星野源とWANIMA KENTA 音楽で思いを伝えることを語る

星野源 WANIMA『Chilly Chili Sauce』を語る 星野源のオールナイトニッポン

星野源さんが2021年5月29日放送のJ-WAVE『WOW MUSIC』の中でWANIMA KENTAさんと音楽で思いを伝えることについて話していました。

(KENTA)海外でもライブをされている源さんですけど。「音楽に国境はないっていうのも恥ずかしいけど、それを心の底から感じたし、マジだと思った」という記事を読ませていただきました。「未知の部分を踏み出して道のない場所に進むということは自分にとってすごく大事」と仰っていましたが、海外での活動、海外でのライブをするためにあたって必要なことございますか?

(星野源)いや、僕もその2019年にワールドツアーを1回やったきりだから。全然、なんか偉そうなことは言えないんだけども。それまでに、ずっとその日本の音楽のルーティンで活動していて。タイアップを取っていただいて、そのために新曲を作って、CDを作るためにカップリングを作って、録音して、宣伝して、ミュージックビデオを撮って……みたいなルーティンがあって。それをずっと繰り返していて。それがもうどんどんつらくなってきちゃって。

で、できる限界までやろうと思ってやって。それで『POP VIRUS』ってアルバムを作って。本当にありがたいことに五大ドームツアーを全部、満杯にすることができて。そこからなんか、燃え尽き症候群になっちゃって。やり切ったじゃないけど、「今の自分の限界まではやれた。無事にいろいろ成功してよかった」と思ったら、次にやりたいことがなくなっちゃって。それで「休もう」って思っていたけども。「そういえば、やってないことがあったな」って思って。人とコラボレーションするっていうことと、海外でライブをするっていうこと。

で、それをやった時に、なんて言うか、何かを活動するとさ、どうしてもなんて言うか、ノイズっていうものが生まれて。嫌な視線で見られたりとか、嫌なこと言われたりとか、悲しい言葉を投げかけられたりとか。そういうのってどうしても、あるじゃない? そう思うと、「自分はこれ、何のためにやってるだろう?」って気持ちになって。「自分のこの……ものすごく真面目にまっすぐやってるつもりなんだけど、なんでこんな目で見られなきゃいけないだろう? 僕の思いは届かないんだな」って思ってしまうようなことがだんだん増えていって、増えていって、「もう、つらい!」ってなっていた頃にドームツアーをやれて。で、やっぱりお客さんを目の前にすると、「すごく通じてる」っていう感じがして。すごく救われて。

さらにその後に海外ツアーに行った時に、自分と違う国で育って、全然文化も違うじゃない? で、僕は日本で生まれ育っていて……っていう、全然違う文化なのに、その僕の歌を全力で歌っている人たちがいて。言葉も違うのに。で、その手紙をもらったりして。現地のファンの方から。

(KENTA)日本語の手紙を?

(星野源)日本語じゃない手紙でもらったりとか。日本語と、その国の言葉の両方を……自分で翻訳してくれている手紙とかをもらって。で、帰りの飛行機で読みながら俺、泣いて。「なんでこんなに気持ちが伝わってるんだろう?」と思って。「全く住んでる場所も違う人たちに、俺が思って作ってることがこんなに伝わってるだ! すげえな!」と思って。それでより、音楽をもっと頑張ろうと思えるようになったんだよね。燃え尽き症候群から復活できたっていうか。

住む場所も言葉も違う人なのに、気持ちが通じる

(星野源)それで、「よし、やろう!」ってなった時にコロナ禍になっちゃったから、またそれで新曲をガンとやるぞっていう感じではなくなってしまったんだけども。それから1年経って、今の『創造』と『不思議』っていうのでその「やるぞ!」っていうのが爆発してるんだけども(笑)。そう。だからすごく、やってみるまでわからなかった。実際に舞台に立つまで、どれぐらいお客さんがいるのか。どういうリアクションしてくれるのかわかんないから。まだ、海外はやったことない? やったことある?

(KENTA)僕らはまだ、海外に行ってるわけでもし。まだまだ足りてないですけど。まずはアジアから勝負していきたいなっていうのは僕らの中にはあるんですけど。まだ、ライブをやったことはないですね。MV撮影で海外に行ったぐらいで。

(星野源)そうか。とにかく行ってみるといいんだと思う。まあ、今は難しいから。コロナ禍だから。でも安心っていう状況になったら、行くとすごくわかることが。うん。本当に出る瞬間までドキドキしてたけど。

(KENTA)それは、アジアを?

(星野源)あと、ニューヨークとやって。上海でライブをやった時に、お客さんは基本的に立っちゃいけないの。上海でのライブって。着席でおとなしく聞かなきゃいけないんだけど。だから警備員さんみたいな人もいるの。公安の人もいて、立つと注意されるの。「立つな」って。なんだけど、みんなグワーッと立って。立ち続けて。普通は注意されたら座るんだけど、座らないからその公安の人たちも諦めて。普通に「どうぞ」っていう感じになっていて。「すげえ嬉しい!」って。

(KENTA)へー! それは嬉しいな。

(星野源)嬉しいよね。

(KENTA)アーティストだったら、そうですね。それを聞いているこっちも。すごい!

(星野源)なんか「こんなに伝わるんだ!」っていう。その思いみたいなこともそうだし。音楽ってやっぱり伝わるんだなっていうのはすごく思ったな。

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(KENTA)これまで、ライブを見てきたアーティストですごいと思ったアーティストはいらっしゃいますか?

(星野源)そうですね。いっぱいいるけど……これ、ちょっと趣旨が若干違うかもしれないけども。この話をしたいなと思っていたのが、僕がとあるイベントでWANIMAと一緒になったことがあって。僕もライブをする。WANIMAもするっていう時、いろんな人が出演をしていたんだけども。その、ライブをする時のコッコロが前として、その会場にいる……なんて言うか、いろんな人が出るステージだったから。ライブをする時に「目の前にいるお客さんが自分たちのファンだけじゃない」って思ってやってるアーティストがWANIMAしかいなかったの。

で、「自分たちのファンはもちろんのこと、自分たちのファンじゃない人にも届けるんだ」っていう思いでやっていて。僕はもちろん、そのつもりでやってるんだけど。自分の思いとしてはそうで。外から見ていてそうかはわからないけど、自分の思いとしたそうで。でも、その自分以外の人たちを見て、わかるわけですよ。矢印的に客席側からこう、待ってやる人たちと、ステージ側からこう、不特定多数にっていう矢印とは明確に違くて。ステージングって。で、それをやれてる人たちはWANIMAしかいなかったんですよ。で、それがすげえかっこいいと思って。

(KENTA)ありがとうございます。

(星野源)そうなんです。だから、全然違うんだよね。そのステージが。そういうのって。自分のライブだったらいいんだけど。もちろん。それは関係ないんだけども。やっぱり、自分以外の人たちが出ていて。かつ、普段自分の音楽を聞いている人たちだけじゃない人にも届けるんだって思って届ける音楽って、画面とかも飛び越えるんだと思うんですよ。そのカメラとか。そういうのをすごくきっちりやってて。かっこいいなって思ったな。

WANIMA『JOY』

<書き起こしおわり>

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