渡辺志保 キム・カーダシアン「KIMONO」騒動を語る

モーリー・ロバートソン キム・カーダシアン「KIMONO」問題と捕鯨を語る MUSIC GARAGE:ROOM 101

渡辺志保さんがbayfm『MUSIC GARAGE:ROOM 101』の中でキム・カーダシアンが自身の補正下着ラインに「KIMONO」と名付け商標登録し、それが「文化の盗用だ」と批判を受けた件について話していました。

(渡辺志保)まずは海外トピックから紹介していきましょう。これ、絶対にしゃべりたいと思って決めてたんですけど。キム・カーダシアンが「KIMONO(キモノ)」を商標登録して大炎上! ということで、こちらのお話、ぜひ皆さんの意見も聞きたいなと思ってるんですけれども。ご存知の方もたくさんいると思うけれども、カニエ・ウェストの奥さんでもございますキム・カーダシアンが、自身の補正下着のファッション。ランジェリーラインを発表して。そのブランドの名前がKIMONOっていうブランド名。

で、それに対してアジア系の人たち……はっきり言うと我々日本人であるとか、あとはアメリカに住んでいる日本人。もしくはアジア系の方々が「非常にこれは侮辱的である、差別的である。そして我々の文化の盗用である」という風に怒りを示しまして。いま、この収録が行われている現時点ですけれどもも。反対する署名運動とかも起こってきているという状況です。

で、先に申し上げるとキム・カーダシアン、この放送がオンエアーされている時には更に進展があるかもしれないですけれども。つい先ほど、ニューヨークタイムズ紙に声明を出しまして。その言葉を紹介しますと……「私は日本の文化をとても深く尊敬していますし、理解しています。いかなる意味をもってしても、伝統的な日本の着物に似せたような服を作るようなつもりでこのKIMONOを立ち上げたわけではない。

その日本のルーツのことも理解しているし、細部に渡るこだわりとか繊細さ、そういったものを自分の補正下着のランジェリーでも表現したくて、このKIMONOという名前をつけた。非常に自分はこの名前に誇りを持っているし、この補正下着においては多様性をコア、核の部分にしているので、私はこのKIMONOという名前を変えるつもりはありません」という風に発表しました。

(※番組がオンエアーされている段階ではすでにキム・カーダシアンは「KIMONO」の名前を変更することを発表済みです)

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Being an entrepreneur and my own boss has been one of the most rewarding challenges I’ve been blessed with in my life. What’s made it possible for me after all of these years has been the direct line of communication with my fans and the public. I am always listening, learning and growing – I so appreciate the passion and varied perspectives that people bring to me. When I announced the name of my shapewear line, I did so with the best intentions in mind. My brands and products are built with inclusivity and diversity at their core and after careful thought and consideration, I will be launching my Solutionwear brand under a new name. I will be in touch soon. Thank you for your understanding and support always.

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(渡辺志保)で、私は結構キム・カーダシアンウォッチャーなので、彼女のことは常にSNSや彼女のリアリティーショーとかも見てるんだけれども。そもそもキム・カーダシアン、自分の飼い犬。娘ちゃんに買い与えたワンちゃんがいるんだけど、そのワンちゃんに「SUSHI(寿司)」という風に名づけたりとか。

犬に「SUSHI」と名付ける

あとは去年だったかな? カーダシアン三姉妹で日本にリアリティーショーのロケに来ているんですけども。その時も「日本をイメージして髪の毛をピンクに染めた」って言って、本当にピンクに染めた髪で来たんですよ。で、私としては「えっ、日本をイメージして何でピンクの髪なの?」って思うんですけど、やっぱり日本のカルチャーであるアニメ、カートゥーンというところに彼女は着目して髪をピンクに染めたという。

なんて言うか、そういう認識なんだよね。キムにとって日本のカルチャーっていうか、我々の伝統というか、そういうものって。良くも悪くもね。なので私は最初……だって、犬に寿司って普通は名付けないような気がするんですけど、そう名付けちゃうのがキム・カーダシアンの感性という感じで。

で、私の最初の彼女の「KIMONOを立ち上げます」っていうツイートを見た時に、結構「ああ、さすがキムだな。キムらしいネーミングだな」という風に思っただけで、そんなに我々の伝統文化である着物の文化を盗まれたとか侮辱されたとか、そういった感情は正直あまりわきませんでした。でもその後にね、その「KIMONO」を商標登録したとか、あとは皆さんの反応とか見てると、やっぱりちょっとモヤッとするところはあるなという風にも思うんですが……やっぱり文化の盗用問題というのは非常に難しいなってまた思いましたね。

非常に難しい文化の盗用問題

たとえばね、皆さんも記憶に新しいと思いますけれども。アリアナ・グランデが自分の手のひらに「七輪」っていうタトゥーを彫った時にも相当、バッシングがありましたし。あと私はキム・カーダシアンのKIMONO以上に「ん?」って思うのは、たとえば去年、エミネムもね、『KAMIKAZE』という名前のアルバムをリリースしたじゃないですか。

