R-指定 キングギドラ『リアルにやる (Muro Remix)』を語る

R-指定 キングギドラ『リアルにやる (Muro Remix)』を語る サウンドクリエイターズ・ファイル

R-指定さんが2020年9月6日放送のNHK FM『サウンドクリエイターズ・ファイル』の中で初めて自分のお金で買ったCDについてトーク。キングギドラ『リアルにやる (Muro Remix)』について話していました。

(DJ松永)じゃあ、続いてはR-指定さんのマイファーストファイルをお願いします。Rさん、出身は大阪ですよね?

(R-指定)そうそう。大阪府堺市という場所で。大阪の中でも、どっちかって言えば……一応、政令指定都市とは言われてるんですけれども。堺市の駅前は結構栄えてるんですけども。離れた俺のところは結構、田んぼとか多かったり。雑木林多かったり。結構のどかな場所なんですよ。

(DJ松永)結局地方都市ってそうなんだよね。地方都市って広いから。ひとつの市の中でも都会のところと田舎のところと両方あるんだよね。

(R-指定)だからホンマにだんじりとかヤンキーとかの街というか。堺市はそんな感じやったんですけども。それで俺は結構、地元がそのだんじり祭で青年団とかあって。地域は結構密着型なんですよ、みんな。結構、「ムラ」っていう感じなんですけども。でもね、俺の家の周りに微妙に同い年ぐらいのちっちゃい子がいなくて。それで俺、1人っ子やったんで、ずっと1人で割と遊んでたんですよね。家族がおらん間、鍵っ子で1人っ子やったから。

(DJ松永)ああ、そのワード、聞いたことありますよ。

(R-指定)ねえ。RHYMESTER宇多丸先輩のね、「1人っ子、テレビっ子で鍵っ子」っていう。まさしく俺がそれやったんですよ。

(DJ松永)うんうん。

(R-指定)で、ずっと1人で遊んでいて。それでちょっと音楽を仕入れるっていったらね、従姉妹の姉ちゃんやったんですよね。従姉妹は結構いて。近所やったんで従姉妹の姉ちゃんたちがその頃はもう小学校、中学校とかやったから、俺が幼少期の従姉妹の姉ちゃんたちの間で大流行していた……しかも、テープで聞いてたから。車でテープで聞いていたSPEEDとかモー娘。とか。そういうのを普通に従姉妹の姉ちゃんの影響で聞かされていたりとか。あと、オトン……うちも親は音楽が好きやったんですけども。

(DJ松永)ああ、そうなの? なにを?

(R-指定)オトンがすごい好きで。サザンオールスターズとか。まあモロに……サザンオールスターズとか小田和正さん、中島みゆきさんとかをずっとオトンが車でかけていて。で、俺はそういうのがずっと好きやったんですね。一緒に歌ったりとかしてて。で、逆にその従姉妹の姉ちゃんとかが当時、たぶん2000年代前半とかはたぶん普通にメディアで結構ラップが流れてたんですよ。で、それをノリで従姉妹の姉ちゃんとかも聞かしてきたり。テレビで流れたりしてたんですよね。で、たぶん……記憶が定かじゃないですけど、たぶんやっぱKICK THE CAN CREWとかRIPSLYMEとかはちっちゃい頃。物心つくぐらいの時、実はたぶん耳に入ってた。

(DJ松永)ああ、そうか、そうか。

(R-指定)それで「B-RAPハイスクール」とか、ラップをバラエティで扱うみたいなのもやっていて。それで、オトンが聞いていた昭和の音楽を聞いてたから、俺も俺で、松永さんのイキリとはまた別やねんけども。従姉妹の姉ちゃんとかが教えてくれるラップとかを聞いて「ちょっと若い子らの音楽、わからへんわ」みたいなことを小1ぐらいのやつが言っていて(笑)。

(DJ松永)フハハハハハハハハッ! ちょっとデロリアンに乗ってボコボコに殴りに行こうか?(笑)。

(R-指定)殴りに行こう(笑)。ホンマに……蹴ろうかな? 生意気でしたね。で、そんなやつやったんですけど、中学生ぐらいになって、一番最初に聞いたのはSOUL’d OUTなんですよ。

(DJ松永)ああ、最初そうなんだ。

(R-指定)そう。SOUL’d OUTっていうグループの『1,000,000 MONSTERS ATTACK』という曲を家族みんなで牛丼屋で食っている時に流てきて聞いて。「なに、この音楽!?」みたいな。それで音も超かっこいいし、何を言っているのかわからんけど、めっちゃ気持ちいいみたいな。すごい入り組んだリズムで。

SOUL’d OUT『1,000,000 MONSTERS ATTACK』

(R-指定)それで、どうやらこれはラップらしいぞってことで、すぐに俺も地元のTのお店に走るわけです。大きいCD屋とかがなかったんで、レンタルショップしか近くなかったのでとりあえず行って。それで、お金がないから、最初は借りていたんですよ。レンタル。それでSOUL’d OUTとかZEEBRAさんとかRHYMESTERさんとかを聞いて「最高!」ってなってたんですけど。初めて俺も自分で買ったCDの中からかけたいなと思うんですけども。

