星野源とダウ90000・蓮見翔 演劇とコントを語る

田中敦子『星野源のオールナイトニッポン』で印象的な回を語る 星野源のオールナイトニッポン

星野源さんとダウ90000・蓮見翔さんが2023年3月7日放送のニッポン放送『星野源のオールナイトニッポン』の中で演劇とコントについて、話していました。

(星野源)本当にちょっとお忙しくて。いろいろ……たとえばテレビとか、いろんな方にもコントを一緒に書いたりとかされてるじゃないすか。あとダウ90000を僕は最初、佐久間さんに教えてもらって。それが『旅館じゃないんだからさ』だったんです。

(蓮見翔)ああ、そこからですか? わっ、すごい! 古参だ……(笑)。

(星野源)それは、古参でいいんですか?(笑)。

(蓮見翔)すいません。ありがとうございました。そこからか。すごい嬉しいです!

(星野源)あれって、場所はどこだったでしたっけ?

(蓮見翔)あれはユーロライブで。

(星野源)で、今度が本多劇場ですよね?

(蓮見翔)5月が本多劇場で。

(星野源)だからさっき、結成を聞いたら20年でしたっけ?

(蓮見翔)2020年の9月に。

(星野源)そこからもう3年で本多劇場って、本当にすごいですよね! 素晴らしいです。

(蓮見翔)本当にありがたいです。

(星野源)でも『あちこちオードリー』でも、「いつか劇場を持ちたい」っていうお話をされていたじゃないですか。で、僕は中学ぐらいから学生演劇をやっていて。

(蓮見翔)そうですよね。

(星野源)ああ、知ってくれている(笑)。ありがとうございます(笑)。で、その後に大人計画という事務所に入って、演劇をずっとやってたんですけど。僕、高校生の時から小劇場を見始めて。たとえば下北沢とか、新宿とか、いろんなところに毎週見に行くみたいな学生だったんですけど。その頃というか、僕が好きな人たちとか、どちらかというと笑いがある演劇っていうのが多くて。ダウ90000って、何て言うんですかね? その「劇団」とも言ってなかった気がするんですけど。あと、たとえば「お笑いグループ」とかともちょっと違う言い方で。

(蓮見翔)そうですね。「芸人」とも言ってはいなくて。

(星野源)なんか、ビジョンというか。ダウ90000を組んだ時のビジョンみたいな、どんな感じになろうみたいなの、あったんですか?

(蓮見翔)僕はめちゃくちゃコント……お笑いばっかり見て育ってきてて。ただ、組んだ人たちが役者志望だったっていうのがあって。で、現状のその演劇界のお客さんの少なさみたいなものをやっぱり肌で感じてはいたので。「これはどこにも届かないまま、自分の心が折れちゃう可能性が高いな」って思ったので。で、お笑いをずっと、ライブとか行っていて。お笑いの方がライブに足を運ぶお客さんは体感的に多いかなと思ったんで。とにかくまずはコントライブをいっぱいやろうと思って。

で、そこの集客で集まったお客さんに演劇を見てもらおうっていう順番でやろうと最初に決めて。で、その流れのままやっていけたので、今もどちらとも名乗らず、本当うまいことやらせてもらえてはいるんですけど。ただ本当、先週のラジオを聞かせていただいて。僕のことを紹介していただいてる時に星野さんが「言い方が難しいんですけど……」って言ってくださっていて。なんか、星野さんに気を使わせてしまっている現状というか……。

(星野源)アハハハハハハハハッ! いやいや(笑)。

ダウ90000の肩書問題

(蓮見翔)今、どこ行っても割とそうなので。「肩書き、どうしますか?」って皆さん、気にしてもらいつつ。そんなつもりではなかったんですよ。本当になんでもいいんですけど。ただ、自分からは言わないっていうだけで。相手が芸人だと思っていたら、別に芸人でもいいし。劇団だと思っていたら、それでも何でもいいんですけど。こっちから限定しに行くとやっぱり、できる仕事が減っちゃうなと思ったんで。

(星野源)なるほど。でもなんというか、風通しがいいというか。いろんな場所に名前を見せていくっていう感じみたいな。それで動員しやすくしていくみたいなのって、すごい素敵だなと思って。

(蓮見翔)ありがとうございます。

(星野源)なんかその、全然違うんですけど僕、SAKEROCKっていうバンドを組んでいて。SAKEROCKとインストバンドで、歌がないと全然集客できなかったんですよ。そういうのもあって、その演劇の音楽をやらせてもらったりとか。で、別で僕は演劇もやっていたので。たとえばバナナマンさんと知り合ったら、「バナナマンのコントライブの音楽をやらしてください」って言ったりとか。僕の原体験がシティボーイズだったんで。その音楽とコントっていうものがすごい好きで。僕も高校生の時にコントを書いていて。コント公演を打ったりしたこともあったんですよ。

