松野泰己 スクウェアへの移籍と『ファイナルファンタジータクティクス』開発を語る

松野泰己 スクウェアへの移籍と『ファイナルファンタジータクティクス』開発を語る TOKYO M.A.A.D SPIN

(坂口博信)企画書だけを書いてプログラマーが全部作ると、そのプログラマーのやれるボリュームがゲームのボリュームなっちゃうんですよ。で、RPGだとすごく、そこは限界が近いんですよね。なので、切り分けて簡易言語みたいにして。もうプログラマーはそのエンジンだけ作ってくれればいいとっていう。まあ、今じゃ当たり前なんですけど。当時は意外とその手法がなくて。で、それをやれたのが当時、スクウェアが結構量産できた理由で。

(松野泰己)もちろん『オウガバトル』も『タクティクスオウガ』もちゃんと僕がデータを作っていたんですよ。作っておいたんですけど。データフォーマットもちゃんと作ったんですけど。そこから発生するいろんな諸問題っていうものは、要はプログラマーが吸収してくれたわけですよ。ところが、スクウェアでは吸収をしてくれないので、その問題も自分で解決する必要があって……っていうところが新しかったですね。

(鳥嶋和彦)ってことはもう1回、ゲーム作りを俯瞰で見直すことになったんだね。

(松野泰己)おっしゃる通りですね。だから勉強をずいぶんさせていただきました。

(鳥嶋和彦)で、あれですか? やっぱりFFっていうフィールドは借りるけど、その作品から商品となった時にユーザーってどういう風に意識していった?

(松野泰己)そこはですね、面白い話がありまして。最初に企画を立てたものっていうのは、僕らは『タクティクスオウガ』を作ったばっかりだったんで。同じものは作りたくないじゃないですか。で、『伝説のオウガバトル』でやり残しがあったんですよ。だから「もう1回、RTSをやってみよう」っていう。あと、『バハムートラグーン』っていうターン制のゲームもあって。あと、『フロントミッション』もあったので。だから、それでターン制をやっているんで、また作ってもしょうがないと思ったんで、RTSに戻ろうってなって、その企画書を書いたんですよ。絵も書いて。で、坂口さんのところに持っていったら、坂口さんからボツを食らうですよ。食らうんですけど、その背後にいたのは鳥嶋さんなんですよ(笑)。

(鳥嶋和彦)フハハハハハハハハッ!

(松野泰己)坂口さんが鳥嶋さんのところに持っていったら「こんなもん、売れねえよ!」って言って。

(鳥嶋和彦)そう? そんなの、あったっけ?

「鳥嶋さんにボツを食らった」説

(松野泰己)言ってました、言ってました。で、「どこがボツなんですか?」って聞いたら……。

(坂口博信)ああ、ごめん! それは俺、嫌われるのが嫌で嘘をついていたのかもしれない。

(松野泰己)30年ぶりに……今でも覚えているんですよ。

(鳥嶋和彦)それは僕、言ってないよ?

(坂口博信)はい。嫌われたくなくて、嘘つきました!

(松野泰己)「坂口さん、これ、どこがダメなんですか?」「いや、俺はいいと思うんだけど、鳥嶋さんがさ、ダメだって言うんだよ?」って……。

(坂口博信)すいません。嘘、ついちゃいました(笑)。

(松野泰己)その時は鳥嶋さんに面識がなかったんで。

(鳥嶋和彦)たしかにね、当時、企画段階で見せてもらって意見は言うけども。あくまでもそれは1人の意見でね。その企画の根幹に関わるようなことは……。

(坂口博信)「RTSだから売れねえよ。ボツだよ」っていうことは鳥嶋さん、言わないですよね。

(鳥嶋和彦)言わない。

(松野泰己)「『ビジュアル的にもこんなんじゃダメだ』みたいなことを言われた」って言っていたんですよ。

(坂口博信)それは単に僕の意見だったような気がします……(笑)。

(鳥嶋和彦)ひどい話だな(笑)。

(松野泰己)まあ、僕らからすると、坂口さんにボツも食らうし、鳥嶋さん……レジェンドの鳥嶋さんに言われたら、それは「ダメかもな」って思うわけじゃないですか。

(坂口博信)じゃあ、ダメ押しで嘘ついたんだね(笑)。

(鳥嶋和彦)ひどいね(笑)。

(松野泰己)ひどい話だ!

(坂口博信)いやいや、物事の構成を変えるには、それぐらい必要なんですよ(笑)。

(鳥嶋和彦)こっちは無実の罪だよ?(笑)。

(坂口博信)でも今まで知らなかったから、よかったじゃないですか(笑)。

(鳥嶋和彦)そうだけどさ(笑)。

(松野泰己)でも今日はいい機会だったので、確認を取ろうかなと思って(笑)。

(堀井雄二)で、ボツを食らったんだ。

(松野泰己)そうですね。それで『ファイナルファンタジータクティクス』っていうマス目のやつになっていくわけですけども。

(坂口博信)まああれ、売れたじゃないですか。

(松野泰己)ありがとうございます。

(坂口博信)ミリオンセラーですから。

(鳥嶋和彦)僕らもバックアップしたからな。

ミリオンセラーの大ヒット作に

(松野泰己)ありがとうございます。本当に。売れた時、坂口さんがなんて言ったか、知っています? 「なあ、俺の言った通り、売れたろ?」っていう風に言っていて(笑)。

(坂口博信)なに? その偉そうな言い方(笑)。

(鳥嶋和彦)いや、言いそう(笑)。ドヤ顔もわかる(笑)。

(坂口博信)性格悪っ!

(鳥嶋和彦)いや、あの頃は性格、悪かったよ(笑)。

<書き起こしおわり>

松野泰己『伝説のオウガバトル』開発を語る
松野泰己さんが2024年1月29日放送のJ-WAVE『ゆう坊とマシリトのkosokoso放送局』に出演。スーパーファミコンの名作ゲーム『伝説のオウガバトル』開発について鳥嶋和彦さん、坂口博信さん、堀井雄二さんと話していました。
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