スーパー・ササダンゴ・マシン 宮藤官九郎からの『俺の家の話』メールを語る

星野源「お風呂でおしっこ」問題と『俺の家の話』を語る アフター6ジャンクション

スーパー・ササダンゴ・マシンさんが2021年2月22日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション』に電話出演。宇多丸さんと宮藤官九郎さんから届いたドラマ『俺の家の話』に関するメールについて話していました。

(宇多丸)それで、早速なんですけど、ある方とこの時間、お電話を繋ごうと思います。どなたかと言いますと先週もね、お出になっていただきました覆面プロレスラー、スーパー・ササダンゴ・マシン選手とお電話を繋ごうと思います。もしもし、ササダンゴさん?

(ササダンゴ)もしもし、こんばんは。ササダンゴ・マシンです。

(宇多丸)よろしくお願いします。今、ササダンゴさんどちらにいらっしゃるんですか?

(ササダンゴ)私は今、新潟県三条市というところにおります。

(宇多丸)そちらはご実家の仕事で……ということですか?

(ササダンゴ)そうですね。ちょっとローカル番組のロケでですね、三条という新潟市からは小一時間ほど離れた場所でおります。

(宇多丸)ちょっと離れたところ。なるほど。お仕事、大丈夫ですか? 今、時間は。

(ササダンゴ)はい。今、ロケ車に隠れて電話をさせてもらっています。

(宇多丸)あんまり推奨されていないんじゃないの? これ、大丈夫ですか?(笑)。なぜこれ、わざわざお仕事中にお電話でお呼び出ししたかと言いますと、先週のスーパー・ササダンゴ・マシンさん、カルチャートークの中でですね、「『俺の家の話』がまあまあ俺の家の話なんですよ」と題しましてTBSテレビで毎週金曜、夜10時から放送中のドラマ『俺の家の話』の見どころを語っていただきつつ、長瀬智也さん演じる主人公がなかなか自分の話に思えるという……。なんなら、スーパー世阿弥マシンというマスクマンとしてのそのネーミングも含め、「もしかしたらこれはモデルなのでは?」みたいな。そんな話をしていただきましたよね?

(ササダンゴ)そうなんです。

スーパー・ササダンゴ・マシン『俺の家の話』を語る
スーパー・ササダンゴ・マシンさんが2021年2月15日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション』の中でドラマ『俺の家の話』について、プロレスラー目線でその魅力を話していました。

(宇多丸)それで、先週金曜日のフューチャー&パストでもコンバットRECが非常にそこを印象深く振り返っていたあたりなんですが。ちょっとこんな衝撃的なメールが番組に届いていますので。これは熊崎くんにお願いしましょうか。

(熊崎風斗)ササダンゴさんがプレゼンをしてくださったのが2月15日(月)。その翌日の16日(火)の夕方5時頃に番組アドレスに届いた宮藤官九郎さんからのメールをご紹介させていただきます。「宮藤官九郎です。昨日のササダンゴ氏の解説が素晴らしくて、感謝の気持ちを伝えずにはおれず、メールしました。ありがとうございます。自分は50歳でプロレスといえばハンセン、ブロディ、ホーガン、長州、キラー・カーン、初代タイガーマスクという世代で、現在進行形のプロレスについてはいかんせん疎く、正直リサーチしながら書いております。

ただ、TBSラジオリスナーでアトロクも執筆をしながら聞いているので、スーパー世阿弥マシンの経歴にスーパー・ササダンゴ・マシンが混ざり込んでしまった可能性は否めません。そんなわけで放送を聞きながら何度も『ですよねー!』とつぶやいてしまいました。今後も『俺の家の話だ!』と思って見ていただけたら最高です。ちなみに今、まさに最終話を書いております。これからも楽しい放送を期待しております」。

(宇多丸)はい。という宮藤官九郎さんご本人からのメールが来ていたんです。先週、実は割とすぐに来ていたんですよ。それを一応、寝かしていたんですけども。まずはこれ、率直にいかがですか?

(ササダンゴ)いや、もうびっくりと言いますか。まず、その宮藤官九郎さんのメールの、なんでしょう? この読まれることを前提として、ばっちりな長さのリスナーメール! お手本のような。

(宇多丸)フハハハハハハハハッ! それはそうでしょう(笑)。

(ササダンゴ)「さすが」としか言いようがないですよね。

(宇多丸)そこは抜かりがないでしょう。うん。

(ササダンゴ)さすがですよ、本当に。本物のラジオリスナーだっていうことの証明ですよね。

(宇多丸)感心するの、そこですか?(笑)。

(ササダンゴ)という照れ隠しはさておいて……まず、その「スーパー世阿弥マシンの経歴にスーパー・ササダンゴ・マシンが混ざり込んでいたということの可能性は否定できない」という。まず、そこなんですけども。じゃあ、「混ざっていた」ということですね?

