ゴスペラーズ黒沢薫さんが2022年12月19日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション』で自身の2022年のカレーベスト3を紹介。西新宿ナワブ ダイニングカフェのラムニハリ&ロティを選出していました。
(宇多丸)さて、黒沢さん。2020年ベストカレー二つ目、行ってみましょう。どちらのどんなカレーでしょうか?
(黒沢薫)はい。こちらはですね、西新宿にあるお店、ナワブ ダイニングカフェ新宿のラムニハリ&ロティです。そのナンみたいに見えるやつ。それがロティですね。ちょっとナンよりも素朴な薄焼きパンという感じですね。
(宇多丸)で、こっちのカレーの方、ラムニハリとは?
(黒沢薫)これはですね、いわゆるイスラム圏で食べられているカレーシチューだと思ってください。で、実はですね、こういうでっかい骨がみんな、ついていて。だから本当に「漫画肉カレー」って僕は呼んでるんですけど。そういう感じになっておりまして。実はこのカレーはですね、2019年にも実はこのニハリっていうのは紹介してるんですね。この番組で。ただ、その時にウタさんは大腸憩室炎でいなかったという。
(宇多丸)ああ、そうか。なるほど!
(黒沢薫)だからもう1回、食べてほしいなと。
(宇多丸)なるほど。ニハリ、食ってない?
(黒沢薫)食べてない。なので、選曲も今回はそれにちなんだ選曲にしていますけどね。
(宇多丸)では、ちょっと曲を聞きながら食させていただくのがいいでしょうか。曲はなんでしょうか?
(黒沢薫)これですね、実はR&Bミュージックっていうのは数十年前にもうひな形ができていたんだよというところで。これは1974年の曲になるんですけれども。マーヴィン・ゲイの『Distant Lover』を聞きながら、食べていただきたいと思います。
(宇多丸)はい。ではマーヴィン・ゲイ『Distant Lover』を……。
Marvin Gaye『Distant Lover』
(宇多丸)では、これをいただきますね。これ、当然ロティをつけて食べるということで?
(黒沢薫)そうですね。で、このカレーソースがちょっと、割とまろやかなんですけれども。
(宇多丸)ああ、たしかに。ちょっととろみがあって。
(黒沢薫)このとろみ、なんだと思いますか? これ、実は小麦粉なんですよ。我々の、いわゆるマニアックな世代は「小麦粉を使うなんて、そんなの本格派じゃない!」って言ってたんですけど。最近、「ニハリって普通に小麦粉を使うよ」って言われて。みんな、自分を恥じたという……。
(宇多丸)なるほど。別にインド料理も小麦粉を使うこと、あるじゃねえかと。
(黒沢薫)なんならマニアックな方なのに……みたいなところで。それで、非常にうまみも割と重視されていて。すごくよく煮込んであったりとか。
(宇多丸)あっ! 今ね、ラムの骨付きのお肉をちょっとフォークでクッとやったら、プッともう肉が離れて。
(黒沢薫)トロトロになるまで煮込んであるんですよね。
(熊崎風斗)ラム、美味しい!
(黒沢薫)で、ヨーグルトとかでマリネしてあってですね。本当に誰が食べても「ああ、これは美味しい!」というものになっていて。これはまさに、シルキーなマーヴィン・ゲイの1人多重コーラスを思わせるような……スムーズでしょう、これ?
(宇多丸)たしかに。スムーズだけど、もちろんピリッとしたあれは効いているから。
(黒沢薫)そうなんです。だから、これって昔からあるんですよ。昔からあるのに、自分たちで気づいていなかった。俺、カレーのマニアだと思っていたら。だから「小麦粉のカレー? 欧風とかじゃないんだよ。インドなんだよ?」みたいなことを言っていたくせに「あれ? 小麦粉を使っているの、これ、あったじゃん? 昔から、あったじゃん」みたいなね。で、初めからかかっていることもあるんですが、ここで僕が自ら、味変をね。
(宇多丸)えっ、味変できるの?
(黒沢薫)これね、薬味が入ることで全然味が変わってくるんですね。
(宇多丸)へー! これは何を入れているんですか?
(黒沢薫)これは生姜とパクチー、いわゆるコリアンダー。そして青唐辛子ですね。
(宇多丸)黒ぽんが自ら回って給仕をしているという。
(黒沢薫)蓑和田さんに「やれ」って言われたんだもん。でね、レモンを絞って。そうすると、全然違うんですよ。レモンもね、僕が自ら絞りに行きますが……(笑)。
(宇多丸)黒沢さん、手袋して(笑)。
(熊崎風斗)紹介して、薬味を乗せて、レモンを絞って……(笑)。
(黒沢薫)これを食べて、シャウトを聞くと「ああ、そうだわ!」って思うから。
(宇多丸)ちょっと、なにこれ?(笑)。いただきまーす。
(熊崎風斗)ああ、ウマッ!
