小袋成彬 2020年の振り返りと「新しい価値観」を語る

小袋成彬 2020年の振り返りと「新しい価値観」を語る J-WAVE

小袋成彬さんが2020年12月11日放送のJ-WAVE『Flip Side Planet』の中で激動の2020年を振り返り。「新しい価値観」について話していました。

(小袋成彬)Welcome to Flip Side Planet. 盤面の向こう側、音楽の惑星フリップサイド・プラネットへようこそ。今夜の『Flip Side Planet』は私、ナリアキの1人しゃべりでお送りします。もう半年以上しゃべってない気がして。それでまあ年末だし。時事問題も取り上げながら、自分の考えをちょっとシェアする回を作りたいなと思って今日はこういう形です。まあ曲も3曲ぐらいかけようかなと思ってますので、ぜひぜひチェックしてみてください。一番ね、聞きたかったこと。『Flip Side Planet』、いかがでしょうか? 皆さんがどう思ってるか、ぜひTwitterに感想を送ってください。
このスタイルを取ってからもう半年以上が経っている気がしますが。明らかにコミュニティーが活性化したような気がします。『Music Hub』時代に見えなかったリスナーがどんどん見えてきて。いいコミュニティーになっている気がします。最初はね、このラジオは2016年に『Music Hub』っていう名前で始まりまして。新譜をかけながら、その新譜についてうんちくを話すスタイルだったんですけど。どうも自分でしっくり来ていなくて。

批評的になっちゃうのがすごく嫌なのと、「新しい」っていうことに価値を置くことが今の時代にどれだけ無意味なんだろうっていうの思ったんですよ。あのね、Spotifyが発表してるチャートがあって。縦軸が新譜のリリース数。横軸が時間軸なんですけど。2016年までは割と低空飛行なグラフが続いてるんですが、2016年からもう直上。真上に90度ボーンと上がってるようなグラフで。僕、衝撃だったんですよ。

もう誰でもパソコンで音楽作れる時代だし。誰でもすぐに即日発表できる時代ですから。今、「新譜を聞く」っていうことよりも、もっと大事な価値があるはずだと。まあ、最初からそうだったんだけども。それをどうにかラジオでうまく体現できないかな?っていうのを考えながら運営していました。

なんかね、新譜ばっかりやるのって……そういう役割ってあんまり凡百のメディアと大差ないというか、俺がやることじゃないなって思いまして。じゃあ、ラジオの地の利を生かしたことってなんだろう?ってずっと考えてたんですけど。ある日、Holy Hiveっていうブルックリンのスリーピースバンドのアルバムをフルでかけたんですよ。そしたら結構好評で。「ああ、そうだよな。今、音楽をフルで流してくれるメディアってあんまりないよな」って僕、ミュージシャンとしてそう思うんですよ。

今、音楽をフルで流してくれるメディアがあまりない

我々ミュージシャンは曲を作った後、「ラジオエディット」というものを作ることが多くて。大抵はね、短くなるんですよ。自分がせっかく作った曲がね、1分半ぐらいにまとめられちゃって。なんかね、まあいい気分はしないんですけど。そうならない方がいいよねって思ったり。あとは、YouTubeんでね、リアクション動画ってあるんですよ。新譜が出たらみんなでそれを聞いて。その反応をカメラに収めて発表するみたいな。

ただね、権利上の問題で全曲、聞けないんですよね。もちろん。動画に貼れないんですよ。でも、ラジオだったらどんな曲もフルで流せるし。現代だからこそ、割とそれは新鮮な形なんじゃないかなって。つまり、音楽を聞くことにフォーカスした番組作りをしたいなと思ってこんなラジオになりました。皆さん、どう思いますでしょうか? そう。今年の夏ぐらいかな? もうコンセプトは決まったので、名前を1ヶ月ぐらい長考してたんですけど。

