安住紳一郎さんが2009年9月にTBSラジオ『日曜天国』の中で話したトークの書き起こし。醤油マニアの安住さんがお休みを使って宮崎県日南市大堂津まで醤油の買い付けに行った際の模様を話していました。
(安住紳一郎)さて、一方休んだ方の私なんですが、実は少し他の番組のスケジュールとうまく連携が取れず、結局日、月の2日間の休みを頂きまして。まあ、かなりグチグチ言ってたんですが……ちょっとね、2日間の夏休みって短いな、みたいなことですよね。世の中5連休、9連休と言っている中で。まあでも、せっかく頂いた休みなので、気分転換に旅行にでも行こうと思い。
2年前くらいからずっと行きたいなと思っていたところが実はありまして。それで、まあよく思いつきであちらこちらブラリと出かけることが多いんですが、今回は珍しく3週間前くらいに予定を立て、予約も取り。日、月と2日かけて一人旅なんですけれども。ずっと行きたいなと思っていた場所なんですけども。
(中澤有美子)どこでしょう?
(安住紳一郎)九州の宮崎県にあります日南海岸。ここにずっと行きたかったんですね。みなさんは行かれたことございますでしょうか? 宮崎県というと九州の、地図で書きますと右下の方にあるわけですけれども。ちょうど鹿児島の上、熊本の右。四国と反対側の九州にあるということなんですが。縦に長い宮崎県の中でも、最も南の方ですね。リゾート地で有名な青島から、下の都井岬までの太平洋側の海岸線ですね。
(中澤有美子)ふーん!
(安住紳一郎)日南海岸。国定公園にも指定されていますけれどもね。一時期、海外旅行や沖縄旅行が一般的ではなかった時代は、ずいぶん新婚旅行といえばこのへんの青島とか日南というと、伊勢志摩と並んで新婚旅行の大変多い多かった時代もありまして。私の父母の世代などはそういう世代なんですけれども。行かれた方も多いんではないかなと思いますが。その日南海岸に程近い日南市というのがあるんですが。日南市の海岸沿いにある大堂津という場所にどうしても行きたかったね。
(中澤有美子)ふーん。
(安住紳一郎)大堂津。名前からしてかっこいいですけどね。大堂津。人口4200人ぐらいの街なんですけれども。2年くらい前から、ずっとこの宮崎県日南市大堂津地区っていうんですが、大堂津にどうしても行きたかったんですよ。なぜでしょうか?
(中澤有美子)ねえ。
(安住紳一郎)ユミタンファン、答えろ!
(中澤有美子)フハハハハッ!
(安住紳一郎)反乱分子、答えよ!
(中澤有美子)なんだろうな?
(安住紳一郎)うん。「なに質問してるんだよ!」っていう風にね、たぶん聞いていると思うんですよ。「(安住さん休暇のため中澤有美子さんが1人でMCを務めた)先週の方がよかったのに……なにこいつ、勝手に質問してくるんだよ?」って(笑)。
(中澤有美子)フフフ(笑)。いやいや。
(安住紳一郎)日南市大堂津。おわかりになりますか?
(中澤有美子)うーん? 景色がいいんですか?
(安住紳一郎)ああーっ、私が景色のいいところを好んで行くでしょうか?
(中澤有美子)フハハハハッ!
(安住紳一郎)まあ、行きますけども。2年前ぐらいから、どうしても宮崎県日南市大堂津地区。行きたいんですね。
(中澤有美子)美味しいものがある?
(安住紳一郎)うーん、近いですね。ユミタンファン、聞くのをやめるな!
(中澤有美子)フハハハハッ! なんで(笑)。
(安住紳一郎)大堂津になにかがあるんですね。おわかりになりますか?
(中澤有美子)洞穴とか?
(安住紳一郎)洞穴がある? ああー、違いますねー。
(中澤有美子)わかった。
(安住紳一郎)はい。
(中澤有美子)醤油!
