朝井リョウ『仮面ライダーセイバー』と小説家のリアルを語る

佐久間宣行 仮面ライダーとスーパー戦隊を語る 高橋みなみと朝井リョウ ヨブンのこと

(CM明け)

(高橋みなみ)第二話は?

(朝井リョウ)第一話で高視聴率を叩き出しましたよ。「うわーっ! わかるー!」って。

(高橋みなみ)もう作家の数字がすごいっていうこと?

(朝井リョウ)もうすごい上がっているから。で、今度は新潮社編ですね。セイバー、執筆に集中するために新潮社の別宅を初めて利用しテンションが上がるか、結局横になってしまう回。わかりますか?

(高橋みなみ)ちょっとごめんなさい。全然わからない。えっ?

(朝井リョウ)これ、新潮社って別宅があって。旅館みたいな別宅みたいなのがあって。なんか作家のさ、昔のイメージって旅館でカンヅメして原稿を書くみたいなイメージ、あるでしょう? それが旅館とかじゃなくて、都内の新潮社からすぐ歩いて行ける場所でできるように、なんか別宅があるの。

(高橋みなみ)それは和っぽいんですか?

(朝井リョウ)超和。で、畳の部屋で、掘りごたつで、庭が見えて……みたいなところがあって。そこで取材とかも1日、まとめて取材を受けなきゃいけない時とかはそこを借りて取材を受けたりとか。あと、その別宅に入る寮母さんみたいな人がいたりとかして。

(高橋みなみ)なにそれ!

新潮社・別宅(新潮社クラブ)

(朝井リョウ)私、泊まったことないんですけど、たしか泊まれるらしいんですよ。たしか。わかんないけど。で、そこであまりにも原稿が進んでいない人とかは……そこ、すごい静かな場所だし。

(高橋みなみ)集中できる?

(朝井リョウ)集中できるからそこにセイバーもパソコンを持って行くんだけど、結局横になってしまいます。

(高橋みなみ)フフフ、そのストーリー、いる?(笑)。だってそこから、どうやって悪の組織が出てくるの?

(朝井リョウ)だからセイバーの本当の最大の敵は「怠け」なんです。セイバーが戦わなきゃいけない最大の敵は怠け、眠気……。昼食の後の眠気とか。

(高橋みなみ)それ、子供はどうやって共感してくれるの?(笑)。

(朝井リョウ)そういったものとセイバーはすごく戦わなきゃいけないので。「ああ、わかるよ! 集中をしようと思ってそういうところに行っても、横になっちゃうよね!」っていう。

(高橋みなみ)めちゃくちゃ作家の視聴率を取りに行こうとしている。内容が。

(朝井リョウ)そういう回ですね。で、ちょっと時系列が歪みますけども。文藝春秋編。セイバー、文藝春秋に行ったら本社に乗り込む松居一代と鉢合わせをして動画に映り込んでしまう。

(高橋みなみ)ちょっと待って、ちょっと待って(笑)。

(朝井リョウ)これは実話です。「実話」というか、その松居一代さんが文藝春秋の動画を……覚えてますか? 週刊文春でいろいろあった時に松居一代さんが自分の動画を回しながら文藝春秋に行った日があったんですけど。私、その日、偶然文藝春秋に行ってたんです。でも私は鉢合わせなかったんですけど。結構同じ時間帯に行ってたらしくて。なんか……っていう話になって。「えっ、会わなかったです」って言ってたんですけど。それ、もし映り込んでたら面白かったなと思って。松居一代さんの動画の後ろにセイバーが(笑)。

(高橋みなみ)アハハハハハハハハッ!

(朝井リョウ)「ここかな?」みたいな顔をしているセイバーがサーッと映り込んでいて。

(高橋みなみ)それはでも、松居一代さんもブッキングしなきゃいけなくなるじゃん?

(朝井リョウ)そう。だからちょっと大変なんだけども。そういうのがあったら「ああ、文春。そういうことあったな」っていう風に懐かしんでいただけるかな?っていう。出版社編、まあいくつかあるんですけども。

(高橋みなみ)フフフ、いや、だから面白いんですよ? すごく私たちが知らないことが多いので。

(朝井リョウ)ああ、そうですか? じゃあ、ちょっと集英社編を。セイバー、集英社の社内カフェにて思い切ってグアバジュースを頼む。

(高橋みなみ)フハハハハハハハハッ! わかんないんだよー!

