安住紳一郎さんが2023年8月13日放送のTBSラジオ『日曜天国』の中で喉の炎症で声が出なくなり、前週の放送を途中で離脱したことについてトーク。番組を聞いていた水彩画家の永山祐子先生に急遽、ピンチヒッターをお願いしたことについて話していました。
(安住紳一郎)そして、皆さんにお詫びがあります。先週、8月6日の放送なんですが、私の声がガラガラになってしまいまして、放送を台無しにしてしまいました。本当に申し訳ありませんでした。結局、放送が始まって10分ちょっとでアシスタントの中澤さんに全てをお願いして。後半は番組リスナーの永山さんに来てもらってという放送になりました。最近聞き始めた方はね、「永山さんって誰なんだ?」っていうことになると思いますが。
永山裕子さんはタレントでもコメンテーターでもなく、本当に一般の聴取者で。先週も急遽、駆けつけてくださったんですが。当然ギャランティーなんかは出ないんですよ。番組終了後も、交通費の精算をして、コーヒーを1杯飲んで、私の誕生日のお祝いにプロデューサーが買ってくれたケーキをひとつ食べて、放送終了後30分ぐらいでお帰りになりましたけども。
(佐藤さやか)そうでしたか。
(安住紳一郎)もうスーパーボランティアみたいな方なんですけども。本当にありがたいですね。
(佐藤さやか)楽しく拝聴しました。
(安住紳一郎)きっとね、ラジオを聞いていて急に名前呼ばれたんでね。慌てて駆けつけたっていうことなんですけどね。はい。そんなことあるんですね。さすがですよね。
(佐藤さやか)さすがです!
(安住紳一郎)私たちもちょっと甘えているところがあって。困ったことがあると、先週だってね、放送で急遽、「声が出ない。これはちょっと2時間、きついんで。永山先生、聞いてるかな?」なんて言ったら40分後には永山先生から「はい。赤坂に着きました」ってメールが来るんですからね。本当に。そろそろ永山さんも「いい加減にしてください」って怒るだろうなとは私も思ってますが。本当にありがとうございます。
急遽、駆けつけた永山裕子先生
(安住紳一郎)そして、もう最近はね、ちょっと忘れがちなんで改めて、きちんとラジオを聞いてる皆さんにも伝えなくちゃいけないなと思ってることは、この永山祐子さんという方は美術関係の方の中では知らない人はいないと言われるくらいの、水彩画の巨匠ですね。大きな銀座の画廊で個展をやって、もう200点、300点、すぐに作品が売約しちゃうっていうね、それぐらいの大先生なんですよね。
先生もだから日曜日、なんか作品を仕上げなきゃいけないものがあったらしいんですけど。それを急遽キャンセルして、ラジオのピンチヒッターをやってもらってという。まあ、画商とかね、先生の作品のお手伝いをしてる人たち私たちのことを本当に恨んでるでしょうね。「何をしてくれてるんだ? こっちはこっちのスケジュールがあるんだぞ!」ということだと思いますけどね。本当に、マイクとスピーカーを介してですが、改めてお礼を申し上げます。ありがとうございました。
たくさんメールも来ています。先週ね、急に永山先生が出てきたんでびっくりっていう方が多かったと思いますが。この方は56歳の神奈川県にお住まいの方ですが。ありがとうございますございます。「私は40年近く前、永山祐子先生に指導をしていただいたことがあります。当時、私は芸大を目指して浪人中でした。ある美術予備校に通っていました。今は芸大の油絵科の倍率は20倍弱となっていますが、当時は60倍という最難関で2浪、3浪は当たり前という世界でした」。そうね。油絵は特に人気があるでしょうね。
「その学校に現役で合格した天才的なデッサン力を持つ永山先生が、特別に1回だけ我が予備校に来て、デッサンの講評をしてくださいました。永山先生はむさ苦しい男性講師と、小汚い浪人生しかいないアトリエの空間にまさに舞い降りた鶴のようでした。もうそこだけ空気が違うというか、そこだけ色彩があるという感じでした。デッサンを書いている最中も学生の間を回り、熱心に指導してくださりました。
私も空間の出し方に関するアドバイスを受け、『声も先生、かわいいな』と感激。が、そんな浮ついた気持ちもそこまででした。デッサン完成後に作品を並べての講評会で、その麗しい姿とかわいい声でよくもここまで言えるなというような辛口のコメント。怖い。怖すぎる。自分の番が回ってくるのが怖かったです。心臓バクバク、顔面蒼白で迎えた私の順番。永山さんは私のデッサンを一瞥するなり、『あなたさ、私が言ったこと全然できてないわね? 私は砂漠に水撒いてる気分だよ』。砂漠……私、砂漠ですか? 砂漠に水撒き。作業としてはこの上なく骨折り損のくたびれ儲け的なたとえではないですか。
いえいえ、言われたことができない私が悪いのです。そう思って心を落ち着かせようとしましたが、涙目になるのは止められませんでした」。そりゃそうだよね。だって。高校生ぐらいでしょう? きっとね。「永山先生がせっかく水を撒いてくれましたが、やはり私の砂漠に草は生えず、芸大の受験は失敗しました。しかし、第2希望の学校に入学することができたのは永山先生のお水のおかげだと思っています。その節はありがとうございました」という。ねえ。
やっぱり、もうこういう人たちにとってみると、すごい立志伝中の人っていうことだよね。でも何となく今に通じる永山さんの面影はここかしこにっていう感じだよね。うん。そしてまた、永山先生の薫陶を受けたこの予備校の学生たちもやっぱりなんか文章の雰囲気が永山流だよね? やっぱり、なんかね。
(佐藤さやか)フフフ(笑)。
(安住紳一郎)やっぱり薫陶を受けてるね。すごいね。そんな感じがする。三つ子の魂っていう感じがするね。もう一方、いらっしゃってますね。女性の方。ありがとうございます。「私は先週の放送ほどスリリングな放送を経験したことがありません。生放送でどんどん声がガラガラになり、途中から声が出ない安住氏。そして何よりも11時にピンチヒッターとして画家の永山祐子先生が登場した時、私の目から星が飛び出しました」。この人もちょっと永山流だね。
(佐藤さやか)そうですね(笑)。
(安住紳一郎)「永山さんが番組と繋がりをお持ちなのは知っていましたが、まさか急遽ピンチヒッターとして駆けつけ、セミやマスクの面白エピソードもさらりと盛り込み、緊急事態の中でもしっかり爪痕を残していく様子をドキドキしながら拝聴していました。あまりにドキドキしたおかげで、私は血流が良くなり、放送終了後、肩こりが解消されていました」(笑)。
(佐藤さやか)アハハハハハハハハッ!
