Creepy Nutsのお二人が2020年12月22日放送のニッポン放送『Creepy Nutsのオールナイトニッポン0』の中でM-1グランプリ2020決勝について話していました。
━━━━━━━━━━━━
? M-1グランプリ2020 ?
? 決 戦 開 始 ?
━━━━━━━━━━━━
史上最多5,081組の頂点に立つのは一体誰だ?!王者誕生の瞬間を見逃すな!ABCテレビ・テレビ朝日系列全国ネット生放送中?#M1 #M1グランプリhttps://t.co/tUeUNIAmv3 pic.twitter.com/UYlfEfwXhV
— M-1グランプリ (@M1GRANDPRIX) December 20, 2020
(DJ松永)そして、M-1は見ましたか?
(R-指定)見ました!
(DJ松永)最高だったね。
(R-指定)いやー、最高でしたね。
(DJ松永)本当に……あの番組始まった18時34分。その瞬間から涙が止まらないね。
(R-指定)俺も、実はその日は俺、レコーディングだったけど。本来は俺、レコーディングっていつも夜入って、朝方終わるとかが多いやん? その日はもう昼に起きて。家に帰る時間まで計算して5時45分までには絶対終わりたかったから。下手したらその曲も覚えてないけど、「ブンッ、ブルンルンルンルンッ!」の可能性、あるよ?
(R-指定)早う終わらせたいから。歌詞とかも「ブンッ、ブルンルンルンルンッ!」やし、早う録りたいから。「ブンッ、ブルンルンルンルンッ! ブンッ、ブルンルンルンルンッ! OKです。はい。できました。いい感じです。あ、もう確認いいですから。帰りましょう」みたいな、そんな可能性、あるよ?(笑)。
(DJ松永)全然、もう問題ないしね(笑)。本当に……お前ら、文句言うなよ?(笑)。素晴らしかったですよ。もう冒頭のミルクボーイのショート漫才からもう涙が止まらなかった。
(R-指定)ヤバかったよな。リムジンの中でやっている……あれ、ヤバかったな。「東京の夜景を……」みたいなね。
(DJ松永)あそこから泣いた。そう。M-1で一夜にして人生が変わるみたいなところで泣いて。俺さ、本当にああいうお笑いの番組とか賞レースでさ、ああいう感動的な作りにしてさ、やっぱり真っすぐにそれを受け入れられるってすごいことだよね? とんでもない格があるからこそさ、めちゃめちゃ感動な作りにしても誰も文句を言わないっていうかさ。まっすぐ感動できる。もし、そんな格がない番組があんなド頭から感動的な入りをしたら「えっ、どういうこと?」ってなるけどさ。それってすごくない? その耐久性みたいな。
(R-指定)不思議やで。だって笑う目的で見るやつなのに、ド頭から感動やし。最後も絶対に感動するっていう。不思議な……。
(DJ松永)それはたぶん芸人さんがどんだけ賭けているかとか、M-1がどれだけ人の人生を左右するか。どんだけ変わっていった人がいるのか?っていうその蓄積とかでそうなっているから。一夜にして作り上げられるものじゃないわけじゃん。俺、そこがすげえなって思っていて。全然感動するの。何の疑いもなくしっかり真正面から見て感動して泣けるってさ。お笑い番組だよ? すごくない、これ?
(R-指定)すげえよ。
(DJ松永)それで……しかもそのM-1の。まあ、皆さん見た方がいらっしゃると思いますけど。CM曲というか、事前に告知の動画で。まあ、Creepy Nutsとコラボしていただくなどがありまして。Creepy Nutsの『板の上の魔物』という曲がございましてね。
(R-指定)それをね、使っていただきまして。元々は『べしゃり暮らし』という漫画が原作のドラマのオープニングとして書き下ろしたんですけど。その時から、それこそ板の上に立つ、何かを表現する人……まあ主にやっぱり漫才師さんのこの2人組でマイクの前で……っていうのと我々のCreepy Nutsの2人っていうのをかけ合わせて。自分のことを歌ってるんですけど、そういう人たちと俺らの仕事は重なる部分があるなということで書いたのが、このタイミングでね。
(DJ松永)そう。もうミュージックビデオとか出てるだけれども、また新しい別のミュージックビデオみたいなことにもなってるし。それこそさ、芸人さんのインタビューの一節とかが使われつつ、Creepy Nutsの曲が使われてるじゃないですか。その歌詞の切り取り方、完璧じゃなかった? 歌詞、書いた人間としてどうだった?
