日比麻音子『鎌倉殿の13人』を語る

岡室美奈子『鎌倉殿の13人』を語る アフター6ジャンクション

日比麻音子さんが2023年2月8日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション』の中で『鎌倉殿の13人』を最後まで見追わえたことを報告。宇多丸さんと『鎌倉殿の13人』について話していました。

(宇多丸)そんな中ね、先週からの引き続きの話というか。ちょっと前から、日比さんがとある、昨年やってたドラマシリーズ。この番組でも大変話題にした、とあるドラマシリーズを終了してから……でも、これ、いいことです。終了してから、「とりあえずそんなに言うなら、1話だけ見てみようかな?」っていうので見たら、はまっちゃったってことですよね?

(日比麻音子)そうですね。これは完全に「アトロクなくして……」案件なんですけれども。といいますのも、早稲田大学演劇博物館館長の岡室先生に「ベストドラマ、なんですか?」っていう風に伺ったコーナーがありまして。

(宇多丸)私がちょうどお休みしていた時でございます。

(日比麻音子)それで「日比さん、見ましたよね? 『鎌倉殿』」って……(笑)。

(宇多丸)この番組ですごい、当たりのようにいっぱい話題にしてたから。岡室さんもそういう感じで振ったんだと思うんだけども。

(日比麻音子)番組をいつもね、聞いてくださってるゆえに、お気遣いいただいてだったんですけれども。

(宇多丸)日比さんは実はそこは……っていうことだったんですよね。でも、しょうがないですよ。別に悪いことでも何でもないから。後ろめたく感じたり、引け目に感じることは全くないです。この番組で扱ってるとか、あとは話題にしてるものの全てに触れるのは不可能ですから。なので、それは全然いいんですよ。でもたまたま……。

(日比麻音子)いや、言い訳。「見たいと思ってたの」っていうのはあったんですよ。2022年に。「でも今の時代、オンデマンドがあるじゃないか」ということで。

(宇多丸)後から見やすいからね。でもそれでね、ちょろりと見て「まあ、こんなもんか」で止まるのは、全然いいんですよ。

(日比麻音子)そう。正直、そうなるだろうなという気持ちで。「48話? 今からは見切れないよな」っていう気持ちで正直、始めたんですよ。

(宇多丸)私も「無理すんなよ」とは思いましたよ。

(日比麻音子)で、1月頭に見始めて。そしたらまんまと、あれよあれよと。道理でみんなが盛り上がってるわけだ!って。

(宇多丸)序盤はさ、比較的コミカルなというか。それこそ大泉洋さん演じる頼朝が、ちょっと女性の着物を着て逃げるとか。ちょっとコミカルなくだりじゃないですか。政子がちょっと機転を利かせて……みたいな。でも、最後を思えばもう、政子の面持ちの変わりようも。1話とか、もう本当に……もちろん、小栗旬さん演じる義時とかも、顔つきから違う。だから序盤はさ、ほんわか、ぽっぽこみたいな感じだったじゃないですか。

(日比麻音子)それでどんどんどんどん、本当に1話見たらまた1話、1話……っていう風に。1日に2、3話ぐらい見ていったんですよね。

(宇多丸)どこかでこう、後戻りできなくなるポイントってありました?

(日比麻音子)どこだったかな? でも本当に冒頭からです。正直。3話ぐらい見たら「私、これ絶対にすぐ見終わる。むしろ見終わるのが、寂しい」と思ったぐらいにドはまりですよ。

(宇多丸)それは何よりですよ。僕も特に宇垣さんが最初にね、「すごいですよ!」って言い始めて。で、宇垣さんの熱に当てられるように私も見始めて。「ああ、これはたしかに」という感じで。で、山本さんもはまったりとかしてね。

(日比麻音子)そうですね。最初はやっぱり「見なければならない」みたいな気持ちだったんですけれども。もちろん、だんだんと気がついたら「見たい!」っていう気持ちになりまして。無事昨日、完走いたしまして。

(宇多丸)ああ、そうでしたか。先週、ちょっとプレッシャーで。「来週あたりには見終わるのかな?」とか言っちゃっていたから。すいませんね。

(日比麻音子)いえいえ。1年分を1ヶ月も経たないうちに。もうマッハで駆け抜けまして。それだけに、もちろん飽きのこないといいますか、最後まで目の離せない48話、1年間だったんだなと2023年になって思ったんですけども。

(宇多丸)見終わってみて、いかがですか?

(日比麻音子)感想はもう、いろいろ申し上げたいことはあるんですけど。あまりに『鎌倉殿』にはまりすぎて。先週もちょっと、お話しましたけど。いろんな事象であったり、いろんな人物を『鎌倉殿』の人たちに当てはめる癖がついて(笑)。

(宇多丸)仕事相手のね、いろんなね。これは組織論でもありますからね。

様々な事象、人物を『鎌倉殿』に当てはめて考える

(日比麻音子)本当に会社勤めをしているこの身といたしましては、「あの時の政権というかグループが、ここがだからつまり比企殿だったか」とか「つまりこれが畠山殿だったのか」とか。その御家人の一家で考えると、すごいストンと腑に落ちるっていうか。

(宇多丸)比企チーム的なところ……だからたとえば虎視眈眈と上昇するのを狙っていて。で、「ここぞ!」とばかりに勝負をかけたら……。

(日比麻音子)「でも、甘いよね」みたいなのとか。

(宇多丸)あとはもちろん、その畠山側なんかは「ちゃんとやってきた。ちゃんとやってきたのに……」みたいな。

(日比麻音子)ねえ。「信じられなかったのかな?」みたいな。いろんな、この共感の幅がすごくて。その自分に降りかかってくる人と人との出来事に対する共感の幅が『鎌倉殿』のおかげで広がったと思う。「この人はこうだから、こうだよね。でも政子はきっとこう言うから、私は政子的に受け取ろう」みたいな。

