渡辺志保 ドレイク VS ケンドリック・ラマー 2024年5月13日現在の状況を語る

渡辺志保 ドレイク VS ケンドリック・ラマー 2024年5月13日現在の状況を語る INSIDE OUT

渡辺志保さんが2024年5月6日放送のblock.fm『INSIDE OUT』の中で『Like That』に端を発するケンドリック・ラマーとドレイクのビーフについてトーク。ドレイクが発表した『THE HEART PART 6』で一旦、事態は収束していきそうだと話していました。

(DJ YANATAKE)先週は、あれですよね。俺がMCバトルにお昼の1時入りとかで。大阪のホテルで午前中に志保と繋いで(ケンドリックvsドレイク回の)収録をしたんだよね。で、「できた!」って思って、タクシー乗ってZepp Nambaに向かう時に携帯を見たら、その収録を終えた後にドレイクの新曲が出るっていうので(笑)。

(渡辺志保)すごいタイミングでしたね。本当に収録が終わったその瞬間みたいな感じでしたけども。というわけで、これからまた順を追って話すんですけども。一応、ケンドリックvsドレイクの一連のビーフは一旦、これにて終了みたいなモードにいよいよなってきているので。ちょっとおさらい的なことと、この全世界のヒップホップファンにとってはめちゃめちゃ忙しかった2週間。それを経て、どう感じたのかみたいなところもお話できればなと思っております。で、私のところにもInstagramで質問やご意見を募っていて。そうしたものも紹介したいなという風に思っております。

で、ここに至る話っていうのは先週の放送でも話していて。何度もさかのぼりますけど、元々フューチャーとメトロ・ブーミンの『Like That』という曲の中のケンドリック・ラマーのバースが発端で。「◯月◯日にはこういう曲が出て……」みたいなお話と、それぞれの曲の何となくの概要みたいなものは先週の放送でもお話して。それをみやーんさんが速攻、書き起こしてくださったので。それも参照していただければなという風に思います。

渡辺志保 ドレイク VS ケンドリック・ラマー 2024年5月6日現在の状況を語る
渡辺志保さんが2024年5月6日放送のblock.fm『INSIDE OUT』の中で『Like That』に端を発するケンドリック・ラマーとドレイクのビーフについてトーク。どんどんディス曲・アンサー曲が発表される状況をまとめていました。(ケンドリック・ラマー『Not Like Us』までについて言及しています)

(渡辺志保)前回の放送まではそんな感じで。今のところケンドリック・ラマーとドレイクがそれぞれ曲でやり返している、やり合っているような感じになっていて。前回の収録まではケンドリックがリリースした『Not Like Us』という曲までしか解説ができなかったんですよね。その後に、さっきヤナさんもおっしゃったみたいに日本時間だと5月6日(月)の午前中だったんですけれども。アメリカ時間では5月5日の夜、ドレイクが『THE HEART PART 6』という曲を出して。一応、曲でのアンサーっていうのは今、この5月5日の『THE HEART PART 6』で止まっているというところなんですね。

で、この『THE HEART PART 6』っていう曲もミュージックビデオは出ていなくて。曲とあとはそのアートワークだけがオンライン上でリリースされたっていう形になってるんですけれども。前回、ケンドリック・ラマーが『6:16 in LA』という曲を出したっていう話をしたと思うんですけれども。それもドレイクのシグニチャーでである「何時にどこどこ」っていう、彼はこれまでにそういう曲をいくつも出してきたんですけども。そこになぞらえてケンドリック・ラマーが『6:16 in LA』という曲を出したんですけれども。今回の『THE HEART PART 6』に関しても、これまでにケンドリック・ラマーがご自身のキャリアを通じて『The Heart』シリーズって曲を1から5まで出してきたんですよね。

で、『The Heart Part5』っていうのはたとえば、この『INSIDE OUT』でも当時、話しましたけれども。2022年にリリースされていて。これもディープフェイクを使ったミュージックビデオが当時、すごく話題になったし。ケンドリック・ラマーがまるでそのニプシー・ハッスルのイタコのような感じでラップをしているようなところも非常に話題になっていて。これに関しては当時、しゃべっているのでここであんまりこれ以上、深くは触れないですけれども。

渡辺志保 Kencrick Lamar『The Heart Part 5』を語る
渡辺志保さんが2022年5月9日放送のblock.fm『INSIDE OUT』の中で突如発表されたケンドリック・ラマーの新曲『The Heart Part 5』について話していました。

(渡辺志保)なので今回、ドレイクもケンドリック・ラマーのシグニチャーシリーズ、ケンドリック・ラマーのお家芸みたいな『The Heart』シリーズをもじって『THE HEART PART 6』っていうのをリリースしたんですよね。で、「6」っていう数字自体、ドレイクにとっては自分のトレードマークみたいにしてる数字で。自分のことを「6 God」とか呼んでいるけども。「6」っていう数字はドレイクの地元のトロントに由来する……トロントの市外局番が6から始まるということで。6を自分の中で非常に大事な数字にしてるわけなんですよね。で、それとたまたまだとは思うけれども、『The Heart』シリーズも1から5まで出てるので。ケンドリックがこれまで出してきた「5」の次の「6」を勝手にドレイクがケンドリック・ラマーへのアンサーソングとして出したという。

