日比麻音子さんが2023年8月2日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション』の中で以前からファンであることを公言してきた映画監督グレタ・ガーウィグさんへのインタビューを行ったことについて、話していました。
(宇多丸)日比さん、今日はですね、ちょっとね、鮮やかなピンクのカーディガンというか。ボタンもハート形でめちゃくちゃかわいらしいわけですけど。この気合いの入ったルックには理由があるわけですね。これね。
(日比麻音子)行ってきました!
(宇多丸)行ってきた? どなたの、どこに行ってきたんでしょうか?
(日比麻音子)グレタ・ガーウィグ監督のインタビューに。
(宇多丸)新作『バービー』が世界的に今、大ヒットする中で日本でも公開を控えていますが。ついに念願のグレタ・ガーウィグインタビューを果たされたわけなんですね?
(日比麻音子)いやー、あれは本当にあったことなったんだろうか?っていう感じの。
(宇多丸)今日なんですよね?
(日比麻音子)今日、本当に4時間前とかですね。行ってきました。
(宇多丸)お疲れ様でございます。これ、もちろんね、グレタ・ガーウィグさん。いろんな俳優さんたち、スターたちがストライキで来れなくなっちゃっている状況ですから。そういう中で、監督は一応大丈夫になったということでついに、ようやくできたということで。
(日比麻音子)そうですね。思えば『ストーリー・オブ・マイライフ』の時もちょうどコロナ禍だったので。
(宇多丸)そうでした。『ストーリー・オブ・マイライフ』の時点でインタビューをしようと思ってたんだ。そういえば。
(日比麻音子)「来るかもね。会えるかもね」なんて言ってたんですけれども。コロナ禍だったのでね。今思えば。「いつか、会えるといいな」なんて言っていて、『バービー』の情報が出始めて。「来るかもね。インタビュー、行けるかもね」なんて言っていたのが2023年の8月2日になって、ようやく……。
(宇多丸)実現したということで。
(日比麻音子)行ってまいりました。
(宇多丸)先に言っておきますと、この日比さんが今日、やってきていただいたグレタ・ガーウィグインタビューは来週の6時半からのカルチャートークの時間に一挙、公開しようと思っているわけなんでございます。ということで、中身はね、もちろん取っておきたいと思いますが。グレタ・ガーウィグさんがどんな様子であったか。あとはちょっとね、今、『バービー』に関するいろん話題というか、議論が巻き上がっておるところでございますが。そこに関してのお話なんかもしておこうかなと思いますんで、始めたいと思います。アフター!
(日比麻音子)シックス!
(宇多丸・日比)ジャンクション!
(中略)
(宇多丸)ということで、グレタ・ガーウィグさん。元はね、インディペンデント映画界、マンブル映画なんて言われているそのインディペンデント映画界の女王とも言われたグレタ・ガーウィグさん。そして監督業に乗り出し、『レディ・バード』、『ストーリー・オブ・マイライフ』、そして今回の『バービー』と確実なステップアップ。ホップ・ステップ・ジャンプを決めたという。そのどれもが……僕、『バービー』はまだ拝見してませんが。でも見た人はみんな「素晴らしい」という風におっしゃっていて。どれもが大傑作。特にもう日比さんはね、『レディ・バード』。そして『ストーリー・オブ・マイ・ライフ』がグサグサと刺さって。
(日比麻音子)そうですね。本人にお伝えしてしまいました。「人生で一番の映画だった」と。はい!
(宇多丸)ねえ。これに対するガーウィグさんの反応なんかもあるわけですが。なので念願ということで。
(日比麻音子)そうなんですよね。
念願が叶ったインタビュー
(宇多丸)『バービー』はね、とにかく皆さんご存知のマテル社の人形、バービーですよね。それをマーゴット・ロビーが演じて、ライアン・ゴズリングが出て……という。まあ、予告を見るだにそんな一筋縄で行くわけはないなというか。そこに完全に批評性が入っているだろうという、グレタ・ガーウィグ一流の作人におなっているだろうという。でも実際見た人は、その昔からのバービーファンが無邪気に楽しめる作品でもあるけど同時に……というね。非常に間口も広いし。その分、メッセージというのが広く伝わるような作品になってるということは伺っていて。非常に楽しみにしているんですけども。
(日比麻音子)間違いないですね。
(宇多丸)ちなみに劇中で使われるショッキングピンクというのが非常に印象的で。一時はね、その劇中でペンキを使いすぎて、世界中からショッキングピンクのペンキが品薄になったなんていう噂も聞くぐらいで。ということで、まさに今日、日比さんがお召しのそのカーディガン……。
(日比麻音子)そうなんですよ。これも本当にね、外出がなかなかできなかった頃、ネットサーフィンをしてまして。「気持ちぐらい、明るくしようじゃないか」ということで買ったショッキングピンクのサマーニットっていうんですかね?
