星野源『光の跡』の歌詞に込めた思いを語る

星野源 新曲『光の跡』がずっと「タイトル未定」だった理由を語る 星野源のオールナイトニッポン

星野源さんが2023年12月26日放送のニッポン放送『星野源のオールナイトニッポン』の中で新曲『光の跡』についてトーク。楽曲制作について語る中でその歌詞に込めた思いを話していました。

(星野源)今日はですね、ニューシングル。久しぶりの作品です。星野源『光の跡』リリーススペシャルということで、感想をたくさん読んでいこうと思います。ちょっと、概要から。4曲入りシングルですね。『光の跡/生命体』の両A面シングルがリリースしました。収録曲は1曲目が、新しい劇場版『SPY×FAMILY』のエンディング主題歌です。『光の跡』。そして2曲目は世界陸上、そしてアジア大会のTBSテーマソングでした『生命体』。そして3曲目はオードリーのオールナイトニッポンin東京ドームの主題歌『おともだち』。そして4曲目はUCCのCMテーマ曲。インスト曲ですね。『Beyond the Sequence』です。そんな4曲入っていつつ、初回限定盤にブルーレイやDVDが付いております。

これはね、前は内容違いで二つは出していたんですけど、今回はひとつです。で、ブルーレイかDVDの差。映像としては127分、入っています。すげえ入ってる(笑)。『宴会』っていう配信ライブのライブ部分全部と、未公開ドキュメンタリー。そして『LIVE the SPEEDSTAR』というイベントの僕が弾き語りで40分ぐらいやったんですけど。それの弾き語り部分全部。そして恒例のオーディオコメンタリーが2時間7分、ばっちり入っております。今回、ちょっと面白い話になったんで。ちょっとコメンタリーもね、聞いてほしいし。ライブもね、すごいいいのだったんで、ぜひ見ていただきたい。そんな盛りだくさん内容のCDが出ましたということで。

たくさん、楽曲も含めていろんな感想をいただいておりますので、ちょっと読んでいきたいと思います。京都市の方。「『光の跡』、リリースおめでとうございます。歌詞を読んで2番の最後のフレーズに目が釘付けになりました。『出会いは未来だ』。以前、『おげんさんといっしょ』でたしか豊豊さんのスナックでおげんさんがその言葉を口にして以来、私のiPhoneの格言メモの中でずっと不動1位のとても大事で大好きな言葉です。この言葉にメロディーがついて、たくさんの人に届くのかと思うと、今からリリースが楽しみです」。これは23日からのメールなので、まだ楽曲リリースする前の、たぶん歌詞を先に公開した時のやつだね。

「そこで源さんに質問です。この言葉はずっと源さんの中にあったと思うんですが、今回歌詞に入れてみようと思ったきっかけや理由があったら教えてください」。はい。そうですね。歌詞の話をまず、しますかね。この『光の跡』って曲、1番の終わりのサビの終わりはですね、「ほら 終わりは未来だ」っていう歌詞なんですよ。で、2番。曲の最後の歌詞は「ほら 出会いは未来だ」という歌詞なんですけど。これは、頭から順に書いていったのもあって。最初から「出会いは未来だ」を伝えたいという気持ちでがあったわけじゃないんすよ。これ、元々僕の中にあった言葉で。それこそエッセイにも書いてるし、おげんさんのところでも言ったと思うんですけど、ずっとこういう思いがあった。「出会いは未来だ」っていう思いがあって。

「終わりは未来だ」と「出会いは未来だ」

(星野源)でも今回はその1番のお尻で「終わりは未来だ」っていう言葉を思いついた時に「ああ、この曲が出来たな」という感じがしたんですよね。それまで、すごく今回歌詞っていうものに時間がかかったというか。最初が出てくるまで「違うな、違うな」っていうのをずっと繰り返していたので。で、この「終わりは未来だ」っていう言葉が出た時にこの曲が完成したというか、そんな感じがして。で、その2番のお尻。1番のお尻はそうだけども、2番のお尻はどうしよう?っていう時に以前から自分の中であった言葉っていうのがカチッとはまったんですよね。で、もちろんメロディーがあるんで。

「出会いは未来だ」って入れようと思ってないんで。しかも「終わりは未来だ」っていう言葉はもうきれいに入っていて。そこに元々あった言葉っていうのがカチッと入るっていうのが書き終わった瞬間、もうすごい気持ちがよくて。歌詞が、これで曲が終わるっていうのはすごくいいんじゃないかと。1番と2番の対比っていうのもあるし。今回、伝えたいことというか、自分が思っていることっていうのをすごく、この二つの言葉、二つの歌詞の終わりが表してくれているんじゃないかなと思うんですね。はい。

