朝井リョウさんが2026年9月13日放送のTBSラジオ『日曜天国』に出演。IBS(過敏性腸症候群)で苦しむ安住紳一郎さんとともにその苦しさ、つらさについて話していました。
(安住紳一郎)さて、そんな朝井さんに今日はこのテーマでお話しいただきます。今、伝えたいIBSの日常。まずは一気に紹介します。今、伝えたいIBSの日常。その1、組織での労働と頻便。その2、組織からの離脱と入院。その3、そして催眠状態へ。以上の3つです。ちょっと何が何だかチンプンカンプンなんですが、ご説明いただけますか?
(朝井リョウ)はい。まずIBSというのはですね、「過敏性腸症候群」。そしてやはり大先輩でございますね。
(安住紳一郎)私も過敏性腸症候群。まあ、平たく言うとお腹が緩いってことなんですけど。
(朝井リョウ)私も赤坂の街をトイレを求めて徘徊した話が大好きで。
(中澤有美子)よくご存知で!
(安住紳一郎)その話が好きなんですか?
(朝井リョウ)臨場感がもうものすごく伝わってくるんですよ。階段は上りと下り、どっちがつらいと思いますか?って。
(安住紳一郎)下りがつらい! 下りの方がはるかつらい。
(朝井リョウ)もうすっごくよくわかる。そういう瞬間が私の人生にもとってもたくさんあったんですよね。
(安住紳一郎)朝井さんもお腹、緩いんですね。
(朝井リョウ)もうその話を今日はできるものだと思って。はい。
(中澤有美子)アハハハハハハハハッ!
(安住紳一郎)おかしいじゃないですか。NHKで一言も言ってなかったじゃないですか、その話。
(朝井リョウ)そんなの、今日に取っておいたんですよ!
(安住紳一郎)お昼前に?(笑)。
(朝井リョウ)「IBS対談ができるんでしょう?」と思って。今日はね。
(安住紳一郎)IBS。今は随分、市民権を得てきましたよね。
(朝井リョウ)本当ですよね。
(安住紳一郎)私もね、驚いちゃって。で、「愛のIBS運動」ってのがあって。ステッカーが貼ってあって。「お腹が緩い人のためにいつでもトイレ貸しますよ」っていうステッカーを貼ってあるお店がね、できてきたんですよ。
(朝井リョウ)こども110番の家的な?
(中澤有美子)そうですね。「駆け込んでいい」って。
(安住紳一郎)それを私ね、佐賀かどこかで見て。もう何か、涙は出なかったけど本当に鳥肌が立つぐらいに……。
(朝井リョウ)嬉しいですよね。
(安住紳一郎)本当に。「ああ、ようやく社会がお腹が緩い人に対して少し手を貸してくれ始めたんだ!」と思って。
(朝井リョウ)私、山梨の民家に駆け込んだことありますからね。
(安住紳一郎)ああ、そういう自慢話、やってもいいの?
(朝井リョウ)もちろん。
(安住紳一郎)私、あれですよ。ゴミ屋敷の取材中に便意をどうしてももよおしちゃって。で、散々「近所の方、迷惑してますけども。このゴミ、どうにかならないですか?」なんて言ってたんだけども。便意をもよおしちゃってどうしようもないから。「ちょっと話、変わるんですけどトイレ貸してください」って、ゴミ屋敷でトイレを借りて(笑)。
(朝井リョウ)うわっ、でも本当にもう便意が発生した瞬間に、それが最優先事項になっちゃうんですよね。
(安住紳一郎)そうなんですよね。で、やっぱり人間の尊厳で「粗相をするわけにいかない」と思うんだけど意外に都会ってそんな簡単にトイレできるところ、なかったりするんですよ。で、「もしかすると俺、銀座の街中でこれ、やっちゃうぞ」とか「電車の真ん中、満員電車の中でやっちゃったら、どうなんだ?」っていう。
(朝井リョウ)銀座は排便と距離を置いてるんですね。
(中澤有美子)まあ!