『板の上の魔物』の最高の部分を切り取る
(R-指定)最高の部分を切り取ってくれているし。その音を上げて歌詞を強調したところとかも「そうそうそう!」っていう。
(DJ松永)そこの芸人さんの姿を映して……これ今、聞いちゃダメ?(笑)。
(R-指定)フハハハハハハハハッ! 今?
(DJ松永)今、流して。1個1個全部……ちょっと待って?(ゴトッ)。
(R-指定)おいおいおい、携帯持ってこようとしてる、こいつ。
(DJ松永)俺、そのさ、芸人さんの一言一言の……たぶんインタビューで1人1人、密着でカメラが付いてさ。「どうですか?」ってインタビューしていたじゃん。で、長尺をたぶんしゃべったんだろうけど、その一節というか、一言が使われて。それを繋いでいくという感じで展開していくじゃないですか。その一言なんだけど、あれは全部わかる。
(R-指定)全部わかる。
(DJ松永)全部共感する!
(R-指定)松永、お前今、YouTube流そうとしてる? それ、あんま聞いたことないんやけども(笑)。あ、やっぱりディレクターの金子さんも首を4度ぐらいかしげているけども。まあ、わかるよ? 気持ち、わかるけど……。
(DJ松永)YouTubeのやつ、今から俺、iPhoneのスピーカーで流そうとしているから(笑)。
(R-指定)それは有りなんか?(笑)。
(DJ松永)あ、首かしげてる(笑)。もしかしたらタイムフリーで「ブルンルンルンルンッ!」ってなっている可能性がある?
(R-指定)せやな。お前がYouTubeをかけた場所を後から聞いたら、「ブルンルンルンルンッ!」って流れているかもしれない。でもそんぐらい……。
(DJ松永)そう。俺はそのド頭のぺこぱの松蔭寺さんの「ここでしか味わえない刺激があるんですよね」っていう。もうあそこから全部わかる! だってもうぺこぱさんなんてさ、それこそM-1に出て、そこで結果出して。それでそこで有名になってバーン!ってバラエティーに出たりして。それで花を開きたいっていう目的でみんな出ているところじゃない?
で、ぺこぱさんなんか去年3位になってさ、それで日の目を見て大ブレイクしたわけじゃない? それでめちゃめちゃ他の番組収録だったりさ、いろんなメディアだったり舞台だったりさ。そこでめちゃくちゃしのぎを削り合ってるしさ。めちゃくちゃそこで戦ってると思うんだけど。すげえヒリヒリする現場で毎日やってると思うんだけれども、やっぱり賞レースのあの舞台っていうのは全く替えが聞かないのよ! 全く別物なんだよね!
(R-指定)ホンマにあそこでしか味わえへんのやろうな。
(DJ松永)だからやっぱりさ、もう優勝した人ぐらい売れたじゃん? でも、M-1とかそういう……俺らはさ、UMBとかDMCだから漫才じゃないしお笑いじゃないから全く別なんだけども。同じ賞レースで自分のシチュエーションに置き換えて話すから全く、もしかしたら的外れかもしれないんだけれども。
自分の立場に置き換えて考えたらさ、たぶんM-1に負けたあの悔しさっていうのは、たぶんM-1じゃないと晴らせないじゃない? UMBとDMCはたぶんそうだと思うんだけども。だから、あれだけ売れて、みんながなりたい姿、立ち位置に行ったにも関わらず、もう1回出るっていうのは、そんぐらいのことなんだろうなって思う。
(R-指定)だからそれこそ、三四郎の相田さんとご飯に行った時も相田さん、もうベロベロ酔っぱらった状態で……それこそ三四郎ぐらい行っていたらM-1に挑戦すること自体、いいじゃんって言われるだろうけども。「そういうことじゃねえんだよ、バカヤローッ!」って言っていたから。ホンマにそうなんやね(笑)。
(DJ松永)フハハハハハハハハッ! 最高(笑)。本当にそう。で、ぺこぱのシュウペイさんもね、同じようなことを仰っていて。で、あの動画の中でさ、決勝進出の結果発表の後でぺこぱの2人が負けて帰る時にさ、「甘くねえな、やっぱ」って。で、すかさずシュウペイさんが「うん、もちろん」って……。
(R-指定)あれ、ヤバいよな!