続いて、神奈川県の18歳の方。「『光の跡/生命体』、フラゲしました。事前に公開されていた『SPY×FAMILY』とのコラボムービーをあえて見ずにいたので、CDが届いて初めて『光の跡』を聞きました」。そういう人も多いよね。なるべく情報を入れないようにという。あとは、さっきの人みたいに入れないようにと思っても、入れちゃうみたいな人もいるし。ガンガン入れちゃうみたいな人も。いろんな楽しみ方があっていいですよね。

「源さん一押しのブックレットを手元に置きながら聞きました。『人はやがて消え去るの』『今のうちに旅をしよう』というメッセージに勝手に今の受験期の自分を重ねて、悔いのないように今を生きようと前を向くことができ、勉強の後押しをしてもらったような気がしました。『生命体』も聞くだけでテンションが上がる曲なので、『光の跡』『生命体』ともに僕の受験期のテーマソングと勝手に位置づけて、勉強の原動力としたいと思います。最高のわくわくをありがとうございます」。こちらこそ、ありがとうございます。これ、嬉しいね。

そうだよね。今、もう受験生は大変な時期だよね。ぜひ、テーマソングにしてよ。ねえ。たぶん、つらい時のテーマソングにすると、後々ただつらい曲になっちゃう。聞くと思い出すみたいな。だから、つらくなったら一旦、聞かないでおいてください(笑)。嫌な思い出になりたくないからね。うん。いい思い出にしてくださいね。やる気を出す曲にしてもらえるのは、非常に嬉しい。続いて、19歳、京都府の方。「『光の跡』、エンディング主題歌ということが発表されましたね。私は映画を公開初日の朝一番の上映で観たので、映画館で初めて曲を聞くという初体験ができました。

曲の切なさ、温かさが映画がとても合っていましたし、聞いてすぐに鬼リピ確定しました。質問です。同じく『SPY×FAMILY』のアニメエンディング主題歌である『喜劇』では続くことがテーマだったように思うんですが、『光の跡』では終わることにフォーカスしている感じを受けました。何か意識されたことはありますか?」という。ああ、いい質問ですね。

そうですね。それを言うには……こちらのメール。「フラゲしました。これから毎日、聞きこんでいきたいと思います。特典映像は年末年始のお楽しみにとっておいて、それまで仕事頑張ります」。ああ、頑張りましょうよ。お互いね、仕事を頑張ろうね。「今回のブックレットの『ありがとう Special Thanks』の欄に土井善晴さんのお名前がありました。楽曲制作の真っ只中だった星野さんに土井先生はよい影響を与えてくれた方ということなのでしょうか?」という。これね、そうなんですよ。

Special Thanks:土井善晴

(星野源)今回、いつものように楽曲を先に作って。もうほぼ音ができた状態から歌詞を書いていったんです。だいたい、いつも曲先なんですけど。で、今回は『SPY×FAMILY』の劇場版のストーリーが……あ、ちなみに面白いです。皆さん、ぜひ見てください。あとでその話もしたいな。で、ストーリーが家族旅行なんですよ。家族旅行なんですけど、やっぱり登場人物の職業がもちろんあれなので、とんでもないことにはなるんですけど。家族旅行だということで「旅」をテーマに歌詞を書きたいなと思ったんですよ。

それと同時に『喜劇』の続編みたいな形で。『喜劇』っていう曲の中で描いたストーリーだったり、自分の思いみたいなものの続きっていうか。なのでそれで『SPY×FAMILY』の続編っていうかね、劇場版なので、繋がってくるだろうなって思いもあったし。それで楽曲の続編って俺、書いたことがないから、ちょっと楽しそうだなと思ったんですよね。そういうのもあって、作ったんですけどね。

で、歌詞に関して、旅をテーマにしようと思ったんですけど僕、あんまり旅をしたことがなくって。で、「歌詞を書く旅って、ちょっとしちゃおうかな?」と思って。で、ちょうどそのあたりに土井善晴さんのお家にお邪魔した時に鈴木大拙館っていうね、金沢のあの鈴木大拙さんという方の記念館の招待状っていうのかな? 招待状をね、10枚ぐらいもらったんです。1人に対して10枚ぐらい、くれたんですけど。「じゃあ、ちょっと行ってみようかな?」と思って金沢に行ったんです。で、その金沢に行ったことでこの曲っていうのはすごくいろんなことを方向づけられたし。金沢に行かなかったら、全く違う歌詞になっていたと思うので。それでスペシャルサンクスに入れました。

