朝井リョウ『Nizi Project』最終メンバー発表番組で感じた違和感を語る

朝井リョウ『Nizi Project』最終メンバー発表番組で感じた違和感を語る 高橋みなみと朝井リョウ ヨブンのこと

朝井リョウさんが2020年7月19日放送のニッポン放送『高橋みなみと朝井リョウ ヨブンのこと』の中で『Nizi Project』の最終回、デビューメンバー情報を発表する番組で感じた違和感について話していました。

(朝井リョウ)私、最近自分の中に衝撃的なことというか、「ああっ!」っていう衝撃を受けたことが2つありますして。ひとつはすごくいい方の衝撃。後味がいい衝撃。で、もうひとつは後味の悪い衝撃なんですが……今から話そうとしているのは後者です。

(高橋みなみ)後者の方、行く?(笑)。

(朝井リョウ)後者の方に今から私たちは突き進んでいく時間。まず、私は秋に新刊が出ます。皆さん、聞いてください。秋に『スター』という小説が出ます。それがどういう小説かっていうと、今本当にさ、いろんなことの……メディアもそうですけど。力関係というか、なんか質と価値がもうすごい変わってきてるなっていうのをみんな思ってると思うんですよね。

(高橋みなみ)ああー。まあ、いろいろ変わる時期でもあるんですかね。

(朝井リョウ)そう。で、ずっと今までいろんなものが変わってきたんだと思うんですけど、すごいやっぱり同時代を生きるものとして本当にイコールがついていた場所が変わってきてるというか。たとえば音楽だったらさ、今でもね、たくさんいると思います。「レコード大賞がほしい」という方。でも、意外と一音楽リスナーからするとそんなに影響なかったりするじゃん? ただ聞いてる側はね。まあ、それによって露出が増えるとかはきっとあるんですよね。絶対に。

(高橋みなみ)まあ、本人たちからしたらやっぱり歴史ある賞だし……っていうことはあるけどね。

(朝井リョウ)あるけど、本当に私でさえ「レコード大賞だから聞く」っていうことではないかもしれないから。10代の方とかからしたらもっとたぶん違う場所にイコールがついているじゃん。その、レコード大賞についていたイコールが全然違うところについていて。で、そのイコールをどこにつけるのか?っていう話なんですよ。その『スター』っていうのが。

で、前にもちょっと私、オーディション番組についてお話をしたんですけど。最近、日本テレビの『スッキリ』でもやってたら『Nizi Project』っていうオーディション番組が終わって。でもその『Nizi Project』のすごい良かったところは、エンタメのために犠牲になってる人がいない。特に出演者の中で。もしかしたらスタッフで「すごい大変だった!」っていう人はいるかもしれないけど、「この子の心を傷つけることでよりエンターテイメントとして面白くなる」みたいな展開が全くなかった。すごく人の尊厳が傷つけられず、尊重されているオーディション番組で。それってすごくオーディション番組では珍しいんですよ。

朝井リョウ『Nizi Project』パク先生(J.Y.Park)の魅力を語る
朝井リョウさんが2020年3月1日放送のニッポン放送『高橋みなみと朝井リョウ ヨブンのこと』の中でHuluで配信中のオーディション番組『Nizi Project』についてトーク。主催者のパク先生(J.Y.Park / パク・ジニョン)の魅力...

でも私、今からカスハラ……カスタマーハラスメントしますけれども。『ニジプロ』は3ヶ所で情報が出たんですね。つまり本編が放送をされていたんですけども。ひとつはHulu。有料です。月額いくらか払って、毎週金曜の22時に配信されていて。2つ目は『スッキリ』。朝の情報番組ですね。ここで知るという人が多かったと思います。『スッキリ』で「『ニジプロ』っていうのがあるんだ。ああ、こんな子がいるんだ。応援しよう」っていう方、すごく多かったと思います。

3つ目。『虹のかけ橋』という、たぶん関東ローカルだけでやっている深夜番組があったんです。30分の番組があったんですけれども。そこでもなんか総集編みたいな感じでに『ニジプロ』のことを放送してたんですね。で、私は1。お金を払ってHuluで全編見ていた。で、ちなみに『スッキリ』も総集編みたいな感じで、全編ではなかった。ただから要所、大切なところだけ放送していることでした。さて、問題です。

(高橋みなみ)ここから問題なの!?

(朝井リョウ)1、2、3の中で、これは言葉は難しいんですけど。大切にされるべき視聴者はどこだと思いますか? つまり、オーディション番組で「大切にする」っていうのはどういうことかというと、情報をどの視聴者に一番初めに伝えるか? たとえば誰かが脱落するという展開があった時に、1、Hulu。2、『スッキリ』。3、『虹のかけ橋』。どの視聴者がその情報を一番先に掴むことができているのかが私は大事だと思っていて。私は、やっぱり1なの。

(高橋みなみ)私もそうだね。1だなって思うよ。

課金しているHulu視聴者が一番大切にされるべき

(朝井リョウ)やっぱりお金、払ってるから。こちとら! でも、『スッキリ』がどんどん幅を利かせ始めたんですよね。Huluでやっていないところを……。

(高橋みなみ)ああ、そうなんだ!