(朝井リョウ)アイスコーヒー、アイスティー、ミネラルウォーター……まず、その各会議室で頼める社内喫茶みたいなのがあるんですよね。集英社っていうのは。で、その集英社の中に……しかも、お金を払うのよ。だから、ニッポン放送と同じか。

(高橋みなみ)そうね。いちご氷カフェとか、あっちにもあるよね。

(朝井リョウ)ニッポン放送には6カフェがあるように、集英社の中にも社内喫茶があって。お金を払って。それで取材を受ける時とかに「何にしますか?」ってメニューを見せてもらえるんだけど。2列あって、左の方に割とメジャーな、作家が頼みそうなアイスコーヒーとか、クールな飲み物があって。右の下の方にすごいヤンチャな飲み物があるんですよ。そのグアバジュースとか、すごいヤンチャな飲み物があってさ。

集英社の社内喫茶のヤンチャなメニュー

(朝井リョウ)で、「うわっ、ヤンチャ!」って思って。それで毎回迷うの。「どうしようかな? でも、作家だしな……」みたいな。「やっぱりアイスコーヒー、ストレートかな?」って思うんだけど、いっつもメニューは目に入っていたの。グアバジュースが。で、私は1回、頼んだことがあるんですけども、lセイバーも勇気を出してグアバジュースを頼むだけど……悪の組織、小説家のイメージ守り隊っていうのがいるんですけど。その人たちが「そんなものを頼むの?」って。

(高橋みなみ)ああ、本人にもささやいてくるんだ。

(朝井リョウ)そう。「他の人たちはアイスティーだよ。作家のイメージ、大丈夫?」みたいな風にすごい言ってきて。それでその悪の組織と戦う回があるんですけど。そのオチは、頼んだものが運ばれてきます。そうなった時にグアバジュースじゃなくてタピオカが運ばれてくるの。で、「あれ?」って思って。「私が頼んだのはグアバジュースです」って言ったら「あ、間違えちゃいました」って言ってその隣の部屋にタピオカを持っていくんですけど。隣の部屋にいるのは超ベテラン作家っていう。

(高橋みなみ)ああーっ!

(朝井リョウ)「えっ、あの人もタピオカとか頼むんじゃーん!」っていうのでセイバーがグアバジュースをズズズーッ!って飲んで。「美味しい、美味しい」って。

(高橋みなみ)セイバーはなんなの? 普通はもっとさ、外に出てバンバーン!ってなるわけでしょう? なのに、なんなの?(笑)。

(朝井リョウ)「グアバジュース、美味しい」っていう回です(笑)。で、出版社編をやったので、こういうシーンがあったらすごくリアリティーがあるなっていうことで、東映の皆さん、視聴率がどんどん上がります。グッズも売れます!

(高橋みなみ)上がるの? グッズも?

(朝井リョウ)子供は憧れるし、グッズも売れます。

(高橋みなみ)なんですか?

(朝井リョウ)このシーンも入れたら。セイバー、本の帯コメントを書いてもらった人から文庫解説を頼まれ、断れずに悩む回。これはやっぱり帯コメント書いてもらった人からの文庫解説っていうのが……。

(高橋みなみ)それはきっと断れないよね?

(朝井リョウ)そうなのよ。でも、文庫解説ってすごく大変なの! 感想文になってはいけない。

(高橋みなみ)解説?

(朝井リョウ)そう。解説なんです。つまり、その本が出た前後にその作家がどういう本を読んだのかとかチェックして。どういう興味、関心が移っていく中で、そのタイミングでこれを書いたのか、みたいな。で、その作品が書かれた時期には世の中でどういうことが起きて……とかも当然、作品には影響してくるので。そういうことも調べなきゃいけないなって。でも、すごい忙しいの。

この時期、セイバーは。すごい、それこそ新潮社の別宅を使ったりとかしてもうまく行かない。進まないっていう時に文庫解説の依頼のメールが来て。「うわあ、申し訳ないけど、断ろうかな?」と思って見たら、「前の本の帯を書いてもらった人からだ!」って。で、とどめ。シリーズ物です!

(高橋みなみ)うわっ、キツい!

(朝井リョウ)この回でセイバーはすごく悩みます。

(高橋みなみ)グッズはどこで出てくるの?(笑)。

(朝井リョウ)セイバーはすごくこの回で悩むと思いますけれども。その姿から子供たちはきっと勇気をもらうだろうし……グッズは、なんだろう? グッズっていうのはその、確約できませんけれども。

(高橋みなみ)いや、さっき「グッズ売れる」って言ったやん!

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