旅の目的は「醤油」
(安住紳一郎)やっぱり、わかっちゃいますね(笑)。やっぱりわかっちゃう。そうなんですよね。もうみなさん、耳にタコができぐらいだと思うんですが、私、醤油が大好きなもんでして。ずいぶんこの番組でもそんな話を、最初は嫌だ嫌だと言いながらも、相当話しているんですが。
(中澤有美子)フフフ(笑)。嫌だったんですか? 最初は(笑)。
(安住紳一郎)最初はね。あの80、90になるまで誰に知られることもなく自分の趣味としてやっていきたいなという風に考えたところがあるんですけれども。ちょっとね、いろいろと……ブログで煽られた経緯なんかもあって。
(中澤有美子)フフフ(笑)。ああ、そうだ(笑)。
(安住紳一郎)ついついね、自分から発表しちゃったという経緯もありますが。私は、これもしつこく何回も言っているんで、皆さん本当に吐き気をもよおすんじゃないかと思うんですけども。全国に1500の醤油のメーカーがある。で、私はいまのところ150から180ぐらいまでいってるんですが。だいたい1年に30メーカーぐらいの醤油を手に入れることができるんですけれども。ということで、繰り返しなりますが私はこの醤油のコレクションを85才になるまでやり続けなくちゃならないという計算になるんですが(笑)。
(中澤有美子)そうですね(笑)。網羅するには。
(安住紳一郎)その全国に1500あるメーカーの一覧表っていうのを私、去年の夏かな? インターネット、電話帳などを駆使して作ったんですけども。それで、このまだ見ぬ醤油に思いを馳せているという、、この気持ち悪さなんですが。
(中澤有美子)フフフ(笑)。
(安住紳一郎)そこで、その全国一覧を見ていて、ある日ちょっとね、すごい現象に出くわしたんですよ。それでその、宮崎県日南市大堂津という住所なんですが、大堂津の3丁目と4丁目に醤油メーカーが4つあるんですよ。醸造メーカーが。
(中澤有美子)へー!
(安住紳一郎)人口4200人の街ですよ? 人口4200人の街で、醤油メーカーがなんと4つもあるというんだから。マルアン、マルタニ、エンマン、宮田っていうメーカーなんですけども。何度も言っていますけど、全国に1500ですからね。だいたい人口10万人に1つのメーカーがあるのが全国平均なんです。で、この地区は1050人に1メーカーですからね。人口55万人いる八王子市を計算すると、八王子市に550の醤油メーカーがひしめいているぐらいの異常さですよ。
(中澤有美子)フハハハハッ! 異常(笑)。
(安住紳一郎)八王子に550種類の醤油メーカーがあったら、驚きますでしょう?
(中澤有美子)すごい! 驚きますね!
(安住紳一郎)そういうことがその日南市大堂津地区で行われているという。これはまさに一票の格差ならぬ、醤油ひとさしの格差!
(中澤有美子)アハハハハッ!
一票の格差ならぬ、醤油ひとさしの格差
(安住紳一郎)1メーカーの人口が少ないんですから。で、それはどういうことか? というと、たぶんそこにお住いになっている方々、住民の醤油に対しての思い入れがまず強い。さらには、その小さい街でありながらも住み分けができているということは、たぶん醤油メーカーそれぞれの各個体のレベルが高いはずなんですよ。
(中澤有美子)そうでしょうね。
(安住紳一郎)優劣がはっきりついたらかならず、長い歴史の中で淘汰されますから。合併したりね。全く売れなくなったりするわけですから。っていうことは、それを4つのメーカーがそれぞれに主張して、それぞれに受け入れられて。で、長い歴史を刻んでいる。これは相当その醤油の文化レベルっていうのかな? その賞味感覚が優れてる地区なんじゃないかということで。
(中澤有美子)そうですね。
(安住紳一郎)もうずっと、2年ぐらい前から行きたかったんですが。なかなかちょっとね、宮崎市内からも車で1時間半……もっとかな? 離れてるんで、行くことができなくて。「よーし、じゃあちょっとこの日曜日と月曜日使ってみよう!」と思うに至ったということなんですけどね。
(中澤有美子)おおっ! へー!