町山智浩さんが2021年1月19日放送のTBSラジオ『たまむすび』の中で『KCIA 南山の部長たち』を紹介していました。
『KCIA 南山の部長たち 』アップリンク吉祥寺(@uplink_joji)にて、1月22日(金)より公開???https://t.co/zQ9gw1tkWC
2020韓国年間興行収入第1位
豪華キャスト共演で史実を基に描く歴史の闇
男はその日なぜ大統領を暗殺したのか監督:ウ・ミンホ『インサイダーズ/内部者たち』 pic.twitter.com/rLXbVDBiDq
— UPLINK (@uplink_jp) January 17, 2021
(町山智浩)アメリカはですね、1月20日に大統領が変わります。バイデン大統領の就任式があるんですが。歴史上、始まって以来の厳戒態勢になっています。
(赤江珠緒)そうですね。なんか祝賀ムードじゃなくて、州兵の人もかなり入ってますしね。
(町山智浩)はい。トランプ支持者の人たちがSNSで暴力的な行動を示唆するような投稿をしているので。就任式を妨害する可能性があると。で、トランプ大統領はあいかわらず、就任式には参加しないで、自分だけのなんというか、ご苦労さん式みたいなのをやりたいとか言ってるような状況ですから。
(赤江珠緒)「参加しない」っていうのもな、すごい……。
(山里亮太)今まで、そんなことなかったんじゃないですか?
(町山智浩)今までそんなこと、ないんですよ。で、それが非常に危険なのはトランプ大統領が就任式いないと、それこそ爆撃のようなことが起こる可能性があるので。非常に厳戒態勢に入っているという……アメリカという国自体を大統領が破壊するという危険性が非常にある状況になっているんですね。
(赤江珠緒)とんでもない事態ですね。
(町山智浩)とんでもない事態なんですが。今回、紹介する映画は大統領は大統領でも韓国の大統領の話を紹介します。もうすぐ、今週末、1月22日から公開される映画で。タイトルは『KCIA 南山の部長たち』というタイトルなんですが。KCIAというのは韓国のCIA。もう存在しないんですが、昔あった組織で。軍事政権を支えていた……まあ日本の特高警察のようなものですね。国内のスパイや反体制団体。ないしは単に野党の政治家とかを非常に弾圧して。逮捕して拷問していた組織です。
だからナチス・ドイツにおけるゲシュタポのようなものですね。それがKCIAです。で、『南山の部長たち』っていうのはこれ、「南山」と書いて「ナムサン」って読むんですよね。「ナンザン」って呼んじゃうと部長さんたちが難産で苦しんでいるみたいな感じになるんで(笑)。それじゃないですからね。南山っていうのはソウルにある丘なんですね。ソウルタワーが立っているところですけども。そこにKCIAの本部があったんですよ。かつて。で、KCIAって言葉に出すと非常に不吉なので「南山」って当時、言われてたんですね。
(赤江珠緒)ああ、なるほど。そういう場所がね、そういう呼び名になること、ありますよね。日本でも「市ヶ谷」とかね。
(町山智浩)そうそう。市ヶ谷とかね。で、「部長たち」っていうのはそこの局長たちのことなんですね。で、これは具体的には1979年10月26日に起こった当時の韓国の大統領、朴正煕大統領暗殺事件を描いた映画です。僕は子供の頃、もう衝撃としてですね、記憶にあるんですけども。朴正煕大統領は1961年にクーデターを起こした軍人なんですね。で、軍事政権をずっと18年間、維持していまして。韓国の発展も成し遂げたんですけれども、その一方でその軍事線形を維持するために反体制の人たちを拉致して拷問するというのを繰り返していたという、恐怖政治でもありました。
(赤江珠緒)朴正煕さんは朴槿恵元大統領のお父さんですよね。
(町山智浩)お父さんです。お母さんもね、暗殺されてるんですよね。両親ともに暗殺されてるんですが。で、この暗殺事件が非常に奇妙と言われているのは、その犯人がKCIAの長官だったんです。で、KCIAは大統領の親衛隊のようなもので。先ほど言ったように大統領のためにどんな汚いこともするというゲシュタポのようなものだったにも関わらず、その長官が……一番の側近なわけですよね。それが大統領を射殺したということで。
「これは一体、どうなってるんだ?」という風に当時、世界中をびっくりさせたんですけれども。で、その犯人はキム・ジェギュ(金載圭)というKCIA長官なんですが。その後すぐ、軍事体制の中で、軍事政権の中で絞首刑になってしって。本当は一体、どうしてそういうことが起こったのか。今も謎なんです。
(赤江珠緒)ええーっ?