(DJ松永)ヤバい! かっこよすぎて……俺、あれは何回泣いて前が見えなくなったか。ヤバかったんだから、俺。大変だよ。しかもさ、野田クリスタルさんのさ、あの冒頭で「みんな、仕上がってましたよ。結局」っていう。たぶんさ、今年はコロナで舞台数が少なかったじゃないですか。で、みんなネタがかけられない中で、仕上がらないだろうっていう中で、もしかしたら自分は「いいネタができた。勝負できるかもしれない」と思って行って。
それで本番当日、袖でみんなのネタを見たら「全員、仕上がっている。できているじゃん!」って。だからさ、俺が大会を……まあ、全部自分に置き換えた話なんだけども。DMCに置き換えてみると、やっぱり結局穴の年なんて存在しないなと思うの。一際レベルが高い年っていうのは存在するんだけど。それで出ていって「あれ? 今年のラインナップって過去の優勝者とかいないし。意外と行けるんだろうな?」って思って出てみて。そしたら今までノーマークだった人がとんでもない仕上がり方してるのよ。「うわうわうわっ! 結局穴じゃないな!」って。「あれ? 今年は誰も強い人が出ないな」と思っていたら、直前に出ることがわかったりとかして。
俺もやっぱり出る立場になった時は結局そうだったし。楽な試合っていうのは全くないなっていう。これ、「みんな、仕上がってましたよ。結局」って野田さんがボソッと言う感じもめちゃくちゃわかるなって。で、マヂカルラブリーのお二人、村上さんがさ、「本当にいいですよね。優勝して終わった人たち」って言うじゃん? これは本当にもう、呪いにかかった人たちの言葉だよね。
(R-指定)せやな。ホンマに呪いやな。
呪いにかかった人たちの言葉
(DJ松永)みんな、「やめるためにやっている」っていうところも人によってはあると思うんだよね。勝たないと、終われないんだよね。で、あの呪いが解けるのって、優勝した人だけなんだよな。
(R-指定)唯一、それしかない。
(DJ松永)唯一。年に1組しか存在しないじゃん? で、あれって出るのも苦痛じゃん? 出るのもめちゃくちゃ1年、精神がすり減るし。勝つかどうかわからないドキドキで1年、消費する中でやっと出て。それでほとんど勝てないんですよ。それでもう1年、もう1回作り上げないといけない。それでもう1回出て、負けていくっていうさ。それで1年に1組だけ呪いが解けていくっていうあの作業……エグい。で、やっぱり野田クリスタルさんが「嫌なことで終わったら嫌だからでしょう。嫌なことがあったまま、終わらないし」っつって。
(R-指定)それで、泣いて。
(DJ松永)とんでもない。本当に。そのためにまたやって……もう本当、やめられないんだよね。俺、Rがさ、『板の上の魔物』の歌詞でさ……『板の上の魔物』っていうのはその板の上にいる魔物に食われて、たとえばミスしたり、失敗したり、お客さんを上げれなかったり。そういったことじゃなくてさ、サビにあるように「やめられない、離れられない」っていう。これも板の上の魔物だなと俺はたしかに思ったの。
(R-指定)そう。「Up & Down 繰り返し 逃れられない 逃れられない 分かっていたってまたここに」っていう。やっぱりあの上でしか味わえない。その上に立たないと……めちゃめくちゃ修羅場やけども、そこに行かんことには味わえない快楽というか。
(DJ松永)味わえない。だからさ、俺は本当にこのぺこぱの2人じゃないけどさ。なんだろう? 俺らは奇跡的に呪いが解けた立場じゃない? 2人とも。でもさ、めちゃくちゃ普段から戦いの場だな、しのぎの削り合いだなとか思うんだけども。それでもう、一生出たくないじゃん? もうマジであんなの、最低じゃん。
(R-指定)最低よ。バトル前の気分なんて、最低やで?
