（小袋成彬）『Flip Side Planet』、後半です。本日は私、ナリアキの1人しゃべりでございます。そう。名前を「Nariaki」に変えたいんだよね。「小袋成彬」って好きだけど、字面が複雑。言いにくい。日本人の俺でさえ言いにくい。だったら、なんか英語で「Nariaki」の方がわかりやすいなって最近、思っちゃって。万国共通じゃないんだよ。小袋成彬というアーティスト名がね。
今、わかったんだ。「Ichiro」とか「Shinjo」とか。「なんでイチローなんだろう？」ってずっと思ってたけど。世界中の人がそう呼べるもんね。たぶんイチローさんには最初から見えてたんだろうね。その世界が。いやー、すごいな。だから変えたい！ 勝手に言ってるけど（笑）。曲かけよう。ボブ・マーリー『Is This Love』。
Bob Marley『Is This Love』
（小袋成彬）「考え方」について、ずっと僕は今日、話している気がする。Black Lives Matterもすごく僕の中では一番大きな出来事だったかもしれない。ロンドンでね、デモに参加したんです。「参加」というより、見ていた。僕はね、人間として言葉と考え方でこの世界を変えたいなと。ミュージシャンとしてはただ、自分でいい曲を作りたいなって思うぐらい。新しい世界を作るっていうくらいしかないんだけど。その前にまず人間としてできることをずっと模索してて。
だからデモ自体はすごく肯定的なんですけど、ちょっと参加するのは俺らしくはないなとずっと思っていて。でもね、このパソコンの前でニュースを見ているより、自分ができることを探すためにちょっと見に行ったんですよ。もちろんめちゃめちゃ感じたし、それから自分の行動も変わったし、考え方も変わったんですが。
結構ショックだったのは、日本の人にはあんまりリアリティーがないんだなっていうのを感じました。たぶん俺もロンドンに来てなかったら、「ああ、なんかアメリカの人たちがすごい怒ってる」ぐらいにしか思ってなかったかもしれない。
だって圧倒的にね、リアリティーがないんですよね。たぶん日本にいると。その多国籍、多様性みたいなものを感じる瞬間がすげえ少なかったなって思うし。なんかそれに触れることで自分が自由な思想になっていく。自分がアップデートされていく感覚がすごく心地いいんですけど。なんかそれを味わえる機会が少なかったなっていうのを思いました。
本当ね、俺も学校とかつらかったからな。正直。まあ、割と自由な校風の学校には行きましたけど。システム自体が息苦しかったなっていう。あとね、僕は家庭がね、割と教師系なんですけど。今、英語教師めっちゃ不足してるらしくて。そうですよね。英語がしゃべれたら一般企業に行って、もっと自分の活躍できるフィールドが世界にあるからね。
だから英語の教師が……英語をしゃべれる日本人の教師がなかなか少なくなっていて。でね、めっちゃ意味わかんないなって思うのが今、英語が必修化して。そのネイティブのスピーカーが教室に英語を教えに行くらしいんですけど。そのためには、その人たちはライセンスを持っていないので、日本の教師の人が同伴しなきゃいけないんですよ。つまり、そのクラスに教師が2人いるんですけど。
でもそれってコストが2倍かかるっていうことなんで、すごく学校側は嫌がる。ちょっとシステムとして破綻してる気がします。逆にイギリスに来たら「日本で働きたい」っていう人がめちゃくちゃいて。なんか、不条理だなって思うことがすごくあります。英語教師のビザとかね、積極的に発給してくれたらもう少し世界が変わるのにな、なんて思います。「変化は小さな1歩から」って話したかったの。そう。それを今日は伝えたかった。新しい価値観。Black Lives Matter。いろんなことはあなたの小さな1歩から始まる。それを今日は伝えたかった。
『Flip Side Planet』なのにめっちゃ現実的な話をしてしまった。来週からは通常通り、素敵な音楽を皆さんで一緒に聞く世界に戻ろうと思います。そう。番組の感想、ご要望、ご意見、こんな企画やってほしい。このアルバムをみんなで一緒に聞きたい。そんなものがありましたら、ぜひぜひTwitterに送ってください。それから近々、『Flip Side Planet』はこれからグッズも販売していこうかなって思ってます。
すごくいい、かわいいやつができつつあります。あなたのサポートがこの『Flip Side Planet』をさらに素晴らしいコミュニティーにしてくれます。なので特に今日の話が面白かったなと思ったら、Twitterで感想を。そしてラジコでぜひシェアもよろしくお願いします。最後、何の曲をかけようかな？ Jamie xx『Idontknow』。この曲でお別れ。来年も良い年にしよう！
Jamie xx『Idontknow』
＜書き起こしおわり＞