(町山智浩)で、その謎なものを映画化するということなので。これはポリティカル・フィクションという形になっていまして。登場人物たちはですね、朴正煕以外は実名じゃないです。だから、今も本当のことは分からないんですよ。なので「こうだったんじゃないの?」みたいな映画ですね。
(赤江珠緒)ふーん!
朴正煕大統領暗殺事件
(町山智浩)で、どういう暗殺だったかというと、秘密料亭みたいなのがあったんですね。つまり、命を狙われてるからご飯を食べるには、そこで食べるしかなかったんですよ。レストランとかに行けなかったんですね。朴正煕大統領は。有名な話ですけども、床屋さんもですね、彼のヒゲを剃る人は特別な人だったんですよ。
(赤江珠緒)そんなに命を狙われていた。
(町山智浩)そう。ひげ剃りで喉を切られるから。だから本当に昔の王様みたいな……ローマの皇帝みたいな人だったんですけども。朴正煕大統領は。で、その秘密のレストランというか料亭でご飯を食べてるところを……そこは要するに長官とか、もう一番の側近しか入れないんですが。そのKCIA長官がいきなり拳銃を抜いて彼を射殺したんですね。で、この主人公はKCIA長官のキム・ジェギュです。演じるのはイ・ビョンホンさんです。日本でも非常に人気がある、ハリウッドでも活躍している筋肉ムキムキのイケメンですけども。今回はさすがにKCIA長官なんでね、脱がないですね。
(赤江珠緒)まあ、脱ぐシーンはないでしょうね。
(町山智浩)脱がないですね。本当にがっかりですね!
(山里亮太)せっかくのイ・ビョンホンなのに!
(町山智浩)せっかくのイ・ビョンホンをムダ遣いしてるんですけども。でもまあ、KCIA長官が脱いだりすると「それ、どういうストーリーなんだ?」っていうところがあるので。今回は脱がないで頑張っているんですけども。で、彼の演技派としての実力を示すことになってます。で、この映画は実は朴正煕暗殺の裏にはもうひとつの大きな事件が絡んでいたんだという映画なんですね。それはですね、「コリアゲート」という事件なんですよ。これは1976年にアメリカで発覚したんですけれども。アメリカ政府の上院とか下院の議員たちが朴正煕政権から莫大なお金、賄賂を受け取っていたことが発覚した事件です。
(赤江珠緒)ええっ?
(町山智浩)というのは、朴正煕大統領は反体制派に対する拷問とか、かなり軍事政権として独裁を振るっていたので。アメリカ政府も「これは非常に危険である」ということで、そろそろその18年間も独裁を維持するのではなく、民主化して朴正煕大統領は退陣すべきだという政治的圧力をずっとアメリカ政府はその当時、かけていたんですね。で、特に大きな事件になったのは1973年に日本で起こった金大中事件なんですよ。これはね、僕は九段に住んでたんで。
現場となったグランドパレスホテルのすぐ近くに住んでたので今でも覚えてるんですけども。これはその日本の飯田橋のホテルに来ていた金大中さん……金大中さんは朴正煕大統領の政権に逆らっている野党の民主派の政治家だったんですね。その彼をKCIAがホテルから拉致して。船に乗せて日本海を渡る途中に彼を殺して海に捨てようとした事件なんですね。
(赤江珠緒)この日本国内でそんなことが……っていうね。
(町山智浩)で、それに関しては日本の海上保安庁のヘリコプターがそのKCIAの船をずっと追跡して暗殺をさせないように監視してたんで金大中さんは助かりました。ただ、一方でそのKCIAの作戦には日本の政府関係者も参加してるじゃないか?っていうことで非常に問題になったんですね。そういった陰謀を朴正煕政権はやっていたので、それがアメリカで発覚して。ただ、その発覚に関して、もうひとつ事件があって。これ、いくつもの事件が重なるんですが。それをリークして。「議会でそうした賄賂工作をしていたんだ」という風に証言をした人がいるんですよ。それが、その賄賂工作をしていた本人なんですよ。
(赤江珠緒)えっ?
