R-指定 黒衣『RISE OF』を語る

R-指定 黒衣『RISE OF』を語る Creepy Nutsのオールナイトニッポン0

R-指定さんが2020年6月16日放送のニッポン放送『Creepy Nutsのオールナイトニッポン0』の中で黒衣のアルバム『RISE OF』について話していました。

RISE OF
Sugarlesslab

(DJ松永)はい。じゃあRさんの日本語ラップ紹介コーナーです。

(R-指定)今日、紹介したいのはこれまた梅田サイファーの仲間なんですけども。pekoさんという方。そのpekoさんがKENTさんと組んでいる黒衣というグループがあるんですよね。

(DJ松永)黒衣! 出た。大好きですよ。

(R-指定)その黒衣がニューアルバム『RISE OF』を出したということで。このアルバムを紹介したいんですけども。元々、pekoさんとKENTさんの2人の黒衣は1DJ1MCだったんですよ。KENTさんがMCでpekoさんがDJ、トラックメイカーっていう構成やったんですけども、1回アルバムを出して。その後に一旦、活動休止期間がある時にpekoさんがMCバトルとかに出て。それでpekoさんもラッパーになったんですよ。で、ミニアルバムとかを挟んでこの『RISE OF』で完全2MCのグループとして復活してこのアルバムを出すわけなんですけども。

(DJ松永)おおっ、なんかすごいね。前回のから何年空いた?

(R-指定)その前に1個、挟んでいるねんけども。配信とかサブスクとかで聞けるってなるとこの『RISE OF』で。このアルバムの中に今のその黒衣になった経緯とかも描かれている曲があったり。このアルバム自体が丸々超いい。ライブが始まるような緊張感から始まる『INTRO』っていうところからホンマにアルバムのケツまでライブショーケースを1本見てるような気分になるんですよ。

(R-指定)で、その一発目で黒衣独特のテンションは低いんやけども決してクールすぎない。テンションは低いんやけども熱い感じでそのKENTさんの誰にもかぶらん、ちょっと鼻声気味やねんけど多少モタッたり早くなったりするめちゃめちゃテクニカルな、それで言い回しの面白いラップっていうのが続いて。で、pekoさんの声だけで佇まいがわかるような、超特徴的なpekoさんの声。そのコントラストも超いいし。

その流れで楽屋からステージに向かうっていう曲から始まって。次は『HOW WE DO』っていうこの「サンプリング文化」というものにKENTさんが言及していたりする曲でバーンと始まるんやけども。その曲では俺のファーストアルバムからの声ネタをスクラッチしてくれたりとかして。結構熱いっすね。

(DJ松永)おお、胸アツじゃん。

(R-指定)そこからどんどんとライブ映えするような曲とか、なんていうか、それこそ『エゴトピア』とかの頃のRHYMESTERにも通じるようなちょっとシニカルな目線の曲。そのザ・俺たちの好きな感じの日本語ラップの目線みたいな曲がいっぱいあって。で、最後、アルバムはライブの超盛り上がりのところにつながっていって、それで『TIME’S UP』っていう曲で終わるんですけども。

それはまさしくクラブで俺たち、pekoさんとかKENTさんとかと経験した『アマチュアナイト』とかのイベントで。みんなで楽しくて盛り上がった後、クローズ。みんな朝方にベロベロ。全員ゲロ吐きまくって倒れている。『TIME’S UP』。時間切れです。早く帰ろうよっていう。で、その『TIME’S UP』したみんな、沈んでいるやつらを起こして帰るっていう曲なんですよね。で、その『TIME’S UP』って「今夜の地獄めぐりを始めます」みたいな感じで酔っ払った面々を起こしていく。

で、帰ろうとしているpekoさんを引き止めるやつがいたり。「じゃあもう一杯だけ付き合うか」ってなったり。その横ではゲロを吐いて迷惑をかけているいつものメンツがおる。「覇世、アベ、テークエム、りぼん・・・」っていうこのおなじみの、俺らからしたら「ああ、あいつか!」っていうようなメンツが出てきて……みたいな。そういう1日のクラブでの遊びを丸々、アルバムを聞いたら感じれるような。

(DJ松永)へー!

黒衣『TIME’S UP』

(R-指定)そんな中にも結構黒衣の新しい側面やなと思うような曲もあって。それを俺は紹介したいんですけども。『TWO SIDE』っていう曲なんですよね。この曲、元々黒衣はpekoさんとKENTさんでやる時には結構いなたいトラックに渋いラップっていう感じやったんですけども。この『TWO SIDE』は割とビートもかなり聞いたこともない変則的な、でも今っぽさもあるようなビートの上で、pekoさんが結構がっつり歌い上げているんですよね。それにKENTさんもちょっと三連になったりとか。でも、元々のリリシズムは無くさず。

で、この『TWO SIDE』は「光と影」っていう。「闇が深まるほど光はより強く光りを放つ 誰かが上がり誰かが落ちる繰り返し保たれるバランス」っていうこの、たぶん成熟してきた黒衣。で、たぶんpekoさんとかもいろいろと経験をしてきたからこそ語れるようなことがいろいろとリリックの中にもあるんで。ちょっとまずは聞いてほしいなと思います。黒衣で『TWO SIDE』。

黒衣『TWO SIDE』

(DJ松永)めっちゃいいわ! 超いい。

(R-指定)pekoさんのこのメロも最高なんですけども、KENTさんのなんというかAB踏み。「関わりを絶てば気兼ねもなく おざなりの達成感 銀河へ飛ばす」っていう「絶てば」と「達成感」、「気兼ねもなく」と「銀河へ飛ばす」。その後に「脇に”忍ばせた”言い訳の数」っていう。

このABで踏み続けたかと思えば、「背後から粗暴な売り言葉に買い言葉 恨み辛み燃料に頭ん中で街を燃やす 瞬間さえ笑顔だもんで心中察しようもなく」っていう……だから表裏一体なんですよね。で、「上がってようが下がってようがどっちだって正気だ 世界の狂気は俺たちに通用しない」っていう。だからまあ、どっちでも正常だよ。病んでいる時も、健やかな時もっていうメッセージも最高というね。だからこのアルバム、超いいんで。黒衣の『RISE OF』、ぜひ聞いてください。

<書き起こしおわり>

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