(宇多丸)めちゃくちゃ素敵ですよ。
(日比麻音子)ボタンがハートになっていまして。
(宇多丸)もうバービーグッズのようですよ。
(日比麻音子)いや、まさかですよ。本当に。一度も着ていなかったんですよ(笑)。
(宇多丸)まあ、なかなかこの派手さに……。
(日比麻音子)ちょっと色味が思った以上に派手だったんで、着られなくて。でも、好きな色は好きな色なんですけど。
(宇多丸)大変よくお似合いですよ。
日比アナが、ショッキングピンクで挑んだ
#グレタ・ガーウィグ 監督インタビューは、
来週8/9のカルチャートークで、オンエア!!#utamaru #tbsradio #TBSラジオ #radiko https://t.co/3od3QxaJ4Z pic.twitter.com/6nNsoQ8IhQ— アフター6ジャンクション(聴くカルチャー番組) (@after6junction) August 2, 2023
(日比麻音子)ありがとうございます。なかなかちょっと抵抗はあったんですけど。「今、来たか!」っていう感じで。それから、今日一緒に行ったディレクターの長谷川さんもショッキングピンクで。プロデューサーの簑和田さんも……。
(宇多丸)簑和田くんも持っている服の中で一番ピンクなものを(笑)。薄いピンクのシャツを(笑)。でも、そのモード。やっぱり当然、グレタ・ガーウィグさん側もいろんな取材陣が来ると思いますけど。「おっ?」っていう感じでしょう。やっぱり。
(日比麻音子)思いは伝わったと思いますよ。こちらなりの「素晴らしい映画をありがとう」という気持ちがね、こういったところに。
(宇多丸)「おおっ、ピンク、来たね!」と。で、グレタさんのネイルもショッキングピンクだったということで。だってね、僕は日比さんが先週の時点でね、「来週やります」ということで。すごい不安になってるから「なにを言ってんの。他のメディアが……特にテレビとかが聞くなんつったって、そんなのはたかが知れているんですから。そんなの、日比さんが負けるわけないんだから。そんなもんは勝つに決まってる戦いなんです」なんて言ってね。でも、改めて質問条項みたいなのも私、事前に拝見しまして。もう、ばっちりですよ!
(日比麻音子)いやいや、とはいえ……。
(宇多丸)想像するに、グレタさんも日比さんのインタビューにさぞかし喜ばれたんだろうなって思うんですよ。
(日比麻音子)いや、まあどういうあれかはわからないんですけれども。「Great time(いい時間だった)」という風には言ってくださったので、思いは伝わったのかと思いつつも……まあ、普段こうやってインタビューのお仕事っていうのはありまして。最近だとブルーノ・マーズさんのインタビューに行ったりとか、英語のインタビューとかもあるんですけれども。今日に関しては、ただのファン(笑)。たぶんもう眼差しが「好き!」っていう眼差しだったので。でも、そのあまりに切実な愛みたいなものをグレタさんもすごく丁寧に受け取ってくださって。質問はちょっとしっちゃかめっちゃかになっちゃうので日本語でさせていただいたんですけども。通訳をしてくださった大倉さん。もう的確に!
(宇多丸)お世話になっております。大倉さん。
(日比麻音子)大倉さんが全て的確に聞いてくださったと言っても過言ではないくらいに。
(宇多丸)やっぱりね、でもわかってくださっている。
(日比麻音子)本当にちゃんと文脈を理解した上で、もうパーフェクト、それ以上の通訳で質問してくださって。で、質問をしている時もグレタさんがもうまっすぐ、私の目を見てくださって。いや、すごく大好きな映画のひとつでもある『フランシス・ハ』というグレタさん主演の映画がありますけども。フランシスだった……(笑)。
(宇多丸)そこにフランシスがいた。
(日比麻音子)(『フランシス・ハ』は白黒だったが)そこにカラーのフランシスがいたっていう感じで。でも、その思い……映画への私のファンであるという思いが伝わったのかなという風に思います。質問も1個ずつ、「わかる、わかる」っていう態度で聞いてくださった点に関しては、すごく嬉しかったですし。
(宇多丸)絶対にこれは向こうも会心の……「これはいいインタビューが来たな!」っていう感じになっていたはずだと思います。間違いなく。
(日比麻音子)本当におかげさまで、とてもいい眼差しをいただけました。
グレタ・ガーウィグ監督にとてもいい眼差しをいただいた
(宇多丸)『バービー』、これだけヒットしたのでメディアも多くかったみたいだから、時間としては短かったかもしれないけど。いや、絶対に濃厚なインタビューが録れていると思いますので、来週聞くのを楽しみにしております。だからそういう意味では、もうメガヒットになっちゃってるし。それこそ普段、グレタ・ガーウィグのこれまで作品の追いかけてないようなメディアだって行っているかもしれないし。あとやっぱりね、ちょっと今、あんまり良くない方向の話題になり方になっていて。
(日比麻音子)そうなんですよね。
(宇多丸)まあ、何があったかといいますと……アメリカでの『バービー』のSNSにおける宣伝活動の一環で、いろんなSNSのファンアートとかをいろいろ拾って「いいね」をしたりしていて。その中にちょうどね、『バービー』と同日公開で、やはり大ヒットしているクリストファー・ノーラン監督の『オッペンハイマー』。原子力爆弾の開発者ですよね。オッペンハイマーの伝記映画が公開されていて。こっちも大ヒットされていて。で、それお互い引っ掛けてというか、ネットミーム的にバービーと原爆がドーン!ってなっているのを重ねて……みたいな。
だから最初はファンアートなわけですよね。まあ、それはもちろんそれ自体、すごく配慮を欠く……なんていうか、僕らからすれば「ああ、アメリカ人の原爆の認識ってな……」みたいな思わざるを得ないような配慮を欠くもので。とはいえ、素人が作ったものだったんだけども。それを今のSNS時代、やっぱりそういうところを、ネットミームを使ってバズりたいからっていうので。その一環で、公式アカウントがそれを「いいね」しちゃって……みたいなところから、ちょっと問題になっていて。
<書き起こしおわり>