「混ざり込んだ可能性は否めない」

(宇多丸)あの、俺はね、この「可能性は否めません」っていうこのクドカンさんの言い方も「あんた、いい加減に認めろよ! そんな、可能性とか言ってんじゃねえぞ! 何をしらばっくれてるんだよ?」っていう感じがちょっとありますけどね。これ。

(ササダンゴ)いや、でもやっぱりそれはもう、要はTBSとしてもそこでステークホルダーを1人、作ってしまうと、そこのは多少の金銭が発生してしまう可能性とかも……(笑)。

(宇多丸)悪しき前例を作るわけにはいかないですからね(笑)。

(ササダンゴ)松竹芸能がゴネる可能性もあるじゃないですか。

(宇多丸)所属事務所が(笑)。あと、あれですよ。昔、スコセッシが『タクシードライバー』を作った時にもうアメリカ全土から「なんだ、俺の話を映画化しやがって!」って。ものすごい抗議の手紙やらいろんなものが届いたらしいんですよ。だから、そういうことになりかねませんからね。これを認めちゃうとね。

(ササダンゴ)そうですよね(笑)。だから限りなく黒に近い……ということですよね?

(宇多丸)「黒に」(笑)。ねえ。だから「参考にはしたのかも……」ということになっております。ただ、ご本人から直接「ですよね」っておっしゃっているわけですから。これは半分、自供したようなものですから。

(ササダンゴ)そうですね(笑)。

(宇多丸)いや、でも嬉しいことですよね。やっぱりね。

(ササダンゴ)めちゃめちゃ嬉しいですよ。光栄です。

(宇多丸)まあ、そのクドカンさんと長瀬さんの名コンビの中でも本当に歴史に残る作品なのは間違いないわけで。

(ササダンゴ)そこに混ざり込んだわけですから。

(宇多丸)しかも最終話を今、まさに書いている人にこんな事件が……これ、だからエフェクトを与えているわけ。

(ササダンゴ)そうですよね。「なんかこれ、めんどくさいことにならないうちに早く返事をしなきゃ!」っていう……思ってくれたわけじゃないですか。

(宇多丸)「もう最終話はこの時点で書いてますよ!」っていう、そういう感じもあるかもしれないですけどね。でも、ササダンゴさんが「ここまでの話は自分の話のようだ。ということは、ここから先は予言でもあるかもしれない」っておっしゃっていたじゃないですか。

(ササダンゴ)そうなんです。本当に。

(宇多丸)だからクドカンさんのペンというのはササダンゴ・マシンさんの人生にとって、なかなかの責任を負っているとも言えるわけですよ。

(ササダンゴ)なんていうんですか? デスノートみたいなもんですからね。

(宇多丸)「主人公は僕だった」ですよね。だから、書かれたことが実現するっていうね。だから、どういうことになるのか。ただ、ササダンゴさんご自身の声っていうのは届いているわけですから。これはクドカンさんもかなりエンディング、その方向にはかなり筆が動かれていると言いましょうか(笑)。

(ササダンゴ)ちょっとなんか、土壇場でオファーが来る可能性もなきにしもあらずですよね?

(宇多丸)わかんないよ、本当に。どこまで……だって、最終話を書いているんだから。それは「まだ撮っていない」っていうことじゃん?

(ササダンゴ)まだ書き終わっていない可能性だってありますもんね。

(宇多丸)そうだね。だし、俺は思うに、クドカンさんのことだから。やっぱりこのコロナ禍というのも作品の中に読み込まれている。客席の様子とか、みんなマスクしているとかっておっしゃっていたじゃないですか。ということは……。

(ササダンゴ)あ、まさか?

(宇多丸)そう。リモートプロレスも……リモートプロレス、2パターン、ありますよね。口先だけでやるやつと、電話でコントロールするやつみたいなのもあるわけじゃないですか。実際の試合でやったやつ。両方、ありえますからね。

(ササダンゴ)全然あり得ますもんね。

(熊崎風斗)まさか、『俺の家の話』に?