(朝井リョウ)そうなんです。非常に少ないです。銀座は。難しい、あの街は本当に。
銀座は排便と距離を置いてる街
(安住紳一郎)そうですよね。公共施設とかがあるとね、比較的やっていたりするんですけど。そんなにないですもんね。
(朝井リョウ)そう。本当に難しい日々を送っているということで。そういう話がたくさんできるのかなと思って。
(安住紳一郎)IBSの日常、ひとつ目は組織での労働と頻便という。
(朝井リョウ)これは私、会社員時代、3年だけ経験があるんですけれども。
(安住紳一郎)ねえ。一度、就職されて。
(朝井リョウ)その同じIBSの持ち主ということで本当に私、生放送が日常的な安住さんのことは信じられないんですよね。
(安住紳一郎)そうですね。緊張するとどうしてもね、お腹が緩くなったりとか。
(朝井リョウ)でも、それがもう日常なわけじゃないですか。それが本当に信じられないぐらい、私はやっぱり組織で働くっていうこととIBSの相性がとにかく悪すぎるって本当にずっと思っていて。私がすっごくきつかったのは、まあいろんな……通勤などももちろん、きつかったんですけど、部内旅行というものが私が入社した時に。まだ今もあるのかもしれないですが、ありまして。で、お昼ご飯を食べて……ちなみに冬の京都でした。お昼ご飯を食べてその後、そのまま川下りというスケジュールだったんですよ。
(安住紳一郎)いいじゃないですか。
(朝井リョウ)でも私はもうご飯を食べた後が一番、やっぱり胃腸が動いて。ちょっと事件が起きやすい。で、冬で寒いってこともありますので。で、川下りは狭い中で何人もぎゅうぎゅうに乗っている。
(安住紳一郎)ああ、そうか。川下りは船の中にトイレがないし。
(朝井リョウ)もちろんないです。
(安住紳一郎)川下りの途中で「ちょっと降りたいです」とかも。
(朝井リョウ)無理ですし、私が年次が一番低くて。1年目、2年目なので。で、自分の都合でなんかちょっとあんまり……。
(安住紳一郎)全体のスケジュール狂わすのも違うし。
(朝井リョウ)狂わせることもできないということで私はその部内旅行に行く前に当時、人事部に同期がいたので。その同期のところに行って「私がもし大事件を起こしたら連絡をするので『懲戒解雇』と掲示してください」という風にお伝えしてから部内旅行に行くぐらい、もう怖かったんです。
(安住紳一郎)もう覚悟を決めて?
(朝井リョウ)はい。
(安住紳一郎)同僚の前でそんなところを見せたら、もう会社を辞めるんだ。解雇してくれと。
(朝井リョウ)だってもし粗相が起きた場合、起きたまま川を下らなければならないんですよ。しばらく。それを考えたらもう、ありえないと思って。っていうのが会社員時代はたくさんあったので。一番下の年次でIBSっていうのがもう、とってもちょっと私はストレスというか、きつかったですね。
(安住紳一郎)そうですね。また年次が行くとね、「ちょっと待ってて」みたいな感じができるんですけど。1年目、2年目はやっぱり、それが言えないので。
(朝井リョウ)だから安住さんはどうしてらっしゃるんだろうなというのを日々、思います。
会社に入りたての頃のIBSの厳しさ
(安住紳一郎)私もだから会社に勤め出して1年目、2年目。やっぱり放送前、トイレに自分が行きたくなるんじゃないかっていう恐怖と常に戦っていて。で、やっぱりギリギリまでトイレに行ってたとか、放送終わりトイレに駆け込んだとか本当に全部、綱渡り。ギリギリで。
(朝井リョウ)うわっ、怖すぎる! だってテレビのスタジオってトイレ、遠くないですか? あれが本当に信じられなくて。
(安住紳一郎)で、ようやくたどり着いたトイレの先で、お昼間よりこんな話ばっかりで恐縮なんですが。個室が埋まってた時。その時の絶望と、自分の体がカウントダウンしちゃってるからもう、あれですよね、「あと3分、待って」っていう風に言うことを聞いてくれないんですよね。
(朝井リョウ)本当にそうなんです。だから毎回、騙しながら騙しながら。「埋まってるよ」とか思いながらトイレに行って。空いてたら入れるっていうぐらいにしておかないと、油断しちゃうんですよね。
(安住紳一郎)そうですよね。で、トントンってノックして「ちょっとすいません。急いでるもんですから、もしよかったら先に」とか言った時のその相手のリアクションとかが冷たかったりすると、またそれはそれで心折れちゃって。
(朝井リョウ)「トントン」に行くまでにどれだけ勇気を振り絞っているかということを味わっていただきたいですよね。本当に。トントンの時点でもう、無理なんですよ。本当は。そうなんですよ。
(安住紳一郎)ねえ(笑)。あんまり笑っちゃいけないけれども。
(朝井リョウ)でもこの話が分かり合える人もそんなにいないので。すごくこの話をしたいなと思って今日、来てるぐらい気持ちだったんですよ。本当に。
(安住紳一郎)そうですか。あとは送別会かなんかで……。
(朝井リョウ)そうなんです。これ、ちょっとエッセイに詳しいことは書いてしまったことでもあるんですけれども。私、本当にお世話になったすごく尊敬している上司がいて。1回も不機嫌な部分を見たことがなくて。毎日、デスクの上を綺麗にしてから帰るっていう。「この人、すごいな」って思う人がいて。で、その人が転勤になってしまったタイミングで送別会をするってなったんですけど。私、また一番年次も若かったので幹事的なことをして。「2次会はこちらです」とかやってたんですね。で、1次会であんまりお酒も強くないんですけど、やっぱり送別会ということまでお酒を飲んだりとかしてたら2次会へ案内してる時点で結構、もうやばいかもっていうことになってたんですよ。で、ちなみに場所は排泄と距離を置いてる街、銀座だったので。「大丈夫かな?」って思いながら歩いていって。で、お店に着いたぐらいで「カバンはこちらに」とかやってる時にもう、かなりきつかったので。ちょっと1回、私の1個上の先輩にお願いをしてトイレに駆け込んだんですね。