ケンドリック・ラマーも『Not Like Us』の中では、アートワークも象徴的なんだけど。非常に曲の中でもドレイクがペドフィリア……未成年の女の子にめっちゃ手出しまくってるプレデターだみたいなことをかなり強めにラップしているんですよね。プラス、そのアトランタのカルチャーのことなんかをラップしてるわけなんですけれども。この『THE HEART PART 6』では割とドレイクがそこに対して釈明することがメインになっているのかなという風に感じました。「もし俺がそんな性加害者であるのであれば、とっくのとうに逮捕されているはずだろう?」というような感じで。その一点だけではもちろんないんですけれども、そこに対する釈明という部分が大半を占めているのかなと感じたのと。

あとはケンドリック・ラマーの『Mr. Morale & The Big Steppers』に収録されてた『Mother I Sober』っていう曲がああるんですが。そこではケンドリック・ラマーのお母さんがかつて受けた性的被害について、そのトラウマについてをラップしてる曲なんですけれども。その『Mother I Sober』という曲のタイトルをもじってドレイクが歌詞の中に盛り込んでいる。そういったところも使ってドレイクはケンドリック・ラマーのことをバカにしてるわけなんだけど。この『THE HEART PART 6』の最後はですね、ケンドリック・ラマーに対して「お前はあと10曲ぐらいストックがあるのかもしれないけども、勝手にしろよ。知らんがな」みたいなトーンで最後、ラップじゃなくて語り、しゃべりでドレイクは曲を締めくくっております。

これが結構事実上の白旗宣言っていうか、「もう知らんがな」宣言みたいな。そんな言葉があるのかないのか……まあ、ないんだろうけど。何となく、そのドレイクがもうさじを投げたみたいな感じに取られたんですよね。

『THE HEART PART 6』でさじを投げたドレイク

(渡辺志保)なので「このビーフの勝者はケンドリック・ラマーなのでは?」みたいなトーンで翌日のポッドキャストであるとか、あとはリアクション動画を撮ってるようなYouTuberの人たち、TikTokerの人たちなんかは結構ワーッと「ケンドリック・ラマーの勝利!」みたいなトーンになっていたんですよね。なんだけど、現地時間だと翌々日っていうことなのかな? 火曜日の深夜にドレイクトロントの大豪邸のセキュリティの人が撃たれてしまった。そして、それが命に関わるような重体ということで、病院に緊急搬送されたっていうニュースがありまして。この銃撃事件に関しては、どうやらドライブバイ……車の中から撃ったっていうことが今、明らかになってるんですよね。それでドレイクのおうちのセキュリティの人が撃たれてしまったという。

で、その時、深夜2時ぐらいだったかな? ドレイクは在宅していなかった。家にはいなかったということなんですけれども。ちょうど、そのケンドリック・ラマーが数日前にリリースした『Not Like Us』っていう曲のアートワークこそが、そのドレイクのトロントにあるおうちの写真。Googleマップかなんかの引きの写真に。そこにそのセックスオフェンダー……「性加害の加害者がいますよ」っていう風に何本もピンが刺さっているっていうアートワークだったんですよね。

なので、ちょっと私はまさにそうだったんだけど。「もう洒落にならないな」という風に思ったんですけども。だけど、そのシューティングに関してはドライブバイで。かつ、ドレイクを狙ったものではないのではというような見解が出て。かつ、これはケンドリック・ラマーとは関係なくて、さらにその数日前にザ・ウィークエンドのボディーガードも銃で撃たれたっていう事件があったんですよね。なのでドレイクとケンドリック・ラマーのビーフに乗じて起きた出来事とか、そういうものじゃなくて。それとは別に走っていたドレイクのクルーvsザ・ウィークエンドのクルーが発端になっている、それのいざこざによるシューティングじゃないのかという見立てになっているような感じです。

ドレイク邸銃撃事件はザ・ウィークエンドとのトラブル?

(渡辺志保)で、さらにその後、ドレイクの家に連続して不法侵入者が入ってきて、警察が呼ばれるみたいな事件もあり。あとはロンドンのOVOストア、ドレイクが運営しているファッションブランドのお店にも「Not Like Us」っていう落書きがなされて、お店がそういう風にヴァンダライズ……めちゃくちゃにされたみたいなことが立て続けに先週、起こっていて。そういうこともあって、ちょっとビーフが幕引きという感じに今、なっているっていう。あとはTDE、ケンドリック・ラマーがかつて、長年所属していたレーベルのトップのパンチさんという方も「このビーフはもう終了だ」みたいなことをX上で宣言しており。なんか、すごい商売上手だなって思ったんですけど。「さてTDEの20周年記念のコンピレーション作品に取りかかるか」っていうようなことを同じつぶやきというか、Xのポストの中でおっしゃっていて。それはそれで「なるほど」みたいな感じですね。なので、時系列に沿ったタイムラインというのは日本時間の5月13日(月)の夜においてはそういう風になっております。

(DJ YANATAKE)俺ももう完全に収束の感じと思って、今日の告知も「完結編」って書いちゃったんですけど。まあ、本当に完結してるかどうかはちょっとわかんないんですけど。まだケンドリック自身は何の声明も出してないんだよね?