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で、「神風」ってたぶん日本における神風の解釈と、アメリカの第二次世界対戦を経験していない世代が思う神風の印象って全然違うと思うんですよね。だからKIMONOというワード、カルチャーをひとつとっても、まあ七輪のカルチャーとかもそうですけども。やっぱりその背景に何があるか、そしてそれが本当に何を意味しているかというのを、やはり知って理解してリスペクトがないと、なかなかやはり他のエスニシティのカルチャーというか、そういうたところに触れることは難しいし。まあ、全く100%すべきではないとは私は思わないですけれども。ただ、その知る努力とか、そういったことは最低限してほしいし。それがマナーだし、それがリスペクトだなという風に思いますね。

たとえばこういう問題って、そのマジョリティの人がマイノリティのカルチャーを利用する時に搾取だとか文化の盗用だって言われるんだっていう意見も私はちょこちょこ目にするんですけど。私はちょっとね、各エリア、各民族のカルチャー、文化においてはそのマジョリティにもマイノリティもあまり関係ないんじゃないかなと思っておりまして。それってやっぱりその搾取する人、搾取されたと思う人がどこにいるかで全く、起点がどこにあるかで違う話になると思うし。

あまりそこに立場の優劣とかね、強弱っていうのは全くもってつかないのでは? という風にも思っております。で、まあぶっちゃけさ、キム・カーダシアンが立ち上げたこのKIMONOブランドが我々の着物カルチャーをテイクオーバー、乗っ取ることにはならないと思うし。3年後ぐらいにはみんな忘れているんじゃないかな?っていう風に思うんですけれども。そうね。キム・カーダシアンも「KIMONOにしよう!」って思った時に、周りに誰も「ちょっと、キムさん。もうちょっと他の名前を変えてみない?」みたいな、そういうサゼッションはなかったのかな?っていう風にも思ってしまうし。

ちなみにキム・カーダシアンの絵文字……絵文字って日本語でももちろん絵文字だし、海外でもいまはもう「Emoji」が普通の単語として使われているんだけども。「Emoji」をもじって「Kimoji」っていう自分のグッズを作っていたりもしますので。

その、犬の名前に「SUSHI」と名付けるとか、そのKimojiのことを知ってるカーダシアンウォッチャーとしては、あまりここからKIMONOが出てきても驚かないなという感じはしたんですけれども。まあ、彼女は「このKIMONOソリューションウェアという補正下着の名前を変える意図はございません」と言ってますが、ただこの問題がどういう風に着地するのかっていうのは非常に興味深いところだなという風に思っております。

あとはこのね、キム・カーダシアンのKIMONOの問題がいい鏡っていうかブーメランになっているのではないかと私は思っておりまして。なのでよその国、よその民族やよその人種の方々のカルチャーを我々がどう受け止めるか。どういう風にそのカルチャーを表現するか、みたいなことはやっぱりもちろんね、そんなキムだけを責めるってわけではなくて、やっぱり自分たちももう一度考え直さないといけないなと思うし。やっぱりファッションだけで他の民族の人の洋服を真似たりとか、メイクを真似たりとか、そういったことは非常に皆さん、よくあることだと思いますので。

何かそういったことを考えるきっかけになればいいなという風に私は思いました。というわけでここで1曲、お届けしたいと思うんですけど。なんかさ、私もアメリカにちょこちょこ遊びに行きますけれども。そういったとこに行くと「ああ、なんか日本語がちょっと間違って解釈されてるな」って思うことが非常によくありまして。たとえば、カンフー、柔道、柔術とかさ、そのへんをみんなごっちゃにしてたりするじゃないですか。あとは忍者とかね。

あのケンドリック・ラマーでさえ、「カンフーケニー」っていうモチーフでステージ作った時にもさ、バックダンサーに忍者の格好をしたような人とかもいて。「ああ、ちょっと違うんだけどな……」みたいな。でも別にそこでケンドリック・ラマーが炎上っていう風にはあんまりならなかったでしょう?

やっぱりキム・カーダシアンだからこの件、みんなすごい横槍を入れてるように思えてならないんですけど。だからまあ、そういうことを度々目にしたり耳にしたりするから間違ってるなって思うんだけど。すごい愛を感じるのがですね、2チェインズですね。2チェインズは「Hibachi(火鉢)」という単語がすごい好きで。『Hibachi for Lunch』っていうミックステープも作っているし。ちょいちょい自分のリリックに「Hibachi」という言葉を入れてるんだよね。

で、火鉢って日本だと多分あんまり使われない単語だと思うんですけど。おそらく一部のアメリカ人の方にとっては「Hibachi Restaurant」というと「炭火焼きレストラン」とかあとは「鉄板焼き」っていうニュアンスになるらしいんですね。

で、「ちょっと高級なレストラン」っていう意味合いがあるみたいで。なので2チェインズの曲にはその「ちょっと高級な俺」っていうのの象徴で「Hibachi」がよく用いられるという。で、これに関しては全く私は文化の盗用とは思わずですね、ぜひ日本に来て本当のねチャコールグリル、炭火焼であるとか鉄板焼きであるとか、そういったものを召し上がっていただきたいなと思っております。というわけで2チェインズのこの曲をお届けしましょう。『It’s A Vibe』。

2 Chainz『It’s A Vibe』

<書き起こしおわり>

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