宇多丸 UZI逮捕を語る

宇多丸 UZI逮捕を語る 宇多丸のウィークエンド・シャッフル

宇多丸さんがTBSラジオ『タマフル』の中で古くからのラッパー仲間UZIさんの逮捕について話していました。

(宇多丸)で、まあそんな中、要するに我々は粛々と真面目に活動を続けてきているからこそ、細々戸ながらですけどもちゃんと、でもライブ動員数も圧倒的に伸びていますし。作品の売上。配信数が『ダンサブル』は劇的に伸びましたよね。めちゃくちゃ配信が右肩上がりで、これはなかなか例がないことらしくて。非常にね、真面目にやってきたなりのキャリアを歩ませていただいているライムスターなんですけども……。

まあ、今週ね、みなさんご存知の通りラッパーのUZIくん。僕はもうUZIくんは古くからの知り合いですし、仲間です。まあ、ネットで「親友の」って書いてあったりしたけど、「親友の」っていうのはちょっと語弊があるかな? まあ、「すっごい仲がいい仲間」ぐらいの感じですかね? 会うとしても、2年に1回とかそんなところなんで。まあでもUZIくんね、ここのところは『フリースタイルダンジョン』のあの進行役とか。「うぇいよー!」で有名なあれであるとか、リングアナとしても活躍していたUZIくんが乾燥大麻を約600グラム……これはちょっとさすがにね、量がね。ちょっと度を越した量でもありますしね。ちょっと申し開き不能な感じで捕まってしまって。

これは本当に、もちろん刑に服すというか。容疑も認めているんだったら、これは当然のことでしょうし。で、まあそのね、大麻というもの一般に対する意見であるとかっていうのは、僕は前の高野政所くんの時とかにもいろんなところでコメントをして。他の番組でもコメントをしているんで、まああえてここで繰り返したくはないんだけど。

高野政所くんの時

ライムスター宇多丸 高野政所逮捕を語る
ライムスター宇多丸さんがTBSラジオ『タマフル』の冒頭で、番組に度々出演していた高野政所さんが逮捕された件について言及していました。 (宇多丸)あのね、もう本当、バイきんぐの小峠さんばりにね、言いたくもなりますよ。なんて週だ!ライムスター宇...

ひとつ言えるのは……いいですよ。その大麻に対するいろんな考え方はちょっと置いておいてください。現状、日本で大麻をやると、こういう逮捕とかのリスクがあるという、そういう誰もがわかっている大前提の話で、要は僕とかもそうですけども。これ、まさにそうですね。メジャーメディアというか。で、スポンサーが関わっていたり、多くのスタッフが関わっていたりというところで活動をしているような人は……たとえばこれがヒップホップ界で言えば、アンダーグラウンドで活動をしていてアウトローなスタンスというか。もちろんヒップホップはそういうアウトローな魅力というのは当然、そこで育まれた、その要素も大きい音楽なのはもちろん事実ですし。

あと、もっと言えばアメリカのヒップホップに関しては、僕ね、NHKの『今日は一日”RAP”三昧』でもズバリ言い切りましたけど、その時々のストリートにおける流行しているドラッグの傾向というのが音楽や歌詞の内容とかにも現れていたりもする。これは全く事実でございます。なんで、だからたとえばそこを追う人……わからないよ。アウトローなスタンスでっていう人は、だから自己責任で。わからないですけど、そういう人がいたとしましょう。

でもね、僕らみたいにメジャーメディアで活動をするような、そしてこの年齢でですよ。要するに長くヒップホップシーンっていうのにいる人間が捕まったり、こういうことを起こすと、本人の意識がどうあれ、シーンに対する責任感がどうあれ、それはやっぱりヒップホップのシーンというものにものすごく大きな影響を及ぼす事件になってしまうわけですよね。要するに、世間一般の印象は確実に悪くなるわけですよね。悪くなるだけじゃなくて、たとえば本当にだったらヒップホップ関係者、ラッパーとかがブッキングされるような仕事とか企画とかが潰えたりとかすることが多くなったり。

まあとにかく、一言でいえばめちゃめちゃ責任がある立場。本人がどのような意識であろうと、もう否応なく背負っちゃっているわけですよね。僕らみたいな……僕らは30年ですけど。UZIくんだってキャリア長いですから、20年以上やっているような人はすでに背負っちゃっているわけだから。そこのところで、やっぱり当然のことながら責任ある立場として、これを機会として、みんな脇を締めろ!っていうことです。とにかく。ヒップホップシーンのために、いろんなことをみんなやってきている。本当に、自分の利益とかを超えてがんばってきているんですよ。本当に。『”RAP”三昧』とかでもジブさん(ZEEBRA)も言っていましたけど、みんな布教に努めてきている。

宇多丸・ZEEBRA『今日は一日”RAP”三昧』対談書き起こし
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スタンスの差、いろんなメッセージの差こそあれ。そういうのを本気でやるんだったら、脇を締めるのも一環だから!っていうことです。と、同時にたとえばその、UZIくんの人柄……僕はUZIくんの人柄みたいなのをこの間、『バラいろダンディ』でフォローみたいに言ったら、「そんな人柄とか関係ない!」って。いや、だからあなたには関係ないだろうけど、俺には関係あるんだよ!っていう話をしているんで。

