(渡辺志保)で、今回、先ほどもちょっと言いましたけれども。これまで何度か、彼らに直接インタビューをする機会なんかもありましたので。自分が過去に書いた記事とかをちょっと読み返してたんですね。で、2017年に彼らが『Mobb Life』というアルバムをリリースするんですけれども。『Mobb Life』はCDの形でリリースされているんですよ。初めての全国流通盤CDということで、かなり気合いを入れて作ったアルバムだったんですね。
それまでのBAD HOPの音源って、本当にめちゃめちゃアナログなんですけど。彼らがCDを手で配っていたんですよね。フリーで、自分たちでCDを梱包して。それを近くの洋服屋さんに届けに行ったりとか、CD配布することがニュースになって。それで長蛇の列ができたりとか。なかなか、簡単には聞くことができない。けど、めちゃめちゃこうねストレートでバズってるみたいなそういう状況だったんですよ。
(渡辺志保)で、そんなBAD HOPの音源がちゃんと正規に流通に乗った形で全国で手に入るということで『Mobb Life』というアルバムが発売されたんですけれども。そこで、タワーレコードさんのフリーペーパー『bounce』ってあると思うんですが。その『bounce』の表紙をBAD HOPが飾ったんですよね。写真はcherry chill will.で、私がインタビューを担当させてもらったんですが。その時もメンバー全員にお話を伺ったわけではなくて。8人を代表してYZERRくんとTiji Jojoくんがインタビューに答えてくださいまして。その時のインタビューは今、MikikiというWebメディアに転載されておりますので、興味ある方はMikikiでも読んでいただければなという風に思うんですけれども。
(渡辺志保)で、その時の2人の発言部分を読んで「マジで有言実行だな」という風に改めて感じた発言部分があったので。本人たちは昔の言ったことを引っ張り出されるのは嫌かもしれないんですけれども。ちょっとだけ紹介したいなと思います。まずTiji Jojoさんが「今後の展望というか、やりたいこと、成し遂げたいこととかありますか?」みたいなことをたぶん私が聞いたんだと思うんですけれども。Tiji Jojoさん、「でかいところでライブをやりたくて。大きなライブ会場でも通用できるパフォーマンスのスキルを身につけるというのは全員共通している目標ですね。あと、もっと若い子たちとも一緒に音楽をやりたい。俺たちがラップを始めた頃って、ヒップホップはめっちゃバカにされてましたし、同時に超強い人じゃないとできないみたいなノリもあった」っていうことをおっしゃってて。「でかいところでライブをやりたい」っていうのを2017年からおっしゃってきて。その最後を締めくくるステージが東京ドームであるっていうのは、めっちゃめちゃすごいなと。なんか、自分で書いた記事なんですけど改めてちょっと鳥肌というか。「うおー!」という風にも思いました。
有言実行してきたBAD HOP
(渡辺志保)同じくYZERRさんにもですね、「今後、どういうことをやりたいですか?」という質問に対して「お金を払わなくても、子供たちがスタジオに入れたり、そういう環境作りなんかをやっていきたい」という風にもおっしゃっていたんですよね。で、BAD HOPの面々は実際にその地元の川崎にスタジオを作ってらっしゃるんですね。で、本当にそこはね、若い子たちが無料で使えるような感じになっているらしくて。私はまた足を運んだことはないんですけれども。実際、だってスタジオ作るってのもめちゃめちゃ時間とお金がかかることだと思うんですけれども。もう、それもひとつの通過点じゃないですが。ちゃんと昔のインタビューで発言したことを有言実行して。実現しているというところが痺れますねという感じです。
(渡辺志保)で、こんな感じでこう、自分たちで共通の目標を持って。それをひとつずつ、ステップを踏んで実現してきた。やっぱりそういう姿にたぶん皆さん、共感を覚えたりとか、励まされたりしてきたと思いますから。それが積りに積もって5万人の聴衆を沸かせるまでになったっていうのは本当に彼らの持つカリスマ性というか、パワー、エネルギーの凄さを改めて感じました。やっぱり私がすごいなと思うのは、どこの事務所にも属さず。そしてどこのレーベルにも属さずに、本当に自分たちで超インディペンデントでやってきたんですよね。たぶんすごく大変だった局面であるとか、めちゃくちゃ泥臭いところも多々あったかと思うんですけれども。本当にあくまで仲間たち8人だけで……もちろん、それだけじゃなく、マネージャーさんがいたりとか、裏で支えてくださる関係者の方も何人も何人もいるわけなんですけれども。ただね、その軸になるのはその8人というわけですね。
それが10年、こうして続いたっていうことはめちゃめちゃスペシャルだなという風に感じますね。なので本当に素晴らしい夢を見させてくれて、ありがとうという気持ちにもなりましたし。同時にですね、大きなドームの会場で若手のラッパーからベテランのラッパーまでがみんなでひとつのステージに立って、BAD HOPのキャリアをセレブレートするみたいな雰囲気があったわけなんですけれども。さっきも言った通り、すごく若いお客さんもたくさんいましたので。その景色を見ていた若者たちが、どのようにモチベートされて……もしかしたら今後、このお客さんの中からBAD HOPを超える新しいアーティストの方が出てくるかもしれないですし。そうしたところにも同じく、BAD HOPの解散は悲しいけれども。期待したいところだなという風にも感じました。
なんか2024年、まだね2月の下旬ではありますけれども。またね、いろいろ大きい出来事が起こるんじゃないかなと。ポジティブな意味での大きな出来事が起こるんじゃないかなという風にね、楽しみなところでございますね。というわけで、ここでもう1曲。BAD HOPの曲かけたいと思うんですけれども。やっぱり最後はこの曲で締めてらっしゃいましたね。彼らにとっての代表曲でございます。『Kawasaki Drif』、お届けしましょう。
BAD HOP『Kawasaki Drift』
<書き起こしおわり>