安住紳一郎 深夜の新宿歌舞伎町で人生を賭けてボウリングをした話

安住紳一郎 深夜の新宿歌舞伎町で人生を賭けてボウリングをした話 安住紳一郎の日曜天国

(安住紳一郎)それで、まあね、向こうもね、ど偉い人ですからね。こっちはね、一介の係長ですからね。向こうもそんな、ねえ。若造と対等に話をしたくないとは思うんですけれども。そんなことをずーっと、4ヶ月間やっているわけですよ。で、最近はこう、向こうサイド、それからこちら側サイド、それぞれ中にね、入ってくれる人たちも何人かいて。さすがにね、本人同士で話してね、ちょっと悪い雰囲気になっても・・・ということで、気を使って真ん中に入ってくれる人も何人かいるんですけれども。

(中澤有美子)ええ、ええ。

(安住紳一郎)それでもう、番組は始まってますしね。

(中澤有美子)そうですよね。ええ。いよいよ、4月から。

(安住紳一郎)で、リポーター足りない中でやっていて。まあ、向こうも大変だろうなって。安住くんも早く手伝いなさいよ!みたいな感じになっていて。で、ちょっとお互い精神衛生上も良くないしね。お互いの番組を応援しないみたいな、そういうことになっても良くないから。恨みつらみがね、重なっちゃって、それもちょっとおかしなことになるからっていうことで。そんなこう、ちょっと混沌とした状況。まあ、みなさんにとってはどうでもいいことだと思うんですけれども。そしたら先週、その、現体制支持派。だから比較的、僕の事情を汲み取ってくれている、真ん中に入ってくれている、ある人がいて。

(中澤有美子)はいはい。

(安住紳一郎)現体制支持派ね(笑)。の、1人から電話が突然入って。それで、『あの、例の件ですけれど、安住さん、ボウリングで決めませんか?いかがでしょう?この事、局長はすでに了承しています』っていう言うの。

(中澤有美子)ええーっ!?(笑)。ほ、ほ、ほ、本当!?(笑)。携帯にかかってきて?(笑)。

(安住紳一郎)携帯にかかってきたの。突然だよ?『例の件ですが、ボウリングで決めたらいかがですか?局長はすでに了承しています』って。

(中澤有美子)(笑)。耳を疑いますよね。

(安住紳一郎)耳を疑いますよ。局長って57才よ。で、言わばもう現場のトップで、要するにゼネラリストだと社長とか副社長になるようなタイプの人で、現場が好きで残っているから、要するに、ね。工場で言うと工場長みたいな。刑事で言うと、捜査一課長みたいな感じのね、バリバリの感じなんですけどね。

(中澤有美子)ええ、ええ。

(安住紳一郎)で、私もサラリーマン生活13年やってますけども、さすがに、まあ、ね。放送局っていろいろ、突飛なことを考える人が多いから、そう簡単には驚かないけれど。さすがにですよ、『えっ!?ボウリング!?』って。

(中澤有美子)(笑)

ボウリングで決着をつける案

(安住紳一郎)でも、その間に入ってくれている人は、『これは妙案ですよ』って言うの。で、その間に入ってくれている人っていうのは、実はラジオをずっとお聞きいただいている方は覚えてらっしゃるかもしれませんけども。1年、2年くらい前に、ずーっと一緒にボウリングを誘ってくれていた人。で、俺の力だったら、たぶん局長に勝てる。局長は57才で、言わば律子さん世代のちょっと後ろぐらいなんだけれど。ボウリング世代とは言え、もう10年近くやっていないと。で、どう見積もっても、局長のスコアは135から150くらいだろうと。

(中澤有美子)もう結構、わかってるんだ(笑)。だいたいね。

(安住紳一郎)で、俺は一応、1年くらい前のアベレージが165くらいあったから。これは勝てる!と。それで、この間に入ってくれている人もなかなかの策士で。一応、局長側にも、『いや、局長の方が勝てるよと焚きつけてありますから・・・』って。

(中澤有美子)(笑)。悪いなー。

(安住紳一郎)それで、モメにモメたこの交渉を、一気にお互い解決できると思って、乗り気で入ってくるから、笑い事かもしれないけれども、これでたぶん決着をつけた方がお互いのためですよっていう。なかなかのね、策士ぶりなのよ。

(中澤有美子)そうね。フェアプレーの精神でね。

(安住紳一郎)うんうん。

(中澤有美子)なにも後に残さず。ほうほう。

(安住紳一郎)でも、さすがにちょっと待てと。生き馬の目を抜くようなね、報道記者たちのトップに立った人だからね。仮にもトップだからね。そんなこう、曖昧な、先の見通しのきかないものにね、そんな運命を託すものだろうか?と。

(中澤有美子)そうね。まあ、社運を左右すると言ってもいい・・・かもしれないよね。

(安住紳一郎)『局長だよ?さすがに。記者のトップに立っている人が、そんなに簡単に、見通しの甘いものにゴーサインを出すかね?』って言ったら、『いや、安住さん。秘策があるんですよ』って、その真ん中に入ってくれている人が、この妙案を出してくれた人が。『場所を、新宿のコパボウルに指定しました。時刻は、今週金曜日の午後11時のスタートです。これなら、抜かりはありません』。