で、とにかくこの楽曲まず作ってる時はずっと海の上に太陽が沈んだり、太陽が出てくる時にできる光の道みたいなのって、あるじゃん? 海の波間というか、水面に光が反射してキラキラしてるっていう絵をずっと思い浮かべてたんですよ。で、そのことを光跡って言うらしいのね。だから光跡ってのはすごく楽曲の中でテーマなんですよ。で、金沢に行った時に、前も話した通り、土砂降りだったの。土砂降りで、1日すごいいろんなところを歩いて、めちゃくちゃ楽しかったわけ。雨でも楽しかった。で、最後の帰る日の帰りの時に太陽がワーッと出てきて。夕日の中で、でもまだ雨が降っていて。水溜りに太陽が反射して。その雨の落ちる水滴で波紋が水溜まりにワーッと広がっていく中、太陽の光がめちゃめちゃキラキラしていて、とんでもなくきれいだったんですよ。で、「これだ!」って思って。その鈴木大拙館でたぶん2、3時間ぐらいいたのかな? そこですごく考えたこととか、思いついたこととか、学んだこととか、いろんなこと。そういうものを持ち帰って、すごくいろんなヒントをもらったんですよね。

ただ、僕がものすごく落ち込んでいたっていうか……まあ、ちょっとインスタにも書きましたけども。この2年ぐらい、ずっと落ち込んでいるのよ。それはなんでか?っていうと、おそらくコロナ禍でいっぱい踏ん張っていたものがこの2年で……まあ、規制がなくなったりとかね。もしくは、自分が耐えられなくなって緩んだこともあるのか、ただ耐えられなくなったのか、何か折れたのか。それで、なんか反動みたいな感じで、もうとにかく希望を感じないし。とにかく、しんどい毎日だったんですよ。悲しい毎日というかね。

それで今ね、結構元気になったんです。まあ、元気になってからこういうことをいつも言うんですけど。ちょっと本当に今年はやばかったです。その一番やばい時に歌詞を書いていたっていうのもあって。たとえば『SPY×FAMILY』のワードとか設定の中から歌詞を書き始めるとか、そういうロジカルな方法からの歌詞っていうのがなぜか、全く書けなくなぜかなっちゃって。「これは違うわ。これも違うわ」みたいなのをもう何日も何日も何日も繰り返し続けて。もうノイローゼみたいになって。なんか頭がバーン!ってなっちゃったんですよ。

で、その中で、一応もう、タイアップとかいろんなもの。自分が背負ってるものとかも、とりあえず全部どうでもいいと思って。なんにも考えないで、なんかワーッて出てきたのが1番のAメロだったんですよ。それが「人はやがて消え去るの 全てを残さずに きれいにいなくなり 愛も傷も海の砂に混ざり キラキラ波間に反射する」という。で、「今のうちに旅をしよう 僕らは」という歌詞が出てきたんですよ。で、これが出た時に、もう最初は主題歌にできなくていいから、とりあえず今、本当に感じている、思っていることを書こうっていう。それでもし、主題歌としてあまりにも違ったら、もう全部なくせばいいんだからって思って書いたら、これが出てきたの。で、これがあまりにもしっくりきて。それがどんどん書いていくうちに、今の自分の思いとか楽曲とかにワーッて全部繋がっていって。最終的には『SPY×FAMILY』の登場人物のみんなと、あと『喜劇』の中での登場人物というか、ストーリーとも全部繋がってきてこの曲ができたという感じなんです。

なので、本当に自分にとってこの曲が書けてよかった。この歌詞が書けなかったらたぶん、俺はやばかったという。なので、本当に頑張ってよかったのというか。2023年、いろいろちょっとね、頑張ったので。なんかこれをね、最後に乗り越えられたことで23年が完結したなというか。よい形で終えられたなとすごく思うし。自分にとってすごく大切な楽曲になったと思います。そんな感じで、あと楽曲の話もちょっとしようかな? 神奈川県18歳の方。「『光の跡』、リリース前にどうしても聞きたくて、土曜日に『SPY×FAMILY』の映画を見に行ってきました」。ああ、いいね。嬉しいね。「イントロ部分が特に印象的で、長めのイントロには何か意図があるんでしょうか? 改めて購入して聞いてみて『消えていくのになぜ ただ忘れたくない思い出を増やすんだろう』の歌詞の部分が自分にとって高校最後の年だった今年1年と重なる部分があり、2023年が終わるこのタイミングでこの曲を聞けてよかったです」という。ありがとうございます。

