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町山智浩 ブルース・スプリングスティーンの歌詞の世界を語る

町山智浩 ブルース・スプリングスティーンの歌詞の世界を語る アフター6ジャンクション
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町山智浩さんがTBSラジオ『アフター6ジャンクション』に出演。宇多丸さん、駒田健吾さんとブルース・スプリングスティーンの歌詞の世界を紹介していました。

(宇多丸)ここからは特集コーナー、ビヨンド・ザ・カルチャー。早速ですがまずはこの曲をお聞きください。アメリカのロックミュージシャン、ブルース・スプリングスティーン、1984年の大ヒット曲『Born in the U.S.A.』。

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Bruce Springsteen『Born in the U.S.A.』

(宇多丸)はい。みなさん一度は何かしらの形で耳にしたことがあるはずだと思いますけども。ブルース・スプリングスティーンで『Born in the U.S.A.』を聞いていただいております。まず、町山さん。本日はなぜ、このブルース・スプリングスティーン特集をやろうと思ったんですか?

(町山智浩)はい。今日は「ボス」ことブルース・スプリングスティーンが70年前に生まれた日なんですよ。

(宇多丸)ああ、誕生日なんだ。おお、おめでとうございます、ボス! ああ、そうですか。

(町山智浩)そうなんですよ。それと、アメリカとイギリスの方で『ブラインデッド・バイ・ザ・ライト(Blinded by the Light)』というタイトルのブルース・スプリングスティーンに衝撃を受けてジャーナリストを目指した実在の人物の伝記映画が公開されまして。それで非常に感動したのが理由で。ただ、ブルース・スプリングスティーンの歌って相当誤解されてるので。今日はですね、「本当は怖いブルース・スプリングスティーンの歌詞の世界」というのを話させてほしいなと。

(宇多丸)「怖い」まで言っちゃいますか? ある意味、誤解された曲の代表格がいま流れている『Born in the U.S.A.』みたいなところもあると思いますが。この解説とかは後にしますか?

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(町山智浩)これ、曲を聞いてまず普通にどう思います? 曲だけを聞いて。

(宇多丸)曲調とかで……僕、なにも歌詞の意味とかわからなかった時は普通に「アメリカ賛歌なのかな?」って。しかも、その後にレーガン政権のテーマ曲的に使われたりとかいろいろとしていて。そんな感じで翼賛的な感じなのかな?って。最初のイメージでは思いましたけどね。

(町山智浩)でもね、歌詞は全然違って。こういう歌詞なんですよ。「俺は死んだような街に生まれ落ち、歩き方を覚えてすぐに蹴り倒されて犬みたいに這いつくばらされて。そこからずっと立ち直ろうとするだけの人生なんだよ」っていう歌なんですよ。もう全然、地獄のような歌なんですよ。

(宇多丸)うんうん。

(町山智浩)それで、「俺は故郷のちっちゃな街でちょっとしたことをやらかしちまって、ライフルを持たされて、知らない国に送り出された。黄色人種を殺すためにね」っていうね。で、これはベトナム戦争のことですよね。

(宇多丸)うん。

(町山智浩)ブルース・スプリングスティーン自身はベトナム戦争には行っていないんですね。バイクでこの人、10代の時のコケて。脳挫傷をちょっとしてしまって、それで徴兵検査に落ちてるんですけども。でも、周りはみんなベトナム戦争に行ったんですね。この人はこの歌詞に出てくるような非常に貧しい、ニュージャージーの工場を中心とした労働者の街に生まれ育って。

そこの人たちの多くがベトナム戦争に行って死んだり、その後に帰ってきて仕事がなかったというものを見てきて。それをそのままを歌ってる歌がこの『Born in the U.S.A.』なんですよ。だからこの後、ベトナム戦争から帰ってきたこの歌の主人公は、「就職しようと思ってもなかなか就職先がない。俺は刑務所に入ったり、工場から追われたり、道路工事で日に焼かれながら10年もさまよってきたけれども、どこにも逃げ場なんかないんだ」という。

そこで「Born in the U.S.A」っていう風に言うので、これは「アメリカに生まれたぜ、イエーイ!」じゃなくて、「アメリカに生まれたのに……」っていう。「俺、アメリカに生まれたのになんでこんな苦労してるの……?」っていう歌なんですよ。それをなんか全然……そういう歌詞だっていうのは聞けばわかるんですけども。

