渡辺志保 BAD HOP東京ドーム解散ライブを振り返る

ZEEBRA BAD HOP東京ドーム公演と『Empire Of The Sun』製作を語る MUSIC GARAGE:ROOM 101

渡辺志保さんが2024年2月23日放送のbayfm『MUSIC GARAGE:ROOM 101』の中で東京ドームで行われたBAD HOPの解散ライブについて、振り返っていました。

(渡辺志保)ここからの時間は先日、2月19日月曜日に開催されましたBAD HOPの解散ライブ@東京ドームに行ってきたというお話をしてまいりたいと思います。既にご存知の方もたくさんいるかと思いますけれども、8人組のラップグループBAD HOP。神奈川県川崎市を拠点に活動している。メンバーのうち、Vingoくんというメンバーだけが東京都出身で。Vingoくんは自分のリリックの中でも「東京から橋を渡ってきた」という風におっしゃってるんですけれども。Vingoくんだけが東京都出身で、あとはみんな川崎出身なんですよね。

で、先週、ここでもオンエアした『IKEGAMI BOYZ』という曲がありますけれども。そのリリックの中でも「保育園から同じ」ということで。メンバーの中には保育園時代から一緒につるんでいる仲間も一緒にラップを続けてきたという、そうしたバックグラウンドのラップグループです。

(渡辺志保)で、メンバーのうち、T-PABLOWとYZERRという2人は実際の双子であるということで。そうしたことも最初、ちょっと非常に話題になったかなという風にも思います。で、BAD HOPは結成約10年を迎えて、2024年2月19日に解散しましたということなんですよね。で、本当にBAD HOPの詳しいプロフィール、ディスコグラフィーなど、気になる方は各自、いろいろと調べて、ディグってみていただければと思うんですけれども。

去年の『POP YOURS』という幕張メッセで行われた大型ヒップホップフェスがありまして。2023年の5月に行われたわけなんですけれども。その『POP YOURS』でBAD HOPはトリを務めたんですね。そのフェスのライブパフォーマンス中に「BAD HOPは解散します」ということをアナウンスして。本当に衝撃的な発表だったですね。私もその場にまさにいたんですけれども。スクリーンに「#BAD HOP解散」っていうのがバーン!って大映しになって。ですので、ファンとしてはちょっと準備はできていたというか。本当に解散は悲しいことでもあるけれども、逆に言うとその2月19日に東京ドームでライブするってこと。それと同じぐらい楽しみに、みんなBAD HOPの夢を一緒に背負うような形で去年の5月の話ですから9ヶ月ぐらい、共に歩んできたという感じも勝手ながらいたします。

で、その「解散します」という発表した時点ではですね、いつ、どこで解散ライブをするということは発表されなかったわけなんですけれども。「大きな会場でライブをします」ということをおっしゃっていて。その後、「東京ドームでライブをします」ということが発表されました。私はですね、東京ドームで音楽のコンサートを見たのが実は今回のBAD HOPが初めてだったんですよね。それぐらい、私は縁のないというか、ずっとヒップホップばっか聞いてきたリスナーあるあるかと思うんですけども。日本のヒップホップアーティスト。っていうか、世界のヒップホップアーティストも前例がないですからね。日本におけるヒップホップアーティスト初の単独東京ドーム公演ということで。いやー、感慨深いというか。「本当にここまで来ることができたんだな」っていうね。何とも言えない気持ちになりましたね。

で、キャパシティがだいたい5万人から5万5000人ぐらいだそうなんですけれども。さっきもちょっと話に出た『POP YOURS』っていうフェスも幕張メッセで2日間、行われて。そこでの動員人数がだいたい3万人ぐらいなんですよね。で、昨年の10月に行われた『THE HOPE』という、こちらも国内最大級のヒップホップフェス。こちらもお客さんがだいたい3万人ぐらい、集まっていて。ここ数年でその日本国内のヒップホップマーケットって本当に急速にめちゃめちゃ大きくなっているのはもう、私もめっちゃ肌で感じているわけなんですけれども。私も、あとはおそらくお客さんも、そして業界関係者的な、裏方の方たちも、そのヒップホップの大きな会場でお客さんが一堂に会する限界を見たのは、たぶんその3万人規模っていうところだと思うんですよね。で、それを2万人、飛び越えて今回、BAD HOPが5万人以上のお客さんの前で単独ライブをしたっていうのは本当に偉業だなという風に私は感じました。

で、彼らはラストアルバムとして『BAD HOP』というタイトルのアルバムを発表しているわけなんですけれども。そこに、たくさんのゲストの方たちが参加しているわけなんですよね。若手のラッパーだと、たとえばDeechとかCandee、eyden、Bonberoみたいな、本当にまだまだ20代前半のラッパーの方たちもそこには参加しているし。その一方でANARCHYとか漢 a.k.a GAMI、D.O.、そしてZeebraといったベテラン勢もアルバムの中に参加していて。そうした豪華ゲストの面々も東京ドームのステージに立ってましたので。BAD HOPの8人だけで東京ドームを沸かせたということでは厳密にはないんですけれども。