その当時、日本で自分の会社の採用試験があって。で、埼京線でその会場に向かってる途中にぱっと思いついて。「おっ、フリップサイド・プラネット……盤面の向こう側。その2次元の盤面をめぐった裏にある素敵な音楽の3次元の世界」っていう。まあ、そんなイメージですね。で、音楽フリークのダンちゃんをつかまえて今、一緒に運営をしています。まあね、もっといいコミュニティーにしていきたいし、ゆくゆくはライブの主催とか、イベントオーガナイズ。今までにないような斬新な企画を皆さんにお届けしたいし。なにより、素敵なコミュニティーになるように毎日微調整してるので、来年も乞うご期待ということで。

もっとね、僕の出番は少なくなっていくような気がしますが。僕が行きたくなるような理想のコミュニティーを目指しているので、ぜひぜひ皆さんのサポートを。そして、積極的な参加を僕は待っています。今後ともよろしくお願いします。ということで、曲をかけようかな? 『Can We Pretend』。ビル・ウィザースです。

Bill Withers『Can We Pretend』

(小袋成彬)今年の大事件と言えば、もちろんコロナウイルスですよね。4月あたりにロックダウンした時は1ヶ月、1人で自宅にこもってましたけど。いやー、自分を見つめ直すいいきっかけになりました。本当にね、あの時、何かちょっと心がずっとモヤモヤしていて。なぜかというと、同業のミュージシャンだとかまあ、面に立つ人たちがちょっと安易な政権批判とか、問題を単純化してあおっていくような感じがどうも僕はすごく苦手で。

それ自体はね、別に本人が強い意思を持ってやってるんだけども。「俺はそうじゃないな。でも、逆に俺の存在って何なんだろう?」っていうものをずっと考えてました。で、その時にね、「新時代」っていうエッセイを書いたんです。noteっていうウェブサービスに全文を掲載してますので、ぜひぜひ見てみてください。

Nariaki「新時代」

(小袋成彬)何を書いたかっていうと、若い世代の我々しか持っていない武器がある。我々しか持っていない武器……それは「新しい価値観」であるというエッセイです。若者世代……「バブル以降に生まれた人」を僕は指していますけど。人口ピラミッドを見る限りね、僕らが政治っていう手段で日本を変えるっていうのはもうハードモードなんですよ。無理なんですよ。票田じゃないし、力はないし、シルバー民主主義だし。でも、私たちは新しい価値観を持っている。それは一体何かというと、今まさに日本で起きていること。

たとえば「ハンコっていらなくね? なんでわざわざ外に出て、ハンコを押すためだけに出社するんだろう?」とか。あるいは副業。「もっと自由に社会にコミットして自分でビジネスやってもいいじゃないか。もっと収入の口を増やしてもいいじゃないか」っていう考え方に皆さん変わりましたよね。なんかパラダイムシフトが起こったような気がしています。まさにこれが新しい価値観が時代をリードしていく分岐点だったと思っています。

で、新しい価値観ってね、本当に政治の世界とは違って多数・少数がない。たった1人の価値観が世界を変える。これがフレッシュな我々が持っている圧倒的な武器。さて、これをどう使うか? 本当の変化にするにはどうするべきか? それは自分の価値観に則って行動することです。

たとえば上司よりも早く仕事をして、サッと帰る。今まではできなかったけど。これがまさに今の現実を変えていく。よりよい世界を作っていくっていうことなのだと思ってますね。そう。1人ひとりのそういう小さな力が時代を作っていくっていうことを私はどうしてもみんなに言いたかったし。それがすごい武器なんだよっていうことを文章にして伝えたかった。

小袋成彬「新しい価値観」の重要性を語る
小袋成彬さんが2020年5月8日放送のJ-WAVE『MUSIC HUB』J-WAVE『MUSIC HUB』の中で自身がnoteで発表した「新時代」というエッセイについてトーク。新しい価値観の重要性について話していました。 この投稿をInst...

