スーパー・ササダンゴ・マシンと宮藤官九郎『俺の家の話』を語る

スーパー・ササダンゴ・マシンと宮藤官九郎『俺の家の話』を語る 宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど

スーパー・ササダンゴ・マシンさんが2021年4月23日放送のTBSラジオ『宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど』に出演。ドラマ『俺の家の話』が自身の話とかなりリンクする件について、宮藤官九郎さんと話していました。

(宮藤官九郎)そんなスーパーSマシンさんの愚痴をお願いします。

(ササダンゴ・マシン)あ、宮藤さんに言っても本当にしょうがないんですけども……『俺の家の話』がまあまあ俺の家の話だったんですよ。

(宮藤官九郎)それなんですよ(笑)。

(ササダンゴ・マシン)本当にね、ちょっとどういう……。

(宮藤官九郎)なんでそんなことになっちゃったんですかね?(笑)。

(ササダンゴ・マシン)まずね、スーパーSマシン。私の経歴が手元の資料にあるじゃないですか。これ、宮藤さんが読むべきだと思います! ちゃんと読むべきだと思います。

(宮藤官九郎)わかりました。

(ササダンゴ・マシン)ちゃんと読む義務があります。はい。

(宮藤官九郎)家業を継ぐために一度、引退したが、その後、覆面レスラー「スーパーSマシン」として復帰。2004年にプロレスラーデビュー。2010年、実家の金型工場を三代目として継ぐために引退。

(ササダンゴ・マシン)70年やっている老舗の、伝統工芸的な……。

(宮藤官九郎)跡継ぎですね。

(ササダンゴ・マシン)跡継ぎなんですよ。

(宮藤官九郎)当時、お父様が一度倒れて入院。

(ササダンゴ・マシン)ずっとね、反対をしていたんですよ。プロレスをやっていることを。

(宮藤官九郎)なるほど(笑)。一度、入院されたことがきっかけで戻った。「俺、継いでやるよ」と。

(ササダンゴ・マシン)「俺、継いでやるよ」って病院で言ったんですよ。親戚や兄弟たちがいるところで!

(宮藤官九郎)あれ? なんか見たことがあるな(笑)。

(ササダンゴ・マシン)で、引退して家に帰ったところ……。

(宮藤官九郎)実家に帰ったタイミングでお父様が元気になって退院してきたと。

(ササダンゴ・マシン)そうなんですよ。車椅子に乗って(笑)。

(宮藤官九郎)それで地元新潟でこっそり、覆面レスラースーパーSマシンとしてデビュー。

(ササダンゴ・マシン)それまでは別の名前で、素顔でやっていたんですよ。はい。で、ちょっと引退してしまっているものですから、そのローカルの小さい団体でご当地レスラーみたいな形で。親にもバレたらいけなかったもので。

(宮藤官九郎)フフフ(笑)。本当に似てるな! その後、正式に復帰。そして今、プロレスラーとして活動しながら、2020年にはその金型工場の代表取締役社長に就任という。

(ササダンゴ・マシン)そうなんです(笑)。

(宮藤官九郎)めちゃめちゃ忙しいじゃないですか。じゃあ。

(ササダンゴ・マシン)忙しいですよ? 忙しいけども、そこじゃない。「忙しい」じゃないと思いますよ?(笑)。

(宮藤官九郎)軽く話をごまかそうとして(笑)。「めちゃめちゃ忙しい」でなんとか切り抜けようとしたけども(笑)。

(ササダンゴ・マシン)「今、コロナでね……」って言いかけましたけども(笑)。

(宮藤官九郎)そういうことじゃないという。すいません(笑)。いやー、俺、本当にここの「※」がついている、お父様が一度倒れて入院されたことをきっかけに家に帰った。で、帰って家を継ぐことになったら、お父様が元気になって退院してきたっていう、ここ……ここをパクったらダメですよね?

(ササダンゴ・マシン)フハハハハハハハハッ! いやいやいや!

(宮藤官九郎)ここ、一番いいところですもんね。あの、1話で一番の見所ですもん。俺、正直、ここをパクってるんだっていう……これ、一番大事なところですよね?(笑)。どう思いましたか、正直?(笑)。

(ササダンゴ・マシン)いや、あのですね、あの……本当にタイトルを復唱するのみですよ(笑)。

(宮藤官九郎)そうですよね。「あれ? 誰の家の話だ? もしかして?」っていう。

(ササダンゴ・マシン)はい(笑)。で、2話、3話と見るたびに「おいおいおい! えっ、マスクマン? ええっ?」って。

(宮藤官九郎)俺、盗聴器を仕掛けたのかな? 本当ですか?(笑)。

TBSラジオ「Aトロク」で話す

(ササダンゴ・マシン)いや、すごいんですよ。それがなにからなにまですごくて。もうびっくりしちゃって。当然、それを無邪気に「Aトロク」のスタッフたちが「もう『俺の家の話』が始まったんで、ちょっとそれについて今週、語ってみませんか?」みたいに言われて。その時に第4話ぐらいまで行っていたんですよね。2月の半ばぐらいで。「本当にここまでかぶっちゃっていると、もう逆にこれからはこのドラマの通りに俺は行きていきます。逆に今後の私の未来予想図でもあるし。宮藤さんが書かれる脚本が未来予想図でもあるから、俺はこの通りに生きていきますよ」っていう風に、うまくまとめて。それでその放送を終えたら次の日に番組のメール宛に「宮藤官九郎」という署名入りのメールが届いたんですよ。「昨日、聞かせていただきました」と(笑)。

(宮藤官九郎)僕、デニーズで聞いていたんですけども(笑)。

(ササダンゴ・マシン)デニーズで(笑)。

(宮藤官九郎)もう途中から申し訳ない気持ちになってきちゃって。どうでしたか? 最終話、ああなって。びっくりしましたよね?