あと、この件で俺はすごくイラッときたっていうか。まあしょうがねえのかなとも思うんだけど。僕がメディア上で言った、たとえばね、「大麻は合法になっている国がいっぱいあって、アメリカとかお手軽に行ける国でも合法なところがあるんだから、わざわざ日本で捕まるリスクとかを負ってやることはもうないだろう? なのに、なんでわざわざ……」っていう、大麻一般に対する僕の意見として言うと、それを完全に捻じ曲げた形で引用して、まとめ記事みたなのを上げて。で、それをまた、大抵の人はネットでクリックをして元ネタの真偽なんかはチェックしないで見ますから。それでその釣り見出しみたいなのを……完全に悪意を持って捻じ曲げているわけですけども。それを見てまたワーワーとさ、文句言われたりしてもさ、言っていないことだから責任の取りようもないし。

なんか……あれはどうしたらいいんですかね? あれね。よくあるんですよ。こういう重大な問題ではなくても、なんか「ハロプロの新譜についてBUBKAでこういうことを書いていた」って、そんなこと言ってねえよ!っていうことが書いてあったりして。それに対してまた怒っている人とかがいて。どうしたらいいの? この民度の底なし沼は? だから、どうしようもないのかなとも思うけど、そういう釣り記事とかを書く人は、せめて1000円ください。ねえ。1000円くれるのが筋でしょう? それは。世界共通の礼儀ですよ、1000円は。1000円ですよ。だから、1000円払えよ。だから、「utamaru@tbs.co.jp」の方まで、現金書留等で1000円払ってください。結構いると思うんで。よろしくお願いします。フフフ(笑)。なんだ、この結論?っていうことですけどね。

もちろん、600グラムは度を越した量なので。合法な国でも捕まる量でございますというような話もございます。でもまあUZIくんに「いいやつだ」っていうのもちろんあるし、あとラッパーとしても非常に才能あふれる男なので。もちろん、いずれ更生して帰ってきて。刑を終えて帰ってきて、またそれなりのちゃんとした成功を収めてほしいと願うのは、仲間として僕、そんなに変なことを言っているでしょうか?っていう感じなんですけども。

はい。それではですね、ここでまた火に油を注ぐと言いますか、1曲ご紹介したいと思います。みなさん、テレビ『フリースタイルダンジョン』から生まれたオフィシャルCDの第二弾。来週水曜、1月24日発売の『FREESTYLE DUNGEON ORIGINAL SOUNDTRACK VOL.2』。これからかける曲はすでに配信は始まっているということですね。なんですけど、これはなぜか?っていうと、いろんな曲が入っているんだけど、これからかける曲は審査員をやっている韻踏合組合のERONEくん、そして我らがいとうせいこうさん、そしてKEN THE 390が参加した『THE JUDGE』という、要するにジャッジ役をやっている3人による曲。トラックは『フリースタイルダンジョン』でDJとしても出演しているMr.BeatsことDJ CELORYくん。そして、アディショナルボーカルにLilyさんも参加。Lilyさんも審査員だから、徹底して審査員側でやった曲が入っていて。

で、ですね、これ注目ポイントはもちろんERONE、KEN THE 390。トップスキルラッパーですよ。フリースタイルやらせても、歌詞を書かせても、ちゃんと作品を作らせてもトップスキルラッパーですけど、二番手に出てくるいとうせいこうさん。いとうせいこうさんがこの間、『今日も一日”RAP”三昧』で、日本語の韻というものに対する考え方をいろいろとお話いただきました。これ、この番組の公式書き起こしもやっていただいているみやーんさんによる非公式書き起こしの方に残っていたりするんで、そちらも読んでいただいたりするといいんですけど。

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そのいとうせいこうさんが、久々にゴリゴリのストレートヒップホップ。しかももう韻踏みまくり。ガンガンライミングしまくりで本気を出してきた。「ストレートヒップホップでも、俺はやればこんぐらい余裕だぜ!」ってカマしてきている。この異常な現役感。このあたりが聞き所ではないでしょうか。それではね、非常にタイムリーな感じでお送りしたい。いいですね。またこの『THE JUDGE』っていうのがまたいいですね。お聞きください。ERONE, いとうせいこう&KEN THE 390で『THE JUDGE』!

ERONE, いとうせいこう&KEN THE 390で『THE JUDGE』

はい。来週水曜、1月24日に発売される『FREESTYLE DUNGEON ORIGINAL SOUNDTRACK VOL.2』よりERONE, いとうせいこう&KEN THE 390『THE JUDGE』をお聞きいただきました。いとうせいこうさんのね、固いライミングと、それこそちょっと漢くんばりの詰め込んだフロウも含めて、もうバリバリ現役やないか!っていう感じで本当にかっこいいですよね。見習いたい先輩でございます。

ちなみにね、こういういろいろさ、「○○が逮捕されました」っていう時にさ、そりゃあこういう番組、生とかでやっているから、なんか言わなきゃいけないのはしょうがないけど……本当にそりゃあもうマジで面倒なんすよね。いちいち俺に意見聞いてるんじゃねえよ!っていうところが正直なところですよ。まして、なんて言うの? なんで俺が「大麻と社会」みたいなことに対してさ、背負わなきゃいけないの? 背負う筋合いねえし!っていう。そういうのはモチベーションがある人ががんばってやってくださいよ。

俺はだから、たとえば日本で禁酒法があらためて出来たりしたら、すごいよね。いまだかつてない勢いでデモとかに参加しだしてね。「はんたーい!」っつってね。「はんたーい!」って。安保の時でもこんな勢いじゃなかったろ?っていうぐらい「はんたーい!」って。その時は俺がやるからさ。だから、がんばってくださいよ。私も、がんばります。そんな感じで今夜のメニュー紹介です。

<書き起こしおわり>

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