(町山智浩)それはKCIAの前長官なんです。
(赤江珠緒)ええっ? じゃあ、また側近中の側近が?
(町山智浩)側近中の側近なんです。そのキム・ジェギュの前の長官のキム・ヒョンウク(金炯旭)というKCIA長官が……彼は要するに賄賂を贈ることに絡んでいたのに、その朴正煕政権の中で彼の居場所がなくなって。それで長官を辞めさせられたので。出世競争で負けてね。それでこのままだと、要するに一旦クビになると軍事政権の中ではどういう風に処分されるか、わからないんですよ。彼は秘密を握っているし、命が危なくなるんです。で、命の危険を感じて彼はアメリカに亡命したんですよね。キム・ヒョンウク前長官は。
で、そのアメリカで証言をし始めた。それで、「これはマズい!」っていうことになるんですね。朴正煕政権からすると。「これはマズい。これでアメリカからの圧力がどんどん高まっていく。あのキム・ヒョンウクをこれ以上証言できないようにしろ!」という。で、どうなったかっていうと、1979年の朴正煕大統領暗殺の直前にキム・ヒョンウク前KCIA長官はパリで行方不明になります。
(赤江珠緒)えっ? 行方不明……。
(町山智浩)行方不明。で、その後も今まで一切、何も出てこないんです。
(赤江珠緒)闇中の闇ですね……。
(山里亮太)このコリアゲートとキム・ヒョンウクさんの事件っていうのは事実ですね?
(町山智浩)事実です。基本的に全部事実なんですよ。ただ、裏で何があったのか?っていうのは推測でしかないんですよ。
(山里亮太)そうか。情報がなにもわからないから。
(町山智浩)表面に出ていることしかわからないんですよ。で、このキム・ヒョンウクさんがパリで行方不明になったのは、おそらくは……動機は他にはないので。朴正煕大統領の命令によってKCIAのキム・ジェギュ長官が彼を殺したんだろうって言われてるんですよ。で、死体も何も出てこないのは完全に粉砕されてるんだろうと言われてるんですね。
(赤江珠緒)怖い怖い怖い……。
(町山智浩)で、この映画ではその真相を暴いていくという話なので。非常にアメリカで作られた映画に似てるんですよ。それは、この『たまむすび』でも紹介したんですが。マーティン・スコセッシ監督が監督をした『アイリッシュマン』という映画がありまして。ロバート・デ・ニーロが主演なんですけれども。ジミー・ホッファというアメリカ政府自体を左右していた、ものすごい権力を持った全米トラック運転手組合の組合長が行方不明になって。今も何も出てきていないんですね。それに関して、「実は私が殺した」という風に表現した人がロバート・デ・ニーロの役なんですが。その人の人生を描いた映画が『アイリッシュマン』という作品だったんですが。それにすごくよく似てるんです。この映画は。
(山里亮太)はー!
『アイリッシュマン』とよく似ている
(町山智浩)この行方不明になったキム・ヒョンウク前長官は、それを殺したと言われてるキム・ジェギュ長官の親友だったんですよ。2人は友達だったんです。『アイリッシュマン』もそうでした。ジミー・ホッファを殺したアイリッシュマンも親友だったんですよ。ジミー・ホッファの。で、マフィアの上のボスの、上の方からの圧力で仕方なく親友を殺したという告白の映画が『アイリッシュマン』だったんですが、これもどうもそうらしいんですよ。
(赤江珠緒)ふーん!
(町山智浩)これはだからすごく悲しい話なんですよ。で、しかもこれ、朴正煕大統領とキム・ジェギュとキム・ヒョンウクはまた、友達なんですよ。
(赤江珠緒)えっ、この3人が?
