宇多丸さんCreepy NutsのDJ松永さんとR-指定さん、サイプレス上野さんが2020年4月8日放送のAbemaTV『水曜THE NIGHT』の中でライムスターの過去のアルバム楽曲についてトーク。アルバム『マニフェスト』より『Come On!!!!!!!!』について話していました。
「ライムスター宇多丸の水曜TheNIGHT」
ライムスターの歌詞を紹介しながら、宇多丸さんに対してゴリゴリに愛をぶつけるだけの2時間をお送りしました!
観てる方は分かりませんが、やってる側は最高に楽しかったです。笑
見逃し配信公開中ですので、是非!見逃し配信▼https://t.co/0Ag1H0EiDm pic.twitter.com/2ykJgoUIBg
— DJ 松永(Creepy Nuts) (@djmatsunaga) April 11, 2020
(DJ松永)続いてが2010年発売のアルバム『マニフェスト』からこちらです。『Come On!!!!!!!!』。
(R-指定)『Come On!!!!!!!!』!
(サイプレス上野)イエ―! MAKI!
(宇多丸)お前ら、好きだなー。
(R-指定)『Come On!!!!!!!!』は何がすごいって、このワンバースに宇多丸さんのスワッグ、今で言うとフレックスですか? 宇多丸さんのこのボースティングがね、全部詰め込まれてるんですよ。
(DJ松永)だからこれまで積み上げたことよ。
宇多丸ボースティングが全て詰まっている
(R-指定)そう。だからこれぞ、他のギャングスタラッパーとか他のラッパーにはできない、宇多丸さんならではのボースティングがもう頭からケツまでパンパンに詰まったバース。しかも、その構造自体も宇多丸さんの得意とする同じライムで最後の小節まで踏み切るというね。
(宇多丸)ああ、そうだね。
(R-指定)で、内容は全部ウタさんにしかできないという。この始まりもそうですよ。さっきも言ってきました。『敗者復活戦』とか『俺に言わせりゃ』の頃から「元は弱小も弱小 下の下の下郎からスタート 手持ちのカードはゼロ」なんですよ。でもそこから「ガキの貯金的なプライドは捨てろ テメエの真価……」って。
(DJ松永)全部いいな。「ガキの貯金的なプライド」って。
(R-指定)ここ、かっこいいな!
(宇多丸)読んでるだけじゃねえかよ!
(サイプレス上野)読んでお前、泣いてるじゃねえかよ(笑)。
(R-指定)それでここ、ここ! 「あの日クラスのトップ泣かせたベロ」って。これ、ウタさんにしかできないボースティング。
(宇多丸)これ、本当はね、最初は「あの日クラスのボス泣かせたベロ」だったのよ。だけど、それを書くとたぶん「これはBOSS THE MCのことだ」って勘ぐるバカが出てくるから。もう全然、その時には超仲良かったし。だから、ちょっと書き換えたんだよね。
(R-指定)これはホンマにあれなんですか?
(宇多丸)これは実話です。当時、クラスを仕切っていた……小学校低学年ですよ? 小学校低学年でクラスを仕切っていたリンくんっていう……通称「リンちゃま」っていう。いいやつなんだけど。リンちゃま、すごい体がデカくてすごい仕切ってたんだけど。それで当然、俺はかなわなかったんだけど。リンちゃまと給食の割烹着をどっちが片付けるかで、誰もかなわなかったリンちゃまが泣き出しちゃって。それで「おい、どうすんだよ、佐々木? リンちゃま、泣いちまったじゃねえかよ! 明日、学校休んだらどうするんだよ?」とか言われて。その時、その俺の口の暴力性……。
(R-指定)フハハハハハハハハッ! その自分の持っている武器の恐ろしさに……?(笑)。
(DJ松永)「俺、とんでもないものを持っている?」って(笑)。「ちょっ、ちょっと、ちょっと! おい、おい、おいっ!」って(笑)。
(R-指定)最高や(笑)。なるほどね。
(サイプレス上野)すげえな!
(R-指定)それでガキの頃から口喧嘩で泣け知らずで。ここらへんの最高なんですけども。「今じゃ数%級のスター選手 普段は変わらず卑屈にサーセン だが明らかにヤバいセンス 俺がB-U-N-K-E-I最凶のパイセン」っていうこれなんですよね。「B-U-N-K-E-I(文系)最凶のパイセン」なんですよね。これ、最高ですよね。で、この次のも俺、超大好きで。「ミスター宇多丸 いわば逆ジェロ」っていう。
(宇多丸)まあ、ジェロはもう引退しちゃったからさ(笑)。引退するなよ、ジェロ!
(R-指定)このラインを聞いた時に「うわーっ!」って思いましたよ。
(宇多丸)ジェロ、一応言っておくとね、アフリカ系アメリカ人の演歌歌手で。だから「逆ジェロ」って(笑)。
「ミスター宇多丸 いわば逆ジェロ」
(R-指定)言い得て妙というか。そうですよね。日本人がラップなんて……」って言われていたようなことを「いわば逆ジェロ 真の意味で独自の道行くイエロー」っていうね。これ、最高じゃないですか! これ、ホンマに日本人がラップをするっていうことに対してここまで芯を食ったラインはないかな?って思うぐらいで。これはまあ、映画『サイタマノラッパー』とかを見ても思うような、日本人がラップをするということに対してどうしてもつきまとう恥ずかしさとか……。
(サイプレス上野)「ヨーヨーヨー」みたいなね。
(R-指定)そう。その感じとかっていうのに対して真っ向から挑んできたウタさんじゃないとこのラインは出ないかな?って。で、そのウタさんが言うからこそ説得力があるという感じですよね。で、ここもスワッグですよね。「師匠って言ったって荒木師匠程度 で、楽勝っぽくギャラクシー賞もゲット」っていうね。
(宇多丸)ああ、ちなみに「荒木師匠」はわかります? 荒木師匠は(手を振って)このジュリ扇の……。
(R-指定)「荒木師匠」と「ギャラクシー賞」でライムとしてもきれいっていう(笑)。響きも気持ちいいですよね(笑)。で、韻ってやっぱりそういう気持ちよさがあるから。で、まあこのラジオスワッグっていうのはまさしくウタさんしかできないことで。「毎週末 怪電波の上でHELLO」とか。
(宇多丸)まあ、そうなんだよね。これはだから活動休止後で。休止前はいろいろとフラストレーションがたまりまくってた。俺のいろんな面白みたいなのが……っていう。常にそれがあって。だから名前を宇多丸にしたり、いろいろシモネタを歌っていたりもしたんだけども。それで活動を再開してで、やっぱりラジオをやってすごい昇華されたことで自分の居場所をようやく見つけたところもあって。ようやく自分のやってきたことに自信が持てたっていうか。
(R-指定)それじゃあもしかしたらですけど。活動休止を経て、この『マニフェスト』でウタさんが思い描いてた「宇多丸」というラッパーの完成形というか?
(宇多丸)そうね。本当に自己肯定ができるようになったっていうか。
(DJ松永)ここでなんだ! このキャリアで、ここでなんだ!
本当の自己肯定ができた
(R-指定)だって、それまでもすさまじいですけども、活動休止があってからの『マニフェスト』っていうのでまた……。
(DJ松永)帰ってきたっていうタイミングだからね。
(R-指定)帰ってきたタイミングのこのアルバムが俺はやっぱり『リスペクト』と重なるというか。世にドカンともう一発……。
(DJ松永)転換期だよね。『リスペクト』以降の転換期で言うと、ここだよね。