安住紳一郎と大山顕 2021年最新マンションポエム事情を語る

再掲だけども、「おやすみっふぃー」は実在してる。 https://t.co/WdKs85Jahu pic.twitter.com/vVAPrpbfZn— タナボタ (@tanabota) January 17, 2021 安住紳一郎の日曜天国

大山顕さんが2021年1月17日放送のTBSラジオ『日曜天国』にゲスト出演。安住紳一郎さん、中澤有美子さんと2021年のマンションポエム事情について話していました。
(安住紳一郎)マンションポエムですけれども。2020年、この1年間、動きありましたか?

(大山顕)やっぱりコロナの影響を感じさせるポエムがちらほらありますね。なんせ、「ステイホーム」のその「ホーム」を売っているものなので。「家にずっといるであれば、居心地のいい部屋がいいよね」みたいな、そういうポエムっていうのは時々ありますよね。もちろん、いい雰囲気でラグジュアリーな雰囲気を出すのがマンションポエムの使命なので。

「コロナ」っていう言葉は絶対に入ってきませんけども。明らかに読み込めば……まあ、そのマンションポエムを読み込んでいるのは世界で僕ぐらいしかいないんじゃないかと思うんですけど。プロの方以外はね。読み込むと、「ああ、これはコロナを意識してるな」っていうのがちらほらあったというのが2020年の特徴でした。

(安住紳一郎)「家にいる時間が」とか「安全が」とか。「家族と過ごす時間が」とか。

(大山顕)そうですね。はい。

(安住紳一郎)大山さんも数々のマンションポエム……いわゆるポストに入ってくるようなチラシなんかを集めてるんですか?

(大山顕)本当は「マンションを買う気がありますよ」って会員登録をしたり。モデルルームみたいなところに行けば充実したマンションポエム集……「マンションポエム集」ではないな。そう思っているのは僕だけだと思いますけども。「このマンションがいかに素晴らしい」っていうのが載った豪華な冊子をいただけるんですけども。それをもらうためにはあらゆる僕の個人情報を提供しないといけないので。あのマンションを買うための……よくご存知の方、いらっしゃると思いますけど。それはさすがにちょっと鬱陶しいので。だいたいウェブサイトを見て集めてるっていう感じですね。

(安住紳一郎)そうですか。マンションポエム。いわゆるマンションを買う時の広告に載っている、なんとなく実態を表わしたような、表わしてないような、人々の心をつかみ、そして惑わせるあの詩ですね。

マンションポエムとは……

(大山顕)そうですね。詩としか言いようのない……「洗練の高台に上質がそびえる。」とか。そういうやつですね。今、気がつきましたけども。今、初めてマンションポエムとはなにか?っていう説明をしましたけど。もう当然のように「マンションポエムで通じるだろう」という番組運びになってるけど、大丈夫なんでしょうか?

(安住紳一郎)そうですね(笑)。これ、初めて聞いてる方は「何のことか?」と思いますよね。

(大山顕)僕の造語なので。マンションポエムっていうのは。

(安住紳一郎)それはやっぱりいろいろな、景品表示法とかをくぐり抜けるために上手に言い回しを変えているから、ああいう詩的な、ポエムな表現になっちゃうっていうことなんですね。

(大山顕)そうですね。歯に衣を着せざるを得ない感じ。「日本一」とか、そういうことを安易に言えない世界なので。まあきっと詩人の方々は苦労されておりますよ。

(安住紳一郎)あとは住所で嘘を言ってもいけないし。

(大山顕)そうですね。

(安住紳一郎)でも、やっぱりちょっと人気のある地名は語りたいし。

(大山顕)そうですね。前々回ぐらいでしたっけ? 吉祥寺が非常に人気のある町なので。「吉祥寺にある」って言いたいんですけど。まあ、ギリギリで吉祥寺じゃないから。「吉祥寺のお膝下」とか「吉祥寺を控えるこの地に」みたいな。そういうのが結構あるぞっていうお話を安住さんにさせていただいて。大変に盛り上がった記憶があるんですけども。

(安住紳一郎)「吉祥寺を臨む」とかですね。

(大山顕)そうですね。臨みがちですね。ええ。「奥座敷」とかありますね。なんでしょうね? 「吉祥寺の奥座敷」って……。

(安住紳一郎)アハハハハハハハハッ! よくわかんないですね(笑)。

(大山顕)わからないですね。「下連雀でしょう?」みたいな、そういう感じですね。

(安住紳一郎)下連雀……そうですね(笑)。吉祥寺の奥座敷、上連雀、下連雀あたり。三鷹でしょうね(笑)。

(安住紳一郎)あとはやっぱり、私が一番好きなのは「広尾を纏う西麻布」っていうダブルネーミングですね。

(大山顕)そうですね! 「広尾を纏う西麻布」。この系統で言うと、最高に物議を醸したのが「そこは、成城でもなく、仙川でもない。そして、成城でもあり、仙川でもある。」という……まあ、成城も吉祥寺と並ぶぐらい非常にブランドの高い土地で。このマンションが立っている場所っていうのがギリギリ仙川。成城の隣。

で、「成城にある」って言ったら嘘になっちゃうんだけども、もう売る方としては「ここはもう成城と言っていいだろう」という。だけども、言えないので……っていう禅問答のようなものになって。それに比べれば、「広尾を纏う西麻布」は別に……西麻布でいいのに。でも、広尾を纏いたいんだっていう不思議さがちょっとあるポエムですね。

「広尾を纏う西麻布」

(安住紳一郎)ちょっと両方言っておきたいみたいなことなんでしょうかね? 「そこは、成城でもなく、仙川でもない。そして、成城でもあり、仙川でもある。」っていう……。

(大山顕)「どこなんだ?」っていう。まあ「仙川です」っていうことなんですけども(笑)。

(安住紳一郎)それで、マンション名は「セイガステージ仙川」なんですよね。

(大山顕)もうマンション名は「成城」と言うわけにはいかないので。

(安住紳一郎)うん。たしかにでも、両方言っておきたい感じはありますね。あとは、これもすごかったですよね。エステムコート川口並木サウスガーデン。「限りなく徒歩1分に近い徒歩2分」という。

(大山顕)はい! これはもう名作ですね。

(中澤有美子)名作ですね!

