(安住紳一郎)大山顕さんにお話を聞いています。マンションポエム考察2021、おしまいはTOP OF TYO。これ、何ですか? 「TYO」って。
(大山顕)ここのところ、ずっと考えているのが「タワーマンションはなぜ高さが高いのか?」っていう。値段ではなくて。いろいろ考えていて……僕の考える材料は全部、マンションポエムからなんですけど。これはですね、その答えがちょっと見えてきた物件でして。パークコート渋谷 ザ・タワーという、渋谷周辺に行った方は「ああ、最近なんかできたぞ」ってご覧になった方も多いのではないかと思うんですけれども。この「TYO」っていうのは「東京」。恐らくその航空会社が使う東京の都市コードですね。アルファベット3文字でだいたい表わされますけど。あれのことだと思っていて。
要するに、飛行機を連想させることで高さを強調しているんですけど。そのマンションポエムがですね、「変化と進化の中心、渋谷。その頂点とも呼べる公園通りの丘の上。都市の混沌を見下ろすように出現する地上39階のタワーレジデンス」っていう。で、この「都市の混沌を見下ろす」っていう表現と、この航空用語を使うことで「タワーマンションが高い」っていうことを言っているんですけど。「じゃあ、その高さが何を意味しているのか?」っていうのがこの続き。「エントランスから1歩、足を踏み入れた瞬間、街の喧騒が嘘のように。穏やかでクリエイティブな空気に包まれる。刺激と静寂。その両方を手に入れる」っていう風に。
TOP OF TYO
「TOP OF TYO
変化と進化の中心、渋谷。その頂点とも呼べる公園通りの丘の上。都市の混沌を見下ろすように出現する地上39階のタワーレジデンス」https://t.co/yHP1pHb5Jm pic.twitter.com/cMry6IIaP6— みやーんZZ (@miyearnzz) January 17, 2021
(大山顕)これ、他のタワーマンションでもよく見られる言い方なんですけど。要するに「賑やかな都市に立地して交通の便も良いんだけど、住むところは静かで潤いに満ちていて癒しの空間ですよ」っていう。「静寂」を売りにするんですね。で、これで分かったのは要するにタワーマンションの高さが提供しているのは「静け」なんですね。地上から切り離されているので静かですよ。落ち着きがありますよ。
でも、エレベーターで1階に降りればそこはすぐ喧騒と活気に満ちた渋谷、あるいは都市ですよっていうことで。これ、なにかに似てるなと思ったのはこれ、郊外の閑静な住宅街そのものなのでは?っていう。だからタワーマンションというのは垂直に伸びた郊外なんだなっていう。タワーマンションのエレベーターってあれ、縦に伸びた田園都市線なんですよね。だから最上階は中央林間であるという。
(安住紳一郎)もう横を縦にしちゃった感じ?
(大山顕)横を90度、グッとやって縦にしたものがあのタワーマンションなのではないかというのが僕の今のところ考察ですね。
(安住紳一郎)なるほど。
(中澤有美子)快速のエレベーターで行くみたいな。
(大山顕)そうなんですよ! その通りなんです。タワーマンションのエレベーターって高層階用とか低層階用とかあるじゃないですか。あれ、だから田園都市線の急行とか各駅停車にちょうど似ている。あらゆる意味で垂直に伸びた郊外。そしてエレベーターは郊外に向かう私鉄線。
(安住紳一郎)たしかに。で、上に行けば行くほど静かで。しかもちょっと、区画の大きめな部屋が上の方にあって。
(大山顕)だからタワーマンションが出現しはじめてマンションポエムがワッと出てきた時っていうのは要するに「都心回帰」っていうものと一緒に語られて。僕、結構日本のその住宅感みたいなものを変えた。画期的だなと思ったんですよ。それは要するに「郊外な閑静な住宅街じゃなくて都心に住むっていうことが大事だよ」っていうことだと思ったんだけど。「結局のところ、みんなが求めているのは静けさで。近場に郊外がほしいっていうことだったんだな。なーんだ」って最近思ったんですよ。
近場に郊外がほしい
(安住紳一郎)そうですね。近場に郊外がほしい。それにしてはでも、中央林間……高いマンションですね。そこはね(笑)。
(大山顕)そうですね。かなりの豪邸に相当しますね。
<書き起こしおわり>