ゴスペラーズ黒沢薫さんが2022年12月19日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション』で自身の2022年のカレーベスト3を紹介。中野区新井薬師マロロガバワンのキーマカレーとサンバルを選出していました。
（宇多丸）さあ、早速ですが今夜のメインディッシュ、参りましょう。ゴスペラーズ黒沢薫さん、2022年ベストカレー、ひとつ目はどちらの、どんなカレーなんでしょうか？
（黒沢薫）はい。中野区新井薬師にあるお店、マロロガバワンのキーマカレーとサンバルです。
（宇多丸）ということで今、スタジオにもお持ちいただいているんですね。ということでまず、熊崎くん。描写をお願いしていいですか？
（熊崎風斗）3種類ありまして。ライス。あとこっちがカレーということですか？
（黒沢薫）どっちもカレーなんですけども。こちらは南インドの野菜カレーになります。
（宇多丸）さらりとしているサンバル。
（熊崎風斗）で、こっちのスープっ気があんまりない方が……。
（黒沢薫）これがキーマカレーですね。
（宇多丸）これ、どうやって食べるとか、あるんですか？
（黒沢薫）これはまず、キーマカレーをご飯にかけて食べていただいて。それで、その後にちょっと優しい気持ちになりたい時に、サンバルを足していって。最後は混ぜちゃっていいよっていうね。
（熊崎風斗）いただきます！
（宇多丸）うんうん……。
（熊崎風斗）ああ、そこまで辛味は強くないんですけども。複雑な、いろんなのが混ざってるスパイスの感じがあって。
（宇多丸）アタックは強くないけども。でも、なんていうのかな？ 上品な感じのキーマがするな。これは。
（黒沢薫）そうですね。ここのマロロガバワンのイソベシェフという方はですね、元々エリックサウスで働いてらっしゃって。で、その前には、僕がすごい大好きなカレー屋さんでアンジュナっていうのが高幡不動にあるんですけども。そこでも働いてまして。なので、アンジュナとエリックサウスのバランスのいいところを取っている……このキーマカレーに関して言うと、アンジュナスタイルなんですよ。で、もっと言うと、そのアンジュナの店主が修行していた麹町のアジャンタというお店がありまして。
（宇多丸）うん、アジャンタっぽい！
（黒沢薫）そこのキーマカレーのスタイルなんですね。ただ、アジャンタのキーマカレーは本当に人を選ぶぐらい辛い。よりよりパサパサしてるというか、わざとドライに仕上げているんですけども。そこはいいところを取って、そこまでドライじゃなくて、スパイスのアタックはあれど、辛味自体はそこまで強くないものをっていう風に、アジャストしてるのがイソベさんのカレーで。そして、この南インドのサンバルと合わせることも想定している感じで。
（宇多丸）このサンバルの方を今、合わせると……でも、サンバルが別に決してソフトなわけじゃなくて。むしろこっちの方がちょっとピーキーな音がするっていうか。
本物感があるサンバル
（黒沢薫）このマロロガバワンは実はそのサンバルが非常に……それこそ南インドの、そのへんのドライブインとかで出てくるような、めっちゃ本物感があるんですよ。「あれっ？」みたいな。食べてみるとびっくりするんですけど。「思ってたのと違うぞ？」っていう。で、サンバルの方はちょっとすっぱみもあります。で、キーマの方は割とね、甘味というよりはちょっと塩味が強い。割と肉感がしっかりあって。この二つを合わせた時に、第3の味が生まれるということですね。
（宇多丸）これね、お弟子さん筋にもあるわけですが。イナダさん、いかがですか？
（イナダシュンスケ）はい。彼はね、でも決して僕の弟子というわけじゃなくて。本当に相棒というか、パートナーで。僕も彼からずいぶんいろんなことを教わったんですけども。彼のキーマカレーは僕は本当に以前から好きで。今日、食べてやっぱり美味しいなと、しみじみ思いましたね。
今日のカレー。マロロガバワン@新井薬師前の平日限定カレー全部のせ。マトン、チキン、キーマ、バターチキン、サンバル、野菜の6種にヨーグルトつき。バターチキンがよくある甘口じゃなくスパイスの効いた辛口で美味しい。 pic.twitter.com/I3idceSNtF
