承者を語る

吉田豪 小倉優子の完璧な自己プロデュース力と継承者を語る 宇多丸のウィークエンド・シャッフル

吉田豪さんがTBSラジオ『タマフル』の企画、『史上最高のアイドルは誰だ!?評議会 女性アイドル編』で小倉優子さんを推薦。その完璧な自己プロデュース力と、その継承者について話していました。

(宇多丸)じゃあ、引き続きまして吉田豪さん。締めでお願いします。今週は、どう来るのでしょうか?

(吉田豪)僕、今回はちゃんといきますよ。太田光代社長とか、そういうの出さないですよ。

(宇多丸)予想がね。

(吉田豪)アイドルって、事務所とかプロデューサーが作り上げて。それに乗っかったりとか反発したりとかするものだと思うんですけど。

(宇多丸)なるほど。その力関係。

(吉田豪)でも、そうじゃない人に惹かれる部分があって。僕、今回推すのが小倉優子さんなんですよ。

(一同)おおー!

(宇多丸)ええっ!?

小倉優子のキャラクターは完全に自分で作った

(吉田豪)あの、珍しいパターンだと思うんですよ。基本、ほぼ地下アイドルみたいな状態から出てきて。で、キャラクターは完全に自分で作ったんですよね。あの人は。

(宇多丸)自己プロデュース。

(吉田豪)千葉の茂原から通う間に、だんだんあの設定を自分で考えて。売れない時に。で、それを事務所が崩そうとして、彼女がひたすら守り続けた感じが美しかったんですよ。

(宇多丸)あっ、幻想はむしろ自分が作って。

(吉田豪)自分が完全に作り上げて。

(宇多丸)で、それを事務所が。

(吉田豪)普通、ああいうこりん星とかのギミックって事務所とかプロデューサーが押し付けて、みんな嫌がるじゃないですか。『私、もうこんなのやりたくない!』とか。真逆だったんですよね。

(宇多丸)ああ、そうなんだ。

(吉田豪)彼女はだから当時、料理の番組とか出ても、かならずどんな料理にもチョコを入れるみたいなギミックでやってたのに、なぜか事務所が持ってくる仕事っていうのがゴルフの本とかFXとか株だったりとか。で、なぜか普通の料理本出させたりとか。そっちじゃないでしょ!って思いながら。で、さらに焼肉屋を始めた時のゆうこりんの微妙な反発とか。

(宇多丸)反発してたの?

(杉作J太郎)えっ!?僕、よく行ってましたよ。あの焼肉屋!

(吉田豪)(笑)

(杉作J太郎)ハガキ、来てたけどね。僕に。

(吉田豪)ゆうこりんが出してないですよ、それ(笑)。

(杉作J太郎)ゆうこりんからハガキ、来てましたよ!

(宇多丸)(笑)

(吉田豪)本人じゃないですよ!

(宇多丸)杉作さん、結果さ、現実と境目がついてない人じゃん!

(一同)(笑)

(杉作J太郎)これね、つけないためにがんばってるんですよ。

(吉田豪)だから、そのへんのを見ていてハラハラしてたんですね。当時、『ハッスル』と事務所が微妙に絡んでいて。あの時に、なんかゆうこりんが応援する選手がいて。負けたらこりん星爆破マッチみたいなのをやっていたんですよ。

(宇多丸)(笑)

(吉田豪)でも、ゆうこりんは絶対に爆破させたくなかったはずなんですよ。でも、最終的には爆破していまのキャラになるわけですけど。でも、ゆうこりんの事務所との一連の戦いを僕はずっと好きで。後の移籍に至るまでの戦いっていう。

(宇多丸)あー。

(吉田豪)その流れで行って、そのゆうこりんを尊敬してたのが誰か?っていうと、道重さゆみさんなんですよ。

(宇多丸)おおー!

