(佐久間宣行)そしたらもう、横山先生が会場の前で学部長なのに、手を振って待っていて。それで会って。「佐久間、よく引き受けてくれたな。紹介するから」っつって早稲田の教授たちに俺を紹介してくれたんだけど。それで前学部長で今、広告界の権威でもある嶋村和恵先生っていう方もいらっしゃって。あと、全然よくわかんないんだけどただの大学の俺の友達の井上ってやつが冷やかしで来ていて(笑)。井上も来てたよ。「お前、なんでいるんだよ?」みたいな。で、この学部卒業式自体がコロナでやってなかったんだって。だから先生が学部長になってから初めて復活させる。「だからお前に来てほしかったんだよ」と言われて。5年ぶりの学部卒業式で。「始まります」ってなって。
それで幕が開いたら……横山先生は「佐久間、久しぶりの学部卒業式だから、満席だったらどうする?」みたいなこと言ってたんだけど。ウィーンって幕が開いたら、大隈講堂って1階と2階があるんだけど。大学生の朝の弱さって、なめちゃいけないね。1階席にしか人、いないんだから(笑)。幕が開いた瞬間、2階席がガラガラなんだよ。3分の2ぐらい、しかいないんだよ(笑)。それでも500とかね、600とかいるんだけど。
で、横山先生が「これ、あれだぞ。俺が最初スピーチするから。俺がスピーチしてる間にたぶん入ってくると思うから。俺の授業って、だいたいそうだったから」って(笑)。で、横山先生が学部長として俺の紹介も兼ねてご挨拶してくれて。その間、やっぱりどんどんどんどん学生が入ってきて、ある程度埋まってきて。その後、俺がスピーチで更生したというか、自分が本当に考えてること。未来は本当に不確実でわかんないっていうことで。自分の人生の中でうまくいかなかったことが今、ここに繋がったっていうこと。あとは「自分のことをわかった気にならないでくれ」っていう。それはなんでかっていうと、俺は自分を低く見積もって「クリエイターになんかなれない」と思って夢は半分、諦めていたんだけど。人に言われるまで自分が作れる人間なんて思ってなかったから。それは自分自身を低く見積もってたっていう。あと「不安のままでいい」っていう。
これはさ、短く話すと糸井重里さんとか秋元康さんとかと話していても……もう本当、めちゃくちゃ結果を出した人大人、おじさんたちと話せば話すほど、誰も不安が取れてないのよ。「毎日不安だ」って言うの。で、「不安だからすごい頑張るっていうのがあるから、不安のままでよかった」っていう風にみんな、一流の人たちが言うのよ。だからその話を聞いて「不安をなくそうと思って生活するよりも、不安は不安のまま生きていった方がいいですよ」っていう話をして。その最後に、もう血が通ったことを話したいと思って。最後、俺がこのラジオでも話した大好きなキアヌの映画。そんなに当たってはいない作品なんだけども『サムサッカー』っていう中の「大事なのは答えなしに人生を生きる力だ」っていう言葉。それと不安を結びつけて。そんな、自分の中ではきれいに結びつけた話を10分ぐらいでできたの。
スピーチが無事、終わる
(佐久間宣行)俺、西野とは違うよ? かました挨拶とかじゃないから。でも、普通の学生生活を送った俺にしかできないスピーチがまあ、できたなって思って。それで席に座って。そしたら先生が耳元で「お前、素晴らしかったよ。お前に頼んでよかったよ」って言ってくれたから。まあまあ、責務を果たしたなという風に思って。で、その後、応援団がね、『紺碧の空』っていう早稲田が早慶戦とかでやるような応援歌みたいなやつを歌うってなって。で、「先生と生徒と来賓の皆さん、みんな一番前の席に座ったってください」って言われて、学生の前で立たされて。それで、学生の前に立ちながら応援部が出てくるんだけど。その応援部の子が、俺の聞き間違いかわからないんだけども。名前はわかんなかったんだけど。
「センターでこれを仕切るのは、大学を留年し、本当は皆さんと一緒に卒業を迎えたかったが、この度めでたく新5年生になる、フタバシ!」とかって言って。で、学生服を着た……だから要は、卒業生を送る同級生だね。卒業できなかったやつがセンターで『紺碧の空』を全力で歌うのよ(笑)。汗かきながらね。それは面白かったんだけども。その後、立て続けに5曲やるんだよね。校歌だとか、コンバットマーチだとか。その度に1回、フタバシは下がって。「コンバットマーチを演奏するセンターで指揮を執るのは、フタバシ!」っつってもう1回、出てきて。フタバシ、5曲全部やったんだよ。汗だくになりながら(笑)。で、その大学5年生が大学4年生を送るっていうやつがあって。それで、「25年ぶりに校歌を歌ったな」と思って全部、終わったの。