(宇多丸)そのアイロニーの部分というのがあるのに。

(町山智浩)あるのに、レーガン大統領はその時、これは1984年なんで再選の大統領選挙の時にこの歌を自分のキャンペーンソングとして流してたんですよ。歌詞を聞けばわかるのに、なぜ流す?(笑)。

(宇多丸)そうですよね。日本人が歌詞がわかんなくて間違っちゃうんじゃなくて、別にだって1番、2番……って続くのに、よくもまあいけしゃあしゃあと。

(町山智浩)だから、みんなそうなんですよ。トランプ大統領が前からずっと選挙キャンペーンで流してる曲はローリング・ストーンズの『悪魔を憐れむ歌(Sympathy For The Devil)』なんですよ。

(宇多丸)逆にでも……(笑)。

(町山智浩)「私を紹介させてもらおう。私の名前、わかるかな? 私はサタンだよ」っていう歌をトランプはいまでも流しているんですよ(笑)。

(宇多丸)こっちから見ると「ぴったりだよ!」っていう感じもするけどさ(笑)。

(町山智浩)「抜群の選曲!」とか思うけども。なぜそれを流しているんだ?って。そしてその支持者たちはそれを聞いて乗っているのか?っていう。

(宇多丸)だからアメリカであっても、歌詞の内容を本当は聞けばわかる人たちであっても、そこを流しちゃっていることも多いんだと?

(町山智浩)そうなんですよ。だからその典型的なものがブルース・スプリングスティーンで。いまもだからアメリカンロックとかアメリカ愛国主義みたいなものと結び付けられて考えられてるんですけども、実は怖い歌詞が多いんですよ。

(宇多丸)これ、ブルース・スプリングスティーン自身はそのレーガンのキャンペーンの時は当然、その自分の曲がそんな意図に反する感じで使われて……って?

(町山智浩)抗議しました。反対したんですよ。でも反対しても、その後も何度もいろんなところで使われたりしているんですけどね。はい。

(宇多丸)なるほど。というわけでこんな感じで今夜は町山さんの解説でブルース・スプリングスティーンの歌詞の世界へ迫っていきます。

(中略)

(宇多丸)さあ、今夜の特集は駒田健吾アナ、『Kakiiin』や『Fine music』などの音楽番組も担当されているということで。音楽もお好きな駒田アナにぴったりの特集です。アメリカロック界のリビング・レジェンド、ザ・ボスことブルース・スプリングスティーンの歌詞の世界特集です。

(駒田健吾)解説をしていただくのはTBSラジオたまむすび火曜日でもおなじみ、映画評論家の町山智浩さんです。改めてよろしくお願いします。

(町山智浩)よろしくお願いします。

(宇多丸)町山さん、なんだかんだでこのアフター6ジャンクションでは意外と音楽特集が多くなっていますね。

(町山智浩)これ、曲がかけられるからね。

(宇多丸)やっぱりラジオ向きっていうのもありますしね。まあ、映画に絡めての音楽特集というか。この番組でもライブを披露してくれた頭脳警察特集。これ、最高でした。

町山智浩 頭脳警察・PANTAを語る
町山智浩さんがTBSラジオ『アフター6ジャンクション』に出演。宇多丸さんと頭脳警察とPANTAさんについて話していました。

(駒田健吾)聞きたかったな、これ!

(町山智浩)頭脳警察、新譜も出ましたからね。

(宇多丸)あとは、惜しくも亡くなられてしまいましたけども。スターリンの遠藤ミチロウさんの特集であるとか。

町山智浩 ザ・スターリン 遠藤ミチロウを語る
町山智浩さんがTBSラジオ『アフター6ジャンクション』に出演。ザ・スターリンと遠藤ミチロウさんについて、宇多丸さんと話していました。

(宇多丸)前回は6月3日ですね。映画『ロケットマン』公開記念エルトン・ジョンの歌詞特集。あれもやっぱり聞くのと聞かないのじゃ全然話が違ってくるというね。

町山智浩 エルトン・ジョンの歌詞と映画『ロケットマン』を語る
町山智浩さんがTBSラジオ『アフター6ジャンクション』の中でエルトン・ジョンの自伝映画『ロケットマン』とエルトン・ジョン楽曲の歌詞について話していました。

(町山智浩)やっぱり曲を流せるというのはラジオの本当に良さですよね。

(宇多丸)まあ、町山さんの歌詞特集、最高ですからね。ということで、改めてブルース・スプリングスティーンの歌詞特集ということで。その『ブラインデッド・バイ・ザ・ライト』という映画が、これはサンダンス映画祭とかでも上映されて評価が高いという。町山さんはどちらでご覧になったんですか?