(町山智浩)そうなんです。それも悲しいんですよ。それも、クーデターを起こす前からの友達なんですよ。特にそのキム・ジェギュと朴正煕は年齢は違うんですが。韓国の士官学校の同期なんですよ。
(赤江珠緒)あ、そうなんですか。
(町山智浩)だからね、こういうの本当に……ヤクザ映画なんか見ててもそうなんですけど。みんな、若い頃は友達なんですよ。で、その青雲の志を抱いて。「俺たちの時代を作るぜ!」って言ってたやつらなんですよ。それが権力を握ることで、互いに殺し合うようになる話なんですよ。これは嫌な話ですね。本当にね。で、またいろんな話があって。朴正煕大統領はだんだん、キム・ジェギュを信用しなくなってくんですよ。というのは、要するにキム・ヒョンウクがアメリカ議会で証言をしてしまうかもしれないという。で、どうもうまく行かないわけですよ。それでアメリカからの圧力もすごいかかっている。アメリカ側は「朴正煕をなんとかして下ろせ」っていう圧力をキム・ジェギュに対してかけてくるんですよ。で、「もし上手く下ろしたら、あなたを大統領にしてあげてもいい」みたいな話まで来るんですよ。
(赤江珠緒)はー!
(町山智浩)「裏切れ」というような圧力もかかってきて。いろんなものの板挟みになっていくんですね。このKCIA長官は。で、しかもその頃の韓国国内の各地で民主化運動が激しく起こり始めるんですよ。各地でいろんなデモが起こるわけですが。「それをこれ以上、軍事的に戦車とかを使ったりして弾圧をすると、どんどん朴正煕大統領の地位が危うくなる」っていう風にキム・ジェギュさんは思ってるんですね。KCIAで拷問とかをしているんですけども。で、そういう風に言うんですよ。「大統領閣下、これ以上民衆を弾圧すると、我々の地位も危なくなります」って。それは、アメリカのCIAにもそういう風に言われているわけです。そういう風に大統領に言うと「なんだ、お前は!」っていう話になるわけですね。
(赤江珠緒)ああ、だんだんと疑心暗鬼にもなってきて。
(町山智浩)疑心暗鬼になるんです。朴正煕大統領が。「お前、なんだ! そんな弱気で」みたいな話になるんですよ。「私を批判するとは……私の味方じゃないのか?」っていう話になるんですよ。で、またそこに付け入るやつっていうのも出てくるんですよ。それは朴正煕大統領のボディーガード、警護隊長のチャ・ジチョル(車智澈)という人なんですね。で、この人は「キム・ジェギュ長官は弱気だ。民主化の側に付こうとしている。私はそんなことありません。徹底的に弾圧してみせます」みたいなことを言うんですよ。
それで「私を信用してください」とか言うんですよ。で、だんだんその朴正煕とキム・ジェギュの友情に亀裂が生じていくんですよ。で、朴正煕はこういう形でものすごい軍事政権をやって。気に入らないやつもガンガン粛清しているんで、友達が誰もいないんですよ。で、奥さんも殺されてしまったし。1人ぼっちなんですよね。
それで、彼の本音を話せる相手が……しかも朴正煕がまだ独裁政権の大統領になる前の、そのただの軍人だった頃から知ってるのはキム・ジェギュだけなんですよ。だから「本当は僕は寂しいんだよ」って言える相手はキム・ジェギュだけなんで。それを聞いてやるというシーンもあってね。それは2人が日本語で話すんですよ。
(山里亮太)えっ、なんで?
