早稲田大学・演劇博物館館長の岡室美奈子さんが2022年12月14日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション』の中で2022年の日本ドラマを総括。2022年は恋愛ドラマの転換点だったと話していました。
(日比麻音子)ということで、あっという間にお時間になってしまいました。改めまして、今年のテレビドラマ全体を通して、いかがでしたでしょうか?
(岡室美奈子)今年はね、恋愛ドラマの転換点だったっていうことをちょっと言っておきたいんですね。『恋せぬふたり』っていうドラマがあって。これはアロマンティック・アセクシュアルの人たちを正面から描いたドラマだったんですね。高橋一生と岸井ゆきの主演なんですけど。
だから、その恋愛とか性的な指向がない人たちが出会って、いい関係を築いていくっていうドラマなんですけど。なんかね、でもそのアロマンティック・アセクシュアルの特別な人たちを描いてるっていうわけじゃなくて。実はそういう男女が心を通わせながら、恋愛に発展しないって、すごく今の気分に合ってたんですよね。
男女が心を通わせながら、恋愛に発展しない
(岡室美奈子)たとえば『石子と羽男』もすごく面白かったんですけど。『石子と羽男-そんなコトで訴えます?-』っていう。あれも中村倫也さん演じる羽男と有村架純さんの石子が、弁護士とパラリーガルっていう立場の差を超えて、対等な関係を築いていくんですよね。で、普通だったらそこで恋愛に発展していくっていうのがこれまでのパターンだったんだけど。有村架純は赤楚衛二演じる別の人と付き合って。そこは恋愛に発展しない。
でも、そういうその「男女が心を通わせたら必ず恋愛に発展する」みたいなことが今年、すごく覆されたし。そこにある種の理想型を見たと思うんですよ。
(日比麻音子)その展開がとても心地よかったです。
(岡室美奈子)その一方で『silent』みたいなね、成功した恋愛ドラマもあるんだけど。でも、なんていうのかな? 男女がいちいち恋愛に発展するんじゃないっていう、そういう風にドラマが変わっていく転換点だったと思います。
男女がいちいち恋愛に発展するわけではない
(日比麻音子)なるほど。いろいろな転換点を迎えた作品いっぱいありますから。芳朗さん、年内になんとか見ましょう!
(高橋芳朗)マズいことになってますね(笑)。
(日比麻音子)配信が今、発展してますからね(笑)。
<書き起こしおわり>