そうですね。楽曲に関して、サウンドに関しては『喜劇』が2000年代のヒップホップをイメージして作り始めたんですよね。ビートだったり、サウンド感っていうものを。で、僕はいつもなにかを最初にイメージするんですけど、結局最終的にはちょっと違うものになるので。それを、自分のフィルターを通しているという作業がすごく好きなんですけど。で、今回は『喜劇』の続編を書くんですけど、サウンド的にはさかのぼってみたいと思っていて。それで今度は90年代のヒップホップ・R&Bのサウンド、主にビートっていうのをやりたいとまず、イメージしていました。かつ、もっとイメージしていたのは、僕が割と幼少期というか、原体験っていう感じですかね? 80年代後半のアニメのエンディングソング。

で、80年代のアニメソングって特にやっぱり洋楽の、主にブラックミュージックに影響を受けてるものがすごい多かったと思うんですよ。で、そのブラックミュージック自体がやっぱりポップスにめっちゃでかい影響を与えていて。それも含めて、いろんな影響を受けているっていうのが日本のアニメのアニソンだったと思うんですけど。そういう部分があったと思うんですけど。もちろん、いわゆる日本の歌謡曲もめちゃくちゃ影響を受けていたと思うんですけど。しかも、特にエンディングソングっていうのかな? シンセサイザーとか80’sの香りっていうか。それを僕はもう直で浴びてるわけですよね。で、なんかね、エンディングが……なんかどんなに楽しいアニメでも、エンディングで急に切なくさせられるっていうか。だから子供心にわけわからないわけ。「なに? この胸だ苦しい感じは?」みたいな。それがすごい好きで。

あと、オープニングであんなに明快に子供心にわくわくするような歌詞が歌われているのに、エンディングになると急にラブの話をされて。それで意味がわからないっていう。「なんですか、これは? えっ、だって本編にはラブは1ミリもなくないっすか?」みたいな。アニメが急に大人の、なんかラブとか。あと生き死にとかの話を急にするみたいな。「ええっ?」っていう。子供心にわけがわからない。だけども、わからないなにか面白そうなものが全身を包むみたいな体験があって。僕はそれをここでやりたいって思ったんですよね。

切ない80年代楽曲をサンプリングした90年代ヒップホップのイメージ

(星野源)なので、その異様な切なさの80年代のサウンドをサンプリングした90年代ヒップホップっていうのが最初のイメージでした。で、『SPY×FAMILY』の映画ってすごい子供が見に行くんですよ。ファミリーも見に行くし。もちろんアニメ好きの人とか、大人だけとかね、もちろんいろいろあると思うんですけど。子供が見る率がすごい多いみたいで。なので、そういう思いを……俺が当時した面白かった思いを見に来た人にもしてほしいみたいな気持ちもあって。そんなイメージで進めていきました。

で、長めのイントロ。イントロからこの曲はできちゃったんですけど。なんだろう? 最近、「イントロは短い方がいい」ってみんな、言うじゃない? 曲も短い方がいいって。でもね、もうそれに疲れたんだよね。なんていうか、「うるせえ!」と思って。もう全部、逆をやろうと思って。めちゃくちゃ長いイントロを……(笑)。イントロ、すごい長いんですよ。「めちゃくちゃ長いイントロだけど、めちゃくちゃいいイントロを書いてやるわ、ボケ!」と思って。それで長いイントロにしました。

そして曲自体もちょっと長めなんです。4分をちょっと超えてるんで。最近は3分台がね、主流だと思うんですけど。4分を超えて。だから今、よいとされているものの全部逆で、でも俺が好きなことをやろうというイメージで作りました。じゃあとりあえず、1回曲を聞いてもらおうかなと思います。本日リリースでございます。配信もCDも、もろもろリリースしました。星野源の新曲です。『光の跡』。

星野源『光の跡』

(中略)

(星野源)メールです。神奈川県の方。「僕は80年代から90年代のアニメに触れてきた世代ではありませんが、『光の跡』のイントロにはなぜか懐かしさを感じました。源さんが幼い頃に感じられた原体験を時を超えて音楽を通して追体験できている気がして今、なんだか不思議な気分です」。ああ、嬉しいですね。