(朝井リョウ)Huluはだって毎週金曜に1時間まとめて配信するんですけど。『スッキリ』は20分のが30分の特集が火曜日から金曜日まで。

(高橋みなみ)えっ、ずっとやっていたんだ?

(朝井リョウ)割とやっていたんですよ。そうなると、その木曜日の『スッキリ』で次の日のHuluで配信されるべき大切な情報が流れたりするわけ!

(高橋みなみ)おおう……!

(朝井リョウ)でも「だったら情報を遮断すればいいじゃない」って。私も当然、そうしてましたよ。でも今、この時代はすごいアルゴリズムだからさ。『ニジプロ』のその動画とかを見てたら出てきちゃうわけ。『スッキリ』の動画のサムネイルが。で、そのサムネイルで順位を知ってしまったりとか、そういうことがすごくたくさんあったんです。で、ここからは完全に私の推測なんですけれども……あの最終回。デビューメンバーが発表される最終回。12人から9人しかデビューできなかったんですよ。その最終回がどういう順番で放送されたかというと……。

(高橋みなみ)でも、どうなんだろう? 前日、夜寝る前にみんな「24時になるの、ドキドキ」みたいになっているのを私は見たんだよね。だから「24時に何かあるのかな?」と思って寝たんだけども。

(朝井リョウ)うんうん。

(高橋みなみ)と、いうことは……?

(朝井リョウ)と、いうことは……なんですが。『ニジプロ』はずっと金曜日の22時からHuluで配信されていました。それが正規の番組として配信されておりました。最終回。最も大事です。ファンからしたら、追っている人からしたら。最終回はHuluの配信が「深夜2時から」って発表されたんですよね。

(高橋みなみ)えっ、なんで?

(朝井リョウ)ねえ。意味わかんないでしょう? 「なんで深夜の2時なの?」って思ったら、その日テレさんが持っている『虹のかけ橋』という深夜番組が1時からっていう。で、「そこで世界最速デビューメンバーを発表します」という風に日テレさんが仰ったわけですね。で、その放送が終わってからHuluの配信っていう風になったんです。

(高橋みなみ)えっ、どうすんの? なにそれ?

(朝井リョウ)で、平日よ? もうド平日。次の日、金曜日。そうなった時にさ、ここからは全部推測。「日テレさんは『スッキリ』でこんなに人気が出たんだから、デビューメンバーを発表する一番初めの媒体も日本テレビですよね?っていう思いがあったのかな」と思ったの。私は。全部推測ですけど。でも、そうでもないとHuluを2時から配信ってしないじゃん?

(高橋みなみ)ああ、たしかに……。

(朝井リョウ)言いたいこと、わかる? 「『スッキリ』であれだけファンを広げたのだから、最速デビューメンバー発表も日本テレビやらせてください」という気持ち、分かりますけれども。その「テレビが一番偉いのかな?」っていう、その思いがあったの。

(高橋みなみ)アハハハハハハハハッ! おもしろ!

(朝井リョウ)それでさ、なんかすごい周りの友達とかとも言ってたわけ。「テレビが一番かな? もうそういう時代じゃないよね?」みたいなことを言ってたのよ。で、そしたらさ、私のずっと好きだと言ってるkemio先生。kemio先生、ずっと「ラジオ番組を持ちたい」って言ってたのよ。で、私は「えっ、ニッポン放送はもう声をかけているかな? TBSラジオがもう声をかけているかな? はたまた、文化放送とかあるかな?」とか考えていたの。そしたら「kemio、初ラジオ。パーソナリティーデビュー」って。これ、Spotify!

(高橋みなみ)Spotify!

(朝井リョウ)「ラジオをやる」という時に出所として提供するのがSpotifyなんだってなった時に私、ずっと「テレビが一番偉いんですか?」みたいなことを言ってきたけど、同じじゃん!っていう。恥ずかしいと思って。っていう衝撃を……。

(高橋みなみ)という衝撃を受けたのね(笑)。

(朝井リョウ)うん。自分がさもね、最先端側で意見をしていたつもりでしたが。ここにイコールをつけるべきだ。「『テレビ=すごい』ってなっていたけど、イコールはそこでいいんですか?」って言っていたら、「お前……お前が持ってるイコール、変なところについているぞ?」っていうところをちょっと思い知らされたっていう。小説ももう、なんかそういう感じの話ですから。ねえ。今のお話に興味を持った方はぜひ読んでいただければと思いつつ、自分もね、そっちだったなっていうね……。

(高橋みなみ)めっちゃ小声になっていくじゃん。

(朝井リョウ)そういうお話です。Spotifyでkemio先生の番組をやっておりますので、皆さん、聞きましょう!

Spotify『#kemioの耳そうじクラブ』

(高橋みなみ)宣伝するんかい!

<書き起こしおわり>

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