(安住紳一郎)それでも1年目としては結構、あれですよね。先輩にお願いするし。「あいつ、どこ行った?」ってなったら会の雰囲気壊しちゃうし。
(朝井リョウ)そうです、そうです。そう思っていたら、もちろん個室が閉まっていたわけですよ。で、もうやりました。コンコンをやりました。そしたらですね、中から聞こえてくるんですよ。吐いてる音が。で、「これはもう出てこないわ」ってなって。でも、状況的にもうこれはダメだ。いっぱいいっぱいだってなったので別の店舗に行くしかないと思って。そこから私は銀座を駆け回るんですけれども。時間的に百貨店とかは全部閉まっているっていう状態。で、コンビニとかももうトイレ、ないですし。
で、財布を持ってないので駅に入れない。改札にも。「やばい!」ってなって。もう全然、だから本当に良くないんですけど別の居酒屋にザンッ!って入って。最短距離で。本当にこれ、私が全部悪いです。最短距離でトイレに「ちょっと本当にごめんなさい」という気持ちで入らせていただいて。で、もうギリギリの状態だったんで……本当にごめんなさい。汚いです。ズボンを下げた瞬間にもう、出るというギリギリの状態だったんです。で、もう店員さんが「ドンドンドンッ! 誰ですか? 何してるんですか? ドンドンドンッ!」って。
(安住紳一郎)ああ、そうか。店員さんは急に入ってきたから。怪しい人だと。
(朝井リョウ)それで大声で「ごめんなさい、ごめんなさい!」って言いながら。それで、出て。「もう、これだから若い人は……」みたいに本当、店員さんが怒ってらっしゃって。私のせいで若い人全員が怒られてしまって。「本当にごめんなさい!」って言いながらその居酒屋は出たんですけど。もう、お店に戻らなきゃいけない。
(安住紳一郎)大切な上司の送別会の途中だったので。
(朝井リョウ)そう思ったんですけれども。私、さっきその「ズボンを下げた瞬間に」っていうお話をしたじゃないですか。でね、腕時計を「今、何時だろう?」って見たら、ズボンを下げた時にお尻に私の袖口が近くなっていたんですよね。で、時計を見たら袖口にうんち君がいたんですよ……。
(安住紳一郎)ああ、ちょっとついちゃったんだ。
(朝井リョウ)それで「うわっ!」って思って。その時にだいぶ心が折れてしまって。「これ、もうニコニコ対応できないかもしれない……」って。
(安住紳一郎)同僚のところには戻れない?
(朝井リョウ)はい。「こんな姿で」って思って。でも、どうにかお店には戻って。本当、先輩に散々謝って。その時、私は小説家の仕事はしていたので。大嘘をついて。「すいません。急遽、直さなきゃいけない原稿があって」って。そんなわけない。そんなことありえないですけど。急遽、嘘をついて。「すいません、すぐに家に戻らなきゃいけなくて」って言って戻ろうとしたんですけど。「じゃあ最後に1枚だけ、集合写真を撮ろうよ」ってなって。その時に、私は油断をしてそのうんち君がついてる方の手でピースをしてしまったんですね。私は大好きな先輩の送別会の集合写真にうんちを写したことがあるっていう……。
(安住紳一郎)そうですか(笑)。それはもう、ねえ。
(中澤有美子)映ってました?(笑)。
(朝井リョウ)もう本当に悲しかった。
(安住紳一郎)ああ、そうですか。確認できるんですか?
(朝井リョウ)私、その帰り道泣いたんです。
(安住紳一郎)泣くでしょうね。
(朝井リョウ)泣いたんです。この帰り道。っていうのが私の会社員時代で。もう頻便とその会社で働くってことは本当に相性が悪いなって思った話です。
(安住紳一郎)そうですか。でも、その時はもう作家として結果が出てる時ですもんね。
(朝井リョウ)そうでした。タイミングとしては。だからまあ、嘘をついて。みんな「何かあったんだろうな」という顔で納得してくれて帰してくれたという。とってもいい会社でした。
(安住紳一郎)ねえ。直木賞を取ったとて……。
(朝井リョウ)関係ないです。関係ない。
(安住紳一郎)銀座の真ん中で泣いちゃう。
(朝井リョウ)泣いちゃう。泣いちゃう。「取ったから泣いた」もありえるぐらい。
(安住紳一郎)ねえ。いやでも本当に……女の人はあんまりお腹が緩くなることない。むしろ逆にね、便秘の人が多いって聞きますけど。
(朝井リョウ)たしかに。男性の方が多いですよね。
(安住紳一郎)そうですね。特にね、そう。男の人でお腹緩い人がね、いるんですよね。今日はこの話、1本ですね。
(朝井リョウ)ええっ? あと二つ、ありますよ? 組織からの離脱と入院と、そして催眠状態へって。ありますよ。
(安住紳一郎)そうですね。ちょっと1曲、いっていいですか? 川崎市の方からのリクエスト。Juice=Juice『盛れ!ミ・アモーレ』。
Juice=Juice『盛れ!ミ・アモーレ』








シャツの袖にうんちくんがついていることに気づいて夜の銀座で泣いた朝井さん、つらすぎる! 銀座は排便に距離を置いている街、肝に銘じて生きていきたいと思います!