(宇多丸)中盤以降だな。これ、すごい!
薬味で味変
(イナダシュンスケ)絞った方が美味しいですよね。レモンはね。塩気とコクがちょうどバランスが取れるから。
(熊崎風斗)なにこれ!
(宇多丸)あと、今入れた薬味によって、ちょっと苦味っていうか。そういうのも入って。
(黒沢薫)イナダシュンスケさんが言うところのマズ味が。
(イナダシュンスケ)マズ味が加わりますね。
(黒沢薫)加わることで、うまくなるっていう。
(宇多丸)わかる! マズ味、いるよね! 「マズ味」って、すごい言葉だけどさ。人聞きが悪すぎだけども。でも、たしかにそれはありますよね。
(黒沢薫)これね、ナンだと美味しすぎるんですよ。合わせると。このちょっとそっけないぐらいの方が……。
(熊崎風斗)単品だと、ちょっと味気ない感じがするけど。ロティも。セットだと、ロティじゃなきゃダメだな。
(宇多丸)元の味がシンプルな分、やっぱりパクチーとか、そういうのでなんか雑味感を出していった方が……そしてね、肉が柔らかい!
(熊崎風斗)柔らかいし、臭みは皆無だし。なに、これ?
(宇多丸)皆無だけども、すごく肉らしさ、ラムらしさの味はあって。
ナワブのラムニハリ pic.twitter.com/XaeZSmDHGk
— 早川ガチャピンさとしドリーマー (@yoursoutherncan) September 23, 2022
(黒沢薫)ラムらしさはあるけど、嫌ではないっていう。それもマーヴィン・ゲイのこのあたりのね、ちょっとシャウトを入れてくる感じとか。耐えられなくなったんだなって。最後まで、おとなしく行けばいいじゃんっていうのがこのマズ味の部分ですね。
(宇多丸)だから、なんかもっと人間くさい部分が出ちゃってるっていう。
(黒沢薫)そうそう。スムーズなままで行けばいいじゃないっていう。そこの部分を。そして『Distant Lover』ということでね。本当にウタさんは食べたかっただろうに、ずっと食べられなかったという。
(宇多丸)俺の思いまで読み込んでいただいて。
(黒沢薫)それをもう、曲に託しました。まあ、僕が作った曲じゃないんですけど(笑)。
(宇多丸)うん。みんなね、食べてます。
(熊崎風斗)めちゃくちゃ美味しい!
(宇多丸)しかも、ここは結構行きやすいかな?
(熊崎風斗)紹介しましょうか。黒沢薫さんに選んでいただきました2022年のベストカレー、二つ目です。東京メトロ丸ノ内線西新宿駅に直結してます。直結したビル、アイランドタワー地下1階にあるナワブ ダイニングカフェ新宿のラムニハリ&ロティをご紹介いただきました。こちら、テイクアウトも可能です。価格は1650円となっております。
(黒沢薫)はい。すごいボリュームなんで。1650円だとだいたい2人で食べられます。むしろ、お得かもしれません。
(宇多丸)私、実はついさっき、このへんにいたんですよね。だからこんな店があるんだ!って思って。
(黒沢薫)ちなみに普通に店に入っても、このニハリってわからないんです。この店はガチパキスタンメニューが黒板に書いてあるんです。そこから頼まないと、これは出てきません。皆さん、気をつけてください!
(宇多丸)なるほど。
(黒沢薫)普通にバターチキンとナンとかが出てきます。まあ、それもすごい美味しい。ビリヤニとかもすごい美味しいんですけども、実はガチメニューが黒板に書いてあるんです。
(宇多丸)じゃあ「ラムニハリをください」って言えば、「ああ」ってなるんですね。
(黒沢薫)ニハリとか。あとは全然知らないような料理もいっぱい書いてあります。
(熊崎風斗)じゃあ、聞かないと頼めないですね。
(宇多丸)副都心にそんな店があったとは。ありがとうございます。
黒沢薫さんがアトロクで紹介していたナワブ ダイニングカフェ新宿のラムニハリ、通販で買えるのか! https://t.co/BBOkAkyBS4 pic.twitter.com/FoepJBOXwC
— みやーんZZ (@miyearnzz) January 4, 2023
<書き起こしおわり>