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町山智浩・宮藤官九郎・北丸雄二 2020年アカデミー賞を振り返る

町山智浩・宮藤官九郎・北丸雄二 2020年アカデミー賞を振り返る ACTION
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町山智浩さん、北丸雄二さんが2020年2月10日放送のTBSラジオ『ACTION』に出演。宮藤官九郎さんと『パラサイト 半地下の家族』を中心に2020年のアカデミー賞を振り返っていました。

(宮藤官九郎)でも、まずは今日なんて言っても……さっきも言いましたけど、アカデミー賞がね、びっくりしましたよね。

(幸坂理加)はい。じゃあ町山さんから結果をご覧になった感想をお願いしてもよろしいですか?

(町山智浩)結果というか、僕はだからその授賞式の中継番組に出てたので。今日はこんな格好をしているんですよ。そこから来たんですけども(笑)。

(宮藤官九郎)そうですよね。今日は蝶ネクタイをしていて。ありがとうございます。

(町山智浩)あ、これを決まりで言うんですね。宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど、韓国映画に日本映画はどれだけ遅れちゃったんだ?っていうことですよね。

(宮藤官九郎)ああーっ! そうですよね。

(幸坂理加)遅れちゃったんだ……。

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日本映画はどれだけ韓国映画に遅れてしまったのか?

(町山智浩)やっぱりね、韓国映画がその韓国の問題を韓国のスタッフ、キャストで撮って……つまり、全然ハリウッドに媚びない内容で作って。それでアカデミー賞を取っちゃったんで。だから、条件は同じなわけですよ。(今回の『パラサイト』の作品賞などの受賞によって)世界中の全ての国が条件、スタート地点が同じになりましたからね。

(宮藤官九郎)ポン・ジュノさんは1個前ともう1個前は向こう、ハリウッドで撮ってますもんね。『スノーピアサー』と『オクジャ』と。

(町山智浩)『スノーピアサー』はね、あれは韓国資本なんですよ。あれは韓国の映画会社がお金を出して作ったハリウッド向け映画なんですよ。で、その次はNetflixないで。だからいわゆるそのアメリカ映画として作ったことはないんですよ。実際は。

(宮藤官九郎)ああ、そうか。でも完全にまた古巣に戻ったというか、原点回帰した作品で今回、取りましたもんね。すごいですよね。たしかに日本映画、どれだけ遅れてるんだって言われると、それは愚痴としてちゃんと受け止めないとですね。

(町山智浩)それははっきりと具体的な理由があるんですよ。

(宮藤官九郎)何ですか?

(町山智浩)韓国は1997年ぐらいから金大中大統領の時に、その韓国国内のエンターテイメントのマーケットあまりにも小さいから、これだと黒字が出ないから……ということで。海外、中国とか日本とかその周辺のアジア全体をマーケットとして狙えるような作品を作らなきゃならないということで。それでどうしたかというと、スタッフをハリウッドに国費で送ったんですよ。

(宮藤官九郎)へー! 映画のスタッフをですか?

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国費で映画スタッフをハリウッドに送った韓国

(町山智浩)そうです。撮影監督であるとか、そういういろんな技術……SFXの人たちとか編集者であるとかカースタントの人たち。そういった人たちを全部送り出して。それでタダで、要するに国費留学させてきて。それで、ハリウッドの各現場でアシスタントをやらせたんですよ。それで、ハリウッド側は要するにタダで働いてくれるから。それからもうひとつの問題は韓国の大卒者はほとんど全員、英語がしゃべれるんですよ。

(宮藤官九郎)ああー、それは大問題ですね(笑)。日本人はしゃべれないですもんね。

(町山智浩)これは日本の教育の問題なんですよ。韓国に行けばみんな若い人は英語をしゃべれるじゃないですか。それで、1年か2年働いて、それで技術を覚えて韓国に戻ったんですよ。それでその人たちが今、韓国で映画を撮ってるから、そのクオリティーがハリウッドと同じなんですよ。

(宮藤官九郎)へー!

(町山智浩)それで特に今回の『パラサイト』は撮影監督のホン・ギョンピョさんという人。この人はすごい人で、『バーニング 劇場版』とか。

(宮藤官九郎)ええっ! あの『バーニング』?

(町山智浩)はい。あの素晴らしい作品の撮影も彼ですし。

(宮藤官九郎)村上春樹さん原作のですよね。

(町山智浩)村上春樹さん原作の素晴らしい、あの格差社会を描いた作品。それから『哭声/コクソン』。あれもこの人が撮影です。この人、撮影の天才なんですけど、この人はアメリカで撮影技術を学んだ人なんですよ。

(宮藤官九郎)すげえ!

(町山智浩)だから内容は完全に韓国の田舎の貧乏な話を描いているにも関わらず、画面のクオリティーが完全に世界に通用するクオリティーなんですよ。「プロダクションバリュー」って言うんですけど。見た目が安っぽくないっていう。それをちゃんと国費でやった結果なので。

(北丸雄二)日本でも特殊メイクのカズ・ヒロさんが今回、受賞しましたけども。彼の場合も全部私費ですもんね。自分の努力で行ってますからね。

(町山智浩)彼はだからすごい高校生ぐらいから、そのディック・スミスさんっていうハリウッドの特殊メイクの天才がいるんですけど。そこに弟子入りしてずっとやってた人ですね。

(北丸雄二)英語も完璧でしたしね。

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カズ・ヒロの受賞

(宮藤官九郎)今回は何の作品で取ったんですか?