(安住紳一郎)これは、コピーライターが途中で諦めてたんじゃないですかね?(笑)。

(大山顕)「諦めた」というか、諦めてくれた方がよかったんじゃないかって……だって、「2分」っていいじゃないですか。たぶん1分15秒とか、そのぐらいだったんでしょうね。「○メートル=1分」とかって決まっているので。「1分」って言ってしまうと嘘になっちゃうから。

(中澤有美子)惜しかったんでしょうね(笑)。

(大山顕)惜しかったんでしょうね。でも、そこは諦めてほしいですよね。

(安住紳一郎)そうですね。ただ、やっぱりいまだにマンションのチラシ、何回か見ますけどポエム、止まらないですよね。

(大山顕)止まらないですね。もう、やめられないんだと思います。

(中澤有美子)まだ進化する余地があるってことが驚きですね。

(大山顕)そうですね。進化する……今回、ここに出させてもらうの、もう7回目ですけど。リスナーの方で、最初の頃から聞いてる方はもうたぶん驚かなくなってるんだと思うんですよ。ポエムのインフレが起こっていて。なのでだから、そういう「いまだにある」っていうのはそういう意味でも止められないし、インフレについていかなければならないという。いや、詩人の方も大変だと思いますよ。

(安住紳一郎)そうですよね。あとは、なんとなく今は炎上社会でも。いわゆるクリエイターたちの作るものに対してのハレーションみたいなものも結構ネットなどで頻繁に行なわれてますけども。マンションポエムは安泰ですよね。あんまりなんか……。

(大山顕)安泰です。本当に幸せな世界だと思います。だって「限りなく徒歩1分に近い徒歩2分」が許されて、炎上が起こらないっていうのは、もはや貴重なところですよね。

(安住紳一郎)そうですよね。

(中澤有美子)最後の楽園みたいな。

(安住紳一郎)こんなの、ワイドショーでコメンテーターなんかが口にしたらもうボコボコに叩かれますよね?

(大山顕)そうですよね。本当ですよ。

(安住紳一郎)だから最後の聖域っていうか、まあ「世の中自体がポエム化してきている」なんて大山さんもおっしゃってまして。政治家のコメントもポエム化が進んでいて。

(大山顕)そうですね。よく、「マンションポエムは何を表わしているんですか?」みたいなことを長年やってると聞かれるんですけども。僕も何を表しているのかをじっくり考えたんだけど、なかなかよく分からなかったのですが。あれは、表わしているんじゃなくて、隠しているんですよね。ある文章がポエムの体裁を取る時っていうの、はそれを発してる人が何かを隠そうとしている時の方が多くて。

何かを隠すためのポエム

(大山顕)これは自分を振り返っても、何も言うことがない時や何かを誤魔化したい時って思わず詩的な言葉を口走ったりすることが……恐らく、お二人は職業柄ーーこれを聞くのもどうかと思うんですけどーー職業柄、そういうこともあるのではないかと推察するんですが。政治家の答弁が時にポエムめくことが多いのは、おそらくそういうことなんですよね。何か言いたくないことがあるというか。「小泉構文」とかっていうのは恐らく、そういうことだと。詳しくは語りませんけども、そういうことだと思うんですね。僕はね。

(安住紳一郎)前にもお話ししましたけど。私たちも、そうなんですよ。伝えることがない時についつい、言葉がポエム化していくっていう感じですよね。特に時間を繋がなきゃいけない時なんかはそうなりますよね。「東海道は古より、人々のさまざまな思いが交錯する場所でした。キャプテンは言います。『このタスキにたくさんの思いが詰まっている』・第3中継所です」みたいな。

(大山顕)さすがですね! いや、今、僕感動してます! いや、プロってやっぱりすごい! これ、台本にないんですよ、皆さん。これ、台本にないやり取りをスラッと……やっぱり僕、今ちょっと反省しましたけども。ポエムをすらすら言ってしまうことをちょっと僕はバカにしていたところがあったのではないかと今、思いました。すごい……すごいですね!

(安住紳一郎)すごくないです(笑)。これはまた、誰かを傷つけているような気もするんですけども(笑)。

(大山顕)すごいなー!

(安住紳一郎)ちょっと、やっぱりランナーがまだ来ていない時に「まだ来ていません」って言うのはちょっとダサいから。ちょっと雰囲気を盛り上げるためにもね。

(大山顕)今のはあれですよね。駅伝ですね?

(安住紳一郎)駅伝です。

(大山顕)やっぱりだから、スポーツ中継ってそうなりがちですよね。その、何も起こらない瞬間があるので。

(安住紳一郎)そうですよね。まあ高めるっていうか。期待を高める時の。

(大山顕)いや、安住さん、すごいな!

(安住紳一郎)いやいや、すごくないですよ。本当に申し訳ありません。本当に今ね、やりすぎたなって……。

(大山顕)いや、僕は今、感動しました。みんな「すごい」と思ってると思いますよ。

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