星野源『らんま1/2』OP曲『じゃじゃ馬にさせないで』を語る

星野源『らんま1/2』OP曲『じゃじゃ馬にさせないで』を語る 星野源のオールナイトニッポン

星野源さんが2022年10月18日放送のニッポン放送『星野源のオールナイトニッポン』の中で『らんま1/2』のオープニング曲、西尾えつ子『じゃじゃ馬にさせないで』から受けた影響について話していました。

(星野源)この間ね、僕が昔、住んでたところになんか行ってみようと思って、行ってみたんですよ。で、街をね、1時間ぐらい1人で歩いて。で、なんていうのかな? その、懐かしいのと、なんかあの頃のほしかったものとか、入りたかった店とか、全部取り返してやろうと思って(笑)。今はもう、なんて言えばいいんです? 自分で稼げるようになりましたから。で、きっとあの頃、悔しかった思いとかを晴らせるぞと。

で、僕はちっちゃい頃も、あんまり買ってもらえなかったタイプなんですよ。だからお小遣いもね、すごくあったわけじゃないし。なので、たとえばゲーム機とか、そういうのも全然買ってもらえなかったし。もう厳選したものをたまに買ってもらえるみたいな、そういう感じだったんですよ。で、20歳ぐらいの時かな? 1人暮らしをした時も、もう超お金がなかったんで。バイトしながら、劇団だったり、演劇公演のオーディションを受けて。

受かったら、チケットノルマを何万円も課せられて。で、いろんな人に「チケット買ってくれ」っていう手紙を出して。で、そのチケットノルマが定員に達しなかったら、自分でお金を払って演劇に出るという、そういう生活をやってたんで。もうなんか、10代とか20代の本当に頭の頃とか。あとはちっちゃい頃も含めて、なんて言えばいいの? ほしかったものがもう、いっぱいなんですよ。

で、その昔、住んでたところにちょっと行って。「あの店、すごい入りたかったな」とか、そういうのにね、「ちょっと入ってみよう」と思って行ってみたらさ、軒並み潰れてるのね。いやー、やっぱりそりゃそうだろうなと思って。もう何十年も経っちゃってるわけだから。だから、なんていうの? 店がダメなら、その当時、ほしかったもの思い出して。「それを今、買うぞ!」って。で、それが売ってそうなところに行って「ああ、売ってた!」ってなるんだけど……すごい正直に自分に問うてみたんだけど。「これ今、ほしいですか?」って自分にすごい問うてみたら「うん、ほしくない」ってなって。

なんかさ、すごい切ないんだけどさ。やっぱりあの時、ほしかったものってさ、あの時にほしいよね(笑)。あの時、ほしいんだよ。だからそれの渇きって、一切癒えないんだなっていうのはすごい改めて思いましたね。

あの時にほしかったものは、あの時にほしい

(星野源)だからさ、ちっちゃい頃に買えなかったゲームソフトさ、今のバーチャルコンソールとかさ、なんか違う形でさ、買えたりもするじゃない? で、買ってやるんだけど。すごい楽しいんだけど。やっぱりあの時、もう全然ゲーム機を……もうこの話を何回もしてるから、あれですけど。

ファミコンは買ってもらえて。で、その後にみんながスーパーファミコンに移行する時期に、僕はサンシャインシティの中央のあそこでPCエンジンの即売会をやってて。で、スーパーファミコンがたしかもうちょっとで出るか、もう出始めぐらいの頃で。その頃にPCエンジンのその画質の綺麗さを見て。で、ソフトがカードで、こんなにちっちゃいのにこんなに画像が綺麗なんだっていうことに「すげえ!」って思って。

親が「スーパーファミコンの方がいいんじゃないの?」って言ったのに、俺は「いや、PCエンジンがほしい。コア構想っていうのがあって。PCエンジンのコアグラ2っていうのを買って。そこにスーパーCD-ROM2とか、いろんな周辺機器をガチャガチャ組み合わせることができるヤバいものなんだ。すごい拡張性があるものなんだ!」ってことを親に訴えてね。で、もうPCエンジンを買ってもらったんですよ。

でもね、もうみんな、スーパーファミコンをやるんで。PCエンジンのソフトがどんどん出なくなる。プラス、スーパーCD-ROM2とか、高いから全然買えないんですよ。ソフトも高いし。だから結局、買えないまま僕は一旦、ゲームを全くやらなくなってしまう子供だったんですけど。なんかね、あの時にほしかったものはやっぱりあの時にほしいよねと。そうなんですよ。それはちょっと時間って、そういう意味では戻らないなと思って。すごい切なくなっちゃったんですよ。

それで、ちっちゃい頃を思い出してね。幼稚園の頃ね、僕は元気だったんですよ(笑)。僕、元気だったんすよ。この話も割といろんなところでしてるけれども。もう『オバQ音頭』をね、その幼稚園の先生にもうねだって。授業というか、その会が終わった後、「帰っていいよ」っていう時間なのに、レコードをかけてもらって。校庭のど真ん中で僕、1人で踊ってたらしの。めちゃくちゃ踊ってたらしいの。すごい活発な子だったらしいの。

で、そんなめちゃめちゃ踊るの。1人でね。誰かと一緒に踊ろうとか、友達を作ってどうとかじゃなくて。ただ1人で踊っていて。それで見事に友達がいなくなりまして。で、それが小学校に上がって。そんなやつは友達がなかなかできないんですよ。で、社会性がどんどん生まれて、どんどん元気がなくなっていって。で、みんなが「好きだ」っていうものが、好きだし。『ドラゴンボール』とかも、もちろん面白いし。それも毎週見るんだけども。なんか「すげえ面白い!」と思って惹かれるものが、なんか「これはたぶん人に話しても伝わらないな」みたいなことが結構あって。