(町山智浩)これ、アメリカで見ました。イギリス映画なんですけどね。

(宇多丸)もうアメリカで公開されていて。日本だといつ公開なんですか?

(町山智浩)来年公開らしいですよ。

(宇多丸)じゃあ、結構あるんだ。あらためて、どんなお話なんですか?

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『ブラインデッド・バイ・ザ・ライト』

(町山智浩)これね、『ベッカムに恋して』っていう映画、あったじゃないですか。あの映画ってパキスタン系イギリス人の女性監督(グリンダ・チャーダ)の作品で。あの人が『ブラインデッド・バイ・ザ・ライト』も監督しているんですよ。で、これもやっぱり主人公はパキスタン系なんですよ。『ベッカムに恋して』はインド系だっけ?

(宇多丸)そうですね。主人公の女の子が。キーラ・ナイトレイとメインの女の子がね……。

(町山智浩)で、これは主人公が1987年に高校生だったパキスタン移民の男の子で。これ、実在の人物でね、サルフラズ・マンゾア(Sarfraz Manzoor)っていうイギリスのジャーナリストなんですよ。で、彼が工場をばっかりの労働者の街で。また父親がパキスタン系だからイスラム教の父権社会的で。それで、本当に打ちひしがれながら夢も希望もない青春時代を送っている時にブルース・スプリングスティーンの歌を聞いて。その歌詞が自分にぴったりだと思ったんですね。

(町山智浩)すごく変なことで。これ、この人自身はイギリスに育っているパキスタン系の人なのに、アメリカのニュージャージーに育ったブルース・スプリングスティーンの歌に自分を見出すんですよ。これは面白いなって思ってね。最近ね、インド系の人のロック映画っていうのが増えてきているんですよ。だから『イエスタデイ』っていう映画が今度公開されますけども。

(宇多丸)はい。ビートルズがもしいなかったらっていうやつですね。

町山智浩 映画『イエスタデイ』を語る
町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』の中で映画『イエスタデイ』を紹介していました。

(町山智浩)あれも主人公はインド系なんですよね。あと『ガリーボーイ(Gully Boy)』って見た?

(宇多丸)僕はまだ見ていないんですけども。非常に評判は聞いています。ラッパーの。

(町山智浩)ラッパーのね。で、アメリカのラップミュージックに影響されたインドの少年がラップをやるっていう。

(宇多丸)すごい評判は聞いています。

(町山智浩)だからインドのロック映画みたいなのがすごく続けて出てきているんですけども。ただ、この『ブラインデッド・バイ・ザ・ライト』の主人公はロックミュージシャンにはなろうとしなくて、物書きになっていくんですよ。それは彼はブルース・スプリングスティーンの音楽よりも歌詞に感動したんですよね。

(宇多丸)その歌詞の中のジャーナリズム性というか。

(町山智浩)そうそう。だから、いかにその歌詞が非常に詩的であって、同時にジャーナリスティックであるかっていうことがこの映画の中でも描かれるんですけども。そういったことをちょっと解説したいなと思いました。

(宇多丸)ということで、ある意味ブルース・スプリングスティーン……俺とかすぐにモノマネでね、「ボーン、インザッ♪」とか「ウィ・アー・ザッ♪」とかさ(笑)。

(町山智浩)ものすごい力の入った血管の切れそうな感じじゃないですか(笑)。

(宇多丸)中学の時からそればっかりやっていて(笑)。「ウィ・アー・ザッ♪」しかやってないけども。そういうイメージだけお持ちの方にこそお聞きいただきたい。

(町山智浩)『We Are The World』のあのマイケル・ジャクソンがすごく弱々しく歌うのと、ブルース・スプリングスティーンの血管切れそうなののものすごいコントラストなんですよ(笑)。

(宇多丸)フフフ、いろんなコントラストの人が出てくるからやっぱり『We Are The World』は最高なんだけど(笑)。

(町山智浩)めっちゃおかしいんですよ。『We Are The World』って(笑)。

(宇多丸)ということで、町山さんの解説でブルース・スプリングスティーンの歌詞の世界に迫ります。

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