(宇多丸)だから、まさかですよ。そしたらまさかのご自身が監修として……みたいなこともあるかもしれないですし。

(熊崎風斗)それも含めて楽しみですね。

(宇多丸)ササダンゴさん、すいません。お仕事中にこんな、喫茶店でするような話をして(笑)。

(ササダンゴ)フハハハハハハハハッ!

(熊崎風斗)ちなみに改めてなんですがドラマ『俺の家の話』はTBSテレビで毎週金曜日、夜10時から放送中です。次回は2月26日に第6話が放送されます。過去の回は動画配信サービスParaviでも配信していますのでまだ見ていない方、ぜひご覧になってみてください。

(宇多丸)いよいよちょっとね、見逃せなくなってきたということで。

(ササダンゴ)しかも、私たちと仲のいい純烈に確実にオマージュしている「潤沢」っていうムード歌謡グループも出るらしいですよ、次回から。

(宇多丸)だからさ、そうじゃない? もう完全に……ちょっと待って? となるとさ、開会宣言をするスキンヘッドにサングラスのラッパーとか、いてもおかしくないよ? マジで。

(熊崎風斗)混ざり込んでしまった可能性は否めませんから。

(宇多丸)「人生、やる・やらないの2つで言うならば……」みたいなことを言い出してさ。うん。全然あるよ、これ。

(ササダンゴ)全然ありえますね。

サングラスのラッパーが開会宣言する可能性も

(宇多丸)っていうか、これを聞きながらクドカンさん、さぞかし「うるせえな!」って思っていると思うよ(笑)。

(ササダンゴ)フハハハハハハハハッ!

(宇多丸)「うるせえよ!」って思っていると思うよ。逆張りしてくる可能性もありますからね。全然離してくる可能性もありますからね(笑)。それを「逆張り」とか……それも含めて俺だったら本当に嫌!(笑)。

(ササダンゴ)そうですよね(笑)。本当にごめんなさいっていう(笑)。

(宇多丸)でもね、ちょっとこの話をしようと思っていたんだけど、不思議なのはクドカンさんって、だからラジオを聞きながら脚本とか書けるんだね。すごいね。

(ササダンゴ)そうですよね。集中したというか……本当にすごいですよね。僕もそれ、思いました。

(宇多丸)ササダンゴさんとか、興行のいろいろなものを書く時って音声コンテンツを流しながらってできますか?

(ササダンゴ)いや、まさにアイデアを出す瞬間は聞けないですよ。

(宇多丸)ですよね。これ、だから大抵の人はそうだと思いますよ。あのしまおまほさんでさえ……TBSラジオばっかり聞いているしまおさんだって、文字原稿の時、書き原稿の時はやっぱりラジオを消すっていうんですよ。漫画の時はできる。俺もそうで。俺、歌詞でさえ無理だから。インストだったらまだしも……っていう感じなんですけども。でも、中には例外もいて。言葉×言葉の仕事ができる人がいて。僕が知る限り、吉田豪さんですよね。

(ササダンゴ)ああ、そうだ。

(宇多丸)舞台上で……たとえばロフトプラスワンとかの舞台上でトークイベントをやって。コンバットRECとか出演者全員に適宜、的確極まりないツッコミを入れながら原稿をやっているっていう。

(熊崎風斗)全然別件の原稿ですよね?

(宇多丸)別件の原稿ですよ。吉田さんなんか、白夜書房・森田秀一さんの結婚式の最中も原稿を書いていましたからね(笑)。

(ササダンゴ)アイドルのライブを聞きながらも原稿を書いてますよね。

(宇多丸)さすがに白い目で見られてましたけどね。同じテーブルにいるの、ちょっと恥ずかったですけども(笑)。だから能力としてすごいわけ。切り分けられるっていう。だから吉田豪さんとかクドカンさんぐらいになると、そういう言語×言語っていうのはいけるのかもしれませんね。だからこんな、もうまさにクドカンさんの話を聞きながらも、もう屁の河童で原稿を書いているという。

(熊崎風斗)こんなのを聞いていた、普通できないですよ。普通の人はたぶんできないと思いますけども、クドカンさんレベルだとできるかもしれないっていう。

(宇多丸)ただ、「うるせえな!」って思っていると思いますよ(笑)。ということで、『俺の家の話』に関しては今後も動向、話の進みを気にしながらという感じで。ササダンゴさん、すいません。お仕事中に。大丈夫ですか? まだスタッフにはバレてませんか?