(蓮見翔)ああ、そうなんですね。

(星野源)そうなんです。だから僕の夢の1個に本当は「コント」っていうのがあったんですけど。割と早々に、「役者を頑張らなきゃ」みたいな。あとは「音楽も頑張らなきゃ」ってなって。「書く」っていうことがちょっと全然、時間的にもできなくて、やってなかったんですけど。だからなんか、そういうのもあって。コントは見るのはもちろんめちゃめちゃ好きで。なんか、その演劇の匂いだったり、演劇という場所を含めたコントの人っていうのが好きなんですよ。

(蓮見翔)ありがとうございます。シティボーイズ、そうですよね。いや、その到達できてるとも何とも思ってないですけど。でもなんか、「新しいことをやってる」っていう風に言っていただくことが結構多いんですけども。普通にその、ずっとあった系譜ではあって。

(星野源)そうですよね。

(蓮見翔)で、僕が「ネタ番組に出たい」みたいなのが自分の中にあったから、短いネタを作ってテレビに出れるようにしただけで。そのテレビに出たらめちゃくちゃウケてたであろう人たちも別に今までもいっぱいいたし。何も新しいことはないんですけど、なんか時代の流れでこうしてもらってるんで。本当に偶然が重なって今、この位置にいれいてるっていうのはありますね。

(星野源)なるほど。だからいわゆる昔の系譜みたいなのをすごい水平に見てるっていうか。今だと、やっぱりどうしてもお笑いが強いじゃないですか。で、その「お笑い芸人になりたい」みたいな人もめちゃめちゃ多いし。で、僕の時はあれなんすよ。まだ……僕、演劇が大好きで。なんか、その系譜みたいなのがまだ全然見えてたっていうか。たとえば僕が所属している大人計画で言うと、松尾スズキさんは昔、鼻と小箱っていうコンビで温水洋一さんとお笑い番組に出ていたりとか。それ、めっちゃくちゃ面白いんですよ。

(蓮見翔)へー! 鼻と小箱? 新喜劇?

(星野源)元は人の名前(花登筺)だったりするんですけども。それをもじって「鼻と小箱」っていう名前で……。

(蓮見翔)アハハハハハハハハッ! もうめちゃくちゃ面白いです(笑)。

演劇的お笑いの系譜

(星野源)それでものすごい面白いネタをテレビで……たぶん『冗談画報』とか、そういう番組でたしかやってたりとかして。あとはグループ魂も元々はお笑いっていうもののトリオをパンクでやってみようっていうようなものだったと思うんで。それで『笑点』に出たりとか。『笑点』のそのおじいちゃん、おばあちゃんお客さんの前でギャーン!ってギターを鳴らしてバーン!ってスリッパでぶっ叩くみたいな、すごいパンクなことをやってたみたいな。

(蓮見翔)めちゃくちゃかっこいいっすね(笑)。

(星野源)だから「おい!」って……そのOiパンクの「Oi」をツッコミの「おい!」でやるみたいな。そういうことをやっていて。だから、その僕の身近にいる人が演劇とお笑いっていうものの境を割とあやふやにする人が多かったりとか。で、僕が好きになったのは大人計画で。で、その先輩が宮沢章夫さんっていう人で。ラジカル・ガジベリビンバ・システムみたいなのがあって。で、宮沢章夫さんは『元気が出るテレビ』とかの放送作家もやっていて……みたいな。で、三木聡さんは『笑う犬の生活』とか、あと『ごっつええ感じ』とかの作家をやっていて、みたいな。

その演劇畑の人がテレビのお笑いを支えてるっていうのを知っていたりすると、その演劇的なアプローチのお笑いの人の意味がすごいわかるんですけど。やっぱりどうしても、お笑いだけをイメージとしてあると、お笑い芸人になるんだ、みたいな人のラインっていうのが、どうしてもやっぱり主流だと思うんで。でも、その中でダウ90000を見た時に「なんか懐かしい」っていうのと同時に、それを今の感覚でやってるような感じで。で、M-1にすごい人数で出られたりしていたじゃないですか。

(蓮見翔)はい。5人で。

(星野源)5人で。その5人漫才みたいなこととか、めちゃくちゃ面白かったです。すごいそれが僕は新鮮でもあり、なんかこう歴史を勝手に感じて胸が熱いみたいな(笑)。なんかそんな感じなんですよ。

(蓮見翔)ありがとうございます(笑)。でも僕はそこまで詳しかったわけではなくて。演劇はあまり通ってきてなかったので。友達に誘われて始めたことで今、こうなって。大学に入って初めてやったし。やり始めてから見始めているので。そうですね。だからシティボーイズさんのその『ピアノの粉末』のコントとかも僕は星野源さんが言ってるので知ったっていう。

(星野源)えっ、マジっすか! そうなんだ。へー!

(蓮見翔)シティボーイズさんの前に、星野さんが入っています。僕は(笑)。

(星野源)アハハハハハハハハッ! よかった。そこのなんか、接続になれて。『ピアノの粉末』もね、名作なんで。ぜひ見てください(笑)。

(蓮見翔)そうですね(笑)。

<書き起こしおわり>

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