(安住紳一郎)いいね。なんかやっぱり類は友を呼ぶっていうかさ。なんか、この永山一門はやっぱりみんな、ちょっと面白いよね。面白いのが正義だと思っている美術一門だよね(笑)。「申し遅れましたが私は30年ほど前、美術系の高校受験準備のため、中学3年生の1年間、永山先生に絵を習っていました」。ああ、やっぱり生徒さんがここかしこにいるんですね。
「今でも授業や永山さんにまつわる様々なことを覚えています。いつも熱心に指導してくれたことはもちろんのこと、当時から話が面白く、中学生の私にはなかなか刺激的でした。また、アトリエに生徒数名を呼んでくださったことがあり、私は初めて画家のアトリエに入り、心躍ったことを鮮明に記憶しています。手料理でエスニック料理も振舞ってくれました。
番組でも紹介されたエピソードかと思いますが、永山さんがバリ島でマンホールに落ち、怪我をし、手術するため、授業を休まれたこと。入院中に暇だったからと、先生が病院で書いたフルーツや花の絵がとても素敵だったこと。そして手術を担当されたお医者様と結婚された時は『運命じゃん!』と生徒の間で盛り上がったものです」。ああ、そうなんだよね。
「永山先生に1年間指導をいただいた後、私は無事に美術系の高校に合格し、高校・大学と美術の勉強をした後、一般の企業に就職しました。少し絵から離れた生活を送っていましたがある時、エスニック料理を口にした瞬間、永山先生のアトリエの記憶がよみがえりました。『先生、どうしているかな?』と思い検索してみると、なんと水彩画の大家になられているではないですか。さすが先生です。
それ以降、個展などに足を運び、元生徒の私は密かに永山さんのファンをしていたのですが、そこからの先週の放送だったわけで、本当にびっくり、びっくりという経緯です。またラジオで永山先生のお声が聞こえる日を楽しみにしています」。嬉しいだろうね。永山先生もね。本当にいろいろね、番組でも永山さんに協力してもらって、うん。立山かな? 公開放送をやった時に、少し番組だけではっていうことで、模擬店みたいなものをね、番組側で準備したんですけども。
「永山先生も何か、お願いできますか?」って言ったら、「私はスナックがやりたい」って言って。「スナックゆう子」っていうね、永山さんが水彩画の先生なのに、なぜかラジオの公開番組でスナックを開店しちゃって。そして「私、マッチ作りたいの」って言って、マッチを作ったんですよね。うん。「死ぬこと以外かすり傷」っていう標語の入ったマッチを作ったら、それが本当にあるスナックで配られてるマッチだと思って、なんか違うとこでバズっちゃったりしてね。
(佐藤さやか)アハハハハハハハハッ!
スナックゆうこ「死ぬこと以外かすり傷」マッチ
安住紳一郎のTBSラジオクラウド「国際新赤坂ビルからの公開放送」(11月6日放送分) https://t.co/0ERRyL1gqw #nichiten pic.twitter.com/ed3Zmiw2BM
— TBSラジオ 安住紳一郎の日曜天国 (@nichiten954) November 6, 2016
永山先生の個展でクロッキーを譲っていただいた時に話の流れでいただいたスナックゆう子のマッチと名刺どこやったっけって探してしまった。無くしてなくてよかった。 #nichiten pic.twitter.com/ixojZOoBeP
— シンイチ (@shinicccchi) August 13, 2023
(安住紳一郎)面白い方ですよね。で、なんかフランスかなんかの芸術協会かなんかに呼ばれてね、世界の芸術家15人が集まるみたいなシンポジウムみたいなところに永山先生が呼ばれて行ったら、そのシンポジウムで配られたパンフレットの永山先生の写真が、そのスナックゆう子の写真が使われていて。たぶんフランスの事務局はなんかね、民族衣装を着てるし。お着物を着てたしね。で、たぶんスナックゆう子の看板の意味とかわかんないから、なんかすごくエスニックで。日本から来る美術の先生っていう感じでいいんじゃないかと思って、よかれと思ってたぶんその写真を使ったらしいんだけど。そんなの、日本の美術関係者を見たら「こんなふざけている先生、いるのかい!」みたいなね。本当に面白い方ですね。
(佐藤さやか)最高ですね。
(安住紳一郎)ねえ。改めてお礼を申し上げます。
<書き起こしおわり>