(ササダンゴ・マシン)いや、もう……だから、そこなんですよ。本当に。「僕の未来が」って言って。そしたら宮藤さんも宮藤さんでちゃんと、「これからは本当に俺の家の話だと思って、最後まで見ていただいたら最高です」って書いてあって。「まさに今、最終話を書いているところです」って言っていて。「本当にこれからも『俺の家の話』、まさに自分ごとだと感じて見てください」って言っていたその最終回で……亡くなっていましたからね!

(宮藤官九郎)そうなんですよ。すいません、本当に(笑)。

(ササダンゴ・マシン)いや、もう目を疑いましたよ、本当に! リモコンを本当に落としました(笑)。

(宮藤官九郎)「どんな気持ちで見ているのかな?」ってちょっと思っていましたよ(笑)。

(上野勇希)フハハハハハハハハッ!

(ササダンゴ・マシン)いや、でも結構その、プロレスの世界では「リング禍」っていうんですけども。リング上での事故でプロレスラーが亡くなるっていうのは、やっぱりフィクションでもドキッとしちゃうっていうか。

(宮藤官九郎)やっぱりそうですよね。

(ササダンゴ・マシン)やっぱりいろんなレスラー、事故で亡くなっている方とかもいたりするので。たとえばですけど、「デスマッチ」っていう単語とかもあるけれども。でも、基本的にプロレスラーがリング上でそこまで死を連想させるような表現をするのは結構タブーなんですよ。

(宮藤官九郎)やっぱりなー。

(ササダンゴ・マシン)タブーなんだけれども、それでも作品としてはやっぱりプロレスというものは危険や、死とも常に隣り合わせだったり。そういう世界を描いているわけじゃないですか。だから、ここまで自然というか、ストレートに入ってきて……っていうのはすごいなって思いましたね。

(上野勇希)ちょうどでしたよね。僕たちの感じた感覚と作中での皆さんの感じ方っていうのは。本当にやっぱりその重さとか、なんか信じられない感じとか。やっぱり僕たちのフィーリング通りで。「おお、すごいな」って思いましたね。

(宮藤官九郎)どれぐらい意識をされているんですか? 意識というか、そういうことを気をつけなきゃなっていう気持ちってあるんですかね?

(ササダンゴ・マシン)もちろんありますけども……やっぱり試合中は忘れちゃっているし。常に本当は自分たちも意識の中に持ち続けていなければいけないことだから。そういう危ないことをやっているんだよっていうのは。実はそこがエンターテイメントと直結している、すごい厄介な表現なんですよ。

(宮藤官九郎)なるほど。あれの台本の最後、9話で匂わせなきゃいけなくて。でも、試合のシーンは描けないからということで。その相手のレスラーのことを「あいつ、プロレス愛がないから気をつけてくださいね」っていう。

(ササダンゴ・マシン)あの対戦相手の外国人レスラーね。

(宮藤官九郎)世阿弥マシンに「プロレス愛がねえから」っていうセリフだったんですけども。元々、僕が書いていたのって「あいつ、プロレスがわかってないから」っていう風にセリフで書いていたんですよ。でも、それだと「プロレスがわかっているやつは加減がわかっている」みたいな感じになっちゃうから。「なんかないですかね?」ってなった時に「プロレス愛だ。プロレス愛がないやつはそういうことになるから」っていう風に……。

(ササダンゴ・マシン)ああ、プロレス監修チームが。

(宮藤官九郎)そういう風におっしゃっていて。「なるほどな!」って思って。「プロレス愛がない」っていうのは、わからなくなっちゃうっていうことですよね? 「キレたらなにをするのかわからない」みたいな。

(上野勇希)そうでうね。やっぱり相手も「自分が目立ちたい」とか「自分が勝ちたい」だけじゃなくて、試合もそうだし。相手のことも上げてあげようっていうのが全部、その「プロレス愛」に含まれるというか。

(宮藤官九郎)すごいですよね。プロレス愛って。曖昧な言葉ですよね(笑)。

「プロレス愛」

(ササダンゴ・マシン)いや、プロレス愛って曖昧ですけども。やっぱりそれでも相手の技を受けるとか。避けないで相手の技をちゃんと受けてあげるとか。

(宮藤官九郎)ああ、それはプロレス愛?

(ササダンゴ・マシン)それはプロレス愛だと思います。ロープに振られたら飛んで返ってくるっていうのも。たぶんそれはプロレス愛なのかなって思います。

(宮藤官九郎)そうか。そのことをプロレス愛という言葉で……。

(上野勇希)その中にも、ロープに走る時に読み合いがあったりとか。そういうところでも戦っていかないといけないんですけども。

(ササダンゴ・マシン)だから、それがないところでの事故と、それがある者同士での事故っていうのはちょっと意味合いが変わってくるから。ギリギリのところでの、いい調整だったんじゃないですかね。本当に。

(宮藤官九郎)そうですね。「プロレスをわかってない」ってなると、ちょっと「空気が読めないやつ」みたな感じですもんね。

(ササダンゴ・マシン)あと、本当に不幸というか、本当の悲劇というか、事故ですもんね。

(宮藤官九郎)そうですね。ああ、なるほどね。ありがとうございます。

<書き起こしおわり>

スーパー・ササダンゴ・マシン『俺の家の話』を語る
スーパー・ササダンゴ・マシンさんが2021年2月15日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション』の中でドラマ『俺の家の話』について、プロレスラー目線でその魅力を話していました。
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スーパー・ササダンゴ・マシンさんが2021年2月22日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション』に電話出演。宇多丸さんと宮藤官九郎さんから届いたドラマ『俺の家の話』に関するメールについて話していました。

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