安住紳一郎と大山顕 2019年最新マンションポエム事情を語る

安住紳一郎と大山顕 2019年最新マンションポエム事情を語る 安住紳一郎の日曜天国

大山顕さんがTBSラジオ『日曜天国』にゲスト出演。2019年の最新マンションポエム事情として京都、青山、江東区のマンションポエムなどを安住紳一郎さんと話していました。

週刊ダイヤモンド別冊 2018年 5/24 号 新築・マンション・戸建て 2018春夏 [雑誌] (通勤を考えた街選び「沿線力」と穴場駅)

(安住紳一郎)さて、今回大山さんには「またまた」と言った方がいいでしょうか。マンションポエム考察のお話をうかがっていきたいと思います。

(中澤有美子)やったー!

(安住紳一郎)マンションポエム。これはブームが来ているようでまだ来ていないですね。来てますか?

(大山顕)フフフ、「ブーム」ってなんなんでしょうか?

(安住紳一郎)考察ブームが。でも、ちょっとずつ浸透していますかね。

(大山顕)あ、「マンションポエム」って普通にみんな使うようになってきていて。僕の考えた言葉なんですけど。普通にこの前も電車の中で「あのマンションポエムがさー」って普通に言っている人がいて。ちょっとびっくりして。

(中澤有美子)アハハハハハッ! おめでとうございます!

(大山顕)いや、そうですね。ありがたいことなんですけども。

(安住紳一郎)そうですね。マンションポエム。これはいわゆるマンションチラシの広告コピーが。

(大山顕)それこそ電車の中吊りとかあとは新聞の折り込みなんかに入っている分譲広告につけられた広告コピーなんですけども。大変に大げさというか、味わい深い言い回しをされるので僕は「ポエムだ」と思ってマンションポエムと名付けたんですけども。

(安住紳一郎)これは大山さん、考察を始めたのはいつぐらいなんですか?

(大山顕)これも会社員時代だったので、もう10年以上前ですね。

(安住紳一郎)やっぱり不動産の広告チラシが面白いと。

(大山顕)新聞を見て「なんだこれは? そういえば、あるね」っていうことでいろいろと調べ始めたんですよね。

(安住紳一郎)いまね、マンションのチラシがポストなんかにびっくりするぐらい入ってきますのでよく見ると思いますけども。前回の放送後、ラジオを聞いている人からマンションポエムを送ってもらったんですが。

安住紳一郎と大山顕 2018年マンションポエムの浸透と進化を語る
ライターの大山顕さんがTBSラジオ『安住紳一郎の日曜天国』にゲスト出演。安住紳一郎さんと2018年現在のマンションポエムの浸透と進化、そして生じている問題について話していました。 (安住紳一郎)さて、それから大山顕さんと言いますと、マンショ...

(大山顕)はいはい。

(安住紳一郎)エステムコート川口並木サウスガーデンというマンションのマンションポエムで。私、これびっくりしてしまったんですが。「限りなく徒歩1分に近い徒歩2分」っていう。

(大山顕)ああ、これは……ありました、ありました。

(安住紳一郎)驚きますよね。

(大山顕)やっぱり広告のルールで何メートルだったかな? 失念してしまいましたが、「徒歩1分=○メートル」っていうのが決まっていて。おそらくこれはギリギリで徒歩2分に入っちゃった距離で。広告としてはやっぱり嘘はつけないので、2分なんだけども。でも、これだったら1分って言いたい! 近いということをなるべく言いたい。その情熱が高まった結果、ポエムとして「限りなく徒歩1分に近い徒歩2分」。いいですね。僕、似たやつで名古屋の物件で「名古屋駅 自転車約5分」っていうのがあって。

(中澤有美子)アハハハハハッ!