でも、そうしたゲストの方は前もって、全く発表がありませんでしたので。みんなBAD HOPだけをめがけてドームのチケットを皆さん、買ったってわけですよね。で、チケットも公演前にはソールドアウトしまして。急遽、その見切れ席……機材を置いていた席であるとか、「ここから先はお客さん、座ってもステージがちゃんと見えませんよ」というような見切れ席も追加販売して見事、チケット売り切ったということでですね。本当にすごいことですわ。で、東京ドームもそれこそ、連日ニュースになっておりましたけれども。数日前、2週間ぐらい前にはテイラー・スウィフトが連続で公演を行っておりましたし。さらにその数週間前にはブルーノ・マーズも4日、5日と連続でドームを埋めて公演しておりましたから。そこに並ぶBAD HOP……もちろん厳密には並んでいないかもしれないんですけれども。ドームで単独公演を行ったアーティストという意味ではですね、ばっちり肩を並べておられましたので。本当に、勝手に……もう本当に「何様?」って感じかもしんないけど。勝手にめちゃめちゃ誇らしい気持ちになってしまいました。

先ほども「BAD HOP結成から約10年を迎えての解散」という風に申し上げましたけれども。私は非常に幸運であり、光栄だなと思うんですが。結構その初期、10年前から彼らにインタビューをしたりとか、なんかちょいちょい現場で会って挨拶したり、みたいなことがありましたので。なんていうんだろう? こういう言い方をするとすごく恩着せがましいかもしんないけど。その10年間を定期的に間近で見ることができた稀有な人間の1人かなという風に思っております。

活動初期からBAD HOPを間近で見てきた

(渡辺志保)で、最初にBAD HOPのメンバーに会ったのはですね、2014年にその双子のメンバーであるYZERRくんとT-PABLOWくんが2WINという名前のラップユニットをまず組んでたんですよね。で、その2WIN名義でアルバムを出しまして。その取材をすることがあって。そこで初めてお二人に会ったんですね。で、そのインタビューが何用のインタビューだったか、ちょっと記憶が曖昧なんですけれども。双子だが別々にそれぞれ話を聞いて。2人並んでではなくて、先にどっちか忘れたけど。T-PABLOWくんに話を聞き、その後に同じような質問をYZERRくんにするみたいな。たぶん、その双子だからどれぐらい同じことを答えるのか?っていう、そこもちょっとある意味、興味深いみたいな感じでインタビューを組んだ覚えがありますね。

その後も私がホストしているラジオ番組にゲストで来ていただいたりとか。あと一緒にですね、TBSラジオの宇多丸さんの番組にお邪魔したこともありまして。そこにはYZERRくんとTiji Jojoくんが一緒に来てくれたんですけれども。なかなかね、思い出深いエピソードが、私は私でいろいろありますね。

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(渡辺志保)あとは海外、LAでBAD HOPが1週間ぐらい、スタジオで行って制作をガーッと行った時期があったんですけれども。そこでも私がね、本当に「何様だ?」って思われると思うんですけど。私が一緒に帯同させていただいて。そこでいろんなアメリカの名だたるヒップホッププロデューサーと仕事をしたっていうこともありましたし。そんなこんなで、10年間、BAD HOPとして活動してらっしゃって。おそらく、私みたいな何かしら仕事を通して関わってきた関係者みたいな方もたくさんいらっしゃると思うんですよね。で、私もインスタグラムを拝見してると、やっぱりそういう裏方の人たちもみんな、東京ドームのライブを見に行っていたみたいで。やっぱり皆さんそれぞれ、本当にご自身とBAD HOPの思い出であるとか。やっぱり一緒に育ってきたというか、一緒に歩んできたみたいな思いをシェアしてらっしゃる方がたくさんいて。「うんうん、そうだよね」と思いながら、そうしたポストを見ておりました。

で、私は夫と一緒に見に行ったんですけど。夫もね、ちょいちょい仕事でBAD HOPのメンバーと関わることがあったわけなんですけれども。本当にこう、私ぐらいの世代の方。もしくは私より上の世代の方はみんな、思ってると思うけど。勝手にお父さん、お母さんみたいな気持ちでステージで……本当に東京ドームの大きなステージで5万人を魅了している彼らのことを胸いっぱいという気持ちで見ておりました。というわけで、ちょっと話の途中ではあるんですが、ここで1曲、紹介したいなという風に思います。

もちろん、先日の東京ドームの公演でも披露しておりました『Last Party Never End』という曲がありまして。これがすごく明るいリリックではあるんだが、ちょっとノスタルジックな気持ちというか。めっちゃエモーショナルな気持ちになって。この曲をライブの後半の方にやってたんですけれども。この曲をパフォームしている時のみんなの表情を見ながら「ああ、本当に今日で解散しちゃうんだ」って。すごい涙が出てきそうになってしまったので。その感動がちょっとでも伝わればいいなと思い、ここでオンエアーしたいと思います。BAD HOPで『Last Party Never End feat. Tiji Jojo, YZERR, Yellow Pato & Vingo』。

BAD HOP『Last Party Never End』

(渡辺志保)というわけで、ドームのライブの話を延々としているわけですけれども。やっぱり若いお客さんがたくさんいたのも非常に印象的だったし。あと、お客さんはみんな、ずっとBAD HOPの曲の歌詞を歌ってるんですよね。5万人でラップの歌詞を合唱するとこうなるんだ、みたいな。そこも嬉しい驚きというか、発見みたいな。初体験でございました。

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