そういえばね、最近いい動画を見つけたんですよ。地球の歴史の動画。原始宇宙で地球はどうなって誕生して……生命がいつ、どこでどのように誕生したのか?っていうのを最先端の生命科学。あるいは有機化学、地質学……いろんなものを統合しながらCGでわかりやすく説明する教育ビデオで。国立遺伝学研究所のチームとか天文学者とか。そういう人たちからなる研究チームが作った教育系ビデオで。でね、なんか文科省の補助金で作ってるビデオらしくて。しかもね、リミックスOKっていうクレジット表記がなされているんですよ。なので僕は好きな音楽ををつけてYouTubeに上げてます。ぜひあの見てみてください。価値観が変わります。

地球全史 【2020年版】ANTS HOUSE Ver.

これね、本当にもう……俺も自分で編集したから10回以上は見てるんだけど。ぜひ皆さんにも見てほしいなと思ってます。人類代がね、地球の歴史において本当に一部でしかないっていうことは皆さんもわかってると思うんですけど。それがより強く理解できます。そして僕がすごい面白いなと思ったのは、その地球上の生命っていうのはあらゆるスケールの宇宙の出来事と繋がってるんですよ。

たとえば恐竜っていうのが昔、いて。その時に僕らの地球……太陽系は天の川銀河に属してるんですけど。そこを太陽系自体が公転してるんですよ。で、その公転している途中でネビュラ……暗黒星雲。ガスの星雲に衝突して。それでね、地球が雲に覆われてしまうんですよ。そうすると、太陽の光が届かなくなっちゃって寒冷化が始まります。で、どんどんどんどん生命が絶滅の危機に瀕していくんですけど。6600万年前ぐらいにユカタン半島に隕石がボーン!って落ちて。アメリカにね、300メートル級の津波が押し寄せたっていう話もありますが。

それでね、ついに1億年続いた恐竜は絶滅しています。その頃ね、我々は何をしてたかというと、まだ草むらの陰にこっそりと隠れているような、ネズミみたいな存在だったんですよ。でも、その寒冷化して大雪が降っている地球に横たわる我々の祖先、哺乳類に宇宙線っていうものが降り注いで。それがね、DNAに突然変異を起こしてなんやかんやで我々は人になっていくという。

ちなみにこの動画はですね、現代までじゃなくて、それ以降も描いています。つまり人類代の終焉と地球が消滅するシナリオを見事に描いています。で、あのね、動画の最後は結構衝撃的で。自己複製を可能にしたロボットが地球から脱出を試みて。その安息の地を求めてね、宇宙の彼方に飛び立っていくシーンでフィナーレを迎えるんですよ。「何を言ってんの?」って思うかもしれないですけど、僕は全然驚きはなくて。

だってね、今はもう人工知能を想像して、科学の力で意識とか感情を再現するまでに至っちゃったから。なんだろう? 本当、『攻殻機動隊』じゃないけど、肉体は朽ちても意識は残るみたいな世界って全然あり得るよなって思ってます。むしろ、人類の役割ってそういう宇宙の無機質なマテリアル……水素、ヘリウム、酸素、鉄。そういうものをバッとコンバインして、感情とか意識とかっていうものを作り出したっていう役割に過ぎないのかもしれないって思っちゃいますよね。というか、もはや俺はそう思っちゃっている。それが人類が果たした役割だったという。

次の革命が起こるのは……

あ、ごめんなさい。だいぶ脱線しましたけど。つまり、何が言いたかったかというと、地球の46億年のうち、我々は数千年で農業を革命して。産業を革命して。情報を革命して。次々と成し遂げて、豊かさを手に入れて。今ね、歴史上初めて、考え方を変えなきゃいけないフェーズに来たと思ってます。そう。だからね、次の革命はクーデターとか戦争じゃなくて、我々の脳内で起こるべきだなと思います。この考え方の革命っていうのはね、僕はパソコンのソフトウェアアップデートだと思ってるんですよ。まあ、僕にはプランがある。後半、お楽しみ。

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