(中澤有美子)(笑)。完全ホームですね。

(安住紳一郎)うん。で、私はもうね、膝を叩いたね。『うーん、なんたる妙案!こちらも快諾の旨、先方にお伝えくだされ!』。

(中澤有美子)早馬を飛ばして(笑)。

(安住紳一郎)早馬を飛ばして。これにはちょっとね、解説が必要になると思うんですけども。まあ、ラジオをずっとお聞きいただいている方、秋田ファンキーボウルのくだりぐらいをご記憶されている方はお分かりかと思いますけれども。この新宿コパボウルというのは、新宿の歌舞伎町のど真ん中にあるボウリング場なんですよね。東洋一の繁華街、新宿歌舞伎町2丁目ですよ。コマ劇のすぐ隣にあるんですよね。で、本当に賑やかっていうか。もうスポーツをする感じじゃあない雰囲気ですね。

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(中澤有美子)うーん。

(安住紳一郎)さらに、金曜夜11時ともなれば、もう酔っぱらいやホステス、キャバクラ嬢、外国人がわんさわんさと押し寄せて。もう真面目にボウリングしてる人は皆無なわけですよ。もう、酔っぱらいが中国人のホステスにキスをせがむ中、怒られている。そういうような状況の中でボウリングをするわけですから。

(中澤有美子)ほうほうほう(笑)。

(安住紳一郎)もう、よっぽどの集中力がない限りは、そんなにボウリングに集中できない。

(中澤有美子)たしかに(笑)。

(安住紳一郎)ええ。もう本当に、いわゆるボウリング界のアーメンホールと呼ばれているんですけども。ましてや、4月ですから。歓迎会シーズン、賑やかなることベストシーズンですね。

(中澤有美子)たしかに。ええ、ええ。

(安住紳一郎)しかも、先ほど中澤さんからお話ありましたように、私はここのボウリング場で、かつて1年前、この雰囲気を逆に利用して、集中力を養い精神修養を行った懐かしのホールであります!

(中澤有美子)そうでした(笑)。

(安住紳一郎)まさに、ホームグラウンドだから。ここでその雰囲気の中で、いかにボウリングに集中できるか?ということで、仕事で、放送で使うための集中力を養ったという、いわば修行の場なわけですよ。

(中澤有美子)ええ(笑)。

(安住紳一郎)これは地の利は俺にある!と。これたたぶん、実力が向こうが仮に上まったとしても、勝てるかもしれない!

(中澤有美子)(笑)

(安住紳一郎)話、よろしいでしょうか?

(中澤有美子)いいと思います(笑)。

(安住紳一郎)大丈夫ですか?そしていよいよ、当日を迎えるわけですね。一昨日です。平成21年4月17日金曜日午後11時。局長と係長の一戦は火蓋が切って落とされました。

(中澤有美子)あー!

ボウリング決戦当日

(安住紳一郎)先んずれば人を制す。ね。常に相手よりも余裕を持つことがボウリングでは肝要ですから。

(中澤有美子)そうなんですか。

(安住紳一郎)試合開始の指定された午後11時。少し余裕を持って、30分前に私はコパボウルに到着します。ちょうど4階に受付がありますんで、4階のエレベーターの扉がこう、ザッと開くわけですね。よし!と思って堂々と入場したら、敵もさるもの引っ掻くもの。局長はすでにUFOキャッチャーの横に立って、エレベーターの扉を睨んでいた!

(中澤有美子)(笑)

(安住紳一郎)やるな、小次郎!局長がUFOキャッチャーの横に立ってたのよ。

(中澤有美子)早いですね(笑)。

(安住紳一郎)やるね。さすが出世する人は違うね。局長さ、もうさ、俺がどっから来るかわかっててさ。エレベーターの扉を睨んでるわけよ。

(中澤有美子)(爆笑)

(安住紳一郎)そしたらやっぱり、試合前にたじろぐよね?こっちはやっぱり少し早く行ってさ、精神的余裕を持ちたいっていう気持ちをやっぱり・・・それを当然、睨んでるのね。その先を行ってるのよね。

(中澤有美子)ええーっ!?

(安住紳一郎)局長、やるな!と思って。しかしね、局長はいつものグレーのスーツ姿だったんですよ。ちょっと甘いなと思って。特にね、あのボウリングをやってらっしゃる方はお分かりでしょうけど。長袖のワイシャツはね、投げる時に袖とか肩がつるからね、ボウリングにはとても不向きなんですよね。

(中澤有美子)ほー。

(安住紳一郎)プロボウラーが全員半袖なのには意味があるわけだ。

(中澤有美子)そう言えば、そうですよね。

(安住紳一郎)『甘いな、局長!長袖じゃないか!』とは言わなかったけれども、心の中で『甘いぞ、局長!』と思ったんだけども。こちらは一応、恥を忍んで動きやすい格好。ジョギングしはじめそうな感じのね。非常にその、動きやすさ重視の格好で行ってるわけ。そしたら局長金、『安住くんはスーツじゃないのか。じゃあ、遠慮はいらないね。僕はいまから着替えるよ』って。

(中澤有美子)持ってるんだ!(笑)。

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