(大山顕)あんまり自転車、持ち出さないじゃないですか。たぶん、やっぱり分数の数字をなるべく小さくしたい。でも徒歩だと若干大きくなってしまう。だけど考えてみればみんな通勤で自転車を使うんじゃないか? なぜ自転車ではいけないんだ? 「自転車約5分」っていう。

(安住紳一郎)そうですね(笑)。

(大山顕)いいですよねー。

(安住紳一郎)むしろ徒歩何分だろう?って気になっちゃいますよね。

(大山顕)そうなんですよね(笑)。

(安住紳一郎)ただやっぱり誇大広告になってはいけないので、少し変わった表現になっていくっていうその制約された中での表現の面白さっていう。

(大山顕)まあ本当に高額商品で一生に1回の買い物なので、格調高くありたい。だけど誇大広告になってはいけないというせめぎあいの中で詩人たちが頭をひねって繰り出したものを僕は夜な夜なじっくり鑑賞しているという。そういう人生です。

(安住紳一郎)たしかにでも冷静に見ると、「日本初」とか「最高級」とか「完全」とかそういうアルティメットな言葉は出てこないですね。

(大山顕)そうなんです。言えないんですよね。あれね。本当に詩人のみなさんの頭を悩ましていると思います。あれは。

(安住紳一郎)「限りなく」とか。

(大山顕)「限りなく」。僕は1回、見たのは「東京を頂く」っていう。「山頂」の「頂」で「東京を頂く」っていうすごい気に入っているマンションポエムがあって。で、その「頂く(※)」ってなっていて、広告の下にはちっちゃく「(※)これは都心立地、駅直結により数々の東京の魅力を手に入れる生活を表現したものです」っていう風に書かれていて。おそらく、クレームがあってはいけないということで。「『東京を頂く』と言っているからこのマンションを買ったのに、いつまでたっても東京が頂けないじゃないか。どういうことだ!」って言われたらどうしよう?っていうことで。「違うんです。これはこういう意味です」っていうことが書いてあるんでしょうね。

(安住紳一郎)うんうん。

(大山顕)もうだったらポエムをやめたらいいんじゃないか?って思うんですけど。でもやめられないし、僕もやめてほしくないので。ここいうあの手この手でポエムを言っているという。

(安住紳一郎)そうですね。ポエムを書いているという人に会ったことはありますか?

(大山顕)何人か、あります。怒られるかな?って思ってビクビクしながらお話を聞いたんですけど、みなさんやっぱり書いている方も真面目に書いてはいるんだけど……100%本気ではない? 要するに「東京を頂く」っていうコピーを書いた方が「これは本当に頂けるんだ!」とは思っていないわけなので。やっぱり書いている方もちょっと半笑いで書いているところがまあ時にはあるという。

(中澤有美子)フハハハハハハッ!

(安住紳一郎)そうですね。あの、「こういうものです」っていう。

(大山顕)ただ、まあみんなそれについて取り上げている人がいなかったので、むしろありがたいというか。「ありがとう」って言われることの方が多いですね。

(安住紳一郎)そうですね。たしかになんかフワッとしたもので、そんなに突き詰めてもいない。

(大山顕)そうなんです。マンションを買った方も、たぶんいま自分の住んでいるマンションがどんなポエムを奏でていたか忘れていると思うんですよね。それぐらいあっという間に消えてしまうものなので。僕は全部記録をしていこうと思っているわけです。

(安住紳一郎)さて、そんな大山顕さんのマンションポエム考察第三弾。さっそく紹介します。大山顕のマンションポエム考察第三弾その1、京都はいまも都なり。その2、青山にない二文字。その3、江東区が熱い。以上の3つです。さて、ひとつ目は京都はいまも都なり。これはどういうことでしょうか?

(大山顕)あの、京都はやっぱり前からすごいんですけど、最近また勢いを増しておりまして。いま、結構京都の中心部にマンションがいっぱい建っているんですよ。で、かなりの高級物件でして、自ずとポエムもすごいことになっていってると。たとえばですね、「日本を結ぶザ・センター・オブ・京都」。日本を結ぶらしいです。

(安住紳一郎)なるほど。

(大山顕)あとは「この国の中心を担い続けてきた洛中」。洛中・洛外ってあるじゃないですか。これで「洛中」って言っているのはだから本当に中心部のところに建っているそのプライドを「この国の中心を担い続けてきた」っていう風に。やっぱり東京なんて違う。ずっと日本の中心はここだったんだっていうのがマンション広告に現れているっていう。

(安住紳一郎)京都だけでしょうね。ここまで書けるのはね。

(大山顕)そうなんですよ。東京も「日本の中心」とは言わないです。なかなか。京都だけですね。

(安住紳一郎)さすが!っていう感じですね。うん。

(大山顕)あとはやっぱり当然のことながら歴史を押してきまして。これすごいですよ。「平安京の中心部に位置して」っていうポエム。平安京ですよ。あとは「平安をしのぶ」とか。

(安住紳一郎)はー!