なんていうか、あれなんですよ。たとえば「◯◯年代の音楽を作ってみました」みたいなYouTubeの人って、とんでもない人がいっぱいいるんですよ。だから、それやってもしょうがないんで、それはやりたくないんですよね。で、なにをやりたいのか?っていうと、「俺の記憶の中にある80年代」をやりたいの。で、それってね、現実とちょっと変わっているんですよ。で、記憶の中でたぶん美化もされてると思うし。あと、たぶん勝手に心の中で変わっていってるんですよね。で、それを出すっていう風にすると、俺の心の中にある何かっていうのを出すという作業の方が、なぜか人に伝わるっていうね。その時に感じていた思いみたいな、そういうのがすごいあると思うので。そう言ってくれたのは非常に嬉しいですね。

だから結果的にこれを聞いた人が「なんか懐かしいけど、なんでだろう?」みたいな。それは、言おうと言えるかもしれないけど、なんかバチッと、「これを完全再現しましたね」みたいな感じじゃないんだとは思います。たぶん。わかんないけど。だからそれが、やっぱり作っていて楽しいところですよね。やっぱりわけわかんないことになっていくのが楽しいなとは思います。大阪の方。「僕は源さんに『聞いてください』と言われて『光の跡』を聞きたかったので、この放送まで我慢していました。イントロがよすぎて、僕でも『イントロは短い方がいいとか言ってるやつ、出直せボケ!』って思いました」(笑)。ありがたいね。嬉しいです。ちょっと、ここからたくさん聞いてよね。CDとか、配信とかでね。ねえ。いっぱい聞いてね。2億10回、聞いてくださいね。お願いします。

続いて。「新曲『光の跡』を聞きました。『人はやがて消え去るの 全てを残さずに きれいにいなくなり 愛も傷も海の砂に混ざり きらきら波間に反射する』の歌詞から私は涙が止まりませんでした。今年の夏、私の母はがんで急死しました。それからの生活は毎日が視界にモヤがかかったように生活をしてきました。そんな生活を支えてくれたのは、源さんの曲や詞、ラジオでした。そんな中で先日の歌詞を聞いた際、たしかに残された私たちが抱えた愛や傷は、生活のふとした光に反射して思い起こされる。そのように感じ、ここの部分だけでもずっと心に残っている歌詞です。生前、がんが発見された後に家族で『今のうちに行きたいところにたくさん行こう』なんて、たくさん旅に出たこともありました。母と増やした忘れたくない思い出を胸に『光の跡』を聞きながら、日々を生きていこうと思いました。本当にありがとうございました」。こちらこそ、ありがとうございます。嬉しいですね。

そうですね。なんか、こういうメッセージとか。あとね、Instagramの僕が歌詞をアップしたんですよ。それのコメントにもですね、ものすごく思いのこもったコメント。こういったコメントをたくさんいただきまして。もちろん、全部読んでるんですけど。この歌詞が書けてよかったなと思います。なんかさ、本当に、なんていうんだろう? うーん。「絶望」っていうとなんかすごく言葉として軽いんですけど。もう何の希望もないっていうような気持ちになっている中で書いたんですけど。なんか、やっぱり人間ってさ、いつかは絶対に全滅するじゃん? そもそも地球もなくなるし、太陽系もなくなるし、ブラックホールもしぼんでなくなっちゃうのだから、もうなくなるんですよ。私たちは、絶対に。

で、そう思ってたんですね。そう思ったし、そうだなっていうのを心から思った時に、なにもかもが本当に意味がないなと思ったの。なんていうか、自分が頑張っていることとか、あとは頑張ってさせられてることとか、あとはいろんなこと。もう世の中の偉そうな人とか、実際に偉い人とかさ。でも、どんだけ偉くなってもさ、なくなるんだぜ?っていう。で、それを、どんなに音楽を残しても、どんな記録を残しても、それを認知できる人とか、聞ける人もいなくなるし。何もかも、なくなるんだっていうのをすごく思った時に、「めっちゃ意味ないじゃん。何の意味もねえよ」って思って。でも、俺はあの金沢の雨上がりの太陽の景色にめちゃくちゃ感動したのよ。

俺はなんで、こんなに何の意味もない人生を……それであの水溜まりに反射した太陽を見たという瞬間に、なんであんなに感動したんだろう? で、その金沢の街を歩いてる人たちがいっぱい写真を撮っていて。この人たち、もうすぐ死ぬのに、もうすぐ絶対に死ぬのに、なんでこんなに忘れないように思い出を残してるんだろう?ってすごく強く思ったんですよ。そう思った時に、すごく詞が書けてきて。「終わりは未来だ」っていう言葉と「出会いは未来だ」っていう言葉が出てきたという、そういう歌詞なので。なんか、こんな風にいろんなことを送ってくださるのは本当にありがたいですし。なんか、うん。ちょっとね、胸がいっぱいですね。

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