(DJ松永)終わっているよ。気持ち悪い。
(R-指定)精神が……だって俺なんてホンマに胃に穴が開いたりしていますからね。入院とかしてますから。
(DJ松永)そう。で、もう絶対やりたくないのに。それでやっと呪いが解けた立場だけど……0.5パーセント、0.1パーセントぐらいは「ちょっともう1回、やりたいかも」っていうのはあるよね。
(R-指定)あのヒリヒリな。だから俺もマジで嫌やけども。それこそ久しぶりに晋平太さんとバトルした時とか……まあ、あれは1回だけのエキシビジョンやったけども。「おっ、この感覚、めっちゃ久しぶりや!」ってなったから。始める前のイライラとか怖いのもそうだけど、やってる最中の脳内物質みたいなのが。「うわっ、なんか出てきてる! これ、久しぶりやな!」みたいな。
(DJ松永)そうだよね。いや、本当にさ、マジで生きた心地がしないじゃない? 本番前とか大会に挑む……でも、めちゃくちゃ生きてるっていう実感を得れるのもその瞬間だったりするんだよ。ちょっとすごい大変だけど、あんだけ自分を追い詰めないと、死んだ心地にならないと生きてる実感を味わえないっていうのも不思議な話だけどさ。でも、あれは1回味わっちゃったからなんだよね。それを出始めなければ……あれを知らなければ幸せでいられるんだけども。俺、「出始めなきゃよかった」って本当に思ったもん。DMCに出ていた時。「なんでこんなこと、やり始めたかな?」ってマジで思った。
(R-指定)だからやっぱり、まあバトルもそうやけど。出たやつら同士にしかわからん、その快感やし、悔しさやし。出たやつら同士やから、何となく分かるお互いの気持ちみたいなのもあるから。だから全然俺ら、関係ないけど。ちょうどその時、ラッパーと見ていたんよ。それこそ梅田サイファーの面々。俺らのライブに出てくれたからそのまま東京におって。
俺の家でふぁんくさんとかとM-1を見ていたんすよね。だから俺もふぁんくさんもバトルとか出たことあるから、その気持ちがめっちゃわかるから。もうそれこそ、全部……なんかおもろかったのに全部グッと来たし。その最後の野田さんの……あの感じの人がグッと来ているのとか。最下位になってもとか。あれとか、もう2人ともマジで……。
(DJ松永)あんなの号泣するよ。講評のたびに泣いていたわ。あれさ、本当に……マヂカルラブリーが優勝してからまた、あのM-1と俺らのビデオを見たら、もう止まらない。あとさ、やっぱり思うのは結局、和牛って半端じゃねえなって思うよね。
(R-指定)だって、あの苦しいのを……。
和牛の半端なさ
(DJ松永)ヤバい。3回連続準優勝しているんだよ? ファイナル進出4年連続よ? 3回連続準優勝よ? 異常じゃん。だってさ、決勝に進むのもとんでもないことでしょう? たぶんあんぐらい、準優勝するぐらいっていうことはさ、自分のやりたいこと……そもそもその人のスキルがめちゃめちゃ備わっている前提で、自分のやりたいこととその本人に向いていることがガシッとハマって。
なおかつ時代とか、お客さんが求めていることとか全部がガシッと合うっていう奇跡的な一致。付合みたいな。それで最大公約数の発揮されてやっと準優勝っていうことだと思うの。だってさ、それを1回やった後って、審査員にも全部手の内を見せたっていうことじゃないですか。それでもう1回、あの位置に行くってさ。最大公約数を1回置いといても、たぶん同じものの焼き直しだとさ、なかなかあの位置には行けないじゃないですか。
(R-指定)だから、また新しいのを作らなアカン。
(DJ松永)それを1年の間にするってさ、マジで病的だと思うんだよね。すさまじさ。それが3年連続ってさ、マジでなんかもうとんでもないことを成し遂げてない? それであの人たち、今年は出ないっていう決断をしたじゃない? その「出ない」っていう決断はマジで勇気がいるじゃん?
(R-指定)マジで怖い。
(DJ松永)「出ない」っていう決断も「出る」っていう決断と同じぐらい超かっこいいのよ。あれって。
(R-指定)それこそ松永さんもそれは経験しているもんな。「出ない」っていう決断をして。
(DJ松永)同じぐらい苦しいというか、勇気がいるし。すごい決断だからさ。マジで……もう全然、映画作れるじゃんと思うね。すごいよ。3年連続準優勝ってもうすごすぎて。おかしいと思う。