1000年単位の歴史

(大山顕)まあ、だからなんて言うか1000年単位なんですよね。東京だとせいぜいさかのぼっても……マンションポエムってかならず、どこに建っているやつでも歴史を押すんですけども。東京の場合はまあせいぜい江戸時代ですよね。でも京都は違う。1000年だ。平安をしのびながらマンションに住まうということですね。

(安住紳一郎)ちょっとこれはやっぱり東京や他の都市とは違いますね。カフェのある暮らし的なものとは違いますね。

(大山顕)違います。ほっこりしません。1000年です。「この地で出会うのは1000年の都が大切にした内なる時間」「京都1200年、邸宅の系譜」。

(安住紳一郎)うーん、たしかに。

(大山顕)まあ、これはコンプライアンス的にも問題ない。たしかに1000年だと。

(安住紳一郎)「この国の中心を担い続けてきた洛中」。これ、東京だと「この国の中心を担い続けてきた練馬」って言うと、ちょっと……。

(大山顕)ああ、いいですね。

(安住紳一郎)いいですけどね。

(大山顕)担い続けてきたと思うんですよ。練馬も。練馬区、いいですよね。練馬にもやっぱり京都ぐらいやってほしいですよね。練馬区のマンションポエム、いじらしいんですよ。「ここも23区」みたいなポエムがいっぱいあって。足立区とか練馬区あたりのやつは港区に比べて……なんでしょうね? ちょっと引け目があるんですかね? 僕は大好きなんですけども。あそこらへんの区がね。

(安住紳一郎)はいはい。

(大山顕)なんか京都を見習ってほしいですよね。

(安住紳一郎)そうですね。思い切って勝負してほしいというか。

(大山顕)あとはマンションポエムはアクセスの良さをポエムにしてうたうんですけども。まあ、さっき言ったみたいな「限りなく徒歩1分に近い徒歩2分」をはじめ、いろいろとやっているんですが。京都はやっぱりね、違うんです。「徒歩」とか言い出しません。これ、びっくりしますよ。「時代の覇者たちは京の都を目指しました。そんな京都の求心力はいまも変わらず、さらにこの地から全方位へ足まわりはつながっています」。

(安住紳一郎)おおーっ!

(大山顕)もうね、何線が乗り入れているとか、徒歩○分とか関係ない。時代の覇者たちはいつもここを目指したんだ。だからアクセスがいいのは間違いない!っていう。どうなんでしょう?

(中澤有美子)ローマみたいなね。

(大山顕)ああ、そうなんですよ。

(安住紳一郎)「すべての道はローマに通ず」みたいな。

(大山顕)そう。で、この下に織田信長とか時代の覇者たちのプロフィールかなんかがポエム調でまた載っているわけですよ。ところがですよ、よく考えてください。織田信長が京都を目指したっていうのはこれ、応仁の乱以外にありえないわけで。もう京都が焼けてしまうわけですよね。それはアクセスの良さとかではないのではないか?っていう。

(中澤有美子)フフフ(笑)。

(大山顕)っていう風に思うんですが、まあそれは関係ない。威勢よくいくのが京都のマンションポエムの使命だという。

(安住紳一郎)そうですね。もしくは「火災保険完備」とかね。

(大山顕)それいいですね! なるほど。

(安住紳一郎)逆手に取って(笑)。

(大山顕)まあ、応仁の乱レベルになると保険会社はどう対応するんでしょうね? 「※応仁の乱は含みません」って約款に書いてあるんでしょうね。きっとね。

(中澤有美子)やっぱり「※」で(笑)。

(安住紳一郎)もうアクセスは何線が乗り入れているとかじゃないんですね。時代の覇者たちは京の都を目指したんだっていう。はー! 「全方位へ足まわりはつながっています」っていう。たしかに、その通り!

(大山顕)京都、注目です。

(安住紳一郎)はい。高いですね。京都のマンション。値段も。

(大山顕)そうですね。中心部は高さ規制があるので、東京みたいにタワーマンションにならないんですよ。そうすると、自ずと戸数が少ないので1戸あたりの値段が上がるという。やっぱりね、高級物件になればマンションも高級になっていくという。

(安住紳一郎)なるほど。大山顕さんのマンションポエム考察第三弾、続いて2つ目は、青山にない二文字。これはどういうことでしょうか?

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