ずっと借りていたんですけど、お小遣いが溜まって。「これは!」っていうことで中学校1年の後半ぐらいかな? デパートの中にあるちっちゃいCD屋さんに行って。それで新譜とか旧譜とかわからないわけですよ。とりあえず知ってるグループの目についたCDを買おうってなって。キングギドラ。その頃はZEEBRAさんのソロでしか逆に知らんかったから。

どうやらZEEBRAさんはもともとキングギドラという伝説的なグループにいたらしいと。それで本来、いろんな情報をネットで調べたり、雑誌で調べたりしてたらキングギドラで一発目に聞くのは『空からの力』っていうアルバムのはずなんですが、そこの情報とか俺は全く調べてなくて。どっちかっていうとレンタルしたCDのジャケットの裏の情報。「フィーチャリング○○」とかの情報で数珠つなぎに追っていくしかなくて。

(DJ松永)はいはい。そうか。

(R-指定)歌詞カードとか、あのCD自体が俺の全情報源やったんですよ。雑誌とかも読まんかったから。

(DJ松永)いや、本当にそうだね。そうそう。昔、ネットがない時は結局、そうだよね。

(R-指定)だから、どうやら俺の憶測では「キングギドラというヤバいグループにZEEBRAさんはいたらしい」という。それで「おっ、キングギドラの棚があったぞ? キングギドラ、見つけた!」って。それで手に取ったのが『最終兵器』というアルバムなんですよね。

(DJ松永)ああ、『最終兵器』が最初だったんだね。

(R-指定)そうそう。だから『空からの力』っていう伝説的なアルバムがあって、一旦活動を休止して。そこから、もう1回活動を再開した『最終兵器』というアルバムを俺は手に取って。しかも、厳密に言うと『最終兵器』でもなくて。『最終兵器』のリミックスアルバムの『最新兵器』が俺の初ゲットなんですよ。

(DJ松永)フフフ(笑)。入り組んでる(笑)。でもまあ、そういうもんだよね。最初に買ったCDって。わかんないから。

(R-指定)意外と順序は結構間違えているというか。で、その『最新兵器』の中で一番最初に食らったのは、俺らは当時、ラップもハマり始めたけど同時期にホラー映画も超好きやったから。その『最新兵器』に入ってる『リアルにやる』っていう曲のリミックス。MUROさんがやっているんですけど。それが映画『エクソシスト』のネタを使っているんですよ。

(DJ松永)ああ、そうか。

(R-指定)あのテーマが使われていて。だから俺、普通にヒップホップを聞く脳みそで聞いていて。「うわっ、かっけー! ZEEBRAさん。おっ、この声が低い人はK DUB SHINEっていうんや。かっけー! えっ、DJのオアシスさんもラップしている?」って思っていたら、6曲目ぐらいで「♪♪♪♪」って。「『エクソシスト』や! 『エクソシスト』やっ!」って。それで「イエーッ!」みたいな感じでMUROさんのシャウトが入って曲が始まる。そしたら、その『エクソシスト』の上ネタの上でギドラの2人が自分の過去を語るんですよね。

(DJ松永)なるほどね。

(R-指定)それでZEEBRAさんがめっちゃやんちゃしてた過去。それで今、バブリーな生活をしているっていうのを歌うし、ケーダブさんが「小さな頃、俺はマジで病弱で いつもなるの夢見てた小学生 死ぬの怖くて」みたいな感じが来て。弱い面みたいなところも……ラッパーの弱い面。でも、そこから勝ち上がって強くなっていくみたいな面とかを聞いて、やっぱりもうストレートに「かっこいい!」ってなったんですよね。

(DJ松永)なるほど。

(R-指定)そうなんですよ。では、お聞きください。キングギドラで『リアルにやる』。

キングギドラ『リアルにやる (Muro Remix)』

(R-指定)お聞きいただいた曲はキングギドラ『リアルにやる』でした。これね、サビの……このリミックスバージョンではMUROさんが歌っていたんですけど。「どこ相手にしてもリアルに言う」っていう。この感じがやっぱり中学生的には「ヤバッ!」って。「どこ相手にしてもリアルに言う それがギドラが真剣にやる理由」っていう。めっちゃなんかかっこいい……。

(DJ松永)中学生心にビシバシ来るよね。「えっ、か、かっけー!」って。

(R-指定)それでジブさんのバースもヤバいんですけども。「っていうかこれがなけりゃ何を誇る」「だから目の前にあるこのマイクを取る:みたいな。その「これしかねえ」感というか。そういうのもかっこよかったんですね。

(DJ松永)なるほどね。

<書き起こしおわり>

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