(北丸雄二)今回は日本のタイトルだと『スキャンダル』ですね。メーガン・ケリーのいわゆるセクハラの問題を描いた……アメリカのFOXの女性キャスターに対するセクハラ問題で。

(宮藤官九郎)ああ、ニコール・キッドマンとかの。

(北丸雄二)そう。あれはすごい化けっぷりでしたよね。

(町山智浩)そうですね。あれなんかもう鼻の骨格を変えたりしているんですけども。だからね、韓国の場合にはとにかく市場がちっちゃいんで。たとえば芸能なんかもそうですけども、K-POPが今、世界的に人気で世界を制してますけども。あれは「K-POPの音楽を世界に通用するクオリティーにする」っていう形で国を挙げてやってましたから。だからアメリカでもう普通にK-POPがヒットチャートに入ってるわけですけど、それはいきなり来たんじゃなくて、ずっと長い間それを目指してやった結果なんですよ。

(宮藤官九郎)下地があったってことですね。

(北丸雄二)もうひとつ、脚本的にはどうなんですか? 韓国のそのストーリー性の問題。なんかやっぱり社会性が違うじゃないか?っていう気がして。なんか日本の映画ってみんな、個で回収してしまう。個人の善意で回収してしまったり、私の領域を出なかったりするんだけども。アメリカの映画とか、それから韓国の映画もそうかもしれませんけども。かならずその個の物語なんだけど、そこからどうにか社会に向かって立ち向かっていくとか、そういう風に公にしようとするような。そういうベクトルが働いているような気がするんですが。

(町山智浩)僕はあんまりそうは思わなくて。日本の映画は作り手側はクオリティーとか……脚本家とか監督とかは全然、世界に通用するものを持ってるんですよ。「お金」なんですよ。一番の問題はお金なんですよ。だから、たとえばポン・ジュノ監督は言ってますけれども。「是枝裕和監督の作品は自分と近い」って言っていますよね。その貧困というものを描いていて。それで『バーニング』なんかは別にね、貧困とか格差を描いてますけれども、あれも全世界的に公開されていて。

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一番の問題は「お金」

それで本当に日本の茨城とか木更津とか、地方の貧しい感じっていうのをそのままその都会のものすごく不動産が上がって優雅に暮らしている人との比較で見せていくっていうのは日本で作っても全然おかしくないんですけども。でも、日本の場合には「じゃあそれに誰がお金を出すの?」っていう話になっちゃうんですよ。それで『パラサイト』の場合、制作費が12億円なんですよ。

(宮藤官九郎)そうなんですってね! すごいですよね。制作費ですよね。宣伝費とか入っていない。現場のお金ですもんね。

(町山智浩)そう。だから直接制作費が12億円。日本って、あの『キングダム』が制作費が10億円なんですよ。それで『キングダム』が超超超大作なんですよ。日本の映画のレベルからすると。

(宮藤官九郎)ああ、そうですね!

(町山智浩)で、それがどうしてそうなるかというと、日本は映画を興行してヒットの上限がだいたい30億円ぐらいですよね?

(宮藤官九郎)まあ、褒められる金額というか。リクープできるのと、さらに「すごい!」って言われるのだと……。

(町山智浩)そう。大規模公開でやって、だいたい30億なんですよ。それで30億という基準から制作費というものを逆算すると、10億なんですよ。だいたい1/3の計算なんですよ。原価が。だから制作費10億というのが日本映画の大作の限界なんですよ。それ以上制作費をかけたら、もう回収できなくなっちゃうんですよ。

(宮藤官九郎)と、言われてますね。

(町山智浩)で、30億ってのは「大ヒット」だから。じゃあ「そこそこのヒット」って考えると、どのくらいの制作費が普通かというと5億円ぐらい。で、もっとインディペンデントになると、そこからさらに下がって3億とか1億とかってどんどんと下がっていくわけですよ。

(宮藤官九郎)しかも撮影期間がなんか半年ぐらいかけてるっていう。

(町山智浩)かけているんですよ。だからそれだともう全然できないし。あと『パラサイト』はあれ、全部セットなんですよ。

(宮藤官九郎)そうそうそう。聞いたら。

(幸坂理加)えっ、あれセットなんですか?

(町山智浩)全部作ったんですよ。

(宮藤官九郎)金持ちの家も、貧乏な家も。街も作ったんですよね、あれね。

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『パラサイト』のセット

(町山智浩)今、日本映画ってセットを作れないんですよ。昔はセットを撮影所があったからかなりできたんだけど。もう日本って本当にちゃちなセットしか作れないんですよ。

(幸坂理加)へー! あれ、セットなんですか!

(宮藤官九郎)お金……それはでもおっしゃる通りで。たぶん予算がかかってないんでしょうね。

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