(町山智浩)この頃の韓国のその世代の人たちは思春期、少年期を日本語で育ってるんですよね。日本の統治下で育っているんで。僕のおじさんなんかもそうなんですけども。彼らは本当に子供の頃を思い出したり、子供の頃の友達と会った時には日本語でしゃべるんですよね。だって日本語で遊んでんだもん。だから若い頃の友達とは日本語で話すですね。朴正煕大統領は元々、日本軍の軍人だったんですよ。
(赤江珠緒)そうなんですね。日本の士官学校を出ているんですね。
(町山智浩)そう。この映画の中では彼が唯一落ち着く部屋というのは畳になっています。彼はそれで育ったからなんですね。で、日本語でKCIA長官に「あの頃はよかったね」って言うんですよ。それが本音なんですよ。朴正煕大統領が本当の彼の姿を、心の内側を見せられるのは、そのKCIA長官のキム・ジェギュだけなんですね。で、2人はそんなに、もう世界中で誰も味方がいないこの2人が心が打ち解け合っているのに、その間にチャ・ジチョルという嫌らしい男が入ってきて。キム・ジェギュを排除しようとするんですよ。
というね、そのへんの嫉妬の構造みたいなものがこの映画の中ではセリフの中で出てくるんですけども。「これはシェイクスピアの『オセロ』だ」っていうんですね。「オセロが自分の妻、デズデモーナが自分を差し置いて出世した友人キャシオーとできているっていう噂を吹き込まれて疑心暗鬼になっていく」っていう話なんですよ。で、このキム・ジェギュさんは朴槿恵大統領がそういう風に噂を吹き込まれて。それで自分を排除してるという風に思い込むんですけども。彼自身もオセロのように嫉妬に狂っていくんですよ。
(赤江珠緒)お互いに。
(町山智浩)まあ、男同士なんですけどもね。だからこの映画ね、全くほとんど女性が出てこないんですよ。もうね、キム・ジェギュ長官には実は奥さんもいたんですけども。それも全然出てこなくて。もう本当に男同士のなんというか、ほとんどBLみたいな話になっているんですよ。
(赤江珠緒)へー!
『オセロ』と『ジュリアス・シーザー』
(町山智浩)どうかしてるなと思いましたけど(笑)。でね、もうひとつ、シェイクスピアが絡んでくるんですけどもね。『ジュリアス・シーザー』というシェイクスピアの劇があるんですよ。それはシーザーが皇帝になろうとして……ローマの民主主義を踏みにじって軍人のシーザーが独裁者になろうとするんですよね。で、これに対してその同じ軍人仲間で親友だったブルータスが民主主義を守るためにそのシーザーを暗殺しようとする話が『ジュリアス・シーザー』なんですよ。
(赤江珠緒)はいはい。「ブルータス、お前もか」っていうね。
(町山智浩)だって、このキム・ジェギュさん、ブルータスでしょう? 親友なんだから。一番の側近で。だからこれね、すごく深いドラマになってますよね。でね、『ジュリアス・シーザー』の方はその民主主義を守るためにブルータスはシーザーを暗殺しちゃうんですけど。その暗殺がきっかけでクーデターが起こって。ローマは結局、民主主義が崩壊して独裁政権になっちゃうんですよ。
(山里亮太)皮肉にも。うん。
(町山智浩)皮肉にも。韓国も、そうなんです。朴正煕大統領を暗殺した後、全斗煥がクーデター起こしてさらなる独裁政権になるんですよね。歴史は繰り返すんです、これは。
(赤江珠緒)本当ですね。古今東西、独裁者というのは結局、誰も信用できなくなってしまうんですね。
(町山智浩)孤独なんですよ。それで、自滅していくんですけどもね。という、非常に深い傑作がこの『KCIA 南山の部長たち』です。なんかサラリーマン映画のように聞こえますけど。『部長たち』って言うとね。でも、今言ったような非常に深い映画なのでぜひご覧ください。
(赤江珠緒)そういうことなんですね。1日22日から全国ロードショーでございます。でも、これはもう山ちゃんも私も生まれているぐらいの時代の話とは思えない……。
(山里亮太)それで推測だから。ノンフィクションじゃないとはいえ、結構なんかいろんな情報とかを使って。実際、本当にそうなんじゃないか、みたいなギリギリのところが……。
(町山智浩)そういうね、虚実皮膜の面白さもあります。
(赤江珠緒)2020年、韓国年間興行収入第1位という記録も出ております。
(山里亮太)ということは、韓国の人は結構これが真実なんじゃないか、みたいになっているということですね。
(町山智浩)まあ、でも死体も出てこないから真相は永遠にわからないんですけどね。
(赤江珠緒)今日は『KCIA 南山の部長たち』を紹介してもらいました。
(町山智浩)はい。イ・ビョンホンは脱ぎませんが(笑)。
(山里亮太)それは他の作品で確認していただいて……(笑)。
(赤江珠緒)町山さん、ありがとうございました!
(町山智浩)どうもでした。
<書き起こしおわり>