道重さゆみが尊敬するアイドル小倉優子

(吉田豪)完璧なアイドルとして、あの人がいちばん好きだったアイドルがゆうこりんなんですよ。

(宇多丸)自己プロデュース。

(吉田豪)そうです。完璧な自己プロデュースだったっていう。

(宇多丸)しかも、アイドルとしての自己プロデュースだもんね。

(吉田豪)そうです。で、ああなろうとした人なんですよ。

(宇多丸)ああ、なるほど。そうかそうか。

(吉田豪)で、道重さんはそのゆうこりんのカバーとかもやっていてっていうね。

(宇多丸)これ、今後のアイドルがどうなっていくか?っていう時に、たしかに、それ型の道ってあるかもしれないですね。昔だったら自己プロデュースとか自己主張って非アイドル的な方向に振れたけど。

(コンバットREC)アーティスト的と言われてましたからね。

(吉田豪)自己主張が、どアイドルなんですよ。

(宇多丸)おおー。っていう人は、でもアイドル好きのアイドルも増えてるからね。

(吉田豪)で、だからたぶん道重さんも正しい着地の仕方を・・・だからゆうこりんがその後のだからね、ママタレ的な感じになっていくのとか見て、悩んでいると思うんですよ。いま、まだその葛藤の最中のような気がして。

(宇多丸)なるほどね。

(杉作J太郎)これ、だから大きく言うとね、たとえば処女性があるかないかみたいな話もありますけど。ファンタジックか、リアルかっていう話でしょ?ぜんぜん違いますよね。その、宇多丸さんが言っていた小泉今日子の路線とね。豪ちゃんの言ったアイドルの・・・

(吉田豪)いろいろあった後で、もう1回ファンタジーをやろうとした人なんですよね。で、そのファンタジーをより極めたのが道重さんだったっていう。

(宇多丸)これは、もちろん難しいですよ。だからその手前で、アイドルイズムをある種完成させた松田聖子なのか?壊した小泉今日子なのか?

(吉田豪)なくなった後でもう1回作ったっていう。

ルネッサンスは松浦亜弥

(コンバットREC)ルネッサンスは松浦亜弥で、その先に道重がいるっていう。

(宇多丸)あ、だから松浦亜弥は本人はやっぱあれは・・・

(コンバットREC)まあ、違うよね。やりたくなかった。

(宇多丸)だからあっちに行っちゃったっていうところで。

(コンバットREC)道重は違ったっていうね。

(宇多丸)やっぱそのさ、アイドル好きなもののさ、特に女性アイドルの葛藤として・・・

(コンバットREC)でもキョンキョンも意思は壊したくなかったんだよ。

(宇多丸)ん?ん?

(コンバットREC)本人は松田聖子的なことをやりたかったんだよ。キョンキョンは。

(杉作J太郎)本人がやりたくなかったらダメなの?

(宇多丸)だから、違う違う。ダメとかじゃないんだけど、要は葛藤の部分で本人が嫌がっているのに・・・っていうのはちょっとなっていうのはあるじゃないですか。たとえば、大人としてそれこそ、松浦亜弥さんがそれをやりたいと言っているのを押し付けてまでっていうのは、うーん・・・どうだ?っていうのがあるので。その葛藤をある意味、クリアする存在として。

(吉田豪)そうなんですよ。

(辛酸なめ子)私も小倉優子とちょっと迷って。やっぱりあの声を作ってるところとかは良かったですよね。

(吉田豪)キャラクターが完璧にできていたという。

(宇多丸)ああ、そう。なんかすごい、まさかのところから。

(杉作J太郎)じゃあ、なに?やっぱり基本的にアイドルっていうのは素の自分と、公の自分は違っていていいっていうこと?

(吉田豪)違っていていいんですけど、それをだから、どっちを守るか?ですよね。幻想に針を振ってもいいし。

(宇多丸)だからそのコントロール派は、たとえば恋愛問題とかも自分でそのアイドルとしての見え方をコントロールしながらやるだろうから・・・

(吉田豪)だからゆうこりんがもったいなかったのは、本当熱愛報道の時に事務所が、怖い人が連れ去っちゃうみたいな。ゆうこりんのキャラを壊すようなことをやっちゃダメじゃん、そこ!っていう風にずっと思ってたんですけど。

(宇多丸)それはだから、ゆうこりんだったら上手くハンドルできたのにっていう。

(吉田豪)そうそうそう。

(辛酸なめ子)ゆうこりんの小説が本当すごかったですよね。

(宇多丸)ということで、吉田豪さん。1曲、お願いいたします。

(吉田豪)ええと、小西康陽さんによって完成したようなイメージ持たれがちなんですけど、その前の時代からずっと良かったっていうことで。初期ゆうこりんで『ビタミンLOVE』。

小倉優子『ビタミン LOVE』

(宇多丸)はい。ということで、吉田豪さん選曲。小倉優子さんで『ビタミンLOVE』。お聞きいただいております。

<書き起こしおわり>

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