(ササダンゴ)はい。大丈夫です。バレてないです。そろそろシレッと戻ろうかと思います。「タバコ、吸ってました」みたいな顔をして(笑)。

(宇多丸)フフフ(笑)。じゃあ、お仕事頑張ってください。

(ササダンゴ)はい。どうもありがとうございました。失礼いたします。

(熊崎風斗)ありがとうございました。

(宇多丸)はい。スーパー・ササダンゴ・マシン選手でございました。ねえ。まあ、クドカンさん、TBSも縁の深い方でもありますから。聞いていただいて、とかそういうもの全然あるので。「可能性」って……水くさいことを言うじゃない、これね。

(熊崎風斗)「混ざり込んでしまった可能性は否めません」という。

(宇多丸)大人のワードですよ。これはね。でも、とにかくそこが聞いてみたい。僕は。「音声コンテンツを聞きながら仕事ができるのか?」っていう件。

(熊崎風斗)宇多丸さんは自分の文章の仕事とラジオは一緒はキツい?

(宇多丸)無理無理。

(熊崎風斗)絵とかだったらできるんですか?

音声コンテンツを聞きながら仕事ができるのか?

(宇多丸)そうなんですよ。だから「日本語詞もキツい」なんて言っていたけども、絵はやっぱり……漫画家さんとかもね、ラジオを聞きながらとか。この番組もすごく漫画家さんに聞いていただいているからこそ、「漫画家さん、いらっしゃい」ってやっているんだけども。そうなんですよ。だからこの間の金曜日、フューチャー&パストっていう番組振り返りのコーナーでコンバットRECに僕、ZOOM越しに怒られていたんですよ。「お前、ちょっとさっきからZOOMで見えねえんだけど。お前、なんか絵、書いてねえか? なんかさっきからちょっと気もそぞろみたいな感じだけど、絵を書いてねえか?」って。「ああ、バレた」なんつって。

これ、毎週土曜日に更新されている「女子部JAPAN(・v・)」っていう、僕がもうずっと何年もやっている女性向けの人生相談コーナーがあって。そこのイラストをずっと自分で書いてるんですけど。だいたい金曜日のフューチャー&パスとの振り返りの、熊崎くんの振り返りのタイミングぐらいから書き始めて。

(熊崎風斗)そこはだから、聞きながらイラストっていうのは?

(宇多丸)そう。できるのよ。だから、聞きながら絵を書く。あまつさえ、聞きながら生放送をしているわけですから。しかもほら、僕はだっていいじゃない? 「生放送中だぞ」とか言われるんですけど、いや、その収録分を聞いて。なおかつ、俺がやったやつだから。俺はやっているから! 俺はもう知っていることだからさ、別にいいんですよ、それは。だから、ねえ。お絵かきをさせていただきました(笑)。

(熊崎風斗)でも、絵を書くのと文章を書くのだと、まあ使う脳って違うということなんですかね?

(宇多丸)そうだね。もちろん、なにを書くかとか。あとネタとか……要するに言語的な脳を使う瞬間はやっぱりキツいのかもしれない。だから何を書くか、決まっていさえすれば。だからこの間だと、僕がこうやって下書きをしているのをずっと山本さんとか見ていて。で、時々グシャグシャって。巨匠が「ダメだ!」みたいなことをやるわけ。それを2回ぐらい繰り返した後に「これだ!」ってなって書き始めたので。全然大丈夫ですね。しかも、1回書いたことのあるお相撲さんの絵だったので。「お相撲さんの絵はだいたいこうやって書けばいいよ」っていうのを体得した状態で書いたので。

(熊崎風斗)そうか。じゃあ、そこからひねり出すんじゃなくて、元々ある状態だから……。

(宇多丸)そうですね。あと、白状しますと金曜のその時間はもうすっかり気が抜けているっていう。映画評も終わって。フューチャー&パストはそんなに俺がワーワー言う場所じゃないので。俺、もうやったんでね。あと、契約にもあそこって入っていないので。厳密に言えば、もう仕事じゃないということで(笑)。

(熊崎風斗)まあ、この世の中は契約社会ですからね(笑)。

(宇多丸)そういうこと。契約社会でございます(笑)。そんなこんなで、いずれクドカンさんにお話する機会があったらぜひ、これを聞いてみたいですね。言語×言語な仕事がなぜ可能なのかという話もうかがってみたいものだと思います。『俺の家の話』も楽しみになってまいりました。

<書き起こしおわり>

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