安住紳一郎 ペギー葉山の『ドレミの歌』日本語歌詞のすごさを語る

安住紳一郎 ペギー葉山の『ドレミの歌』日本語歌詞のすごさを語る 安住紳一郎の日曜天国

安住紳一郎さんが2022年4月10日放送のTBSラジオ『日曜天国』の中で『ドレミの歌』についてトーク。ペギー葉山さんがつけた日本語歌詞のすごさについて話していました。

(安住紳一郎)世田谷区の58歳女性の方、ありがとうございます。「幼なじみのSちゃんは目薬をさすのが苦手です。さす時はかならず『ドはドーナツのド♪』と『ドレミの歌』を歌いながらさします」。この人、58歳だからね。幼なじみの方もそれぐらいだよね。たぶんね。「子供の頃、お母さんに『大きく口を開けてドと言うと目が大きく開く』と言われてからずっと続けているそうで、かわいいです」という。

「ドはドーナツのド♪」の「ドー♪」ってね。たしかに。そうですね。『ドレミの歌』はいいですよね。これ、日本語訳詞をしたのはペギー葉山さんという女性歌手の方で。私、何回かお会いしてお話聞いたんですが。5年くらい前にお亡くなりになりましたけれども。本当に愉快な方で。この人が、たしか『サウンド・オブ・ミュージック』をアメリカか何かで見て。それでロビーでみんながこの歌を繰り返し歌ってるのを見て、「これを日本語に訳したら絶対に日本でも皆さんがきっと歌うわ」って思って。その足でホテルで訳して。そして日本に持って帰ってきて『ドレミの歌』にしたんですよね。

(中澤有美子)そうですか!

とても面白いペギー葉山さん

(安住紳一郎)そう。で、ちょうどペギーさんは戦前生まれかな? なので、「ドはドーナツのド♪」っていうのは疎開先で食べたドーナツの味だとか言ってね、「ああ、そういう時代のいろいろな思いが込められた歌なんだな」と思ってね。お話、面白かったですね。ちょっと若い方はポカンとしてしまうかもしれませんけど。ぜひちょっと、ネットなんかでペリーさんのお話を調べてくれると嬉しいです。面白い方なんですよね。

(中澤有美子)そうですか。

(安住紳一郎)GHQ、占領軍が日本に来た時にペギーさんのお宅は結構普通の日本のお宅なんですけども。お金持ちの家で、家に電話があったらしいんですよ。それでGHQかなんかからの間違い電話……混線って言っていたかな? 急に英語で電話がかかってきて。で、その混線した電話を楽しんで。葉山さんが小さい時に楽しんで話していたら、向こうのそのGHQの外国の兵隊さんが「君のことをペギーって呼ぶことにしよう」みたいになって。そこでなんか、間違い電話フレンズみたいなっちゃって。っていう、もうちょっと時代が違うから話がよくわかんないけど、面白いでしょう? 私もびっくりしました。

(中略)

(安住紳一郎)メールをいただいております。「先ほどのペギーさんの『ドレミの歌』ですが、私も子供の頃、『サウンド・オブ・ミュージック』を見て『この歌が覚えたい』と思い、レコードを買ってもらいましたが、何をどう歌っているのかわからないのです。『ドはドーナツのド』ではないみたい。和訳にも『ドーナツ』なんて書いていません。英語なんて知らない小さな子供ですから仕方なかったのですが、父に『英語の上に仮名を振って』と頼んだところ、『ド ア ディア ア フィメール ディア』と全ての歌詞に仮名を振ってくれたのですが、レコードから聞こえてくる歌はなにか違う。

そりゃそうですね。ネイティブ英語で歌っているのですからカタカナとは違う。それもわからない子供でしたので『えっ、違う違う。このレコードみたいに書いて!』と父にせがんだことを思い出しました。父も困ったことでしょう。しかしその後、英語というものを理解し、友達に『ドはドーナツじゃないんだって。本当は』と訂正して回って歩いていました。おかげで今はちゃんと英語で歌えるようになりました。お父さん、ありがとう」という。そうですよね。そう。元々のね、英語は訳すとね、ドーナツとは言ってないですもんね。

(中澤有美子)そうですよね。

THE SOUND OF MUSIC『Do-Re-Mi』

(安住紳一郎)いや、本当にペギーさんの日本語の訳詞は素晴らしいと思いますよ。訳詞っていうか、新しく作ったっていうことですよね。だってドは本当の原曲でいくとあれですよ。「Do, a deer, a female deer」っていいますからね。これ、私たちも受験英語で習いましたけど。「Deer」って「鹿」ですよね。複数形にしても「Deer」ですよね。で、「Female」っていうのはパスポートなんかで「Male, Female」って書きますけど。「Female」は「女性」ですから。「ドは鹿。しかも牝鹿」っていうことですよね? ダサッ! あ、ダサいって言っちゃいけませんね(笑)。

(中澤有美子)「しかも牝鹿」って(笑)。いい訳ですね(笑)。

(安住紳一郎)早口言葉みたいな。「ドはDeer、しかもFemaleのDeer」だから。そうですよね。「ドは鹿。しかも牝鹿」ってことですよね。そうでしょう? 合ってますよね? 私のこと、バカにしてる? みんな、大丈夫?

(中澤有美子)いやいやいや(笑)。

(安住紳一郎)ええっ? なんか知らない人が一生懸命しゃべっているみたいな。大丈夫?

(中澤有美子)面白い、面白い(笑)。いい取り組みだと思います。

(安住紳一郎)本当? いい取り組み?

(中澤有美子)続いていってほしい。

(安住紳一郎)だって「Do, a deer, a female deer」だから「ドは鹿。しかも牝鹿」ってことでしょう? 牝鹿、これで覚えてくださいね。牡鹿のことはなんて言うか知りませんけど。牝鹿と牡鹿ですよね。あとは「Mi, a name I call myself」って……「名前だ。自分自身のことを呼ぶ時の名前」だもんね。「Please call me」の時の「Me」だもんね。おダサじゃない? 「ミはみんなのミ♪」の方が楽しいよ。「みんな」っていう感じがするよね。「ミは名前。それは自分の第一人称」みたいなことでしょう? 「ミはMe。第一人称♪」っていうことだよね。たぶん。うん。ええと……私はこんなことを話すために東京に出てきたわけではありませんけれども、楽しかったなー。ありがとうございました。ちょっと私が尊敬してやまないペギー葉山さんのことを誰かと話す機会がほしいです(笑)。

(中澤有美子)はい。とても知りたくなりました。

(安住紳一郎)すごい方ですよ。はい。

ペギー葉山『ドレミの歌』

<書き起こしおわり>

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