(渡辺志保)そうですね。

(DJ YANATAKE)っていう状態ではあるけども。でも、なんとなく近しい人たちとか……ドレイクは自分自身でストーリーズにもアップはしたんで。一旦、落ち着いてきた感じなんですかね?

(渡辺志保)そういう感じがしますよね。で、いろいろ勉強になったんですけど。やっぱりすごいたくさんのメディアがこのビーフに関しての記事を書いているし、ポッドキャストでね、ジョー・バドゥンなんかもワーッといろいろ話していたし。あとはもう、リアクション芸人みたいになってますけど。DJ Akademiksさんという配信者の方がいるんですけど。DJ Akademiksとかはもう本当に引っかき回しまくっちゃってっていう感じで。そのAkademiksも嘘をついてるかもしれないし、ドレイクも嘘ついているかもしれないし、ケンドリックも嘘ついているかもしれないし……みたいな。何が何だかなっていう状況ではあるんですけど。

でもこの間、収録した放送の中でケンドリック・ラマーがリリースした『meet the grahams』っていう曲の中で「ドレイクに女の子の隠し子がいる」ってことをケンドリック・ラマーがラップしたんですよね。で、それについてヤナさんが「その密告者、二重スパイの可能性もあるよね」みたいにおっしゃっていて。私が「だとしたらドレイク、めっちゃ性格が悪いですよね」っていう風に返していたんですけども。そこでドレイクがまさに『THE HEART PART 6』の中で「ケンドリック側に嘘の情報を流した」っていうことをラップしてるんですよ。なんだけど、それ自体もやっぱり嘘で。結局、何が真実なのかわかんないねみたいになってるのが今のトーンではあるんですけど。でも、それをちょっと予見したヤナさん、すごいなっていうのを思って。

(DJ YANATAKE)いや、僕はなんかで見ていたんですよ。記事みたいなので見たんですけども。それが予想だったのか、本当のリーク情報だったのかはわかんないけど。でもなんか、そういう……志保も「意地が悪いですね」って言っていたけど。なんか、そういう心理戦じゃないけど。そういうのもあったんだなっていうね。

(渡辺志保)そう。それでなんか今回、私も気づいたこと、気づかされたことがいくつもあるんですけど。そのうちのひとつが、ビーフの楽しみ方みたいなのを私は全然、心得てないなって思ったんですよ。で、それは別にいいことなのか、悪いことなのかはジャッジするような話でもないし。私は別に、自分が楽しめなくてそれはそれでいいと思ってるからいいんですけど。たとえば「ドレイクの家に侵入者が入った」とか、それこそ「ドライブバイでセキュリティが撃たれて重体だ」ってなっても、あんまり私が見てるタイムラインとか、ヒップホップ系のブログ、ヒップホップ系メディアのトーンが変わらなかったことに結構、びっくりしたんですよ。海外は結構、そういう感じだった。で、私は結構、ドン引きしたんですよ。「えっ、ここまで来ちゃうの?」みたいな。

で、この『INSIDE OUT』でもたとえばケンドリック・ラマーの曲と、2パックがパフ・ダディをはじめとしたイーストコースト勢をディスった『Hit ‘Em Up』っていう曲がありましたけども。そのマッシュアップとかがいち早く作られてて。なんかそういうトーンになると怖いな思ったんですよねっていうことを話したと思うんですけど。でも結構、そのボディーガードが銃で撃たれて重体になっても、「これはケンドリックのビーフとは関係ない文脈だから」みたいな感じで。なんかすごい割り切ってるような感じで。それで引き続き「『Not Like Us』がチャート初登場◯位になりそうだ」とか、「ケンドリック・ラマーの曲が引き続きストリーミングの回数が◯%、アップした」みたいな。「数字が証明した」みたいなトーンの記事なんかがバーッと出ていて。

かつ、ジョー・バドゥンのポッドキャストでも……私はその書き起こしの記事を読んだだけで、まだ音声として聞けてないんですけど。YouTubeでも見れてないんですけど。ジョー・バドゥンも今回のビーフすごくよかったっていうか、ケンドリック・ラマーのグッドジョブ的なところは、ケンドリック・ラマー自身が「俺がドレイクのことを嫌い」だったのを「俺たちはドレイクのことが嫌い」っていう風に大勢の味方をつけたことだって言っていて。「ドレイクvs大人数の図式を作り上げたことがよかった」みたいなテンションで話していたんですよ。なので、そのケンドリック・ラマー個人のヘイトをみんなのヘイトに書き換えたみたいな感じ。

(DJ YANATAKE)ふーん。それがよかったことなんだ。

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