僕、全巻ちゃんと集めていた漫画が『GOLDEN LUCKY』っていう作品だったんですけど。みんな、知ってますかね? すごい大好きで。今も大好きなんすけど。榎本俊二さんの、たぶん90年ぐらい始まった漫画なんですけど。なんかそれとか、すごい集めてて大好きだけど、なかなか共有できなかったなとか。

あとは『スレイヤーズ』が大好きだったけど、その当時は共有できなかったなとか。あと『らんま1/2』もすごく好きで。コミックスを買って。なんていうんですかね? 「萌え」という言葉が当時はなかったけれども。もう、なんともいえないキューンとする感じを「ああ、素敵」っていう。キャラクターにも、物語にも含めて感じて。萌えとはちょっと違うかもしれないけど。今、「萌え」って言うんだろうか? どうなんだろう? わかんないけど。最近はあんまり聞かない感じがしてますけども。

なんかそういうのもですね、まあ『らんま1/2』は毎週、アニメもやってたから。言えば絶対共有できたんだと思うんだけど。もうその頃にはですね、なんか共有をしない人間にたぶんなってたんでしょうね。だからなかなか難しかったんです。で、今回のゲストの声優の中村悠一さんとマフィア梶田くんがやってる『わしゃがなTV』っていうのをYouTubeで見ていた時に、『らんま1/2』の昔のカードダスっていうか、そういうのを開封するみたいな回があったのよ。で、「うわっ、懐かしい!」と思って。

(星野源)で、『らんま1/2』とかって調べててさ。で、「久しぶりにオープニングテーマとか聞いてみよう」と思って。それがね、1期のオープニングが西尾えつ子さんっていう人の『じゃじゃ馬にさせないで』っていう曲なんですけど。それを最初に聞いても。「いやー、懐かしい!」って思うと同時に僕は今、シンセが大好きなんで。今も集めに集めているシンセたちの音がするわけですよ。だから、自分にとってはそれは今の音楽なわけ。

で、ちっちゃい頃めちゃめちゃ聞いてた曲だけど、なんか時空を超えて今の音として聞こえてくるのね。で、あの時ほしかったものは得られなかったんだけど。今も。でも、あの時、一度聞いていて下地になってたものは今、俺が好きなもの大元になっていて。基礎になっていて。

で、たぶんあれを無意識に摂取してなかったら、今の「この音楽が好き」っていうものは、もしかしたらなかったんじゃないかと思うと、確実に今に生きているものが絶対にあるんだと思うんですよ。で、「これ、スタッフクレジットとかちゃんと見たことないや。調べてみよう」と思って調べたら、作曲が村松邦男さんっていう方で。この方、シュガー・ベイブのギタリストの方なんですよ。「マジかよ! 村松さんだったの?」と思って。で、シュガー・ベイブもね、20歳ぐらいだから、もうその後10年後ぐらいに大好きになるわけですけど。

もうそのシュガー・ベイブのリードギタリストの方が作ったとは全くわかってないわけ。でも、それを1回、浴びているっていうのがなにかの大元になってるだろうし。で、編曲が椎名和夫さんっていう方で。RCサクセションの『雨あがりの夜空に』とか、中森明菜の『DESIRE』とか、本当にすごい編曲家さんなんですけど。なんか、そういうチームで作っていた音楽みたいなものを、それをちっちゃい頃に……まあ先週かけたCharaさんの『Junior Sweet』とかもそうだけど。

あと、僕が前に『おげんさん』で紹介した『さわやか3組』の激ヤバいトラックとか。なんかそういうものが……そのプロフェッショナルたちが作っていたものっていうのがね、今の音楽だったり、自分が作る音楽と、明らかに繋がってはないかもしれないけど。でも、無意識下では繋がっている部分があるんだなと思って。なんかすごく、「あの時のほしいものってもう手には入らないんだな」って思って悲しかったんだけど。「いや、今に繋がってるものは必ずあるんだ」と思えたことがすごく嬉しかったです。

では今日の1曲目、みんなで一緒に聞きましょう。これ、ヤバいのよ。この曲。「今夜だけいいわ」のところの編曲とかメロディーとかね、ヤバいんですよ。ぜひ聞いてください。西尾えつ子で『じゃじゃ馬にさせないで』。

西尾えつ子『じゃじゃ馬にさせないで』

(星野源)お送りしたのは西尾えつこで『じゃじゃ馬にさせないで』でした。いい曲ですね。『らんま1/2』のオープニングテーマでございます。ああ、最高!

<書き起こしおわり>

星野源 子供の頃の憧れのパソコンを語る
星野源さんが2022年7月26日放送のニッポン放送『星野源のオールナイトニッポン』の中で子供の頃に憧れていたパソコンについてトーク。AppleのMacintosh、NECのPC-9821、シャープのX68000や富士通のFM TOWNSなどについて話していました。
星野源 オールドPCの実機を手に入れたい理由を語る
星野源さんが2022年7月26日放送のニッポン放送『星野源のオールナイトニッポン』の中で子供の頃に憧れていたパソコンについてトーク。エミュレーターではなく、実機を手に入れたい理由や、それにまつわる思い出話をリスナーからの反響メールを紹介しながら話していました。
星野源 Chara『Junior Sweet』を語る
星野源さんが2022年10月11日放送のニッポン放送『星野源のオールナイトニッポン』の中でChara『Junior Sweet』について話していました。
星野源『さわやか3組』オープニング曲を語る
星野源さんがニッポン放送『星野源のオールナイトニッポン』の中でかつてNHK教育で放送されていた番組『さわやか3組』のオープニング曲について話していました。 さわやか3組 1987~これはドンピシャ…! #おげんさん pic.twitter....
タイトルとURLをコピーしました