(宇多丸)あの政子のね、歴史的な演説をさらに今回の『鎌倉殿の13人』ではちょっと、アレンジしていて。さすが、そこは三谷さんでしたけども。歴史も踏まえた上で、もうひとアレンジあって、っていうね。

(日比麻音子)ねえ。「悪女」なんて言われたけれども、それに対してのあのセリフとかも素晴らしかったですし。まあ本当に、もう1回見たいなと思うぐらいに。本当にまだ、私は『鎌倉殿』脳になってるんですけれども。

(宇多丸)そりゃそうですよね。昨日、見終わったばっかりだからね。じゃあちょっとね、『鎌倉殿』に関する、先週ちょっと「それはまた来週!」って言っていたやつがありますけども。そこに行く前に、ちょっとリスナーのメールがねあるんでね。これをご紹介します。

「年も明けてしばらく経つというのに『鎌倉殿』の話題ができるという幸せをかみしめて……」。この人は話をしたいんですね。「お便りいたします。先週のオープニングで『鎌倉殿』のテーマ曲は勇ましすぎじゃないか? との宇多丸さんからの問題提起がありました」。デーデーデーデー♪って。

(日比麻音子)デーデーデッデレレッ♪って。

(宇多丸)いや、後半のさ、結構半年以上さ、「こんな話じゃねえよ」みたいな。そんなことを思いながら見てたんだけども。「そんな宇多丸さん、ぜひサントラに収録されている『鎌倉殿の13人 大河紀行3』をお聞きください。こちらは放送時、本編終了後のミニコーナー大河紀行……」「。要するに、いろんなそのゆかりの土地が今、どうなってるか? これがすごい良くて。あれ、どこかで見られないのかな? あれがすごいよかったんだけど。

「大河紀行の27話から使われていた曲で、世界最古の電子楽器テルミンがフィーチャーされているのですが、このバージョンを聞くと『この曲はこんなにも切なかったのか』と思い知らされること間違いなしです。同じメロディーでもアレンジが違うとこんなにも印象が違うものなんですね。この曲を聞くたび、音楽におけるアレンジの重要さを感じずにはいられない。そんなバージョンになっています」。

(日比麻音子)へー!

『鎌倉殿の13人 大河紀行3』

(宇多丸)これはですね、お言葉ですが。そんなこと言ったらね、ダース・ベイダーのテーマ。『帝国のマーチ』だって別にオルゴールで聞けば感じもだいぶ変わりますよ! 「チャン、チャン、チャン、チャンチャチャン、チャンチャチャーン……」って。アレンジで変わるって、そりゃそうですよ。

(日比麻音子)テルミンって、あれですよね? スギムさんのやつですよね?

(宇多丸)そうです。スギムさん、クリトリック・リスさんの股間についていたあれです。じゃあ、この方に聞きたい。そのテルミンの『大河紀行3』。スギムさんの股間で鳴らしているかもしれないですよ?

(日比麻音子)おお、それはもう、何殿?(笑)。

(宇多丸)何殿か、わからないけども。そしたら伝わる感慨も全く違ったものになるはずですよ?(笑)。

(日比麻音子)そうですよ。たぶん泣けてきますね(笑)。

(宇多丸)こんなくだらない話をしている場合じゃないんですよ(笑)。まあ、そんなね、『鎌倉殿』の話題がねまだまだ続く中で……そうそう。いろんな、この周りにいくらでもあるわけよ。そのゆかりの地が。だから、めちゃくちゃ行きたくなりますよ。しかも、その結構な惨劇が起こる……惨劇ばっかりだからさ。だからさ、「ありがたい、ありがたい」ってみんな、拝んでいるけども。「いや、ここは惨劇だから!」って。

(日比麻音子)そうそう! だから「鎌倉、ぶらり」とか言ってられなくなっちゃったから。

(宇多丸)血まみれだわ!

(日比麻音子)でも私、あまりにもはまりぎて、根津美術館でこの前の日曜日までやってたんですけど。『企画展 遊びの美』っていう、遊びのシーンを集めた、たとえば屏風であったり、絵画であったりっていうものがやっていまして。そこで、実朝様が書いていた、和歌を書いて太郎に渡すシーンとか、あったじゃないですか。

(宇多丸)実朝は歌の名手でもありましたから。

(日比麻音子)それで、実朝様のものではないとしても、「ああ、こうやって紙をやり取りして和歌で遊んでいたのかな」とか。蹴鞠の毬を蹴るっていうのも、いっぱい出てくるじゃないですか。その本物を、どういう景色なのか見たすぎて。思わず根津美術館にダッシュで見に行ったっていうぐらいに『鎌倉殿』にはまってしまいまして。でも実際、江戸時代のものがほとんどだったので。おそらく家康に関連した……。

(宇多丸)家康も吾妻鏡を愛読していたっていう。それも出てくるじゃないですか。あれもびっくりだしね。

(日比麻音子)そうそう。だから江戸時代の様子なんかもあるんで。今、大河を楽しんでいる方も、『鎌倉殿』をご覧になった方も楽しめるという。

(宇多丸)僕も孫すすめですけども。人から教わったあれですけど。太宰治の『右大臣実朝』。このタイミングで読めば、めっちゃ楽しいから。

(日比麻音子)ああ、そうか! 読もう!

<書き起こしおわり>

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