小袋成彬さんがJ-WAVE『MUSIC HUB』の中でリスナーからのクリエイターとクライアントの関係性についての質問に回答していました。
(小袋成彬)ちょっとお便りを紹介しようと思います。「突然ですが、私はクリエイターたクライアントの関係性について思い悩んでいます。というのも私は多くの日本人が抱く『クライアントは神様』という思考がどうも腑に落ちないんです」。こんなメッセージも来るラジオなんですね、僕(笑)。嬉しいな。「……つまりはクライアントを満足させるため、正しい/正しくないかにかかわらず、要望を全て受け止めて従うといった思考です。クライアントはお金を出す側ですが、足りない知識や技術、そしてクリエイティビティーを求めてクリエイターに依頼をする。クリエイターはこの信頼を受け、クライアントのビジネスを手助けする。
この関係性は平等であり、互いに必要な存在だと私は思っています。ただ現実ではこれらは理想論でしかないのかなと感じる部分もあり、近頃はこの思考と現実の間でぐるぐるしていて、クライアントとの上手な付き合い方が分からなくなってしまいました。小袋さんも音楽家としてこのような関係性について思いを巡らした経験がありましたら、同世代の人間として小袋さんの考えを聞きたいと思いメッセージを送らせて頂きました」。ありがとうございます。
俺、いちばんモメるタイプなんで……(笑)。全然いいアドバイスできないすね。僕もそもそもの理想は一緒だと思いますし、クライアントは対等であるという考えなので。たとえば無茶な要望してきたりとかしたら、向こうのスキルの問題なので。「それはお前のスキルが足りない」っていうことで僕は結構突っぱねちゃって、仕事が減った時期もあったりするんですけど。でも本当、対等だと思います。
もちろんお国柄によりますし、クリエイターに尊敬がある界隈ももちろんあります。で、僕は全てのクライアントがそうじゃないっていうのもわかっていて。中にはすごいいい、気持ちよく仕事できる人もいるんですけど。だいたいそういう人に限って、すごくクリエイティブも良かったりするんで。うん。難しいですよね。
だから僕はでも理想論のまま突っ走ったら全然、周りにいい人ばっかり残ったので。そのまま突っ切っていいんじゃないですかね。この方はどっちなんですかね? クライアント側なのか……でも、クリエイター側だろうな。いや、もうどんどん主張した方がいいですよ。何も……それは当たり前の主張なんで。そのギャラの話もそうだし。無茶な要望してきたら、向こうのスキルの問題だし。「パターンを4個出せ」っつったら、じゃあそれは4個分の請求をすればいいだけで。そこで仕事減ったら、まあその人が悪い。そのクライアントが悪いんで大丈夫です(笑)。
そうして僕はいま、こう生きているので。何も問題ないと思います。まあ啓蒙主義は全くないので、自分のやりたいように理想を生きればいいんじゃないすかね。うん。現実があって理想があるわけじゃないすからね。理想があって現実があるわけですから。まず理想を追い求めないと意味がないですよね。という、僕のアドバイスです。だから結構エキセントリックなアドバイスですが、何か参考にしていただけたらなと思います。3曲目、行きましょう。フフフ、こんなの来るんだ、俺。おもろいなー。Cool Companyで『Bust It Open』。
Cool Company『Bust It Open』
お聞きいただいたのはCool Companyで『Bust It Open』という曲でした。そう。いま聞きながらクライエントとクリエイターの関係性って……まあまあ、よく言われる話ですけどね。いちばん僕が腑に落ちないのがね、あれなんですよ。特に日本だけなんすけど「翌々月末払い」ってめっちゃよくわかんないすよね。
だってね、お金がある方がね、お金がないというか、クリエイターに先に仕事を依頼して。僕らはその何ヶ月もの間、無給で働いて。で、やっと後から払われるってすげえおかしいっすよね? 「先に払ってよ!」って思いません?(笑)。ちなみにTokyo Recordingsはちょっとたまに会計をミスっちゃったりするんですけど。めっちゃくちゃ早く払うようにしてるんですよ。あるいは、先払いにした時期もあって。
なんでかって言うと、やっぱりに駆け出しのクリエイターってお金があまりないから、お金を持ってる方が先に払うのが当然だっていう。だって、依頼してるんだし……っていうね、考えだったんですけども。それですごく人間関係うまくいったっていうのもあって。なんかそれやるだけ、支払いタームを変えるだけでね、仕事が上手く回れるんだなって思いましたけどね。
まあ、でもこればっかりはしょうがないですね。よくね、海外と仕事すると「半分だけ先払い」とか「納品ファイルを払う時だけ半分払って」とかっていうのもあったりするんで。日本だけだと思います。まあ、僕がね、これを言ったところでたぶん企業文化は変わらないと思うのでずっとそうだと思うんですけど。ねえ。自分がもし発注する立場になったら、そういうことやってみるとすごくより良い世界が築けるかもしれませんね。はい。お便り、ありがとうございました。
<書き起こしおわり>