で、学生たちが出てたら横山先生が「佐久間、ありがとうな。まあ、謝礼はほとんど出ないからさ」って言われて。「いや、全然そんな、いいですよ。これが記念ですから」「いや、飯をおごるから。飯、食おうよ」ってなって。で、近くのホテルの中華に行ったのね。そしたら先生は「ちょっとコース、頼んでるからさ。佐久間、食おうよ」「おお、ありがとうございます」って。もう先生とサシで。久しぶりよ。先生とサシで食うなんて、もう30年ぶりぐらいだから。それで「佐久間のスピーチ、よかったよ。頼んだ甲斐があったわ」なんて言いながら。「それだけで十分ですよ、先生」なんて言いながら先生と中華を食べていたら、その中華がめちゃくちゃ出てくるんだよ。点心が異常な量……たぶん、フルフルのコースを頼んでくれているんだよ。嬉しくなっちゃって。
で、餃子、餃子、小籠包、えびシュウマイみたいな感じで出てくるわけね。で、その後にチャーシューみたいな。で、その途中ぐらいから先生の箸が止まって。「佐久間、これ頼みすぎたな。お前、食えるだろう? お前、食ってくれよ」っつって(笑)。で、そこから先生のシュウマイとか食べさせられたのはいいんだけど。先生が「もう1個ぐらい、食べてくれ」とか言ってきて。「いや、先生、食べてくださいよ」「いや、俺も無理だよ。58なんだから。お前、食えるだろう? 体、でかいんだから」って。「いや、ちょっと待て? あんたさ、俺のイメージ、大学生のままで止まってるんだろ? 大学生の時はあんたの飯まで食ったよ? でもその時ってあんたが30で俺、20よ? あんたが58なんだから、俺は48なんだよ?」っつって(笑)。
学生時代のイメージで料理を頼みすぎる
(佐久間宣行)「実家の母ちゃんがめちゃくちゃ料理を作ってくるんじゃないんだから。そんなに食えねえよ!」「いや、失礼だろう? 佐久間、食ってくれよ」とか言われながら俺、すげえ食って。で、最後はもう、キャンセルすりゃいいのに。担々麺が出てきて。俺、その担々麺も食べて。「佐久間、最後はこれでデザートで終わりだから」っつって。「先生、本当にね、頼みすぎですよ。48と58なんだから」っつっていたら、最後のデザートがプレートに9種。ここの店のデザートが全部、載ってるプレートが出てきて。誕生日じゃねえんだから。はしゃいでんじゃねえよっていう(笑)。その、杏仁豆腐からマンゴープリンみたいなのとか、全部出てきて。で、先生が「佐久間、もうこれは食えない」っつーから。俺も「店に失礼にならないぐらいは食いますよ」っつって。で、そういう揚げシュウマイみたいなのも食べて。
で、先生が「俺、この後の卒業式、寝ちゃうかもしれない」っつってて(笑)。俺、先生にビールとかもおごってもらっていたから。「俺、たぶんこの後の仕事、ボロボロですよ」とか言いながらごちそうになって。「でもよかったです。ごちそうさまでした」っつったら「佐久間さ、この2期、学部長を務めて。最後の回に佐久間に来てもらって本当に嬉しかった」「ああ、そうなんですか」「でもちょっと今、悩んでることがあって。なんか若い教授が3期の選挙、来週なんだけど。出た方がいいんじゃねえか?っつってて。これ、出た方がいいかな?」って(笑)。「いや、お前、絶対に出るなよ? 3期、出たら俺、また来なきゃいけなくなっちゃうから。もうネタ、ないんだから!」って言いながら。「そうか。わかった。でもその時は、頼むな」って言われて。フハハハハハハハハッ! だから、もしかしたらまたどこかでやる可能性があります(笑)。まあでも、いい機会でしたよ。
5年ぶりに開かれたという早稲田大学商学部の卒業式に校友として呼んで頂きました。
ゴリゴリに留年してるのに大隈講堂でスピーチできる日が来るとは思いませんでした。卒業生の皆様、本当におめでとうございます。 pic.twitter.com/djwuwU7YxS
— 佐久間宣行 (@nobrock) March 25, 2024
<書き起こしおわり>