— 風のハルキゲニア (@hkazano) June 23, 2022
（宇多丸）ということで、お店自体は中野区新井薬師にあるマロロガバワン。このキーマとサンバルをいただいておりますが。さて、この味を……やっぱり我々、「美味しい、美味しい」ってね。さっきから「酸味が……」とか言ってますけども。でも、一番このカレーの味を正確にリスナーに伝える方法というのはね、これはもう音楽っていうことになるわけですね。やっぱりね。カレーは音楽なわけですから。
（黒沢薫）毎年、ここが一番大変なんですよ。美味しいカレーはいっぱいあるんですよ（笑）。
（宇多丸）端的に申し上げて、無理難題を申しております（笑）。
（黒沢薫）でも、その中でちょっと僕もね……今年は、実はある意味、R&Bミュージックというものが復権をしてまして。いわゆる90年代的な、ちゃんとサンプリング元がはっきりしていたりとか、メロディーがメロウで流麗だったりとかっていうのが戻ってきたので。今日はこれ、ふさわしい曲をちゃんと見つけてまいりましたけれどもね。これ、ドレイクのところのレーベルにいるディビジョン（DVSN）っていうユニットなんですけども。
（宇多丸）「DVSN」と書いて、ディビジョン。
（黒沢薫）で、元のモチーフにしてる曲がですね、マンハッタンズというニュージャージーのボーカルグループの曲なんですよ。で、それと全く同じ題名で、それをモチーフにしながら、違うボーカルグループ……ジャギド・エッジというボーカルグループにフックの部分を歌わせて、その上にディビジョンを乗っけていくという。これはもう、このカレーのあり方そのものなので。
（宇多丸）アジャンタという老舗の味もオマージュしつつ。
（黒沢薫）で、アンジュナからのエリックサウスと、どんどんニュースクールへと……。
（宇多丸）時代は進化しつつ。そして、でも本場を思わせる、そのサンバルのミックスもありつつ。
（黒沢薫）もう一番最新のものもありつつ……ということで、この曲を聞いていただきましょうかね。ディビジョンで『Don’t Take Your Love』です。
DVSN『Don’t Take Your Love』
（宇多丸）はい。お聞きいただいているのはディビジョンで『Don’t Take Your Love』。新井薬師にあるマロロガバワンのキーマカレーとサンバル、ちょうどこの味！ ちょうど、お聞きのこの味。
（黒沢薫）先にもう食べちゃったじゃん（笑）。
（宇多丸）もう、完食です。ごちそうさまです！
（黒沢薫）いつもは聞きながら食べるけどさ、これをかけた時にはもう、みんな食べてたよね（笑）。
（宇多丸）もうね、食べるのがメインです。美味しい！ でも、そんぐらい美味しいのよ。止まらなかった！ でも、やっぱり温故知新というか。まさに、求めてたあの感じがちゃんと今のあのモードになって帰ってきたいう。この曲の感じ、通じると思うしさ。
（黒沢薫）だからこのメロディーの感じとかっていうのは、もうあくまで今のものなんだけど……というような。ただ、その下敷きにしているものってのははっきりとオールドスクールなものがあって。そこからニュースクールになって、さらに新しく自分たちで作っていくとこういうものになるっていうのが、このマロロガバワンとディビジョンはぴったりだなと思いました。
（宇多丸）ということで、改めてマロロガバワンのキーマカレーとサンバル、まずはおすすめいただきました。ということで、この曲をたとえばるという、こんな感じでお送りしておりますが。
（熊崎風斗）お店のおさらいを改めていたしますと、西武新宿線・新井薬師から徒歩でおよそ5分ですから駅近ですね。マロロガバワンのキーマカレーとサンバル。こちらのメニュー、テイクアウトも可能です。価格が850円です。
（宇多丸）安い！
（熊崎風斗）定休日が月曜日。ですから今日は定休日なんですけれども。明日、まさに行けますよね。
（黒沢薫）夜のスパイスメニューとお酒もすごくいいです。ちょっとずつまた、夜のメニューも始めているらしくて。なので、すごくいいですよ。
（宇多丸）一品料理なんかで食べていっても美味しいわけですね、ありがとうございます。マロロガバワンさん、ありがとうございました。
＜書き起こしおわり＞
